「人口減少対策の出発点!中山間地域を『子育てパラダイス』に!

「人口減少対策の出発点!中山間地域を『子育てパラダイス』に!

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今回は、
人口減少対策の出発点!中山間地域を「子育てパラダイス」に!と題して、中山間地域の出身者として、これしかない、最強の政策を提案します。
待機児童対策は重要ですが、人口減少対策の決め手ではありません。

H21年3月26日付、農水省農村振興局「中山間地域農業をめぐる情勢」によると、
日本の国土の64.8%、耕地面積の43.3%、総人口の13.6%、総農家人口の41%を占める中山間地域の所得充実政策と農業の活性化こそが、人口減少対策の出発点、日本の底力、日本の国力のボトムアップにつながります。
自信をもって、提案します!

写真(↓)は、私のふるさと「広島県世羅町」の風景です。
中山間地域の農村地帯の活性化が、日本の国力を底上げする原動力になると確信します!

従って、中山間地域の所得充実政策として、例えば、
●農林畜産業の戸別所得補償
●条件不利地の直接支払、環境直接支払
●月7万円の最低保障年金
●月2万6000円の子ども手当
などが必要で、

月7万円の最低保障年金、いわゆる、国民年金・厚生年金・共済年金などの基礎年金部分ですが、あと10兆円の財源が必要、子ども手当、今は児童手当と呼んでいますが、1人当たり2万6千円を実現するには、あと3兆円の財源が必要です。

最低保障年金と子ども手当は、中山間地域だけでなく、都市部も含めた全国一律の政策ですが、中山間地域を「子育てパラダイス」にするための重要な柱となります。

現在も、H29年度概算要求にあるように、
日本型直接支払800億円、森林・山村多面的機能発揮対策23億円、持続的な森林・林業経営対策11億円、など、予算はついていますが、もっと本格的に中山間地域の農林畜産業を守り育て、中山間地域を子育てパラダイスにする、という強い意気込みが必要です。

まず、一人当たり月2万6000円の子ども手当について説明します。
この2万6千円という数字は、2009年に民主党に政権交代した時の、民主党のマニフェストの目玉政策でした。ところが、民主党は、財務省にコロッと騙されて、財源がないと思いこみ、実現することはできませんでした。

しかし、現行の児童手当の財源に、あと3兆円上乗せすれば実現できるのですから、消費税増税などしなくても、予算の組み替えや、政策実現のための財政投融資を活用するなど、いかようにも財源は捻出できます。

消費税増税もそうですが、民主党の財務省にコロッと騙されるというか、なお追求することなくあっさり引き下がる弱さが、短期間で自民党政権に戻り、その後、再び政権交代しない最大の原因だと、私は思います。

子育てには、正当な評価と支援が必要です。
なぜならば、子育ては、日本の国力・底力となる「人間形成」を担う、とても重要な任務だからです。

一人当たり月2万6千円の子ども手当だと、子ども3人なら、月7.8万円、子ども4人なら月10.4万円となりますが、私は、更に、3人目誕生以降は、一人当たり月5万円、子ども3人なら月15万円、4人なら月20万円を、検討すべきではないかと思います。それほど、日本の少子化は、日本の国力を損なう一大事です。

一人当たり月2万6千円の子ども手当を実現するための予算は、0歳から15歳までの人口は、2016年10月現在で、1695万4千人ですから、月2万6千円は年間31万2千円、掛け合せると5.29兆円。
H29年度の給付総額2.2兆円との差額は3.09兆円となり、あと3兆円の財源で実現できる、という計算です。

ちなみに、現行の児童手当は、年収960万円未満の所得制限内で、0~3歳未満が月1万5千円、3歳~小学校修了までの第一子・第二子が月1万円、第三子以降が月1万5千円、中学生は一律月1万円、所得制限額以上は当分の間の特別給付として月5千円、となっており、給付総額は2.22兆円です。

次に、月7万円の最低保障年金についてです。
これも政権交代時の民主党のマニフェストにあった数字と同じですが、当時の民主党は、スウェーデン方式とか言って、非常にわかりにくい議論をして、結局、政策として成立していません。その後、私が民主党参議院議員時代に提案した、このはたともこ方式は、非常にわかりやすい、現実的な内容です。政治の決断で、実現可能です。

はたともこ方式、月7万円の最低保障年金の制度は、一言でいえば、「月5万円全額税負担」+「年金保険料納付相当分」の組み合わせ方式です。年金保険料は、H29年度は国民年金保険料は月1万6490円です。

最低保障年金とは、保険の種類を問わず、国民年金・厚生年金・共済年金の、所謂、基礎年金部分のことです。保険料の納付期間には、ばらつきがありますが、まず、65歳以上の高齢者全員に月5万円・全額税負担の年金を支給し、その上で、
年金保険料を20年間払った人なら、プラス2万円で月額7万円となり、
年金保険料を40年間払った人なら、プラス4万円で月額9万円となります。
年金保険料を全く払わなかった人は、税負担分の5万円のみ、となります。

全額税負担5万円のための予算は、
H29.4.1現在の65歳以上の人口が3492万人なので、およそ、20.952兆円となり、現行では、フルに保険料を支払ってきた場合、基礎年金は月額6万4900円ですが、基礎年金の国庫負担額は、10兆8995.5億円であり、あと10兆円の財源で実現できます。現行の基礎年金の国庫負担割合は1/2です。


