子ども手当:民主党政権と都道府県知事の共通の敵は財務省である

総選挙で大きな支持を得た「子ども手当」の地方負担をめぐり、都道府県知事から異論が続出しています。2010年度は、1兆円増額し総額約17兆円の地方交付税が配分されることになったわけですし、来年度に限り子ども手当と併置される児童手当の地方負担分について、都道府県知事はボイコットなどという地方の責任を回避するようなことはせず、有権者のみなさんの期待に応えられるよう、民主党政権に協力すべきです。

再三にわたりこのブログでも触れていますが、一般会計・特別会計の不用額や、財投特会・外為特会の運用収益など特別会計の剰余金を合わせると、平成20年度決算でも約18兆円のフローの埋蔵金が計上されており、民主党がマニフェストで約束した子ども手当や暫定税率の廃止のための財源にこれを繰り入れることに、財務省は絶対に反対はできません。しかし、現状では、財務省はこの埋蔵金を金庫にしまいこみ厳重に鍵をかけ、閣僚を丸めこみ手を付けさせまいと必死に抵抗しています。国民にとって最大の抵抗勢力は、財務省です。

民主党政権の最大の任務は、財務省を論破して、このフローの埋蔵金を生かすことをおいて他にないといっても過言ではありません。限られた時間の中でまとめなければならなかった2010年度予算についてはもうどうしようもありませんが、次のステップとして、むしろ、都道府県知事は、民主党政権と一緒になって、国民の税金が生きた使われ方をするように、財務省とたたかうべきなのです。

2011年度以降は、子ども手当の財源はすべて国が負担し、児童手当で地方が負担していた5,700億円分については、都道府県の裁量で地域での子育て支援に充当するよう総務大臣が表明しました。総務大臣の考えは間違っておらず、この構想が実現するよう、都道府県知事は今は大局に立ち、民主党政権に協力すべきだと思います。

ところで、しばしば子ども手当よりも保育所などの施設を充実させることなどのほうが大事だという意見がありますが、保育所等の子育て支援施設の拡充等にまったく異論はありませんが、子ども手当の本来の趣旨を踏まえれば、現金給付は当然です。子ども手当は、子育てを社会全体で支援し、子育てに専念する専業主婦等のみなさんにも、社会的評価として手当を支払うという理念のもと、創設された制度であるはずだからです。

2011年度以降は、国が子ども手当の財源をすべて負担することになっています。併せて、地方が保育所などの子育て支援施設を拡充したり、地域の子育て支援システムをつくることで、専業主婦も働くママも誰もが安心して子育てできる社会を、国民全体で作り上げていかなければならないのです。政権交代し、これまで出来なかった少子化対策への一歩を踏み出そうとする今、民主党政権と都道府県知事とが足並みをそろえ協力し合うことが、非常に重要です。

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財源はある:フローの埋蔵金「不用額・運用収益」は毎年計上

「埋蔵金は、使っても一回限りだ」という議論がありますが、それは間違いです。埋蔵金には、不用額・運用収益のようなフローの埋蔵金と積立金のようなストックの埋蔵金の2種類があり、フローの埋蔵金は、毎年ほぼ同程度の金額が計上されています。

平成20年度の不用額は、一般会計・特別会計合わせて約14兆円でした。その他に、外為特会と財投特会の運用収益が5.8兆円(平成20年度)あり、多少のずれはあるにしても約20兆円が、毎年フローの埋蔵金として計上されています。

一方、平成20年度決算処理後の外為特会・国債整理基金特会の積立金の合計は、約31兆円です。年金特会など他のすべて特会もあわせると、平成20年度決算処理後の積立金の合計は約194兆円にものぼります。

そして、特別会計の埋蔵金とは別に明らかになってきたのが、98ある独立行政法人と4,500以上ある天下り公益法人の埋蔵金です。

天下り公益法人は既に数字が公表されており、合計約12兆1,000億円の国からの金銭交付のうち、交付金・約2兆6,000億円、委託費・約5,700億円、物品サービス購入費(殆どが随意契約)・約1兆8,000億円の合計約5兆円がフローの埋蔵金です。ストックの埋蔵金としては、公益法人の正味財産(内部留保)の合計が6兆円以上あると言われています。

