BSE「質問主意書」閣議決定の軽さ 1月30日

心底反対だったが、昨年の12月12日、米国産牛肉の輸入再開が決定された。案の定、食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川座長自らが、「安全性を示す科学的根拠はない。(輸入再開はするが)米国産牛肉を買うか買わないかは消費者の判断だ。」とまで言い放つ始末で、明らかにリスクを背負った米国産牛肉を前に、消費者は一部のスーパー店頭で悩んだはずだ。本音では、安全が保証されている国産牛肉を買いたいが、お財布と相談して、「政府保証」された米国産牛肉を手にした消費者も居たはずだ。

輸入再開より前に現地のパッカーを調査することが、11月18日政府答弁書で閣議決定されたにもかかわらず、現地調査団が出発したのは12月13日、輸入再開が決定された12月12日よりも後なのだ。中川農水大臣は、閣議決定に従わなかったことを、あっさりと認めた。事の重要性をまったく認識していないのか、条例違反の東横イン社長と同レベルの開き直りにも見える答弁だった。消費者が非常に敏感になっていた時期、まともに実施されたとしても不安は払拭できない状況下で、あろうことか閣議決定された「事前調査」が、まったく無視され実行されていなかった事実は、内閣の重大な過失だ。

問題になった川内博史代議士の提出した質問主意書に対する政府答弁書の「輸入再開以前に現地調査が必要であると考えている」との文章(質問主意書九-1)は、「厚労大臣・農水大臣の認識を示したもの」であって、現地調査は「閣議決定」事項ではないと、安倍官房長官は開き直ったが、だったら、中川農水大臣の午前午後の答弁は、なんだったのか!これこそ言い逃れであって、責任回避丸出しの安倍官房長官の答弁だ。この問題は、全ての閣僚の認識の甘さが生んだ、小泉内閣の重大な裏切り行為だ。この際中川大臣の進退など二の次で、問われるべきは、「小泉内閣は、いったい誰のための内閣なのか」ということに尽きる!「事前の現地調査に意味がない」なんてあり得ない。米国ばかりを気遣い、真に日本の消費者の食の安全を考えていないから、事前の現地調査に対する認識がゼロだったのだ。

今の日本で最もチェックが厳しいはずの米国産牛肉がこの有様なのだから、日本に輸入されている他の食材の安全管理がどの程度のものかは、推してしるべしだ。例えば、中国産野菜について、安全が確保されていると考えることのほうが無理がある。ドーハラウンドに参加はしても、食の安全という核心部分には触れずじまいだ。小泉政権は、日本の消費者のことなど真剣に考えてはいないのだ。郵政民営化も、米国の年次改革要望書に応えたに過ぎず、あとは、郵貯簡保330兆円に及ぶ国民の資産が、米国の生保・損保各社の餌食になるのを待つだけだ。

小泉政権の「政府保証」がいかに虚構か、ライブドアや耐震強度偽装問題でもはっきりした。毎夜毎夜高級レストランで食事をする小泉総理の口に、米国産牛肉が入ることなどないのだから、小泉総理が真面目にBSE問題に取り組むはずがないのだ。どうせ、あの手この手の言い逃れをする小泉内閣に、何を言っても無駄!民主党は、いかに小泉改革がインチキであるかを、国民に徹底的に伝える努力を惜しまないことだ。

スーパーで、一つ一つの食材を手に取り、吟味して購入する消費者の気持ちがわかる政治家が、小泉内閣に一人でも存在したならば、こんな事態に陥ることはなかっただろう。小泉内閣は、アメリカの代弁者であって、決して日本国民の代表ではないのだ。