農林畜産業の戸別所得補償は必須事項です。
中山間地域の小規模農業や有機農業、林業、畜産業に従事する場合、本人の努力次第で着実に所得が補償される仕組みが必要だと思います。そうでなければ、やる気が起こりません。

現行でも、水田フル活用と経営所得安定対策として、
・水田活用の直接支払交付金
・水田の畑地化・汎用化の推進による高収益作物の導入支援
・次世代施設園芸の取組拡大
・経営所得安定対策
・米穀周年供給・需要拡大支援事業
・収入保険制度の導入・農業災害補償制度の見直しに向けた準備(所得充実政策とは意味が異なります)
・森林・林業再生基盤づくり交付金
・畜産・酪農経営安定対策
・薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業(マッチングをフォローする地域活性化伝道師の数を増やす必要があります)
等々のメニューがありますが、

直接支払の対象は、飼料用米・麦・大豆等と地域の特色ある魅力的な産品の産地の創造を支援、となっており、一般的な野菜などは対象になっていません。全ての農作物を対象とすべきです。

農水省は、1次産業への支援を、しっかりアピールすべだと思います!

さらに、条件不利地の直接支払、環境直接支払=所謂みどりの政策も重要です。水源涵養、洪水防止など、中山間地域の田畑は生産だけでなく、多面的機能を担っています。耕作放棄地や休耕田をなくす政策が必要です。

ただし、メガソーラーは、最終的には環境破壊につながるので、私は大反対です。将来的に、中山間地域は、破壊されかねないと思います。太陽光は、メガではなく、屋根や屋上に設置する太陽電池の活用がベストだと思います。

H29年度予算では、人口減少社会における農村の活性化として、
・日本型直接支払
 多面的機能支払交付金
 中山間地域等直接支払交付金
 環境保全型農業直接支払交付金
・森林・山村多面的機能発揮対策
・持続的な森林・林業経営対策
などがありますが、
もっと本格的に中山間地域の農業を守り育て、中山間地域を子育てパラダイスにする、という強い意気込みが必要です。

地産地消エネルギーとして、小型水力、地熱発電、バイオマスなどは、進めていくべきだと思います。

中山間地域の農業の活性化・発展のためには、農林畜産業の6次産業化による創意工夫が必要です。
農林畜産業の6次産業化の発展で、まち・従事者・消費者のすべてがwinwinwinとなる方策を構築する必要があると思います。

6次産業とは、1次産業×2次産業×3次産業で、
農業の第1次産業が、食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態をさしています。

私のふるさと、広島県世羅町の世羅高原アンテナショップ「夢高原市場」のHPを、覗いてみてください。
世羅高原6次産業ネットワークは、全国的にも注目されています。
地元の高校などを巻き込んで、それぞれの事業者が独自の個性を発揮して、インターネットを通して販売できる仕組みを、構築しています。勿論、これからも、まだまだ発展していきます。このような、一次産業に楽しく従事できるネットワークづくりを、政府は支援すべきなのです。

広島県世羅町は、瀬戸内の尾道から車で約30分、中国山地の山あいにある、農村地帯です。昔から、世羅台地と呼ばれる分水嶺で、清らかな水に恵まれ、お米や梨の産地としての歴史があり、近年ではワインの生産も手掛けられ、意欲的な農家が活躍しています。

おへそカフェという古民家を利用したレストランは、石窯で地元の農作物を使った本格的なピザを焼き、自家製のパンやフレッシュのジンジャーエールなど、中山間地域ならではの数々のメニューを味わえることから、予約殺到の行列のできる田舎のレストランとなっています。

中山間地域の農業・子育てのモデルケースを考えてみたいと思います。3世代同居の場合です。
まず、おじいちゃんとおばあちゃんは、年金、私が提案する最低保障年金に農業者年金そして農業の収入。

パパは、都市部にマイカー通勤あるいは、専業農家として農業に従事。

ママは、子ども手当プラス6次産業、農業を手伝ったり、加工を手伝ったり、販売したり、あるいは、短期間正社員などに従事する。

子ども手当 は、月2万6千円なら、3人で7万8千円となりますが、3人以上の場合は、1人5万円を検討すべきではないかと思います。つまり、3人なら15万円です。
財源は、勿論、予算の組み替えや政策実現のための財政投融資の活用など、いかようにも捻出できます。

このほかにも、農地への戸別所得補償、直接支払、環境直接支払などがあります。
家族全員に、それぞれ収入があり、子育てするには十分な収入になるのではないでしょうか。

日本の国土の64.8%、耕地面積の43.3%、総人口の13.6%、総農家人口の41%を占める中山間地域における高齢者農業のビジネスモデルを考えてみたいと思います。

農水省「農業労働力に関する統計」によると、
●H28年の農業就業人口(専業または、兼業でも農業従事日数の方が多い人)は192.2万人、そのうち、女性は90万人、65歳以上が125.4万人(65.2%)、平均年齢66.4歳です。
また、
●基幹的農業従事者(農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が「仕事が主」の者、家事や育児が種ではない)は158.6万人、そのうち女性は65.69万人、65歳以上が103.1万人(65%)。

農水省「農村の現状に関する統計」によると、
●農家人口(販売農家の世帯員)は、488万人、そのうち女性は244.9万人、65歳以上が188.3万人(38.6%)で、勿論、農業に定年はなく、農業には、意外と女性の従事者が多いことがわかります。

