新型インフルエンザ等対策特別措置法成立 ~参考人質疑と法案審査で質問~

4月27日(金)参議院本会議で新型インフルエンザ等対策特別措置法が賛成多数(衆院で賛成の自民党は欠席。賛成138反対9)で可決成立しました。私は昨年11月に内閣委員会所属となって以来、民主党内閣部門でこの法案担当となり、呼吸器内科の専門医の意見を伺い、勉強レクも重ね、最終審査の質問に臨みました。

この法案にはいろいろな批判もありますが、私は日本社会にとって、重要かつ必要な法案だと思っています。私のこの法案に対する基本的な姿勢は、4月12日の参考人質疑での私の質問の冒頭で述べました。

会議録の該当部分引用)                                                                                                                   今回のこの特措法について、私は2009年のH1N1、そして2010年に発生いたしました宮崎口蹄疫、さらには昨年2011年の大震災・原発事故等、我が国の経験、体験の反省と教訓を踏まえて作られた法案であるというふうに理解をしております。また、そうでなければならないというふうに考えております。

ところが、この特に2009年のH1N1について、4月4日の参議院の予算委員会におきまして、当時の厚生労働大臣、舛添要一先生が、この法案は2009年の教訓を十分に生かしてはいないのではないか、また法案作成の段階での議論が不足しているのではないか、万機公論に決すべしと発言をされました。

私は、この舛添先生のご意見も踏まえて、法案成立後に策定される政令、あるいは政府・都道府県・市区町村が策定する行動計画、また各種ガイドラインにおいて、これらの策定作業の中で現場の意見、また批判者の意見、さらに関係団体の意見をよく聞いて、取り入れるべきものは取り入れていかなければならないというふうに考えております。(引用終)

本法案については3月22日の内閣委員会一般質疑でも触れ、4月12日の参考人質疑での質問を経て、4月17日、法案審査の為の質問を50分間行いました。その要点を以下に示します。

1.法案の基本的な考え方。本法案は2009年新型インフルエンザパンデミック、2010年宮崎口蹄疫、2011年東日本大震災・福島原発事故の我が国の危機管理上の反省や教訓を踏まえて作られた法案であると理解してよいか。(中川大臣)

2.2009年H1N1の反省・教訓は具体的にどのように法案に反映されたのか。(後藤副大臣)

3.成立後1年以内に施行される本法案の政令・政府行動計画・都道府県行動計画・市区町村行動計画、各種ガイドライン等が、法案成立後、どのような手順・スケジュールで策定されていくのか。(園田政務官)

4.今後、政令・各種行動計画・各種ガイドライン等を策定するに際し、現場の意見、批判者の意見、関係団体等の意見をよく聴いて、取り入れるべきものはきちんと取り入れるべきではないか。(中川大臣)

5.現場・批判者・関係団体・専門家等の意見を聴く方法として、IT・テレビ会議を行う等、尾身・川本参考人の提言をとりいれるべきではないか。(内閣官房田河対策室長)

6.対策の事前対応として、国立感染研・田代先生の提言「野鳥・家禽・豚の事前監視体制、特に豚のサーベイランスの重要性について問う。(中川大臣)

7.農水省は2010年宮崎口蹄疫について、どのような反省・総括をしているのか。(農水省高橋消費・安全局長)

8.農水省の豚サーベイランスの重要性への認識を問う。(農水省高橋消費・安全局長)

9.農水省の豚サーベイランスは現在どのように行われているのか。今後の取組みはどうするのか。(農水省高橋消費・安全局長)

10.     厚労省の豚サーベイランスはどのように行われているのか。47都道府県全てで行うつもりはあるのか。(厚労省外山健康局長)

11.     農水省は、厚労省のと畜場での検査でウイルスが発見された場合、発生農場をすぐに特定できるのか。今後、農場でのサーベイランスの拡大・強化に取組むか。(農水省高橋消費・安全局長)

12.     文科省は、田代先生が強く希望する大学の獣医学の研究室の参加について、どう答えるのか。(文科省森本大臣官房審議官)

