黒幕は「政商」宮内義彦氏 6月24日

読売新聞の記事によると、村上世彰氏と福井日銀総裁とオリックス宮内会長との3人は、明白なインサイダー取引の仲間だったことがわかる。通産官僚だった村上氏がファンドを立ち上げる際、曰く「会社の作り方も知らなかった」村上氏に、宮内氏はオリックスの休眠会社を提供したという。宮内氏は勿論、中核の「アクティビスト投資事業組合」を運営する会社に45%の出資をし、更にファンドそのものにも、3億円の資金提供を行っていた。

「アクティビスト投資事業組合」は、結局のところ医療事務関係の投資が中心で、それは、宮内氏が政府の規制改革・民間開放推進会議議長として、株式会社の病院経営や混合診療解禁の旗振りに熱心だったことと、当然相関する。推進会議の議長として、規制緩和に邁進する宮内氏はまさに小泉改革の旗手だったのだ。しかし、一方では、霞ヶ関の官僚からは、「規制改革で秩序を壊し、自分のビジネスに結び付けている」と揶揄されていたことも確かであり、マネーゲームを仕掛ける村上・宮内ラインは、明らかにインサイダー取引きそのものの関係にあったことは否定し難い事実なのだ。村上氏が最初に勝負に挑んだ「昭栄」へのTOBの際、140億円もの資金提供を約束していたのは、他ならぬ宮内氏なのだ。

村上世彰氏は通産省に在籍したまま富士通に出向し、富士通総研の枠組み作りにあたり、直後に富士通総研理事長に就いた福井氏と、ただならぬ関係に発展したことは今では想像に難くない。村上ファンドのアドバイザリーボードの任にあった福井氏は、投資を呼びかける村上ファンドの小冊子に「元日銀副総裁」の肩書きで、堂々と実名入りで登場する。村上氏とこれほど密接な関係にあった福井氏が、今更、総裁就任後の対応が「不適切」だったと釈明しても、微塵も説得力はないのだ。

総裁辞任以外に、福井氏が中央銀行総裁としての職責を、真に全うする道はない。このまま村上氏との関係の真実を隠蔽し、総裁を継続し続けても、福井氏の日銀総裁としての言動は、何の説得力も持たないのだ。今日の野党4党首会談でも一致したように、速やかな退陣が福井氏には求められる。日銀総裁という地位は、少しの不信も許されない立場なのだ。毎年3700万円もの給料をもらっている福井氏が、給与の3割をカットしても一般国民の納得など到底得られるはずがないのだ。

前経団連会長の奥田氏は、ライブドア前社長堀江氏の経団連への入会を後押しした1人だ。宮内氏も奥田氏も、政界への影響力は絶大だった。特に、宮内氏は推進会議議長の立場を巧みに利用して、露骨に事業を拡大し続けた。宮内氏こそ、現代の「政商」そのものなのだ。村上氏の次に罰を受けなければならないのは、宮内義彦その人だ。「額に汗する人々が報われる社会でなければならない」との東京地検特捜部長の言葉は、宮内氏の摘発で完結する。「政商」オリックス宮内義彦氏の摘発で、まやかし誤魔化しの小泉改革の化けの皮を、一気にはがさなければならないのだ。
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