TPP関連法案(著作権法改悪に注目)は、TPP協定発効まで施行されない

今週号のメルマガの一部を紹介します。

12月9日、参議院本会議で、TPP協定の承認案件とTPP関連法案(「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」)が可決成立しました。しかし、TPP協定は、11月21日のトランプ次期大統領のTPP撤退宣言によって、発効の可能性がなくなり、TPPは漂流状態となりました。

安倍総理は、それでもアメリカ以外の11ケ国が批准手続きをとって、最後はアメリカを説得してTPP協定を発効させると言い張っています。言い換えれば、アメリカ抜きの11ケ国によるTPP協定や、日米FTA or EPAなどは行わない、ということになります。

TPP関連法案は、独占禁止法、特許法、商標法、関税暫定措置法、薬機法(旧薬事法)、畜産物価格安定法、砂糖及びでん粉価格調整法、著作権法、(独)農畜産業振興機構法、特定農林水産物等名称保護法(地理的表示法)、日豪協定情報提供法など11本の関係法律の改定がパッケージとなって一本の法律になったものですが、この法律の附則第1条に、「この法律は、環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日(「発効日」)から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する」とあるので、地理的表示法以外は、TPP協定が発効しない限り、施行されないことになりました。

まさに「大山鳴動して子鼠一匹」状態です。

なかでも、著作権改悪法(保護期間を50年から70年に延長・非親告罪化・法定損害賠償等)については、特に強く反対してきたので、日米二国間交渉で改悪法が踏襲されることのないよう、監視していきたいと思います。

一方、TPP漂流で注目度が高まったRCEP〈アールセップ/東アジア地域包括的経済連携/ASEAN+6(日中韓印豪NZ)〉は、15の交渉分野(TPPの21の交渉分野から、概ね、国有企業・政府調達、労働、環境分野を除いたもの)のうち、「経済技術協力」「中小企業」の二分野で合意し、次回以降「サービス貿易」「知的財産権」の交渉が行われるようですが、今のところ著作権法改悪の議論は出ていないようです。

RCEPは、関税撤廃率(自由化率)を協定発効時65%、発効後10年で80%とすることで合意しており、16ケ国全てでwinwinの関係を構築するためには適切な目標だと思います。

日本は漂流したTPPの基準をRCEPに決して持ち込んではならない、と思います。

●内閣官房HP「TPP関連法案概要

●外務省HP「RCEP

●経済産業省「RCEP

 

 

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ジェネリック医薬品(後発医薬品)と特許リンケージについて

先週のメルマガでも触れたTPP協定の「特許リンケージ」について、RCEPを踏まえ、考えてみたいと思います。

厚生労働省によると、ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造販売される、新薬と同一の有効成分を同一量含み、同一の効能・効果を持つ医薬品のことです。一般的に、開発費用が安く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっており、ジェネリック医薬品の普及は、患者負担の軽減、医療保険財政の改善に資するもので、政府がこれを積極的に推進し、2017年6月末に70%以上、2020年度末までのなるべく早い時期に80%以上を目標としています。

 TPP協定には、
第18章 知的財産・第53条特定の医薬品の販売を関する措置、という条文があります。(←54ページ目)

1.締約国は、医薬品の販売を承認する条件として、安全性及び有効性に関する情報を最初に提出した者以外の者が、以前に承認された製品の安全性または有効性に関する証拠又は情報(例えば、先行する販売承認であって、当該締約国によるもの又は他の国若しくは地域の領域におけるもの)に依拠することを認める場合には、次のものを定める。

(a)当該最初に提出した者以外の者が当該承認された製品又はその承認された使用の方法が請求の範囲に記載されている適用される特許の期間中に当該医薬品を販売しようとしていることについて、当該医薬品が販売される前に、特許権者に通知し、又は特許権者が通知を受けられるようにする制度

(b)特許権者が、侵害しているとされる製品の販売前に、(c)に規定する利用可能な救済手段を求めるための十分な期間及び機会

(c)承認された医薬品又はその承認された使用の方法が請求の範囲に記載されている適用される特許の有効性又は侵害に関する紛争を適時に解決するための手続(司法上又は行政上の手続き等)及び迅速な救済措置(予備的差止命令又はこれと同等の効果的な暫定措置等)

2.締約国は、1の規定の実施に代えて、特許権者若しくは販売承認の申請者により販売承認を行う当局に提出された特許に関連する情報に基づき又は販売承認を行う当局と特許官庁との間の直接の調整に基づき、当該特許権者の承諾又は黙認を得ない限り、請求の範囲に記載されている特許の対象である医薬品を販売しようとする第三者に販売承認を与えない司法上の手続以外の制度を採用し、又は維持する。
(引用終わり)