13.     中川大臣は、リーダーシップを発揮して、豚のサーベイランスを行動計画の中にしっかりと盛込み、農水省・厚労省・環境省・文科省等の連携を密にしてほしい。(中川大臣)

14.     海外で新型インフルが発生した場合、日本は速やかにウイルス株を入手できる体制にあるか。(厚労省外山健康局長)

15.     野生株を直接国内に持ち込むやり方とリスク管理について。(厚労省外山健康局長)

16.     パンデミックワクチン生産・供給体制について、プレフィルドシリンジ製剤、1mlバイアル、10mlバイアル等も含めて説明を求める。(厚労省外山健康局長)

17.     児童・生徒・園児に対するワクチン接種は、どこで行うのか。(厚労省外山健康局長)

18.     漢方製剤・麻黄湯の新型インフルエンザに対する有用性について。(厚労省健康局長)

19.     新型インフルエンザ対策のガイドラインの中に麻黄湯を明記すべきではないか。また、タミフルやリレンザと同様に麻黄湯を備蓄すべきではないか。(厚労省外山健康局長)

20.     新型インフルエンザ対策の初動体制について。事務方の司令塔は内閣危機管理監か。(内閣官房田河対策室長)

21.     新型インフルエンザ対策の専門家チームは、いつどのように作るのか。(中川大臣)

22.     東大・河岡教授チームのH5N1論文公開差止め経緯について問う。(内閣府吉川大臣官房審議官)

23.     「デュアルユース」研究悪用のリスクについて問う。(内閣府吉川大臣官房審議官)

24.     この法案はバイオテロや研究施設等からのウイルス漏洩事故にも対応できるのか。(中川大臣)

以上

今後1年以内に、政令が策定されて法案は施行されます。また、政府行動計画・各種ガイドラインが策定され、その後、都道府県・市区町村の行動計画が策定されます。私はそのあらゆる過程で、現場・批判者・関係団体・専門家等の意見が十分に反映されるよう、責任を持って対応していきたいと思います。

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麻黄湯:新型インフルエンザ感染初期に効果大

ウイルス増殖初期に細胞への吸着と侵入・脱殻を阻害し、感染中期にRNAとタンパク合成を阻害する麻黄湯は、その作用機序からいってもインフルエンザウイルス感染初期の段階に投与すると、非常に有効に作用する可能性があるといえます。

ウイルス感染後期、細胞内部で増殖したウイルスが細胞外に放出されるのを阻害するタミフルやリレンザは、体内でウイルスが増殖してから作用する薬なので、インフルエンザ様症状があっても検査キットに反応しない初期の段階では、むしろ麻黄湯の効果のほうが期待できます。

健常人なら、まずは麻黄湯で様子を見、持病のあるハイリスク患者に対しては、麻黄湯と抗インフルエンザ薬とを併用することで重症化を回避できる可能性が非常に高まるのではないでしょうか。

禁忌または慎重投与を要する場合を除き、インフルエンザ様症状のある人が、ひとまず街かど薬局で麻黄湯を買って服用することは、セルフメディケーションの観点からいってももっともな判断ではないかと思います。

インフルエンザ簡易検査キットは、初期の段階であればあるほど感度が鈍く、亡くなった横浜の12歳の男児の場合、39度台の発熱で受診した日から数えて9日目でやっと陽性反応が出たとされています。この男児は気管支喘息の既往歴があったとされていますので併用注意の常用薬があったかもしれませんが、そうでなかったならば初診の段階で麻黄湯が投与されていたら、重症化は避けられ男児は今頃元気に学校に通っていたかもしれません。

タミフルやリレンザは、異常行動やおかしな夢をみるなどの精神神経症状の副作用が常に心配されます。2005年時点で世界の75%を占め、小児については同2位の米国の13倍も使っている日本のタミフル使用量は異常といえ、厚労省のタミフル・リレンザ一辺倒の対策は、どう考えても国民利益にとってバランスを欠いているものとしか思えません。(現在は、世界のタミフル使用量の30%を日本が占めているとされていますが、それでもダントツ世界一の使用量です。)

