築地魚河岸は、食文化の神髄

2016年11月のオープン以来、「築地魚河岸」にちょくちょく買い出しに出かけるようになった。いっかいの素人には、場内での買い物はとても敷居が高いのだが、ここ「築地魚河岸」は、場内と同じお魚を、つまり全国各地から築地市場に運び込まれた新鮮ピチピチのお魚を、時間差なしに自宅用に少量から入手できる。

「築地魚河岸」はそもそもは、築地市場が豊洲に移転してしまうと料理人の買い出しが不便になるので、築地に仲卸機能を残すため、中央区がつくった市場なのだが、付近に住む人々にとっても、安くてうまい新鮮なお魚を日常的に入手することができる、魅力的な市場となっている。

従来のいわゆる「場外」から流れて来る外国人観光客も多く、彼らの殆どは買い物などしないが、そこは築地魚河岸のキップの良さで、写メもOKなら、買わないとわかっていても、質問には丁寧に答えている。

日々、観光客でごったがえす築地魚河岸だが、一度ここで買うと、魚はここでしか買えなくなる。それほど、ここ「築地魚河岸」仲卸の人々の仕事っぷりは、買い物客にとって、魅力的で丁寧だ。

切り身は1枚から買える。
買い物客の希望通り、さばいてくれる。
店頭に並んでいなくても、裏から持ってきてくれる。
店になくても、なんとか手に入らないか努力してくれる。
料理の仕方をたずねたら、優しく教えてくれる。

これらは、サービスといえばそれまでだが、築地魚河岸にあるのはこれだけではない。
築地仲卸、至上の特徴は、「目利き」である。
築地魚河岸の店頭に並ぶのは、彼らが自信を持って提供する、鮮度抜群の魚介類だ。
もちろん、味は、言うまでもなく、天下一品!

私は、その時々、店頭に並ぶ魚介類に、目と心と舌を奪われる。
買い物客は、いつしか、築地仲卸の目利きに、全幅の信頼を置く。
考えてみれば、仲卸の目利きが品質を支え、仲卸の目利きが、今日の日本の食文化を作ってきたのだ。

翻って、豊洲市場の構造を見れば、仲卸の仕事環境は明らかに軽視されている。
いずれ仲卸の存在が否定され、流通機能としてのみ市場が存在することとなれば、日本の食文化が衰退するのは、火を見るより明らかではないか。

食文化の殿堂「築地市場」は、日本の宝であるはずだ。
築地仲卸の「目利き」の価値がわからない人々は、未来への想像力が欠如している人々だ。
日本の食文化の発展のためにも、築地仲卸の目利きの技を、後世につないでいかなければならない。

青酸カリのシアン化応物や高濃度のベンゼンが混じる土壌汚染指定区域の上に建つ、使い勝手の悪い無味乾燥な構造の豊洲市場は、食文化の殿堂として全く不適格だ。液状化対策の想定震度は震度5程度で、全く不十分な想定だ。いざ大震災となれば、市場機能は停止する。
こんな豊洲市場への移転を声高に言う人々の識見と品性を、あらためて疑う。

さて今日の夕食は、仲卸の方が丁寧にさばいてくれた島根産のアジで、アジフライをつくろう!!
そして、築地魚河岸にある青果店で買った瀬戸内レモンを、たっぷりしぼって、食べよう!!


 

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