本来、事業仕分けのトップ・プライオリティーは、独法・公益法人本体にメスを入れることでした。独法・公益法人の徹底的見直しは民主党のマニフェストですし、これらを温存したまま、その他のマニフェストを実現することは不可能です。「国民の生活が第一」を掲げる民主党政権が最優先に取り組むべきは、税金の無駄遣いの温床である、いわば国民の税金を食べている独法・公益法人の徹底的見直しの断行です。

フローの埋蔵金は、これまで長年にわたり計上されてきたものであり、「埋蔵金は一回限り」との議論は大間違いです。財務省の言いなりになり、ミイラとりがミイラになってはおしまいです。

なお、「小沢一郎政経フォーラム」で幸田真音さんも説かれたように、現下の経済情勢においては、政府と民間とが一体となって税収アップをはかっていくことが非常に重要です。法人税収の落ち込みがここまで激しい現状では、来年度予算については、ストックの埋蔵金、特に外為特会の20兆円から5兆円程度を繰り入れて、95兆円規模を確保すべきです。その上で、東アジアの成長経済の中で、大企業のみならず、中小企業への積極的支援を行うことによって、内需と輸出の両方をともに強化して、税収アップをはかるべきだと思います。

天下り独法・公益法人が、不十分な景気対策を強いる

税外収入の生きた使い方

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民主党政権が日本国民のための政権であることを証明する普天間移設問題

12月16日の基本政策閣僚委員会で、普天間基地移設問題について、キャンプ・シュワブ沿岸部に移すという日米合意は尊重しつつも、連立3党で新たな移転先も探るという方針を確認しました。これに対して、米国防総省のモレル報道官は、「(現行案が)沖縄の負担を軽減する最善の計画だと信じている」と述べると同時に、「同盟の能力を維持しながら、地域社会への基地の影響を減らすために、引き続き日本政府と直接協議を続けていく」と述べました。

そこで、重要なことは、「日米合意を見直しをして、辺野古以外の新たな移設先を決めるための協議を始めることを米国政府に求める」という日本政府の方針を、速やかに決定することです。

もし仮に、それでも普天間に居座り続けると米国政府が主張した場合、2009年2月、中曽根外務大臣(当時)とヒラリー国務長官との間で交わされた「グアム協定」を、米国はどうするつもりなのでしょう。米国では行政協定レベル扱いですが、日本においては国会で承認され条約に匹敵する効力を持つ「グアム協定」には、沖縄駐留海兵隊8,000人のグアムへの移転費用のうち、60.9億ドルを上限に日本政府が負担すると明記されています。

根拠とされる日米合意は、2005年、当時の町村外務大臣・大野防衛庁長官・ラムズフェルド国防長官・ライス国務長官との間で交わされた2+2の「政府間合意」であり、尊重されるべきものではありますが、政府を法的に拘束する国際約束ではありません。この間、両国ともに政権交代がありました。日本の新政権が、日米合意の見直しを提案すると決めたなら、当然、米国政府もその協議に応じなければなりません。

そもそも、海兵隊司令部のグアムへの移転問題は、ひとえに米国の問題です。米国自身の米軍再編計画である以上、米国政府が、普天間に居座り続けるという選択をするとは思えませんが、もし仮に居座り続けると言うのなら、米軍機の低空飛行訓練について、問題提起しなければなりません。

米国本土では、砂漠などの制限区域以外での低空飛行訓練は禁止されているにもかかわらず、日本では、米軍機は、市街地300m・市街地以外150mの下限を守れば、どこでも訓練飛行をして良いことになっています。自衛隊ですら日本本土で低空飛行訓練などしないのに、米軍機は、日本の空を、日本人の生活などお構いなしに、自由勝手に低空飛行訓練をしています。2004年の、「沖縄国際大学キャンパス・米軍ヘリ墜落炎上事故」の例をあげるまでもなく、米軍機の低空飛行訓練は、日本国民の命を日々おびやかしています。