日本の農業従事者に高齢者が多いことは、決して悲観的な状態ではありません。70代、80代まで元気に活躍できる人が増えることは、日本の超高齢社会に希望を与え、素晴らしいと思います。

65歳以上の農業者の収入想定、理想の形としては、
戸別所得補償+直接支払・環境直接支払+最低保障年金(5万円+年金保険料納付分)+農業者年金+農業収入です。

日本の国力・底力のボトムアップのために、是非、実現したい形です。

中山間地域の農業充実こそ、日本再生の鍵だと思います。
高齢者(ベテラン)の名人・達人プラス女性プラス若者のチームができれば理想的ですが、Iターンなどで、初めて農業に従事しようとする人たちにとって、その一歩を踏み出すことは、大変な決断だと思います。そんな、農業に関心のある方々に向けて、農水省は、イチノウネットという、インターネットで若い就農者を農水省がバックアップする仕組みを作っています。

情報提供のためのメルマガを発行したり、各種補助金を紹介したり、若い就農者を応援する仕組みです。農水省のHPでは、シャリガール、みつばち女子、牛ガール、農業女子、農業男子など、日本全国で頑張る若い就農者を紹介しています。

イチノウネットでも紹介している、農水省が行っている若い就農者への所得支援は、農業次世代人材投資というものです。

就農準備者・就農者への支援としては、
●都道府県が認める道府県農業大学校や先進農家・先進農業法人等で研修を受ける就農希望者に、最長2年間、 年間150万円支給。
また、
●45歳未満で独立して自営する認定新規就農者に、年間最大150万円を最長5年間交付。

夫婦で就農の場合は1.5人分を交付、資金を除いた本人の前年の所得の合計が350万円以上の場合は公布停止となります。

また、法人正職員として就農した場合の、法人側への支援、受け入れる側・雇用者への支援として、
●農業法人に就農した成年に対する研修経費として、年間最大120万円を最長2年間助成
●雇用者の法人設立に向けた研修経費として、
年間最大120万円を最長4年間(3年目以降は最大60万円)助成
●法人等の職員を次世代経営者として育成するための派遣研修経費として、月最大10万円を最長2年間助成する仕組みがあります。

6次産業ネットワークで頑張る、広島県世羅町の農業研修制度は、「世羅町産業創造大学」と銘打って行われています。
国の交付金、農業次世代人材投資の他に、世羅町独自に30万円を給付し、
●研修助成金として1人あたり年間180万円を助成しています。

●就農後も、
・国の給付金、年間150万円のほか、
・要件により、無利子融資、青年等就農資金、
・農地集積の確保、町振興作物に関わる助成等、
若者の就農への支援を手厚く行っています。

概ね40歳以下、研修に専念でき、運転免許の保有が条件ですが、若者、若いカップルなどに対して、農業を理解し、やる気があれば、これらの就農支援制度を利用して、トライする仕組みが用意されています。

中山間地域の農村地帯は、インフラが整備され、インターネットが普及した今、古民家を改修して、快適な暮らしを手に入れることが可能です。街がうるおい、若い世代も、のびのび暮らしていける可能性がある、中山間地域は、実は、非常にポテンシャルが高いと思います。

さて、これからの中山間地域の農業の発展の柱の一つに、是非、考えたいのが、漢方薬の原料である生薬・薬用植物の栽培です。
生薬の8割を中国や東南アジアなどからの輸入に頼っているのが我が国の現状です。
日本の厚生労働省や医学界は、エビデンス不足を理由に、漢方や漢方薬の効果をほとんど認めていません。しかし、翻って、それは、彼らの勉強不足を表しています。

現在、漢方薬の薬価は極めて安価であるために、高額薬価の西洋薬ばかりをもてはやし、漢方薬の効能効果に目を向けず、ないがしろにしてきました。

しかし、患部だけみて病名をつけて、その病名によって決められた薬を処方する西洋医学ではなく、人をみる全人医療の漢方は、病気になる前、未病の段階で治す、極めて質の高い医療です。

日本の医療を、西洋医学と漢方医学を車の両輪とすることで、医療の質を高めると同時に、医療費の削減につなげていくことができる、と、私は思います。

その漢方に用いられる漢方薬の原料である生薬を、中国などからの輸入に頼らず、国産品を増産していくことは、本来、国家戦略として重要なテーマです。

クールジャパン、成長戦略として、漢方・漢方薬を日本と世界に全面展開すべきだと思います!
H29年度予算では、生薬の国内栽培について、薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業として、
薬用作物等の栽培技術の確立・普及、薬用作物の優良種苗安定供給体制の整備、
地域特産作物の特徴ある機能性を活用した新需要創出の取組を支援、
などが盛り込まれていますが、金額は5億6千万円程度、政府の薬用植物栽培支援は、緒についたばかりです。