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武部幹事長と投資事業組合 1月29日追記

ライブドアが、他の事案と同様の手口で、株価を吊り上げ、実質傘下の投資事業組合に、買収したライブドアオート株700万株を貸株していた事実が判明した。

ライブドアがライブドアオートを買収したのは、総選挙と同時期の去年の8月~9月。東証は、8月25日の異常に多い売買高について、インサイダー取引きの疑いがあるとして、証券取引等監視委員会に報告している。買収から貸株にかけての時期は、武部幹事長が堀江氏を自民党本部に招き、党の広報・資金運用の相談を持ちかけた頃と相前後し、インサイダー取引きと投資事業組合には、武部幹事長や武部氏の次男が関っていた可能性が、非常に濃い。勿論、自民党の資金そのものが「運用」されていた可能性も否定できない。

ライブドア強制捜査の一報が官邸に入ったのは、昨年末と言われている。その際、小泉総理は、安部官房長官と竹中総務大臣には伝えたが、武部幹事長にはそのことを伝えなかったと言われている。既に武部・堀江の二人は完全に癒着しており、武部幹事長から堀江氏に強制捜査の事実がリークされることを恐れたからだ。

じわじわと、事実が明るみになってきた。武部幹事長に司直の手が伸びるのも、時間の問題なのではないか。無責任でお調子者の武部幹事長も、もはやこれまでだ。BSEに総選挙、あらゆる場面で国民に不利益をもたらした武部幹事長は、インサイダー取引きという古くからある犯罪で失脚する!?武部幹事長があれほど叫び演出した「小泉劇場」とは、いったいなんだったのだろうか・・・。
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武部幹事長と村上ファンド 1月27日

次男が堀江氏ととても親しい間柄にあった武部幹事長は、総選挙で堀江氏の応援に力を入れた。次男の会社に数千万円の資金援助をしてくれたと言われている堀江氏に対して、父親として武部幹事長は、一方ならぬ思い入れがあったのだ。選挙の応援演説で、「我が息子です!」と叫んだのも、単なるパフォーマンスではなく、かなり本音に近い言葉だったのだ。

並々ならぬ情熱で堀江氏を応援した武部幹事長は、誰もが納得する形で責任をとるべきだ。武部氏は総選挙後も、堀江氏を自民党に招き、党の財政運営などの相談をもちかけているのだから、尋常ならざる関係で堀江氏と付き合ってきたのだ。堀江氏にしてみれば、証券取引法違反やダーティなキャッシュフローの部分をオブラートで覆うためには、権力の真ん中に居る与党幹事長の武部氏に擦り寄ることは、重要なファクターだった。

武部幹事長は、数千万円の資金援助の報道に対して、事実無根だと否定しているが、このことは捜査当局によっていずれ明らかされるはずだ。直接、武部氏に献金すると目立つから、次男の会社に資金援助するという形で武部氏に恩を売った堀江氏に、まんまと利用されてしまった武部幹事長は、いよいよ追い詰められてきた。こんな人物が、小泉チルドレンを取りまとめているのだから、今の自民党はライブドアに匹敵するくらいバブリーだ。

総選挙で大勝した自民党は、最近めっきりタガが緩んでいる。小泉総理の勇ましい掛け声も織り込み済みだったのか、結局、議員年金廃止法の与党案は、議員年金は「廃止しない」ことにまとまった。野党の中にも、内心は議員年金を欲している議員は少なくなく、たいした反論もなくこのまま成立してしまうのではないだろうかと危惧する・・・。つまらない結末だ。

いずれにしても、堀江氏逮捕を受けて、少なくとも武部氏は、国民にわかりやすいけじめをつけなければならない。ライブドアショックのまだ傷の浅い今のうちに、武部氏は責任をとるべきだ。さもなければ、いずれ近い将来村上ファンドにまで司直の手が伸びると、ライブドア事件は日本版エンロン並みの大事件に発展する。