長い引用になりましたが、このTPP協定第18章第53条が、いわゆる「特許リンケージ(パテントリンケージ)」で、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を承認する際に、先発医薬品メーカーに通知したり、先発メーカーとの事前調整を求めるなど、先発医薬品の有効な特許期間を考慮して、訴訟等により製品の安定供給の問題が生じることがないようにする仕組みです。

つまり、新薬特許期間中にジェネリック医薬品が申請された場合、先発品メーカーが異議申し立てをすれば、係争中はジェネリック医薬品の製造承認は「保留」となるのです。

日本政府は、我が国では、この仕組みが既に導入されており、TPP協定によって、制度の変更を求められるものではない、と説明しています。

我が国では、平成21年6月5日の厚生労働省医政局経済課長・医薬食品局審査管理課長通知等に基づく指導によって、ジェネリック医薬品の販売後に、特許侵害訴訟などにより製品の安定供給の問題が生じることのないよう、「パテントリンケージ」として、先発医薬品メーカーから報告された先発医薬品の特許に関する情報(「医薬品特許情報報告票」)に基づき、先発医薬品の有効成分に特許が存続している場合には、ジェネリック医薬品の製造販売の承認がなされない、ことになっています。

特許法第67条で、新薬の特許の存続期間は「20年」+最大5年です。新薬の開発・審査には10年から15年を要するため、新薬には5年から10年の独占販売期間が認められ、さらに、5年を上限に特許延長が認められています。

日本の先発医薬品メーカーは、物質・製法・製剤等と特許を何段階にも分けて、特許を段階的に取得することによって独占販売期間の延長を図っています。

その上、近年では、先発品メーカーが関連の後発品メーカーなどに特許の使用権を与え、先発医薬品と全く同じ成分(原薬・添加物)と製造方法でつくるジェネリック、いわゆる「オーソライズド・ジェネリック」(AG)=先発メーカー公認ジェネリックが定着しつつあります(生物学的同等性など、本来、新薬の開発では必要な試験が不要となる)。

先発医薬品とほぼ同じもの(メーカー名などタブレットの刻印が異なる程度)を、先発医薬品の特許が切れる半年前から、他のジェネリックに先駆けて独占販売することができるためAGメーカーにとって有利であることは勿論ですが、特許が切れた後もロイヤリティを期待できることから、先発品メーカーにとっても、一粒で二度おいしい、極めて戦略的価値の高い商品になり得るものです。

サノフィ社の抗アレルギー剤「アレグラ」や第一三共の抗菌剤「クラビット」のAGは、ジェネリックとはいえ、先発品と「全く同じ」という安心感を、消費者に与えています。

一方で、データねつ造・利益相反で刑事事件となったノバルティス社の降圧剤「ディオバン」は、東京地検がノバルティス元社員を薬事法の誇大広告違反で逮捕した2014年6月、ノバルティス社のジェネリック医薬品事業部門である「サンド」社から、AG「バルサルタン」を発売しました。名前を代えての新たな船出とも言えるでしょう。

また、武田の降圧剤「ブロプレス」は、データねつ造の不正が発覚した直後の2014年9月、関連会社のあすか製薬が、プロプレスのAG「カンデサルタン」を発売しました。

先発医薬品メーカーは、何段階にも特許を分けて取得し、特許リンケージによって保護され、場合によっては戦略的に「オーソライズド・ジェネリック(AG)」を販売することによって、利益を追求しています。

しかし、国民・消費者の立場に立てば、我が国の青天井の医療費を抑制していくための方策の一つとして、ジェネリック医薬品の更なる普及は欠かせません。

かつて日本では、医療従事者らは「ゾロ」と呼び、後発医薬品を蔑んでいました。先発品と比べ明らかに効き目が劣るなど、品質の信頼性に欠けることから、後発医薬品の普及は遅々として進みませんでした。ところが、厚生労働省が一般名を表す「ジェネリック」という表現を積極的に用いるようになり、徐々に、ゾロならぬジェネリック医薬品は、認知されるようになりました。

特許リンケージについて、「国境なき医師団(MSF)」などは、新興国でのジェネリック医薬品の製造販売の大きな制約となる可能性があるとして、強く反対しています。

トランプ次期大統領のTPP離脱宣言で、日本は、成長市場であるアジアを中心とするRCEP(東アジア地域経済連携協=ASEAN+6)を、参加国winwinの関係で発展させる方向に舵を切るべき時がきています。中国も含めて、経済連携と地域的集団安全保障の枠組みを構築して、中国がルール違反をすれば経済制裁を受ける仕組みをつくるのです。

多国籍メジャーの利益のための協定であるTPPは断固反対すべきですが、RCEPも反対という議論は行き過ぎです。ASEAN+6はそもそも日本の提案ですし、それぞれの国がwinwinとなり、同時に市民・消費者の利益に資するような議論を日本が提案し、まとめていく必要があると思います。