私が現職時代、何度も何度も委員会で質問をして、やっと、この程度。
もっともっと、質問して、本格的に起動させなければならないと、思います。
●中国は、いつ、戦略的に輸出をストップするかもしれない。残留農薬や品質の問題で懸念がある。価格高騰を防ぐだけでなく、世界最高の品質と安全性を追求するためにも、国内栽培を推進すべきです。
●生薬は、中山間地域が適地となる場合が多く、中山間地域の高付加価値農業として、地域再生・地方創生のための政策となり得ます。
●生薬には、多くの薬草とともに、キハダ、コウボク、ビワ、メグスリノキ、クロモジなど、樹木・樹皮に由来するものも数多く存在し、森林内での原料生薬の生産については、森林組合の役割が重要となります。
●内閣府の地域活性化伝道師、地域おこしのスペシャリスト、には、漢方薬・生薬の専門家も存在します。生薬栽培に適する「土」の目利き「地域活性化伝道師」の活躍を、もっと予算をつけて、中山間地域の農業の発展のためにも、政府は全面的に支援すべきなのです。

生薬の栽培は、一般的な野菜のように、植えれば育つ、ただ作ればよい、というわけにはいきません。自治体や農業法人として本格的に取り組むことも重要ですが、生薬の栽培は、例えば、まずは軒先で試験栽培することから始めることも可能です。

町役場を通して、内閣府の地域活性化伝道師の生薬の専門家を招聘することもできますが、町役場を通さず、生薬の目利きの方に指導を受けて、庭先や軒先で、試験栽培することから始めることができます。このような専門家は、土をなめて、目利きをしたり、とても素人にはわからないことを判別してくれます。

例えば、秋田県八峰町では、東京生薬協会が目利きとなり、農家を指導して、カミツレとキキョウの本格栽培に乗り出しました。株式会社龍角散が全量買い取りする仕組みを構築しました。

日本のクールジャパン、国家戦略として、生薬の国内栽培の推進は、当を得ていると思います。もっと本格的に取り組めば、大きな成果を上げられると思います。これからもあきらめず、発信し続けたいと思います。

今回は、人口減少対策の出発点!中山間地域を「子育てパラダイス」に!と題してお送りしました。中山間地域出身、中山間地域を選挙区として回った経験のあるものとして、絶対の自信を持って提案する内容です。

待機児童対策は、都市部の問題で、勿論重要ですが、人口減少対策の決め手ではありません。中山間地域の所得充実政策と農業のボトムアップ、中山間地域を子育てパラダイスにしてこそ、人口減少に歯止めがかかり、豊かな国創りができるのです。

ぜひ、皆さん、一緒に実現しましょう!!

●はたともこのPPPA「 人口減少対策の出発点!中山間地域を『子育てパラダイス』に! 」

 

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フルーツのダイヤモンド:ニューピオーネ


”フルーツのダイヤモンド”と私は勝手に名付けています。
岡山県新見産のニューピオーネです。

地元の方が送ってくださいました。
それもそのはず、生産農家は数々あれど、この方のピオーネに優るものはないのではないかと思うほどの代物です。フルーツのダイヤモンドと名付けた由縁です。

ご覧の通り見てビックリ!
直径4.5cmを超える大粒の房は、手に持つとドッシリです。

そして何より食べてビックリ!
口の中に広がる甘さとプニョプニョ感は、他の追随を許さない美味しさです。

農家直送の醍醐味を、機会があったら、是非、味わってみてください。
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減反にストップ!農業の「直接支払制度」

本日(2008.6.10)の日経新聞朝刊の「経済教室」を、是非お読みください。日本での農業の「直接支払制度」の第一人者である山下一仁氏の文章が掲載されています。「直接支払制度」は、食糧自給率の向上をはじめとする日本の農業がかかえる様々な問題を解決するための、端緒となるはずです。

私は以前、中国山地にほど近い過疎化が進む街で、当時始まったばかりのこの「直接支払制度」をテーマに中山間地フォーラムを開催しました。特に耕作不利地に対する「直接支払制度」は、農業が担う多面的機能(洪水の防止作用・水源涵養など)を引き出すのに役立ちます。環境保全の観点からも、この制度は重要なのです。

「直接支払制度」は、決してバラマキではありません。例えば、有機農法などコストのかかる農業に対する補助は、必要なことです。

信頼が失墜した中国野菜の影響で、トレーサビリティが明確で安心・安全な日本の農作物は、国内需要のみならず、海外の心ある人々からの需要も増えるでしょう。その時こそ、日本の農業・農家が、世界に認められるときなのです。

備えは万全か?山下氏の主張に、政府はそろそろ耳を傾けなければならないのです。

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野菜と呼べない「野菜工場」の野菜 6月6日

光・温度・養分をコンピュータ制御して、室内で作物を育てる「野菜工場」が全国に広がっている。ハイテクグリーンハウスと呼ばれる野菜工場は、天候や虫に左右されるこれまでの泥にまみれた農業のイメージとは、180度異なるものだ。白衣で作業する農業者ならぬ作業員は、極端に言うと手も汚れない。昨今では、発光ダイオードを使用した完全制御型の野菜工場も登場している。

現在までのところ、主にレタス・サラダ菜・トマト・ハーブ類が主力商品だが、ブナシメジやエノキなどの茸類やカイワレは、以前からある「工場野菜」の一種だ。工場野菜の利点は、天候に左右されず、安定的に量産・出荷することが出来るという点だ。凶作のため野菜の価格が暴騰しても、コンピュータ制御で量産される工場野菜の価格は、変動することはない。光熱費が生産原価の3割にも及ぶため、平時の価格は露地ものの数割高から倍近いが、むしろ、凶作の場合には、工場野菜のほうが格段に安くなる。