堀江氏にとって、ダイナシティを買収したことが、虎の尾っぽを踏むことになった。覚せい剤取締法違反で逮捕されたフロント企業であるダイナシティの元社長・中山諭氏は、大量の資金が必要になり、知人であった村上世彰氏に株価の吊り上げを依頼した。村上ファンドは、大量のダイナシティ株を底値で取得した直後に、「村上ファンドがダイナシティ株を買い進めようとしている」との風説を流布。直ちに買いが殺到し、予定通りダイナシティ株は、2日間で10,000円も跳ね上がることとなったのた。その村上ファンドからダイナシティ株を買った堀江氏が逮捕されるなら、村上世彰氏が逮捕されないわけがないのだ。闇社会とのつながりは、むしろ村上氏のほうが深いのだ。

次のターゲットは、武部幹事長と村上ファンドだ。堀江氏逮捕は突破口にすぎず、本命は村上ファンドであり小泉政権中枢なのだ。武部氏はもとより、慧光塾・穴吹工務店を通してダイナシティともつながる安倍官房長官も、展開次第ではターゲットに名を挙げることになるかもしれない。
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フジテレビの勘違い 1月26日

フジテレビ日枝会長のライブドア支援の発言は、まったく的外れもいいところだ。どうやら、日枝氏はライブドア平松新社長と会談する模様だが、二人ともなんか勘違いしていないか。日枝会長は平松氏に対して、ライブドアを切り売りしないでくれと注文をつけたらしい。ライブドアは現在、それぞれの買収手法の是非はさておき、「弥生」や「ライブドア・オート」など価値ある会社と現金900億円余りを所有しているという説がある。フジテレビは、これらの資産に目をつけ、利益を得ようとしているのだ。

が、ちょっと待って。フジテレビは、ライブドア株の12.74%を持つ大株主であり、一般デイトレーダーとは異なり、ライブドアの経営責任を担う立場にあることを忘れてはいけない。昨年暮れの株主総会で、フジテレビ常務がライブドアの取締役に就任した事実は重く、フジテレビの「騙された」との主張は、まったく通らない。

そもそも、フジテレビが、ニッポン放送買収劇の際、440億円を支払ってライブドアの第三者割当増資に応じたことが問題なのだ。ブログ「ホリエモンの錬金術」の筆者・山根治氏は、昨年フジとライブドアが和解する直前に、「第三者割り当てに応じたらフジテレビは100~150億円の含み損を出すことになる」と予測している。ドンピシャリ!山根氏のようなプロが見れば、ライブドアのやり口は証券取引法違反のおそれが十二分にあったわけで、ニッポン放送買収の攻防を通してフジテレビがそのことを認識していなかったとは考えられず、むしろフジテレビは、ライブドアの不適法なやり口を承知の上で大株主になったと考えざるを得ないのだ。山根氏の言葉を借りると、この時点で、フジテレビは、ライブドア・ギャンブルファンドの一味になったということなのだ。

有価証券報告書虚偽記載が明確になれば、無条件で損害賠償責任が発生する。堀江氏は、「オン・ザ・エッヂ」をマザーズに上場させる時点から、この違法行為に手を染めていた。ライブドアに取締役を送り出していたフジテレビは、一般投資家に対する損害賠償責任の一旦を担うべき存在にあるのではないか。ライブドアの現有資産の全てを投げ出しても足りない損害賠償に、フジテレビはどうやって応えていくつもりなのだろうか。監理ポストに入ったライブドア株が、上場廃止になるのは時間の問題だ。

ナベツネ氏が、平松新社長にエールを贈る文章を発表したが、まったく筋違いだ。ナベツネ氏は、実態を正確に把握しているのか。現有のライブドアの資産は、偽計・風説の流布・虚偽記載・粉飾決算などの違法行為の結果、投資家から騙し取った言わば「盗品」だ。何よりも、ライブドアは、一般株主に対する損害賠償責任を果たすことを優先しなければならない。出資者であり取締役を送り出していたフジテレビが、その共同責任を負わなければならないことに、日枝氏は気付いていないのか。日枝氏は、自分たちのことしか考えていないから、ライブドア買収というおかしな発想になるのだ。

