混合診療解禁 12月15日

混合診療解禁問題に対する、一応の結論が出た。厚生労働省が主張していた特定療養費制度の拡充で、まずは手を打ったというところだ。

特定療養費制度を抗がん剤など未承認薬に適用することで、患者にとっては必要十分な利益を得ることができるのに、あえて混合診療を解禁させようとする背景には、オリックスをはじめとする民間保険会社の大きな目論見がある。公的社会保障である健康保険ではカバーできない自由診療部分に、民間保険を参入させようとしているのだ。患者および患者予備軍を、ガン保険など第3分野の民間保険に加入させることが、混合診療解禁の最大の目的なのだ。規制改革・民間開放推進会議が進めようとしていた(る)ことは、保険会社の市場の開拓であって、その餌食になるのは、紛れもなく我々庶民であるということを忘れてはならない。

膨らむ医療費の抑制は、保険診療の縮減で解決するような問題ではない。患者の自己負担は増えても良いという考え方は、まったく国民本位だとは言えない。不必要な検査はしない。余分な薬は処方しない。薬価の低いジェネリック医薬品を有効活用する。徹底的に検査や処方薬の無駄を省き、本当に必要な患者にのみ十分な医療を施していくスマートさが、現在の医療には求められているのだ。そして最も重要なことは、元気を維持し病気にかからない生活習慣を、啓発していくことだ。

今回の特定療養費制度の拡充は、100の医療技術と2,000の医療機関を混合診療の対象としているが、なし崩し的に、風邪で受診しても自由診療ということにならぬよう、しっかりと見守っていかなければいけない。更に、高度先進医療や国内未承認薬が利用しやすくなる反面、患者が医師の実験台と化さぬよう、医療現場のモラルの向上も併せて実現していかなければならない。東京医大は、女子医大に次ぎ、大学病院では2例目の特定機能病院の取り消し措置を受けることとなるが、大病院の白い巨塔的体質の改善も忘れてはならない。

今回の決定が、混合診療の長所だけを伸ばし、国民にとって決して不利益を生まないものになるように、政治は頑張らなければならない。混合診療の全面解禁を求めている小泉総理は、いかにも富裕層の発想をしている。アリのようにせっせと働く我々庶民の立場に立てない政治家の発想は、国民に何の利益ももたらさない。私も薬剤師として働きながら、しっかりと政治を見据えていきたい。
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特定療養費制度と横田めぐみさん12月8日

混合診療全面解禁か否か、厚生労働省と規制改革・民間開放推進会議とのせめぎあいが続いく中、今日、厚生労働省から、一歩、歩み寄る提言が発表された。特定療養費制度の拡充である。多くはガン患者が望んでいる国内での未承認の抗がん剤について、国内での治験から保険適用に至る期間の併用を認めるというものだ。万策尽きたガン患者の主張に、厚生労働省が歩み寄る形となった。

そもそも、規制改革・民間開放推進会議が言う混合診療解禁の本丸は、民間会社の利益の追求とみるべきだ。低所得者層を切り捨てる、明らかに金持ち優遇、所得格差を助長する極めて偏った施策であると考えるべきだ。今回ばかりは、さすがに厚生労働省も、リスクマネジメントもなされぬままの混合診療全面解禁には、もろ手を挙げての推進派にまわるわけにはいかず、国民本位と見るべき主張を繰り返している。特定療養費制度の拡充と事務手続きのスピード化とで、患者は必要十分に恩恵を被ることができる。

小泉総理が“テコ入れ”する規制改革推進会議議長のオリックス宮内氏は、コクドの堤義明氏と同じ轍を踏みはしないか?ナベツネ氏が傷を負い、堤氏が失脚した今、プロ野球新規参入阻止の張本人の1人宮内氏だけが、健在でいられるのか。規制改革推進会議議長であることによって、宮内氏が、私的権益のための規制改革をしようとしているのではないか?我々は、次の一手を見極める眼力をもって、監視の眼を光らせなければならないのだ。

昨日の曽我さん一家の佐渡への帰還は、拉致問題の歴史の1ページを飾る特筆すべきものとなった。家族4人のそれぞれの言葉に聴き入りながら、曽我さんが耐え忍び歩んできた道程に思いをはせ、私でさえも深い感動を覚え胸が震えた。過去があるから未来があるのだ。

そして今日は、横田めぐみさんのものとされる遺骨が、DNA鑑定の結果、別人のものであることが判明した。北朝鮮への経済制裁は、あってしかるべきだ。人間として、まったく信頼に足らない人物を相手に、話し合いによる解決など有り得ない。横田めぐみさんは、必ず生きている。金正日を太らせるだけの経済支援は、もう止めるべきだ。日本は、北朝鮮を除く6ヶ国協議のメンバーに働きかけて、国連安保理の場で、拉致問題解決を強く訴えるべきなのだ。

とうとう、私の職場にも、インフルエンザの患者さんがやって来た。うがいと手洗い励行!これに尽きる。朝から晩までガーグルしていれば、まず罹患の心配はない。お水でOK。明日からみんなで、ガラガラしよう。
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日中関係 混合診療 代替医療 11月23日