キューピーやカゴメなど大手食品メーカーが、広大な土地を有する地方に、東京ドームの数倍もある巨大な野菜工場を手掛けているが、現段階では「野菜工場」の未来は未知数だ。後継者不足や低い食糧自給率など深刻な問題を抱える日本の農業にとって、「野菜工場」は活路を見出す突破口になると自負する事業主も居るが、茸類やカイワレがそうであるように、大量生産が供給過多を招き、価格破壊の悪循環に陥り、結果的に倒産する「野菜工場」が続出しはしないか、今から危惧する専門家もいる。

土を使わず、肥料を溶かした水で育てた採れたてのレタスは、歯ざわりが柔らかく苦味がないそうだ。旧川崎製鉄が20年以上も前から多角化の一貫で研究していた「工場野菜レタス」は、なんと28毛作が可能なのだという。日光を要しない室内栽培は、2階3階と増床していけば、単位面積あたりの生産性を、限りなく向上させることも可能だ。更に、ロボットを駆使することで、作業労働力の省力化と労働環境の改善を図ることができる。一方、栄養価に目を向けると、サラダ菜の場合、露地ものと比較して、工場野菜のカルシウムは7割弱、ビタミンCは約8割だ。

露地栽培よりも農薬が低減され、雑菌が排除された工場野菜は、ポジティブリスト制度の導入によって、需要に拍車がかかると言われている。確かに農薬の問題は回避することができても、日光にあたらない虫もつかない工場野菜を、本当に健康な食品と言えるのだろうか。工場野菜は、野菜の形をした単なるサプリメントにすぎないのではないか。大きな疑問が残る。「野菜工場」は農業ではないと、私は思う。工場野菜が今後益々普及するならば、食の安心・安全の根本にかかわる、農業にとって重大な問題として立ちはだかる。

政府は今日、平成17年度版の「農業白書」を閣議決定した。一定規模以上の農地を持つ大規模農家の育成に重点を置く政府の方針は、国土の7割、耕作面積全体の4割、農業生産の4割を占める中山間地域の農業の衰退を加速させるものだ。農業法人の設立や集落営農の組織化は、まさしく大手企業が資本参加する「野菜工場」を拡大させる。果たしてそれが、日本が求めるべき正しい農業の在り方だろうか。土をいじり生産の喜びを味わうことが人間形成に大いに役立つと、英語よりも農業を小学校教育に取り入れるべきだと主張する識者の声に、共鳴する人は少なくないはずだ。

擬似野菜を量産する「野菜工場」は、間違いなく真の農業を崩壊させる。たとえばカゴメが手掛けるトマトの巨大野菜工場が、中国山地にほど近い過疎化が進む田園地帯の一隅にある。野菜工場を建設したことで、中山間地域の緑の多面的機能は後退し、効率を追求する野菜工場のコンセプトは、周辺の農業を否定し地域の農業者を惑わせる。しかも、カゴメが酷いのは、ケチャップの原料用のトマトペーストについては、輸入に頼っているという点だ。言行不明瞭なカゴメの野菜工場は、将来必ずこの地域に大きな禍根を残すに違いない。中山間地域の農業を大切にしない政府の方針は、明らかに間違っている。そして何よりも重要なことは、私たちが、「工場野菜」を野菜だと勘違いしないような、賢い消費者にならなければならないということだ。
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白米千枚田の田植え 5月13日

石川県輪島市にある「白米(しろよね)千枚田」で、300人のボランティアによる田植えが行われた。「白米千枚田」は、1,004枚もの田んぼが幾重にも重なって美しい幾何学模様を織り成す、国が指定する名勝だ。日本の棚田百選にも選ばれている。

形がいびつなため、農業機械を入れることが出来ずすべて手作業で行わなければならない棚田には、高齢化と後継者難のため休耕田が目立っていた。海岸に面するこの棚田があまりにも絶景で象徴的であったため、1992年、輪島市と農協の呼びかけで、ボランティアによる田植えが始まったのだ。景観の保全のみならず、生産や水源涵養など田んぼの多面的機能が県内外のボランティアによって維持されることの意義は大きい。田植えや稲刈りを一度でも体験した人々は、その後の人生で農業の重要性を忘れないだろう。

能登半島の北端に近い日本海沿岸に、白米千枚田はある。そこから眺める日本海に沈む夕日は、筆舌に尽くしがたい美しさだ。観光スポットになり得る棚田は、全国からボランティアが集まり荒廃しないように手が尽くされるが、多くの急傾斜地や中山間地域の耕作不利地の田んぼはそうはいかない。カロリーベースで60%もの食糧を輸入に依存する日本では、農業は進歩発展する職業にはうつらない。環境保全の観点から、WTOが認める「緑の政策」を基本にした農業戦略を、政府が打ち立てることが出来るかどうかに、日本の農業の浮沈はかかっている。

近年、都道府県が導入を始めた「環境税」の本来の意義が、納税者に正しく理解されているといえるだろうか。特に作業の厳しい中山間地域の農業の実態を知らずして、税金だけ支払っても納税者に緑を守る意識が芽生えることは、決してない。白米千枚田のように、田植えや稲刈りのボランティアを県内外に募ることは、農業への理解を広く求めることに大きく貢献する。一度でも田植えを経験した人は、その新鮮な体験に驚き、その後の人生においても農業への認識は高まるものだ。