RCEPはインドを含みます。インドでは、特有の不特許事由が存在し、日本で行われているような特許取得はできません。低所得者層の医薬品アクセスの確保を目的とした政府の政策的観点、と考えられています。不特許事由が存在する模倣品大国・インドを含むRCEPでは、特許リンケージは新たな議論の一つになるでしょう。偽薬は排除しなければなりませんが、winwinの関係をつくるために慎重な議論が必要です。

 

●内閣官房 TPP「Q&A」(全体版)~Q.14(特許リンケージについて)

●平成21年6月5日・厚生労働省医政局経済課長・医薬食品局審査管理課長通知
「医療用後発医薬品の薬事法上の承認審査及び薬価収載に係る医薬品特許の取扱について」
こちら

●特許庁技術懇話会HPより
インドにおける医薬分野の特許の審査について

 

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RCEPは日本主導、中国主導ではありません。TPPではなくRCEPを!

トランプ大統領の誕生で、米国がTPPから撤退する方向となり、今、RCEP(アールセップRegional Comprehensive Economic Partnership東アジア地域包括的経済連携/ASEAN+6(日中韓印豪NZ)に注目が集まるようになりました。

私は2011年10月15日の「はたともこブログ」で表明して以来、一貫して、TPPに反対し、RCEPを推進すべきだと主張してきました。

2011年10月15日「はたともこブログ」
註:ブログでリンクをはっている「経済産業省・対外経済政策総合サイト」は、盛りだくさんの詳しい内容でお勧めのページだったのですが、いつのまにか消えてしまっていました。TPP推進派による圧力でもあったのでしょうか。

日本の大手メディアや安倍政権は、RCEPは中国主導だと言いますが、それは違います。
もともとは、2005年4月に中国が提案した東アジア自由貿易圏構想(EAFTAイーフタ/ASEAN+3(日中韓))と、2007年6月に日本が提案した東アジア包括的経済連携構想(CEPEAセピア/ASEAN+6(日中韓印豪NZ))とを統合して、2012年11月ASEAN側からの提案としてRCEP(ACEAN+6)交渉の立ち上げが宣言されたのです。

※外務省HP 
2012.11 共同宣言文  交渉の基本指針及び目的

RCEPは、ASEAN10ケ国に、日本・中国・韓国・インド・オーストラリア・ニュージーランドが参加する、人口約34億人(世界全体の約半分)の、世界で最も成長力のある巨大市場です。

日本、インド、オーストラリア、フィリピン、ベトナム等々も有力メンバーなので、中国の独断専行やルール違反は許されません。TPPのように、安全保障も含めて中国包囲網をつくるのではなく、中国も含めて、経済連携と地域的集団安全保障の枠組みを構築して、中国がルール違反をすれば経済制裁を受ける仕組みをつくればよいのです。

RCEPは、TPPのような多国籍巨大資本の利益のためのグローバリズム=強欲資本主義ではなく、一定の国境措置を認め、全ての参加国がwinwinとなるルール作りができると思います。それを基準に、次の段階で、アメリカ、ロシア等も含めた、APEC参加国によるFTAAP(エフタープ。アジア太平洋自由貿易圏)を構築すべきだと思います。

 

外務省HP 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

経済産業省HP 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

 

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TPPを御破算にするトランプ大統領誕生を機に、日本を狙う巨大ワクチンビジネスの検証とワクチン政策の抜本的見直しを!

2009年、鳩山内閣によって廃止されたいわゆる「日米年次改革要望書」(規制改革及び競争政策イニシアティブ)は、次の菅内閣によって「日米経済調和対話」として復活し、その中で米国は、2011年12年と二年連続で、2013年に日本で法定接種となったHib・肺炎球菌・HPVの3種のワクチンを、日本政府に強力にプッシュしています。 

明らかに、米国政府が具体的に多国籍製薬メジャーのワクチンを挙げて、日本政府に強く要求し、その結果、これらのワクチンは日本で法定接種となり、公費助成となったのです。 

2011年・12年の「日米経済調和対話」で、このように、具体的に3種のワクチンが提示されましたが、実は、年次改革要望書の時代から、米国はワクチンの売り込みに積極的でした。 

2007年6月6日付の「第6回/規制改革及び競争政策イニシアティブ」報告書には、「ワクチン産業ビジョン推進委員会を設置し、米国業界を含む関係者との見解の交換を進め」、さらに、「厚生労働省はワクチンの規制について、米国業界を含む業界と意見交換を行う」と記されています。

2008年7月5日付の第7回報告書には、「日本国政府は米国業界を含む業界と、ワクチン審査の改善について引き続き意見交換する」と記しています。「ワクチンギャップ」という言葉で日本国民をあおり、日本でのスピード承認を是とする機運を、彼らはこうして高めていきました。