一方、小泉総理・武部幹事長・竹中大臣の責任も大きい。総選挙での堀江氏に対する彼らの応援ぶりを目の当たりにして、ライブドアは「政府保証」「自民党保証」されていると思い込み、ライブドア株に手を出したデイトレーダーは多い。政府は、その責任をどうやって取るのか。このまま無責任に逃げ切るつもりなのか。一般株主は、政府と自民党に対しても損害賠償請求を起こせば良い。堀江氏逮捕の一報を受けて亀井静香氏が、「7,000億円という、戦後最大の詐欺事件だ。」と言い放ったことは、あまりにも的確な表現であって、その片棒を、なんと、時の政府と政権与党たる自民党がかついでいたということなのだ。

作家の立花隆氏は今夜、「投資事業組合が、闇社会への資金源になっていたかどうかが最大のポイントだ。」と言い切った。今まで公の場で、ここまで明言した識者はいない。さすがである。私たちは、権力による情報操作に惑わされることなく、真実を追究する姿勢を貫かなければならない。ライブドア事件が、闇社会や政治家へと波及していくかのどうかも見守りたいと、立花隆氏は語った。まずは、「堀江ファンド」の上をいく「ファンド」が、次なるターゲット。益々ダーティーな世界だ。

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竹中総務大臣の罪 1月24日

武部幹事長になんか、最初からまったくなんにも期待していないけれど、ライブドア堀江氏逮捕を受けての竹中総務大臣の言動には、しみじみ呆れ返ってしまった・・・。

今日は何度もその映像がVTRで流れていたが、「小泉純一郎とホリエモンと竹中平蔵とがスクラムを組んで、郵政民営化・小泉構造改革をやり遂げます!」と、堀江氏への応援演説で竹中大臣は高らかに宣言している。しかも、当時の竹中氏の立場は、郵政民営化担当大臣兼経済財政政策担当大臣だ。

竹中氏は、自分の応援は政府保証にはあたらないと主張しているが、現職の経済財政政策担当かつ前金融担当大臣が選挙の応援演説にかけつけ、共に構造改革をやり遂げる仲間だと言い切ったことは、株式市場でM&Aを繰り返してきた堀江氏が歩んできた道程、そして堀江氏の人格そのものに、政府が太鼓判を押したことに等しいではないか。明らかに竹中氏は、事実上金融政策に大きな影響力を持つ大臣として、本来ならば堀江氏の悪行をあばき、証券市場の健全化に務めなければならない立場にあった人なのに、だ。しかし実際には、堀江氏は、偽計や風説の流布、虚偽記載に粉飾決算・・・金融のプロであるならば誰でも気が付くような、数字の置き換えをやりたい放題やりまくっていたのだ。

ときの、金融・経済に大きな影響力を持つ大臣が、堀江氏の株式市場における詐欺行為を容認し、選挙では人間・堀江貴文を大絶賛した事実は、看過できるものではない。竹中大臣が政府のお墨付きを与えたことによって、多くの有権者や国民が堀江氏の手法そして人間性を肯定的に判断し、投票もした。総選挙以降、一般の個人投資家も「政府保証」されたライブドア株を買い走り、株価はうなぎのぼり。当の堀江氏も「政府保証」と「自民党保証」を得て、益々大胆不敵に、不適法な取り引きに拍車をかける。よくよく考えてみると、堀江氏逮捕は、竹中大臣の責任問題なのだ。

一般投資家は、詐欺師堀江氏に損害賠償を求めるとともに、政府に対して、誤った情報を国民に与えたとして、損害賠償請求訴訟を起こすべきだ。「自民党の要請で選挙応援に出かけた中の一つにすぎない」と言い逃れをする竹中氏の態度は、まったく白々しく、無責任の極みだ。ヒューザー問題の安倍氏も同様、こんなにも無責任な人たちが次の総理を狙う立場にあるなんて、政界「小泉組」の底の、なんと浅いことか。

たとえ自らに非がなくとも、相手を庇うだけの器量があればたいしたものだ。責任を取ったら、そのぶん株があがるというものだ。ハリボテ小泉総理やバカ丸出しの武部幹事長、坊ちゃん右翼の安倍官房長官に「小泉組」唯一の“学者”竹中総務大臣のいずれもが、責任を回避する言動のオンパレード。聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい酷い。とてもじゃないが、こんな人たち、信頼できません!