「一つの独立国に外国の軍隊が駐留し続けることは不自然である。そんな国を世界は独立国とみなさないどころか、日本は米国から保護領とみなされている。」と、過日、寺島実郎氏は講演で述べられました。そして、基地問題については時間をかけてもいいから、日本が「正気」を取り戻すことが必要だと強調されました。

更に寺島氏は、いまや、米中関係は、日米同盟よりも深く、米中は、互いの特性を理解した上で敬愛し合っているが、駐留米軍費用の7割を負担する日本と米国との間に、敬愛関係はないと言明されました。なぜそうなってしまったのでしょうか。これまでの日本政府が、日本国民のための政府ではなく、米国にしっぽを振るだけの浅薄至極の米国のための政府であったことを、米国に見透かされていたからにほかなりません。そんな日本を、米国が独立国としてみなし、日本と対等につきあおうとするはずがありません。

民主党政権は、紛れもなく日本国民のための政権です。日本国民のための民主党政権が、これまでの政権がアンタッチャブルであった基地問題について、真剣に米国政府と話し合おうとしているのです。これを画期的と言わず、なんと言うのでしょう。従って、民主党政権に対する自民党議員やメディアの批判は、対米従属の「パブロフの犬」であると断じざるを得ないのです。

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小沢主義(オザワイズム)全開!!「平成22年度予算重要要点」

12月16日、民主党小沢幹事長が鳩山総理に渡された「平成22年度予算重要要点」には、18の重点要望が掲げられています。そのうち15項目については、マニフェストとの整合性の観点からも、おおむね十分に納得のいくものです。

→「平成22年度予算重要要点」

特に土地改良予算の削減の項目は、土地改良事業の要求額を半減し、残りを戸別補償にあてると明記されており、マニフェストを更に発展させた素晴らしい内容になっています。

一方、高速道路・ガソリン税関連の3項目については、発想をこれまでと大逆転させて、高速道路会社は存続させ、今後も高速道路は作り続けるというものです。合併施行方式を継続し、料金もとり、ガソリン税などの暫定税率を維持して、高速道路建設のための財源を確保するという内容です。

一瞬ドキッとさせられましたが、地方財源の充実等、きわめて地方重視の内容であり、来夏の参議院選挙を見据えた小沢先生の戦略の狙いを、この要望書を読み再認識することとなりました。

ひとえに、「民主主義の原点は選挙である!」との小沢主義(オザワイズム)全開です!!(小沢先生著「小沢主義」の文庫本、本日発売)

さて、本日あらたに、「民主党政権を通して、薬剤師および調剤薬局スタッフを医療従事者とみなすよう、厚生労働省に働きかける署名運動」をスタートさせました。「平成22年度予算重要要点」では、看護師の待遇改善は盛り込まれていましたが、薬剤師等の医療技術者に関する項目はありませんでした。まだまだ微力の私ですが、日本の医療を支えるあらゆる医療技術者に対して、権限と裁量が適正に配分されるよう、フル回転で全力を尽くしたいと思います。

→「民主党政権を通して、薬剤師および調剤薬局スタッフを医療従事者とみなすよう、厚生労働省に働きかける署名運動」

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天下り独立行政法人・公益法人等の存在が、不十分な景気対策を強いる

天下りを即刻禁止し、税金の無駄遣いの温床の総本山たる独立行政法人や公益法人等を即刻廃止すれば、もっと地方への交付金を手厚くした二次補正を組むことができたはずです。独法・公益法人等に対する廃止への強力なムーブメントをいまだ起こすことができないのは、民主党政権に大きな責任があると思います。

平成20年11月、長妻昭衆議院議員を代表とする民主党国会議員111名が要請した衆議院調査局の予備的調査によると、平成19年度、国家公務員が天下り再就職をした特殊法人・独法・認可法人・公益法人・指定法人・特定営利企業等の数は、中央省庁合計で4,504法人、天下りした人の総数は25,245人でした。そして、それらの法人へ交付された金銭の合計は、12兆1,334億2,500万円という、莫大な金額です。