自民党の武部幹事長が、小泉総理と胡錦涛国家主席との会談を受けて、小泉総理が今後の靖国参拝を明言しなかったことについて、中国に恩を売ったことになると発言した。この人は、とことん品のない政治家だ。これでは駄目だ。うまくいくものもいかなくなる。

小泉総理は靖国参拝をして、「心ならずも戦場に赴き亡くなられた方への哀悼の誠をささげ、不戦を誓う行為」だと、胡錦涛主席に言った。戦争の犠牲者に思いを寄せるとするならば、中国の犠牲者にも当然、心をはせなければならないはずだ。総理の強がりで、外交を私物化してもらっては困る。第二次大戦という悲劇の代償は、関わった国のすべてが互いに相手国を思いやることによってのみ、つぐない解消されるものだと、私は思う。

和をもって尊しとなし、心のいかり(念)を絶ちおもてのいかり(瞋)を捨てることが、あらためて問われている時代なのではないかと、しみじみ思うのだ。ある時は自ら身を切り、相手を守ることの偉大さを悟るべきなのだと思う。一国の国益ばかりを追求することの愚かさを知り、人類が永遠に平和のうちに繁栄する道のりを描くことのできる政治家が、今求められている。

混合診療解禁問題が、様々な議論を生んでいる。良いことだ。規制改革・民間開放推進会議に、一方的に推し進められたのではかなわない。東大・京大・阪大の附属病院長が、推進会議あてに混合診療解禁を要望したことは、私たち庶民にとっては好ましいものではない。推進会議の委員は、オリックスの宮内氏をはじめ各界のそうそうたる人たちばかりで、いざ入院ということになったら、東大や京大あるいは阪大の附属病院に優先的に入れる身分の人たちばかりなのだから、両者の利害関係の一致は火を見るよりも明らかだ。

医療費の抑制や医療の質の向上の本質は、混合診療解禁により解決される問題ではない。むしろ、特定の病院で特定のお金持ちだけに高度な医療が施されるという、ゆがんだ医療の構図が生まれる源になる。厚生労働省は特定療養費制度の拡充と制度の速やかな運用を決断し、国会議員も患者の立場に立ち、本当の意味での医療の質の向上には何が必要なのかをしっかりと見極め、納得のいく議論を展開していかなければならない。

代替医療についても、忘れてはならない。鍼灸・気功・指圧・免疫療法・アロマセラピー・ビタミン療法・精神心理療法など、西洋医学の範疇にないものの治療効果が、今続々と認められてきている。いずれは代替医療の中からも、混合診療の対象となり保険適用される治療法も出てくるだろう。そういう意味で、混合診療は多くの可能性を秘めている。規制改革・民間開放推進会議が目論んでいるような、所得格差が命の長短を決定してしまいかねない形での混合診療解禁は、絶対に避けなければならない。
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続・混合診療 11月22日

東大・京大・阪大の附属病院院長と日本外科学会が、混合診療を認めるよう、規制改革・民間開放推進会議に要望書を提出した。厚生労働省が薦める特定療養費制度の適用認定には、長期間を要し、医療技術の進歩が遅れがちになる、高度先進医療を施すには混合診療を認め、患者の自己負担を軽減する必要がある、というのがその理由だ。

高所得者層のための最先端医療になりはしないか?患者が最先端医療の実験台にされはしないか?何故、特定療養費制度の適用に時間がかかるのか?すべての医療に混合診療を認めることのリスクに対する備えはできているのか?様々な不安がよぎる。確かに、手術が必要になった時、経験豊富な外科医を希望することは世の常だ。しかしそれは、特定の階層の人たちのみが恩恵を受けることになりがちだ。一流大学の附属病院長と日本外科学会による混合診療解禁を求める要望書は、先端医療に取り組みたい外科医の本音を、感じずにはいられない。

一旦、混合診療が解禁されれば、なし崩し的に自由診療が横行する危険性をはらんでいる。所得の低い庶民は、やすやすと病院の門をくぐりにくくなるのは目に見えている。特定療養費制度の適用が、混合診療解禁よりも困難とは、とても信じられないことだ。厚生労働省は、特定療養費制度の拡大について迅速な対応をとることとし、適用する疾病を具体的にかかげ、外科学会の理解を得る努力が必要だ。

一方、規制改革・民間開放推進会議は、混合診療解禁をはじめ年末の答申に向けた基本方針を明らかにし、その中で、処方箋なしで薬剤師が医薬品を処方できる措置制度を盛り込むことを発表した。薬剤師の権限拡大による医薬分業の推進が目的とされているが、薬剤師の私には、時期尚早としか思えない。

私自身が薬剤師だからあえて自戒の意味をこめて言わせて頂くが、現状では薬剤師の能力の格差は、残念ながら非常に大きい。複数の医薬品が同時に処方される場合、医薬品どうしの相互作用は多種多様だ。それらすべての副作用に目をこらし、少しでも危険があれば、事故を未然に防ぐ為に処方医に疑義紹介する必要性がある。しかし今現在、この疑義紹介が、全処方のたった2%しか行なわれていない実態を見逃してはならない。相互作用の有無を見過ごし、本来照会すべきところをそのままスルーさせてしまっているケースが非常に多いことを、現場で働く薬剤師の1人として隠しておくわけにはいかない。