今をときめく時代の寵児であっても、正義と良識を持って、たとえ総理や与党幹事長を向こうに回しても、正々堂々と逮捕に踏み切った検察には恐れ入った。かたや、知らぬ存ぜぬを決め込んで逃げまくるハリボテ政治家たち。政権の中枢がこれでは、良い政治が生まれるわけがない。これ以上、人々を落胆させることのないように、ポスト小泉には、真の人格者を選ぶ必要がある。
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ホリエモン逮捕 1月23日

社長の堀江氏に次ぎライブドア株の12.75%を保有する大株主のフジテレビは、さすがにもうこれで勘弁して欲しいと思ったに違いない。今日も売買不成立、80円下げてストップ安の256円で終わったライブドア株は、日を追うごとに時価総額が激減する。100億円を超える含み損は、フジテレビの期末決算に大きな影響を与えるし、日枝会長をはじめ取締役らの責任は、もはや免れる状態ではなくなっている。

今夜の堀江氏逮捕は、東証幹部に大きな安堵感を与えたに違いない。これで東証は、ライブドア株の上場廃止をし易くなる。一刻も早く上場廃止をしないと、株式市場へ悪影響は甚大だ。堀江氏の逮捕を引き延ばせば延ばすほど、ライブドアの時価総額は限りなくゼロに近づいていくだけだった。

株主の大半を占める一般株主は、ライブドアを相手取り損害賠償請求訴訟を起こすべきだ。ポイントは、ライブドアと堀江氏が今、どれくらいの資産を握っているかということだ。フジテレビから巻き上げた、2,000億近い現金の行方は???幾つかの上場株も保有しているのだから、一般株主は泣き寝入りすることなく、ライブドアと堀江氏が持つ資産を1円も逃さず回収して、できる限り損失を補填すればよい。

小泉総理の祖父である小泉又次郎元逓信大臣は、板垣退助の演説にしびれ政治家になるまでは、刺青を入れ、とび職として「小泉組」を名乗っていた。小泉総理の冷酷非情・劇場型のギャンブラー的政治の原点が、そこにある。

小泉大旋風が吹き荒れた昨年の総選挙だったが、解散時の勢いを郵政民営化一本で9月11日の投票日まで維持していくことは、実際問題、官邸にとっても至難の業だった。第一号の小池百合子環境大臣にはじまり次々と送り込まれる刺客たち。投票日までのラストスパート、いよいよ最後の最後の切り札は、今まで選挙とは無縁だったニートやフリーターらを惹きつけられ、話題性抜群の「ホリエモン」に、白羽の矢を立てるしか術がなかった小泉総理だ。既に闇社会とのつながりが取り沙汰され、合法性が疑わしいと賛否両論ある堀江氏の擁立は、まさに「オン・ザ・エッヂ」の際どさだったが、祖父又次郎氏の血を引くバクチ打ちの小泉総理は、小泉劇場の重要な役者として堀江氏を起用したのだ。

堀江氏のような人物を、総選挙の候補者として擁立した小泉総理の見識を疑うし、安倍官房長官や竹中総務大臣、武部幹事長らも、他人事で済まされる問題ではない。ヒューザー問題で明らかになったように、慧光塾・穴吹工務店経由でダイナシティとつながる安倍氏、ライブドアの錬金術を放任した当時金融担当大臣だった竹中氏、堀江氏と実の息子が直結する武部氏、この問題を、避けて通ろうとすればするほど、彼らの株は、下がるのだ。「ホリエモン」に感化された若者は多い。しかしそれは、小泉総理をはじめ唱導した大人の責任だ。小泉総理は、その落とし前をしっかりとつけなければならない。