金銭交付には、補助金・交付金・補給金・委託費・物品サービス購入費・出資金・融資などの種類がありますが、そのうちの、交付金すなわち組織運営費2兆5,580億7,700万円、委託費5,722億3,200万円、物品・サービス購入費1兆8,521億700万円、出資金(財投計画に基づかないもの)6,983億1,000万円については、実質的な事業費となる補助金とは別の、組織を運営するためだけの経費ではないかと思われます。

言うまでもなく、独法・公益法人等は、中央省庁の官僚が天下るために設けられた機関であるため、それらが行ってきた事業は、交付金として十分な予算を地方に配分すれば、すべてを都道府県・市区町村で担うことが可能です。これまで独法や公益法人等が行ってきた事業を自治体の事業に一本化すれば、補助金を除く、独法・公益法人等の組織運営にかけられていた10兆円を超える莫大な予算は、精査すれば国民にとってもっと有効に活用することができるようになるのです。

景気対策・生活対策・失業対策・地域活性化対策等の喫緊の課題を解決するためには、亀井金融担当大臣が主張するように、地方自治体に対する手厚い交付金が必要であることは誰も否定できないはずです。景気対策・生活対策・失業対策・地域活性化対策に使途を限定して、1人2万円分ずつ人口に応じて都道府県・市区町村に交付金を出すぐらいの思いきった経済政策が、来年度本予算には求められます。やり方は地方に任せることがポイントで、交付金を元手に、生き返るための創意工夫と切磋琢磨を、地域の人々が惜しむはずがありません。

前回のブログでも少し触れましたが、平成20年度決算処理後の外為特会・国債整理基金特会の積立金の合計は、31兆円です。外為特会と財投特会の運用収益5.8兆円は、すぐにでも活用可能だと思いますが、積立金の31兆円についても、その気になれば使えます。毎年毎年、莫大な積立金が繰越されているのを横目に、新規国債を発行する意味って何でしょう。積立金は活用できないとする財務省は、その理由を明快に説明する責任がありますが、その説明はまったくありません。

来年度予算で1人2万円分の都道府県・市区町村への交付金を実現するには、約5兆円必要ですが、外為特会・国債整理基金特会の積立金を切り崩せば、十分に可能です。政治主導とは、内閣が予算編成をするということであって、内閣が財務省の言いなりになるということではありません。官僚政治の打破を求め、国民は民主党を支持しました。政治主導に、総理の決断力は不可欠です。真に国民のためになる予算編成にするために、総理には、財務省を論破するくらいの熱意と実行力を持っていただき、この難局に対峙していただきたいと思います。

税外収入の生きた使い方

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一般会計・特別会計の「不用額」「剰余金」など「税外収入」の生きた使い方

先般の事業仕分けでは、どんなに見積もっても1兆6~8千億円程度の財源しか捻出できませんでした。しかも、立花隆氏が「バーバーリヤンが寄ってたかって、日本という国をぶっ壊しつつある・・・」と表現したように、独法や公益法人の仕分けこそ徹底すべきなのに、必要な事業そのものまで縮減を求める今回の事業仕分けは、科学者や漢方の専門家、スポーツ選手などが記者会見をして危機感をあらわにしたことからも明らかなように、相当不適切な点があったことも事実です。

財務省によると、来年度の税収見込みは37兆円です。国債発行額44兆円と一次補正の見直し約3兆円とを合わせると来年度は総額84兆円の収入が見込めますが、景気対策はもとより、円高・デフレ対策、民主党のマニフェスト実現のためには、税外収入で、あと18.5兆円程度はどうしても必要です(Cf:麻生政権下の本予算と第一次補正の合計は102.5兆円))。