勿論、私の職場では、非常に厳しい規律でこの点については臨んでおり、良かれ悪しかれ疑義照会の電話が後を絶たないことは、ご報告させていただく。日進月歩の医療についていくのに、不肖私も四苦八苦だ。しかし、そういう努力を怠ったとしても、現在の法律では何のおとがめもないのだから、無理に努力する薬剤師が多くないことは仕方がない。

生涯教育の義務付けもされぬ現状で、薬剤師に権利だけを与えても、良い結果は生まれない。むしろ早期に大きな失敗が起こると、金輪際薬剤師の職権の拡大という話しにはならなくなる危険性さえ感じ、処方箋なしでの薬剤師の調剤は、まだまだ議論の余地があるテーマだと私は思う。

医師だけが特権をにぎる現在の医療のあり方が、決して正しい姿だとは私も思わない。患者本位に考えれば、医師を中心にComedicalすべての人々が対等に医療に従事し、必要十分に意見交換しながらより質の高い医療サービスの提供を目指すことが望ましい。そのためにも、薬剤師1人1人が意識改革を行いスキルアップに努め、職能強化の道を邁進していかなければならない。権利は主張すべきものではない。仕事の結果、当然ついてくるものだという認識でいきたいものだ。
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混合診療 11月16日

混合診療解禁へ向けて、政府の動きがあわただしくなってきた。昨日の経済財政諮問会議では、規制改革民間開放推進会議と足並みをそろえ、厚生労働省と対立する形で、混合診療解禁へ向けて小泉総理の鼻息もあらい。総理は尾辻厚生労働大臣に対して、「混合診療のどこが金持ち優遇なのか?厚生労働省はおかしいのでは?」と言い放った。

海外では一般的に用いられている薬でも、日本では未承認薬の場合、それを使用するにあたっては、現行では保険適用される部分も含めて全額自費扱いとなるため、患者は莫大な医療費を負担することになる。推進会議は、特に生死の瀬戸際に立つガン患者の声を例にあげて、混合診療が解禁になれば、未承認薬は自費であっても、入院費をはじめ本来保険適用される部分はそのままで、医療費の跳ね上がりを少しでも抑制することができる、と説明している。

しかし、小泉総理をはじめ、推進会議が狙う混合診療の本丸は、そんな患者思いの生易しいものでは決してないことは明白だ。混合診療導入により、必ずしも公的保険がなくても医療を受けられる形になれば、次の段階として必ず議論の対象にのぼるのが、公的保険の範囲の縮小だ。具体的に言うと、風邪も歯痛も自由診療になってしまい、庶民がおいそれとは病院を受診できなくなるということだ。最終的には、医療保険がカバーする範囲を縮小することで、膨らむ医療費の抑制につなげていこうとするに決まっている。その点については厚生労働省も色気を見せており、この問題をより複雑にしている。

日本医師会は、混合診療の解禁は、民間の医療保険への加入が必然となり、富裕層しか医療が受けられなくなるとして反対している。日本薬剤師会も、国民皆保険制度の崩壊につながるとして、解禁には反対の立場だ。私の職場でも、患者さんを対象とした署名運動を行なったほどだ。

厚生労働省の主張のように、一部の高度先進医療に限り併用を認める「特定療養費制度」の拡充によって、ガンなど高度な治療が必要な患者の経済的負担の軽減をはかることは可能だ。規制改革民間開放推進会議の見せかけの論理に、まんまと騙されてはいけない。

先日、株式会社の学校経営の是非を議論する同推進会議の教育研究部会で、株式会社の学校経営に慎重論の居酒屋「和民」チェーン社長で学校法人郁文館学園の理事長も務める渡辺美樹氏が、推進会議の委員をはずされていたことが発覚した。NPO法人の学校経営には賛成したが、株式会社には慎重論を述べた渡辺氏に対して、内閣府規制改革・民間開放推進室長は、考えを変えるか委員を辞退するかどちらかを選んで欲しいと言ったそうだ。「年内に答申をまとめるには、あえて反対派の委員を入れる必要はない。」と、同室長は言い放っている。

ことほどさように、この規制改革推進会議なるものは、参考意見を傾聴する会議の場などではなく、最初から結論ありきの場になっているということなのである。混合診療導入の是非についても、患者の立場で議論する委員が、果たしてどれほど居るだろうか?議長は、あの、オリックスの宮内氏だ。

混合診療が認められるメリットの一方で、自由診療が青天井になれば、庶民は自由に医療の恩恵を被ることが困難になる。今現在でも、高額を理由にインフルエンザの予防接種を受けられない私には、混合診療の導入が庶民を助けるものになるとは、とても思えない。保険診療の拡充と併せて高度先進医療などにおける混合診療の拡充が、改革の方向だと私は思う。諦めず、国会に働きかけていきたい。
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