タミフルの備蓄量や使用量が日本に比べると極端に少ない韓国では、新型インフルエンザによる死亡例は18日現在で2人です(日本は17人)。常用食であるキムチが免疫力を強化しているともいわれています。また、中国では、漢方薬・板藍根(バンランコン)をのどスプレーやお茶として常用し、高い予防効果を上げています。

漢方医療が盛んな中国・韓国に新型インフルエンザによる死者が少ない理由は、タミフルやリレンザを日本のように過信していないからではないかと私は思います。

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「新型インフルエンザ」麻黄湯の使用も:花輪壽彦先生

2009.9.13日経新聞に掲載された花輪壽彦先生の文章を紹介します。

(記事)
Q.40歳男性。新型インフルエンザが秋以降、さらに流行するといわれています。ワクチンも足りない見通しで、抗ウイルス薬も不足するのではと心配です。漢方医はどのように対応するつもりなのですか。

A.元来、漢方医療の聖典として尊重されている「傷寒論(しょうかんろん)」という書物は腸チフスや悪性インフルエンザを対象にした治療書です。

さむけがひどく、発熱し、汗のない段階で、頭痛や関節痛が強ければ麻黄湯(まおうとう)を服用します。麻黄湯の構成生薬は麻黄、桂皮(けいひ)、杏仁(きょうにん)、甘草(かんぞう)です。

麻黄は感染から約1時間のウイルス増殖初期、細胞への吸着と侵入、脱殻(だっかく)を阻害します。桂皮は感染後数時間の中期、RNA(リボ核酸)とたんぱく合成を阻害します。

ちなみに抗ウイルス薬「タミフル」は感染後期、細胞内部で増殖したウイルスを細胞外に放出する部位を阻害するように働きます。

麻黄湯は従来のインフルエンザに対して抗インフルエンザ薬と同等の効果が期待できます。新型に対しても、症状や体質、体力に応じて漢方薬を上手に活用し、ワクチンや抗インフルエンザ薬と併用して対応すべきだと考えます。

(北里大学東洋医学総合研究所所長 花輪 壽彦)
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麻黄湯に注目!新型インフルエンザと脳内出血:タミフル・リレンザは絶対か?

国内で、新型インフルエンザ感染者が脳出血を起こし死亡するケースが2例続きました。

横浜市内の12歳の男児の場合、9月2日午前の初診時、39℃の発熱・嘔吐を訴えていますが簡易検査ではインフルエンザ陰性と診断され、いったん帰宅しています。しかし喘息の症状があったため、別の病院を受診するも、そこでも症状が落ち着いたとして帰宅しています。翌日いよいよ意識がもうろうとしてきたため再受診し入院しましたが、その時点でも簡易検査ではインフルエンザは陰性でした(9月3日)。

その後の9月10日(木)、A型インフルエンザ抗体価(H1N1)高値の結果を得、9月11日(金)午後、病院は保健所に報告、9月14日、遺伝子検査の結果、新型インフルエンザであることが判明しましたが、治療の甲斐なく9月17日夕刻、亡くなりました。9月3日から10日までの経過は発表されていません。

最初の検査でインフルエンザであることがわかっていたら、違った予後をたどっていたかもしれず、キットの感度に重大な問題があることは明らかで、使用したキットを公表することは必要だと思います。

沖縄の24歳の女性の場合、8月26日、38.8℃の発熱のため受診したところ、A型インフルエンザと診断され抗インフルエンザ薬リレンザを投与されました。しかし5日後の8月31日、呼吸困難に陥り再度受診したところウイルス性肺炎と診断され、転院先の病院の集中治療室で治療を受けていましたが、9月9日にクモ膜下出血を併発し、9月15日午前、亡くなりました。

この女性に特に持病はなく、カプセルが苦手だったために吸入薬であるリレンザを投与され、自宅療養していたそうです。

情報が極めて限定的なので、私たちには正しい判断を下すことはできません。しかし、単純に思うことは、まず12歳の男児の場合、最初の39℃の発熱から亡くなるまでの間16日間もあったわけで、その間いったい何をやっていたのか???ということです。また24歳の女性の場合、リレンザを投与され呼吸困難に陥っているということと、呼吸困難に陥る前になんとか対応できなかったのかということです。