これまで税外収入は、財務省が最後に帳尻を合わせるというやり方で、完全にブラックボックスでした。しかし、民主党政権下ではそれをオープンにして、国民誰もが納得のいく、税金の生きた使い方をしなければなりません。そのためには、一般会計と特別会計について、もっと大胆かつ詳細に切り込まなければならないのです。

再三このブログでも指摘していますが、不用額だけ見ても、平成20年度は、一般会計1兆8,178億円、特別会計11兆7,625億円です。この不用額も含めた特別会計の剰余金は、平成20年度決算で28.5兆円にのぼります。

中でも注目すべきは、特別会計のなかの外為特会・財政投融資特会・国債整理基金特会の積立金運用収益です。平成20年度決算処理後、外為特会は20兆5,586億円、国債整理基金は11兆1,172億円の積立金があり、平成20年度単年で、外為特会は3.4兆円、財投特会は2.4兆円、合計5.8兆円の運用収益(調達コストとの差)があります。

 従って、

① 独法・公益法人の内部留保や基金の国庫返納

② 一般会計と特別会計の不用額

③ 外為特会・財投特会の運用収益

④ 外為特会と国債整理基金の積立金の取り崩し

これら①~④を組み合わせることによって、合計20兆円税外収入は、十分確保できるのです。

民主党政権が今やらなければならないことは、漢方薬の保険適用除外を含む診療報酬・科学技術の予算削減や景気対策にまったく逆行する増税などではなく、景気対策、円高・デフレ対策、マニフェスト実現のための、「一般会計・特別会計の不用額」・「特別会計の積立金・剰余金」・「独法・公益法人の埋蔵金」の生きた活用方法を考えることです。

廃止するガソリン暫定税率2.5兆円分の穴埋めのために環境税を導入することは、国民への裏切りです。今回登場した環境税は、これまで環境省が提案してきた二酸化炭素税とは全く異なり、ガソリン等の燃料狙い撃ちの、単なる財源確保のための増税でしかなく、CO2削減を目的とするものではありません。

二次補正および来年度予算編成という重要な局面を迎え、政策判断を誤らぬよう、民主党政権の正しい選択を期待します。

 

(参考資料)小沢幹事長への要望書(2009年12月1日)

提出者:民主党衆議院 総務委員会 農林水産委員会 経済産業委員会 国土交通委員会 環境委員会 委員会有志一同

~政治主導とは、マニフェストを実現することである~

1. 本年度第二次補正予算、来年度本予算の規模は、景気対策、円高・デフレ対策、マニフェスト実現のための必要かつ十分な規模(麻生政権の合計102.5兆円を下回らない額)とし、財源は税収(38兆円)、国債(44兆円)、第一次補正見直し分(2.9兆円)のほか、税外収入(一般会計・特別会計の不用額・剰余金・積立金、独立行政法人・公益法人の過剰な内部留保・基金など20兆円程度が捻出可能)を最大限に活用していただきたい。

2. 子ども手当、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償制度、ガソリン税等の暫定税率の廃止、高速道路無料化等のマニフェスト項目は、可能な限り来年度予算に盛り込み、温暖化対策税などの増税を財源としないようにしていただきたい。

3. 来年度予算編成の基本方針・税制改正、マニフェストの実現方法については、小沢幹事長が参加する政府と党の首脳会議で決定していただきたい。(以上)

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事業仕分け:漢方薬の保険適用除外で、いくら捻出したいのか!?ムダな独法の廃止が最優先!

事業仕分けで漢方薬を保険適用外とした場合の予算削減規模について、行政刷新会議ワーキンググループの評価結果や配布資料のどこを見ても、具体的な数字はまったく書いてありません。そこで、財務省主計局の担当部署に問い合わせをしてもらったところ、あまりにも想定外の応えが返ってきて、大変驚きました。さすがの私も、唖然、です。

漢方薬を保険適用外と仕分けした財務省主計局の担当者から出た言葉は、「細かい数字は掌握しておらず、厚労省担当者とのやり取りを通しての感覚だと、(36兆円の医療費のうち)漢方薬はだいたい1千億ぐらいではないか」、というものだったのです。漢方治療の現場を大きく動揺させ、漢方治療に頼っている患者さんを不安に陥れた責任省庁(財務省および厚労省)の、なんと、これが返答です。