事態は、堀江氏逮捕で終焉するものではない。拘留中の堀江氏は、意外にペラペラしゃべるのではないだろうか。堀江氏は、宮内取締役ほど強靭な精神の持ち主ではない。偽計・風説の流布・粉飾決算の次は、必ずインサイダー取引きが問題になる。そのとき堀江氏の口から発せられる人物こそ、検察にとって第二のターゲットとなる。
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光通信・グッドウィルとライブドア 1月22日

ライブドアショックの波紋は、世界中に広がっている。堀江氏もさることながら、実は最も責任が重いのは東証だ。売買全面停止という前代未聞の事態を招く東証の無防備が、世界の投資家を困惑させている。株取り引きの最前線を担う要塞のあまりの脆弱さに、世界中の投資家もビックリだろう。金融庁と証券取引等監視委員会の責任も、重大だ。

そもそも、堀江氏率いるライブドアの前身である「オン・ザ・エッヂ」という会社を、マザーズに上場させた東証のチェック機能の甘さがすべての引き金と言える。島根県松江市で会計事務所を開く山根治氏は、氏のブログ「ホリエモンの錬金術」の中で、一連のライブドア事件のすべての根源は、「オン・ザ・エッヂ」を東証マザーズに上場させてしまったことに尽きると語っている。

堀江氏が東大の学生時代に、恋人の父親から調達した600万円を元手に設立した「有限会社オン・ザ・エッヂ」は、翌年「株式会社オン・ザ・エッヂ」に改組され創業わずか4年で東証マザーズに上場する。この上場で投資銀行業務を果たした大和証券SBCM(現在のSMBC)は、上場した「オン・ザ・エッヂ」株にいい加減な公募価格をつけて、会社の評価額をなんと一気に1,440倍に吊り上げている。この時、まったく利益のない言わば架空の会社である「オン・ザ・エッヂ」に、それぞれ4億5千万円と1億5千万円を出資して間髪入れず上場させ、値がつり上がったところで売り切った光通信の重田氏とグッドウィルの折口氏が、どこからも何にも問われない現行の証券取引法は、完全に天下の悪法と言える。

山根治氏の分析によると、「オン・ザ・エッヂ」株はその後の4年間で、上場直前の12分割を含め、なんと36万分割されている。堀江氏のしたたかな錬金術がここにある。株式分割自体は違法行為にあたらないため、堀江氏も宮内氏も「心当たりがない」などと嘯いているのだろうが、法外な分割は誰の目からも、適法の域をはるかに超えている。しかもそれは、偽計と粉飾決算という違法行為そのものとも、セットになっていたのだ。決まって公募増資前後に行われる株式分割は、他ならぬ堀江氏本人に、時価総額上莫大な利益をもたらしている。先日行われたライブドアの臨時株主総会での堀江氏の涙の場面を思い出すが、「株主のためにやってきた」なんて、実は真っ赤な嘘。膨れ上がる時価総額は、堀江氏自身のステイタスであり錬金術そのものだったのだ。

言ってみれば東証は、堀江氏の詐欺の片棒を、今日までかついできたことになる。金融庁と証券取引等監視委員会には、重大な責任がある。2002年からの2年間は、竹中平蔵氏が金融担当大臣だった。小泉総理は、経済のプロを側近に置いたつもりだったのだろうが、竹中金融担当大臣当時から現在に至るまで、日本の証券市場には、包括的に見て適法とは言えない行為が堂々とまかり通っていたのだ。

堀江氏は、指定暴力団のフロント企業を公然と買収したために、国策捜査の対象となったが、「オン・ザ・エッヂ」上場の際の光通信・グッドウィル・大和証券SMBCのように、法の網の目をかいくぐって詐欺まがいの取り引きを行っている企業は、他にも存在する。まったく機能しない金融庁や証券取引等監視委員会のチェック体制を、一刻も早く立て直していくことが必要だ。立法府たる国会の能力の向上が、何よりも優先する。小泉政権の5年間で失われた多くのものを着実に取り戻す、ポスト小泉政権が誕生しなければならないのだ。