この2つの症例を受けて、厚労省は、簡易検査で陰性であっても抗インフルエンザ薬(タミフル・リレンザ)を投与しても良いという通達を出しました。しかし、このようなタミフル・リレンザ一辺倒の対応で、本当に良いのでしょうか?12歳の男児がタミフルを投与されたかどうかは定かではありませんが、24歳の女性はリレンザを投与され結果的に死亡しています。これまでさんざん自治体に備蓄させたタミフルとリレンザの処方を推奨しなければ格好がつかないからという厚労省の本音が透けて見えるのは、私だけではないと思います。

何故、厚労省は、麻黄湯という漢方薬でインフルエンザが治った症例を紹介しないのでしょうか。ケースによってはむしろ初期の段階で有効な麻黄湯を使用したほうが予後良好な場合があるにもかかわらず、厚労省はまったく麻黄湯などの漢方薬に関しては見向きもせず、症例について報道発表をしていません。そのような厚労省の漢方無視の対応が、患者(国民)に不利益を与えているともいえるのです。

漢方薬は特に免疫力を向上させる観点から予防的な効果も期待できます。勿論、麻黄湯が絶対ではないけれど、タミフル・リレンザもその点では同様です。厚労省は全国の事例を収集して、広く国民に対して、インフルエンザの治療薬あるいは予防薬として、麻黄湯などの漢方薬という選択肢を広報すべきだと思います。

一方、今月8日、米国保健社会福祉省所管の疾病予防管理センターは、健常人が新型インフルエンザに感染した場合、抗ウイルス薬は必要なく、自宅療養で回復するとの指針を発表したことも付け加えておきます。
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麻黄湯と新型インフルエンザ

10月16日(日)の日経新聞16面(地域により異なるかもしれません)の「漢方なんでも道場」をご覧ください。→記事(日経新聞)

 北里大学東洋医学研究所所長・花輪壽彦先生が読者の質問に毎週お答えになられるコーナーですが、今週は新型インフルエンザに対する漢方薬の効能について書かれています。

セルフメディケーションの観点からも漢方薬を上手に活用して、新型インフルエンザのリスクを少しでも回避してください。

参考記事(はたともこブログ)

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タミフル不要:健常人の新型インフルエンザ

米国保健社会福祉省所管の疾病予防管理センターは、8日、健常人が新型インフルエンザに感染した場合、抗ウイルス薬は必要なく、自宅休養で回復するとの指針を発表しました。

米国が公式に発表したことで、日本でのタミフルやリレンザのやみくもな備蓄に、歯止めがかかることを期待します。

抗インフルエンザ薬の不足と過剰投与による耐性が理由として挙げられていますが、そもそも、健常人が風邪やインフルエンザに感染した場合は、ポカリなどのイオン飲料で水分をしっかり摂って、家で寝ているに限ります。

健康を医師に丸投げしない!

日頃から、自身の健康管理に責任を持つことが重要です。

記事(読売新聞)CDCCDC(Google日本語訳)

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最前線の保健師が、タミフル服用後死亡!?

北海道の40歳代の保健師が、新型インフルエンザに罹患し、タミフル服用後、亡くなりました(死因は急性心不全)。

この方は、医療機関でタミフルを処方された後、ホテルに宿泊されました。翌日、ホテルの従業員が意識のないこの女性を発見し、医師により死亡が確認されました。

この女性には、高血圧症の基礎疾患があったということです。

女性が処方されたタミフルを服用した可能性は極めて高いと思いますが、この事例からもわかるように、タミフルを安易に考えてはいけません。

タミフルの添付文書(いわゆる取扱説明書)には、呼吸困難などのショック症状のほか、様々な副作用の起こる可能性が明記されています。新型インフルエンザへのタミフル投与の安全性は、季節型のインフルエンザのそれと、現段階では有意差が認められず議論の対象になっていませんが、やはりタミフル一辺倒の治療方法には問題があると言わざるをえないのではないでしょうか。