最初の入り口は、観光気分のボランティアで良い。自分の植えた稲を、秋には自分で収穫し味わう醍醐味を、多くの人々に経験してもらいたい。間違いなく、農業と食への意識が、新たに芽生えるはずだ。

白米千枚田の田植えの映像に、しみじみ心が熱くなった。

ご覧ください→白米千枚田

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農政改革基本法案 5月7日

このまま数の力で押されてしまえば、政府提出の農政改革基本法案が成立し、来年度には認定農業者や団体・集落営農など組織化された農業者だけが、「担い手」として国の農業支援の対象となる。これまでの中山間地域直接支払制度と比較すると格段に条件は強化され、4ha以上の大規模農家(認定農業者《北海道は10ha》)と20ha以上の集落営農(中山間地域は10ha以上)に限定する。特に、過疎化が進み小規模農家の多い地方では、農地の集積は困難を極める。

経理を一元化し、法人化を計画する農業団体であれば「担い手」と認められるため、法人の一歩手前の「特定農業団体」の設立を目指す動きも出ているが、個人の農業を否定するかのような政府案は、大企業による農地の買収もじゅうにぶんに予測されて、画一化と、生産性の効率化による農薬の乱用や遺伝子組み換え作物の横行など、食の安心・安全が脅かされた自然の恵みからは遠くかけ離れた農業が想像されて、むしろ時代錯誤の感さえある。

集落営農に参加できない高齢者は、細々と耕作を継続するか、農地を売るかしない限り、いずれその土地は荒れ果てていく。政府案には、大規模農業による大量生産で食糧自給率の向上を図るねらいがあるが、事実上、補助金の得られない個人農家の経営は益々苦しくなり、農業においても勝ち組・負け組がはっきりと分極化する構図が目に浮かぶ。大気の浄化作用・洪水の防止作用・水源涵養などの農地の多面的機能に対する評価は、そこには存在しない。

組織化による効率重視の農業を推奨する政府案は、小規模農家のやる気そのものを阻害する恐れがある。政府は農地面積の7~8割の集約を想定しているが、根拠のない単なる目標にすぎず、現時点では遠く及ばない。小規模個人農家を支援の対象からはずす政府案は、効率を重視するあまり、農業の本質から目をそらし、逆に荒廃地を増やす可能性さえある。「簡素な政府」は、地産地消を積極的に推進し、持続可能な循環型社会の構築を目指さなければならないはずだ。

補助の対象となる農作物は、米・麦・大豆・テンサイ・でんぷん原料用のバレイショの5品目で、直接支払額は、販売収入の小麦が2.2倍、大豆が1.3倍、米については価格が下落した際に補填されるということになっている。小麦や大豆などは、補助を受けられない限り、利益は限りなくゼロに近い。

今回の政府案の最大の問題は、2000年にスタートした中山間地域直接支払制度の評価を織り込んでいない点だ。荒廃する日本の農業を立て直していくためには、まずは、過疎化と高齢化が進む中山間地域の農業を持続可能なものへと転換していくことが先決だ。多面的機能にも着目し、生産だけではない価値への評価が、国土の7割・耕作面積全体の4割・農業生産の4割を占める中山間地域への「直接支払制度」なのだ。平地の農業のあり方は、中山間地域直接支払制度の充実改善の先に、おのずと見えてくるものだ。

農薬や遺伝子組み換えなどで人為的に汚染された作物の安全性は、まったく保障されていないどころか、極めて高リスクであると捉えるべきだ。農薬や化学肥料で汚染された農地に、元気野菜は育たない。農業の効率化には限界がある。本当の意味で持続可能な農業を目指すのなら、農業の大規模化は正しい方向とはいえない。政府が目指す農業ビジョンは、明らかに間違っている。WTO交渉を意識した政府の農政改革基本法案は、その結果、仮に自給率が向上したとしても、食の安心・安全そのものを揺るがしかねない危険性をはらんでいる。勝ち組農家による、農薬と化学肥料に汚染された農作物の生産が、日本の農業の望ましい形態では決してないはずだ。
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中山間地域等直接支払い制度の発展 3月12日

中山間地域直接支払い制度が、2期目をまい進中だ。2000年に制度がスタートした当初は、山あいの農家の方々への広報活動がままならず、明らかに役場の農業担当者の誘導による協定締結が大半だったことを思い出すと、農家の予想以上の積極的な取り組みには、正直驚いた。耕作放棄地をなくすために一定以上の面積を確保するよう他人と共同体を形成する「集落協定」が、当時は人々になかなか理解されなかったのだ。

1期目の5年間を終えて、高齢化が進む中山間地域の農家が、次の5年間の協定を結ぶか否か非常に危ぶまれたが、面積にして前期比98%以上を維持したことは、次代の中山間地域の農業に光明をさす結果といえる。

集落協定を結び直接支払い制度の支給を受けている田畑は、田畑の形は様々だが見事に整然と区分け・整備されている。田畑には「○○地区・集落協定」などとの書かれた看板が立てられ、手抜きをして草ぼうぼうになろうものなら一目瞭然。いつ誰が見ても、きちんと耕作していることを確認できる体制になっている。集落協定のたて看板は、田畑に名刺を掲げているようなものなのだ。

急傾斜地の田んぼで10a(10m×10m)あたり年間21,000円の給付は、決して高い金額ではない。荒地にしないための最低限の費用にも届かないかもしれないが、廃止された協定が4,000ある一方で、2期目に新たに2,000の協定が締結され、面積比では前期比98%以上なのだから、この制度が着実に農家の人々に理解され、受け入れられていることがうかがえる。