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ヒューザー・ホリエモン・BSE 1月21日

米国産輸入牛肉に、除去されているはずのSRMが堂々と混在していたことに対して、米農務長官ジョハンズ氏の弁明は、「あってはならないこと」としながらも、いちパッカーの技術的なミスであることを強調するものだった。出荷元の「アトランティック・ビール・アンド・ラム」社には、農務省の検査官が常駐し、件の牛肉についても輸出承認の署名をしていたことがわかっている。検査官は、日本に輸出できる部位の制限を、明らかに認識していなかったことがうかがえる。従って、見逃しは今回だけとは考えにくく、現に、成田空港では、輸入される牛肉全体の一部をアトランダムに検査しているに過ぎず、発覚した3箱の他にもSRMが混入している牛肉が輸入された可能性は極めて高い。

日本の消費者の望まない米国産牛肉を、小泉政権のごり押しで無理やり輸入再開したというのに、米政府はその経緯を完全に無視していたことになる。米政府には、「食の安全」という概念などなく、業界の利益だけを優先する体質がしみ込んでいるのだ。米国は、完全な「業界政治」の国なのだ。

農務省の検査官に対して、日本向け牛肉の加工方法を周知徹底していなかった責任は米政府にあり、SRMの発覚で、米政府が日本のチェック機能を完全に甘く見ていたことがはっきりした。しかし、これは米国だけの問題ではなく、現実に日本の行政のチェック機能は、こんにち適正に働いているとはとても言い難い状況にある。耐震強度偽装事件にしても、ライブドアの証券取引法違反にしても、法律の不備を突かれた起こるべくして起こった事件であって、欠陥マンションの首謀者たちは「責任の所在は国に在る」と主張する有様なのだ。

ヒューザー小嶋社長は、確認検査機関をチェックできなかった国にその責任を問い、ライブドア堀江社長は過去に、「法律は不備だらけ。うっかりしているとずる賢い人に騙されちゃいますよ」と豪語している。必ず間隙をぬおうとする輩は居るもので、法律の施行に性善説なんてあり得ない。日本の業界寄りでチェックの甘い法律と行政とが、全ての引き金になっていることは否めない。米国は、そんな日本のチェック機能の甘さを見透かして、今回のような大胆な約束違反を犯してきたのだ。

センター試験でも、初めて導入された英語のリスニングテストで、再生用のICプレイヤーの故障が相次ぎ、多くの受験生が戸惑う結果となった。いったい誰が、その責任を負うのだろうか。肝心なところで、行政のチェック機能が、まったく機能しない情けなさ。公務員の甘えと必要悪に働く連帯感はもとより、立法府たる国会の機能低下にも一因があるのではないか・・・。ハリボテ小泉政治のつけが、じわじわと押し寄せて来ているのだ。

ヒューザーもホリエモンもBSEも、すべては、消費者あるいは株主不在でチェックの甘い法律と行政とがもたらした最悪の事態だ。業界寄りではなく、消費者すなわち国民本位の法律と行政へと、それぞれの場面で、進歩発展させていかなければならない。机上の空論ではなく実態に即した議論になるよう、国会の機能向上が、まずは何よりも必要だ。
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米国産牛肉、やっぱり危険! 1月20日追記

ところで、やっぱり、案の定、早くも、輸入米国産牛肉に、SRM(特定危険部位)が混在した!食品安全委員会プリオン専門調査会は、「政府はろくに調査もせず、輸入解禁日が早すぎたのだ。」と、見解を発表した。責任転嫁も甚だしい。輸入再開ありきの答申を出した張本人は、プリオン調査会の吉川座長その人ではないかっ。