前にも紹介しましたが、漢方薬にも新型インフルエンザに有効なものがあります。この女性のような高血圧症の方は、服用に際しては注意が必要ですが、麻黄湯という漢方薬は、タミフルと同等の効果が報告されています。

厚労省は、新型インフエンザ=タミフル(リレンザ)と決めつけることを一刻も早く止めて、他の治療法があることを広く一般に知らしめる責任があると思います。

記事(医療介護CBニュース)

記事(北海道新聞)

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麻黄湯の活用を!!:新型インフルエンザ、ワクチンはトップ・プライオリティか!?

新型インフルエンザワクチンは、新型インフルエンザにしか効果はありません。従って、季節型のインフルエンザ、あるいは一般的なカゼなどに対しては、なんの効果もありません。それどころか、むしろ、新型インフルエンザ以外の感染症にかかった場合、症状が悪化する恐れがあることを否定できません。

ワクチンは、予防といえども病原体であり、投与すれば生体内で免疫反応がおこります。もし季節型のインフルエンザが流行してしまったら、新型インフルエンザワクチンを接種したことによって、季節型のインフルエンザウイルスに打ち勝つだけの免疫力がなくなる場合があるのです。一般的なカゼに罹患してしまった場合も同様です。

従って、特に体力の弱い人は、新型インフルエンザワクチンを接種したために、季節型のインフルエンザや一般的なカゼが重症化しやすくなるのです。厚労省は、限られた新型インフルエンザワクチンを誰から接種していくのかその順番を検討し、日本では未承認の外国産ワクチンを輸入しようとしていますが、それが最も重要なとるべき手段であるのかどうか、また正しい方策といえるのかどうか、こうしてみると非常に疑問です。

新型インフルエンザだけが流行すると決まっていればそれで良いのですが、他に何が流行するのかわからない段階で、新型インフルエンザワクチン接種が万能であるかのように対応する厚労省の姿勢は間違っていますし、体力の弱い人に新型インフルエンザワクチンを接種する場合のリスクについて、適切なインフォメーションがなされないことも大きな問題だと思います。

そもそも健常人の場合は、新型インフルエンザや季節型のインフルエンザあるいはカゼなどにかかった時の最も効果的な対策は、家でじっとしていることです。発熱は生体防御反応のひとつであり、タミフルなどを使用して無理に解熱することは好ましくありません。厚労省は、インフルエンザに解熱剤は投与しないことと通達していますが、一方でタミフルやリレンザの使用をあおっていることも事実です。製薬会社への利益誘導ととられても、仕方がありません。

新型インフルエンザによる生活への影響を最小限に抑えるためには、電車の中など人ごみでのマスクの着用と清潔を徹底することです。そしてもし罹患してしまったら、健常人の場合は家でじっと寝ているのが、あらゆる面で得策です。

どうしても薬に頼りたければ、体質に合わせて体調を整える漢方薬を活用することが患者利益に資する確率が高いと思います。麻黄湯という漢方薬は、タミフルと同等の効果があることがわかっています。経過によっては馴染み深い葛根湯や、免疫力を高める効果のある漢方薬が、新型インフルエンザに有効です。

勿論、免疫力を高める漢方薬は、予防薬としても極めて優秀です。リスクの高いワクチンを接種するよりも、漢方薬をうまく利用することのほうが、体に優しくまたコスト面でも賢い選択といえるのではないでしょうか。例えば麻黄湯は、タミフルの1/10以下の薬価ですみます。ただし、漢方薬にも副作用があり、高血圧症など循環器疾患を持つ人や甲状腺機能に異常のある人などには麻黄湯は不適切です。漢方薬の多剤併用による過剰投与にも注意が必要です。