事業仕分けで、総額1兆8千億円をひねり出したと言われていますが、財務省のこのような回答に触れると、それさえも、極めてあやふやな数字なのではないかと、疑いたくなります。

財務省の言うとおり、漢方薬の医療費が約1千億円だとすると、そのうち国庫負担分(税金)を1/4として計算すると、250億円がこの事業仕分けによって捻出されるということになります。しかし、漢方薬を保険適用外にするという評価は、漢方医療の現場を知らない人たちによる、間違った判断です。

250億円という金額を捻出したいのであれば、厚労省所管の15の独立行政法人や720を超える公益法人の精査を、まずは先にやるべきです。厚労省自身の立ち入り検査でも、100以上の公益法人が改善すべき点があるとみなされており、独法と公益法人の事業仕分けを行えば、250億円くらい簡単に出てきます。

たとえば、国の特別会計から、(独法)高齢・障害者雇用支援機構に年間約167億円、(独法)雇用・能力開発機構に年間約769億円、合わせて約936億円組織運営費が交付されています。事業費は別途計上されており、936億円という数字は、純粋に組織の運営のためだけにかける費用なのです。

しかも、(独法)高齢・障害者雇用支援機構には、各都道府県に「都道府県雇用開発協会(社団法人or財団法人)」という組織がぶら下がっており、そこでは1日数人訪れる相談者に対して、そのままハローワークに行くよう指導しているにすぎないのが実態です。同じように(独法)雇用・能力開発機構にも、各都道府県に都道府県センターが存在します。なかでも「私のしごと館」なる無味乾燥の巨大箱モノは、つとに有名。過去には「スパウザ小田原」のような、豪華リゾートホテルまでをも抱えていました。

民間企業なら、時流に合わせて、非情とも言えるほど大胆な雇用調整や工場閉鎖を断行しコスト削減に挑むところを、独立行政法人という伏魔殿では、毎年毎年、組織運営費に莫大な交付金を費やし、組織をぜい肉で肥大化させてきているのです。どう考えても、これらの独法や付随する公益法人は信用できず、すべて必要ありません。人々に馴染み深いハローワークや都道府県などに直接事業費を渡して、雇用支援事業を効率的に行っていくべきです。

政府は、250億円という金額を捻出したいのなら、漢方薬を保険適用除外にするのではなく、高齢・障害者雇用支援機構と雇用・能力開発機構の2つの独法を、即座に廃止すれば良いのです。十分おつりがきます。事業仕分けでは、何よりも先に、独立行政法人や公益法人の仕分けを行うべきだったのです。

それにしても、医療用漢方薬を事業仕分けの対象にしておいて、財務省も厚労省も事業の正確な基本的データを持っていないという状況を、私たちはどのように解釈すればよいのでしょうか。今回の事業仕分けでは、誰が見ても仕分けの対象となるべき事業は幾つもありましたが、漢方薬の保険適用除外のように、明らかに間違いであると同時に、管轄である厚労省も予算を査定する財務省も、事業に関する正確なデータを持っていないことが判明すると、誰が何を基準に仕分けの対象を選んだのか、今となっては非常に不可解でなりません。

人間を見ず病巣しか見ない、検査データ至上主義の西洋医学の欠点を補って余りある漢方は、西洋医学と並んで、日本の医療を支える両輪のひとつです。2002年からは、薬学部に続き医学部においても他の分野と同等に漢方の講義が行われるようになりました。未病の段階から人体に有益に作用する漢方は、セルフメディケーションにおける必須アイテムでもあり、膨大に膨らむ医療費の抑制に、むしろ大きく寄与する存在です。

政府が正しく漢方の意義を理解し、漢方薬を保険適用から除外するという愚挙に出ることのないよう、心から願っています。また漢方薬・生薬認定薬剤師のひとりとして、私も、漢方薬の有益性について更に情報発信していくよう、これからも努力します。

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