唯一の救いは、とりあえずは、安全が確認されるまで、一切の米国産牛肉の輸入停止が決定されたことだ。41箱のうち3箱の牛肉に、背骨がまるごとついていた事態に、さすがの小泉総理も農水省も驚いたに違いない。「アトランティック・ビール・アンド・ラム」という名のパッカーと、取り引きしようとしていた日本企業はどこなのか、政府は速やかに情報開示すべきだ。あんなに尽くしても、米国の対応なんてこんなものだ。小泉総理も、これで少しは目が覚めただろうか。
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代替調剤可能処方箋 1月20日

1月16日の日記に書いたように、処方箋に「ジェネリック医薬品使用可」というチェック欄を設けることに、医師会が反発していた(る)。厚労省も、本体の診療報酬の引き下げについては、絶対に折れることができないため、代替調剤の可否を示す処方箋の義務付けについては、医師会の言い分をのみ、妥協しそうな雰囲気が漂っていた。

ところが、中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会が1月18日付けで取りまとめた、「平成18年度診療報酬改定の基本方針」では、原案通り「ジェネリック医薬品使用可」のチェック欄を設けた新様式の処方箋の使用義務付けが、ほぼ確定した。逆転ホームランだ。

本小委員会から報告された骨子の該当部分の原文は、以下の通り。
Ⅳ 医療費の配分の中で効率化余地があると思われる領域の評価の在り方について見当する視点
7 その他
後発医薬品の使用促進のための環境整備を図る観点から、先発医薬品の銘柄名を記載した処方せんを交付した医師が、後発医薬品に変更して差し支えない旨の意思表示を行いやすくするため、処方せんの様式を変更する方向で検討する。

厚労省担当者によると、本文の趣旨は、原案通り。代替調剤の可否を示すチェック欄を設けた処方箋に変更するということだ。昨年来、厚労省と医師会・歯科医師会・薬剤師会、あるいは支払基金などとの間で、丁々発止の議論が交わされてきたが、絶大なる権力を握っている(た)小泉政権主導のもと、ジェネリック医薬品の普及拡大については、当初案通りの決着を見ることになったのだ。

高齢者医療費の窓口負担率の引き上げや、各自治体の独立採算で新設される高齢者医療保険の導入など、若い世代も含めて全ての国民に更なる負担を強いる厚労省としては、一方で、診療報酬の引き下げは切実な課題であった。就中、薬価の安いジェネリック医薬品の使用拡大は、医療費の抑制を考える上では、厚労省の悲願と言っても過言ではない重要課題なのだ。

何故、医師会は、代替調剤を可能とする処方箋の発行に消極的なのかとの問いに、厚労省の担当者は、「先発品を指定するか後発品を指定するか、更には、複数ある後発品の中でどの医薬品を指定するかは、医師の権限だと、医師会は考えている。」と回答したそうだ。先発品であろうとジェネリック医薬品であろうと、効能・効果は同等であることが証明され、厚労省が承認した医薬品なのだから、そのうちのどの医薬品を使用するかを最終的に選択する権利は、医師ではなく患者にあるはずだ。医師会の主張に、説得力はない。

新様式の処方箋によって、薬価の安いジェネリック医薬品が更に普及するために、施行後も厚労省は、啓発に重点を置くべきだ。医療従事者の社会的責任として、処方する医師はもとより、投薬する薬剤師も、患者利益にプライオリティを置き、効率的な医療費の配分に寄与することで、医療費抑制のための一翼を担う必要がある。

一方、医療費の明細のわかる領収書の発行については、原案通り医療機関の主張を忖度し、義務付けはするものの、一定の経過措置を設けることになった。患者側としては不満足な対応だが、現状の複雑怪奇な診療報酬体系においては仕方のない面もあり、患者さんに理解を求めなければならない点の一つだ。専門家ではない患者さんが見ても明細の内容を理解し易いように、報酬の名称を変更したり、複数の報酬をまとめて簡素化することになりそうだ。

国家予算の半分近い国民医療費の抑制は、避けては通れない必須課題だ。医療に携わる人間は、適正に医療費が配分されるための義務を果たし、必要ならば謙虚に権利を主張していかなければならないのだ。
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