高齢の農家の方々が、個別にインターネットを通して情報を得るということは、なかなか想定しにくい。本制度が、「都市部を含めた国土全体の環境保全につながるものである」と農家の理解を得ることは、役場の牽引なくしてはあり得ないのだ。市町村も支給額の1/4程度を負担しなければならず、協定率が高ければ高いほど支出は嵩むが、中山間地域の田畑の保全は、洪水防止・大気浄化・水源涵養など農作物の供給以外にも重要な多面的機能を有するもので、行政にとっても不可欠な取り組みの一つといえるのだ。

本制度がスタートした翌年の2001年、私は中山間地域の振興を目指して、岡山県北部の過疎の町・高梁(たかはし)市に、東京大学大学院助教授の小田切徳美先生を招き、中山間地フォーラムを開催した。小田切先生には、直接支払い制度の解説の他、国道沿いに設けられた朝市のネットワークを全国的に構築することが農村振興の一助になり得るなど、妙案をご指導いただいた。朝市の運営は農家の奥様が担うケースが多く、農村でも女性パワーが活力の源であると小田切先生に結んで頂いたことを思い出す。当時は、農村部であっても直接支払い制度の認識は浅く、参加者の呼びかけに大変苦労したことも事実だ。

しかし、今や本制度は2期目に突入。環境直接支払いなど、着々とWTOで認められている「緑の政策」体系にも近づきつつある。国土の7割・耕作面積全体の4割・農業生産の4割を中山間地域が占める我が国の農業は、独特だ。「緑の政策」も、我が国の国土に適した方向で発展させていかなればならない。産業の発展とともに江戸時代にはあれほど豊かにあった山林が激減し、輸入木材に押され21世紀の現代、林業家は本当に数えるほどに減少した。台風など大雨による洪水は、ダムをつくれば解消されるというものではない。ダムをつくることにより破壊される自然を思えば、ダムはむしろ負の遺産ととらえるべきだ。中山間地域の山林・田畑こそが、「緑のダム」そのものであることを国民全体の共通認識とし、まずは中山間地域から、直接支払い制度の充実・強化を図ることが重要なのだ。

昨年末の予算編成の際、財務省は本制度の予算をバッサリと斬り捨てていた。財務省は、大規模営農などむしろ平地の直接支払いのほうに関心が高く、中山間地域の農業の意義をまったく理解することなく予算すら組まなかったのだ。心ある中山間地域の自治体や農家の方々は驚いたに違いないが、農水省の復活折衝によって、本年度は220数億円の予算が計上された。都道府県の負担も含め、交付総額は500億円程度だ。クールビズやウォームビズのキャンペーンをはる前に、中山間地域の農業振興こそ環境保全につながるのだということを、国民の総意としなければならない。

中山間地域直接支払い制度を呼び水に、都会からのIターン就農家を募集する地域も目立ち始めた。天空の孤島のような過疎の村が、Iターン就農希望者に不動産全てを廉価で貸し出し、特産のトマトや山芋の栽培を支援する例もある。環境保全だけではなく農作業の共同化をはかり積極的に農作物を栽培する「体制整備単価」の割合は、北海道を除いても全国平均で65%を超えている。今後は、協定期間5年の間の取り組み目標をより明確にして、日本の食糧自給率の向上と京都議定書に恥じない環境保全を、着実に実行していくことが肝心だ。

国際競争力のあるゆるぎない日本の農業の構築のために、中山間地域の農林業の振興は不可欠だ。山あいの田畑で働く農家の方々の声に耳を傾けて、農山村の振興のためにも、中山間地域直接支払い制度が、より良い「緑の政策」へと発展していくことが何より重要なのだ。
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直接支払い制度の行方 10月25日

日本でも2000年から始まった農業の「直接支払い制度」は、バラマキと思われても仕方がないくらい、発足当初は心もとない状態だった。WTOでは「緑の政策」として既に実績があるこの制度は、食糧自給率の向上と同時に環境保全の見地からも、21世紀の日本の農業の発展を考える上で、大いに期待される制度だった。

所謂「田舎」すなわち過疎化が進む中山間地域における農業の後継者の育成には、都市部と農村部との交流は不可欠であり、折りしも三位一体改革のもと市町村合併が進む中、中山間地域と都市部とが地産地消で結ばれることは、資源の有効利用の観点からも絶対に必要なことだった。21世紀、日本が進むべき道「小さな政府」を実現するために、直接支払い制度が真に意義ある制度に発展していくことは、多くの人々が期待する非常に重要なテーマなのだ。

私自身も、最も重要な政策として、近隣の26市町村すべての役所にヒヤリングし、直接支払い制度の進捗状況や実態を調査して歩いた。中には、堂々と、集落協定を結んだ急傾斜地の棚田を案内して下さる役場の職員の方もいらっしゃり、中山間地域であればあるほど、この制度に対する思いの程は強かった。

