福井総裁を辞任に追い込めない国会 6月27日

福井総裁の個人所得はすごい。日銀総裁としての年俸が3,600万円に加えて、「年金」780万円を受け取っているのだ。この「年金」、一体いつからもらっていたのだろうか?日銀の定年が60歳とすると、約10年間、即ち、副総裁の任期の途中から富士通総研理事長、そして日銀総裁に就任後も給与と併行して、おそらくは最高級の「年金」を享受していたことになる。二重取りと言われても仕方がない。

福井総裁の現在の金融資産は、預貯金1億8,660万円と国債1,000万円・投資信託3,510万円、そして村上ファンドへの拠出金と5社の株式とを合わせると、報告されただけで合計2億8,800万円。妻名義も併せると、夫妻の金融資産の合計は、3億5,000万円にものぼる。庶民感覚からは、まったく大きくかけ離れている。

福井総裁は、副総裁を辞任したとき退職金をもらったはずだ。勿論、富士通総研の理事長を退任するときには、4,000万円の退職金をもらっている。当然、総裁辞任の際には、最高級の退職金をもらうに違いない。富士通総研は、親会社の富士通が日銀のコンピュータを一手に引き受けているのだから、利害関係の濃厚な、極めて質の悪い「天下り」と言える。よくよく調べてみれば、福井総裁は、二重三重に給与・年金・退職金をもらい、その上にインサイダー取引きの利得を手にしていると言えるのだ。

これほど疑惑に満ち溢れた福井氏が、金融界で最も公正・中立が要求される日銀総裁を辞任しないのは、明らかに不条理だ。福井氏を総裁に任命した小泉総理も政権も、福井総裁をがっちりと守っている。政権内にも、村上ファンドとつながる同じ穴のムジナが存在するに違いないのだ。小泉政権が天下りの禁止を断行することが出来なかったのも、所詮は身内の利権を守るためだったのだ。福井総裁を守る小泉政権は、まさにインサイダー政権そのものだ。これまで比較的正論を述べていた与謝野大臣が、何故か福井総裁をことさらかばう姿も異常だ。

こうして社会の重鎮たちは、私たち一般国民の想像を絶する莫大な金額の所得を得ているのだ。それが正当な所得なら問題はないが、今回のように天下りや給与の二重三重どりやインサイダー疑惑の可能性を持たれるようなからくりの潜むものでは、断じて許されないのだ。

利権のインサイダーたちを追及できるのは、司法と国会とメディアだ。特に国会は、議員年金問題でインサイダーの一角に組み込まれることなく、国民の代表として自ら身を切って、疑惑を追及する責任を負わなければならない立場にある。疑惑隠しのための「国会閉幕」という小泉政権の策略を粉砕するためにも、参考人質疑・証人喚問などあらゆる機会をとらえて、閉会中審査を行ない国会の重要な役割を国民の前に示さなければならないのだ。野党第一党の民主党が、その先頭に立たなければならないことは、今更言うまでもないことだ。
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