厚労省は、エビデンスが希薄だとして漢方薬を「医薬品」として認めようとしない傾向があります。しかし、それこそがエビデンスのない、まったく間違った認識です。漢方は、病巣だけを診るのではなく、患者さんのおかれた環境や食生活など生活全般に目をやり、崩れたバランスを元に戻し体調を整えようとする医療です。じゃぶじゃぶ水をかけて消火するのが西洋医学なら、火元を特定しコップ一杯の水で消火するのが漢方だと、日本薬科大学・丁宗鐵先生(医師)はおっしゃっています。漢方は、「病気」を治すのではなく「病人」を治す医療なのです。

民主党政権には、新型インフルエンザ対策の再考が求められます。厚労省が漢方医学者の意見にも傾聴するよう、公正中立な立場でコーディネートすべきだと思います。国民を翻弄させることのない正しい情報を適切に発信することは勿論のこと、製薬会社への利益誘導を第一義にしない国民の生活を第一に考える厚生行政へと転換していくことは、民主党に与えられた使命です。

そして更に、これまでの西洋医学一辺倒だった医療を再編成して、北里大学東洋医学研究所所長・花輪壽彦先生(医師)も提唱されているように、西洋医学と漢方とが併用する新しい日本型医療を推進していくことが必要です。特に、漢方の特性を生かし未病の段階で病気をブロックしていくことは、国民の健康を守る上でもまた医療費を抑制する上でも非常に重要なポイントになると思います。

健康を医師に丸投げしない。すなわち、街かど薬局の漢方薬なども活用したセルフメディケーションの在り方に注目し、その充実強化を図ることが、これからの日本の医療のグランドデザインの中核になるべきではないかと思います。街かど薬局の薬剤師や地域の保健師が地域住民のプライマリーケアを強力にバックアップして、国民ひとりひとりが自分の健康に責任を持ち、自己コントロールできる環境を整えていくことこそが、崩壊した医療を再建するための最重要課題であると、私は考えています。
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新型インフルエンザ:「タミフル」備蓄の真の目的

新型インフルエンザの世界的大流行に備えることは、政府の責任です。しかし、いたずらに国民の不安をあおり、実際には不必要(無意味)な対策を国民に強いることは、国民に対する国家の重大な裏切り行為です。政府が打ち出している新型インフルエンザ・パンデミックへの対応の中で、どうしても私が納得できないのが、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」の備蓄についてです。

世界各地で続発する鳥インフルエンザウイルス(H5N1)が人に感染後、変異を繰り返し、大流行が予想されるのが、「新型インフルエンザ」です。しかし、政府が備蓄を強く推奨・推進する抗インフルエンザウイルス薬2剤のうち特に「タミフル」は、現実にはH5N1型鳥インフルエンザウイルスの人への感染症例に効果をあげておらず、ましてや新型インフルエンザに対して有効であるという保証はまったくないのです。にもかかわらず政府は、地方自治体にも、声高に「タミフル」の備蓄を呼びかけています。不思議でなりません。

現段階で政府および地方自治体が備蓄する「タミフル」の総量は、2,800万人分とされています。総人口から考えても、極めて中途半端な備蓄量です。備蓄の主眼がどこにあるのか、理解できない数字です。「タミフル」は1人5日間投与が基本ですから、薬価を基準に計算すると、2,800万人分で1,086億円というコストがかかっています。これは、「タミフル」の販売元である中外製薬の、半年の売上高(平成20年6月中間期)の約8割に相当します。

周知のように、「タミフル」は中外製薬の親会社であるスイスのロッシュが製造していますが、元々の開発会社であり特許を持つのは米国のギリアド社です。ギリアド社の役員であったラムズフェルト元国防長官ら政治家のインサイダーはいまや明白で、「タミフル」の世界の売上の8割を買い占める日本政府が、年次改革要望書とはいかないまでもその筋のなんらかの圧力を受けているであろうことは、今更言うまでもありません。勿論「タミフル」に絡んだ、厚労省の役人の天下り、即ち官業癒着の構図も、この期に及び否定する理由がありません。