発足後5年間の区切りを経て、本制度は継続されることとなったが、同時に、目前に迫ったドーハ・ラウンドを控え、農水省はまったく新たな所得補償政策を始めようとしている。農業は、途上国の経済活動を考える上で最大の武器となる。WTOの農業交渉は、先進国が途上国とのたたかいを迫られる珍しい場だ。当然日本は、先を見越して国内の農業の足腰を固め鍛えておくべきだったのだが、実際には、2000年と今現在とでは殆ど進歩の跡は見られず、結果、ドーハ・ラウンドを乗り切ることを大義名分とする、大規模な農業法人のための新たな直接支払い制度が、どさくさまぎれに導入されようとしているのだ。

5年間に及ぶ直接支払い制度の成果は、残念ながら殆ど見受けられなかったが、今回登場した大規模農家への所得補償は、WTOで認められた「緑の政策」とは異質のものだ。今、大切なことは、中山間地域の農業を発展させていくために、既存の直接支払い制度を充実改善させていくことなのだ。特に中山間地域の直接支払い制度は、今や「環境税」とも切り離すことはできない。欧米諸国のように、「環境直接支払い」の導入も取り組むべき課題の一つになっている。農業の後継者の育成、また地産地消による真の循環型社会の実現を目指す上で、まず取り組むべきは「中山間地域」なのだ。

都市部に隣接する平野部の農家と、急傾斜地が多く過疎化が進む中山間地域の農家とを、同じ「直接支払い制度」でくくることは、そもそも間違っている。本来は、「環境税」を導入する前に、都市部に水や農作物を供給している中山間地域の農家を助成・発展させることに、重点を置かなければならないのだ。

平野部への新たな所得補償を否定はしないが、そのために本来の直接支払い制度の意義が見えなくなってしまったのでは本末転倒だ。過疎化の進む中山間地域の農地は、水源涵養・洪水の防止機能・大気の浄化作用など「緑のダム」としての機能を果たし、都市部の人々にとっても大きなプラスとなる。地球温暖化を食い止めるためにも、中山間地域の農地の多面的機能をフル活用することが重要だ。

食糧の自給率を高め、環境保全の観点からも有効な、真の意味で足腰の丈夫な日本の農業を構築していくために、意義ある議論が活発に展開されることを、中山間地域を大切に思う者の一人として私は心から期待する。
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2005年度予算・直接支払制度復活 12月24日

結構、充実している!!
私淑する、ありがとうの清水英雄先生の教えの1つに、「疲れた・忙しい」というネガティブな言葉は使わないというのがある。だから、疲れた時は、「充実・充実」と言い聞かせる。しかし、これは意外に、疲れなど吹っ飛ばしてしまう魔力があり、いつもさわやかな気分で、一定の精神状態を保てる原動力にもなっている。今日も、職場は、患者さんが引っきりなし。息つく暇もないくらいの1日だった。これが、師走。そして、これが私のクリスマス・イブだ。

82兆1829億円の来年度一般会計予算の政府案が確定した。当初、耕作不利地に対する中山間地域直接支払制度の予算は、ゼロだった。発表の数日前、直接支払いは無意味だとする投稿を新聞で読んだ時、よもや、とは危惧していたが、本当にゼ回答とは正直驚いた。

この直接支払制度は、特に、中山間地つまり田舎の田畑を保全していくためには、現段階ではなくてはならない命綱のようなものだ。農地の多面的機能に着眼し、洪水の防止、大気の浄化、水源涵養の観点から、耕作放棄地をなくし、田畑を守るそれだけで一定の所得が補償されるこの制度は、中山間地で農業に従事する方々にとってのより所であり、また、国の予算でそれを補償するということは、緑の恩恵にあずかる都市部の人間もみな平等に、環境保全の責任を果たすという意味において当然のことなのだ。

平野部での直接支払は、確かにバラマキ的要素が強いかもしれない。というより、平野部に、直接支払制度は、必要ないかもしれない。今、問題なのは、過疎化により後継者不足に悩む中山間地域の農業なのだ。日本の国土の7割は中山間地域であり、農家の4割が中山間地域に存在するという現実を踏まえると、直接支払制度の継続は必然であり、更なる充実改善に力を尽くすことが重要なのだ。

財務省案のままだと、地方の中山間地域は、バッサリと切り捨てられるところだったが、農水省による折衝の結果、221億5700万円の予算が復活した。ひとまず、ほっと一息だ。そしてこの先大事なことは、中山間地域の田畑あるいは森林で耕作された農作物や木材の、販路の確保だ。地産地消は当然のこととして、人口密集地の都市部あるいは気候の異なる遠方の人々に味わい使用してもらうためのネットワークの構築が実現して初めて、中山間地域の農業は不動のものとなる。国やJAが先頭に立つことはもとより、1人1人の住民が、お中元やお歳暮など贈り物の際には、極力、地域の特産物を「産直」することを心掛けることも重要な要素なのだ。

パソコンの前に座った今夜、思わず目にしたピンクレディの姿。ピンクレディ大好き少女だった小学校時代がフラッシュバックする。祖父から、初めてもらったプレゼントが、ピンクレディのレコードだった。頑固一徹、いつも殿様のように偉そうな祖父からのプレゼントに、嬉しさで心がバラ色にときめいたことを、今でもはっきりと覚えている。それにしても、この歳この境遇にある私でさえもなお、魅了してやまないピンクレディのはじける魅力には、完全に脱帽だ。数年ぶりに、TVにかじりついてしまった。50代に手が届く2人の女性の底知れぬパワーに、圧倒されることなく、私も負けずに全力疾走!すっかり元氣をもらってしまった。
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