更に言えば、ロッシュ本社のあるスイス・ジュネーブに本部を置く、かのWHOが、新型インフルエンザ対策として「タミフル」の備蓄推奨を勧告している事実は、世界の保健衛生が、政治家の利害によって左右されている実態を、如実に物語っています。WHOは、ご丁寧にも、発展途上国に対しては「タミフル」のジェネッリク薬を勧める念の入れようです。

厚労省は、「タミフル」服用により子どもの飛び降りなどの異常行動が相次いで報告された問題について、先月7月10日、「タミフルと異常行動との関連は検出できなかった」と最終報告を出しました。ところがその喉元もすぎぬ今月5日、調査のデータ処理にミスが見つかったとし、調査結果を再検討すると発表しました。合わせて、「調査結果への影響は大きくないと考えられるが、科学的議論に万全を尽くすため、影響がないかを確認する」と付言しているのですから、わざとらしく不自然なポーズとしか言いようがありません。

発病直後ではなく、症状に差のでない発病後2日~7日までのデータを繁用し、異常行動の発生頻度を薄めた経緯のある厚労省の調査を、今更信用しろというほうが無理ですし、異常行動の6倍以上の頻度で発生する「タミフル」服用後の突然死について一切触れない厚労省の対応にも、疑問が残ります。

「タミフル」と異常行動との因果関係について最終的な結論を出す安全対策調査会の開催は、9月以降に延期されましたが、私には、最初に結論ありき、すなわち「異常行動とタミフルとは因果関係なし」、「タミフル」の備蓄に太鼓判を押そうとする厚労省の魂胆が丸見えで、不適切極まりないと思えてならないのです。一方で、東大教授を含む製薬会社とは一線を画し中立あるいは患者の立場に立つ専門医らは、異常行動や突然死は「タミフル」が引き起こした症状と考えるのが妥当と判断しています。自然な判断というものです。リスクコントロールとは、本来そういうものでなければなりません。

そもそも抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」は、インフルエンザ感染後48時間以内に服用した場合、発熱期間が1~2日短縮されるという程度の作用しかありません。「タミフル」は、第三者への感染を防ぐものでもなければ、パンデミックを抑える薬剤でもないのです。万が一新型インフルエンザに感染してしまったら、外出せず安静に寝ていることが一番の対策なのです。むしろ政府が備蓄を推奨すべきは、検討ハズレの「タミフル」などではなく、ウイルスを防御するためのマスクや手袋であってしかるべきです。

新型インフルエンザ・パンデミックに対する国家戦略の大きな柱が、明らかに官業癒着にプライオリティをおいた「タミフル」の備蓄であることは、まさに国民不在の厚生労働行政の、典型的な事例です。いざというその時、「タミフル」は無用の長物です。地方自治体が競い合って「タミフル」を備蓄する様は、中外製薬やロッシュ、天下りする役人、そしてギリアド社やその関係者に、どれほど滑稽にうつっていることでしょう。

パンデミックが予想(想像)される新型インフルエンザに対して、厚労省は正しい施策を講じなければなりません。去る8月4日、東京都内の病院では、医療関係者に対するプレパンデミックワクチンの接種が始まりました。万が一、大流行したとき、ドンピシャリの効果を保証するものではありませんが、現状で為し得る最善の策です。政府は今年度内に、3,000万人分のプレパンデミックワクチンの備蓄を表明していますが、本気で対策を練る気があるのなら、関係機関に更に積極的に働きかけて、国民すべてに行き渡るくらいの勢いで、ワクチンを生産すべきです。

馬鹿を見るのは、いつも日本国民です。社会保障費の抑制という大きな困難に直面する一方で、無用の長物である「タミフル」の備蓄に、1千億円以上もの税金を投入する政府は、国民に不利益をもたらす政府です。一刻も早く打ち倒さなければなりません。政府肝いりの消費者庁も、消費者ではなく業者保護を目的に創設されることを、まだ多くの国民は気付いていません。「クローン牛」であるか否かの表示はしないことを、いずれ消費者庁は決定します・・・。そして何よりも、只今現在、「タミフル」の備蓄に疑問を投げかける現職国会議員がいないことに、私はむなしさを覚えずにはいられないのです。

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