2009年7月6日付の第8回報告書にも、「厚生労働省は医療保険制度におけるワクチンに関する事項について、米国業界を含む業界と引き続き議論を行う」と記しています。

そして、オバマ大統領は、日本にTPP協定を迫り、TPP協定発効後は、ISDS条項やラチェット条項、またパテントリンケージなどで、多国籍製薬メジャーが、日本市場の席けんを狙っています。

このように、米国政府が多国籍製薬メジャーの代理人として、日本に強力な圧力を加えてきた背景には、米国政府(CDC米国疾病予防管理センター、FDA米国食品医薬品局など)と多国籍製薬メジャーとの人事交流、いわゆる「回転ドア」の、露骨な利益相反があります。例えば、2002年から2009年までCDC長官だったジュリー・ガーバーディング博士が、2009年に米メルク社・ワクチン事務部門の最高責任者に就任しています。新薬の承認、販路の拡大などを、米国政府と多国籍製薬メジャーが一体となって強力に推し進め、巨万の富を獲得しているのです。

そして、彼らはWHOをもコントロールしています。「健康の増進と保護/感染症対策」を大義名分として、様々な声明をWHOの名で発出しています。彼らは、WHOを総本山・司令塔として、人類全てをターゲットにして、ワクチンビジネスを展開しているのです。日本政府に対しても、HPVワクチンの勧奨再開・超推進を求める声明を、再三にわたり発出しています。

WHO総予算の中で突出しているのは、総予算の約10%を「使途指定」で寄附するビル&メリンダゲイツ財団です。2014年WHO総予算26.3億円のうち、ビル&メリンダゲイツ財団は2.6億ドルを寄附しています。ビル&メリンダゲイツ財団が、グローバルヘルス、特にワクチン・感染症対策に非常に熱心であることは大変有名ですが、ビル・ゲイツ氏は2010年TEDカンファレンスで、次のような発言をしています。彼は「ゼロへのイノベーション」と題する講演の中で、CO2排出量をゼロにするためにはまずは人口だと述べ、「新ワクチンや保健医療、生殖関連で十分な成果を収めれば、おそらく10%から15%抑えることができるかもしれません」と述べているのです。ビル・ゲイツ氏にとって「ワクチン」とは、単純に「命を救うもの」、という位置づけだけではなさそうです。

すなわち、米国にとって、ワクチンは世界をコントロールする戦略商品です。TPP推進の米国企業連合の中心は、多国籍製薬メジャーです。ISDS条項によって、既に法定接種となっているHPVワクチン、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、更にいずれは法定接種を狙っている現在は任意のロタウイルスワクチンなど、多国籍製薬メジャーが日本国民の生命と健康をコントロールできるのです。

多国籍製薬メジャーの利益追求活動に、日本の赤ちゃんの生命をあずけることはできません。日本国の責任で、ワクチンの安全性・有効性・必要性、費用対効果を全面的に再検証して、日本のワクチン政策を抜本的に見直すことが必要なのではないでしょうか。

いまや、ワクチンは感染症予防という概念ではなく、「人間の安全保障」の問題としてとらえるべきです。トランプ大統領誕生を機に、TPPは御破算にして、世界の巨大ワクチン利権についても、あらためて検証する必要があると思います。

 
(これらの時期のHPVワクチンの国内での動き)
・2007年11月 「ガーダシル」日本で承認申請
・2007年9月 「サーバリックス」日本で承認申請
 ※厚生労働省の指導で、臨床試験終了前に、承認申請
・2009年9月 厚生労働省/薬事食品衛生審議会/薬事分科会「サーバリックス」承認を「異議なし」議決
・2009年10月 「サーバリックス」日本で承認
・2010年7月 「ガーダシル」承認「再」申請
 ※不適切な臨床試験で、承認申請をいったん取り下げている)
・2010年11月 HPVワクチン公費助成開始
・2011年7月 「ガーダシル」日本で承認
・2013年3月 「Hibワクチン・肺炎球菌ワクチン・HPVワクチン」法定接種化となる改正予防接種法が成立


TPP・ISDS条項と多国籍製薬メジャーワクチンについて

TPP・ISDS条項と子宮頸がんワクチンについて

 

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TPPではなく、日本主導のRCEPを!(アールセップ/東アジア地域包括的経済連携=ASEAN+6)

私がTPPに強く反対する理由は、以下の6つです。
1.グローバリズム=強欲資本主義の協定で、1%の利益となっても99%の不利益となる

2.日本農業の自給率・自給力の著しい低下

3.GMO遺伝子組み換え食品・成長ホルモン畜産品等の流通拡大

4.著作権の消費者不利益(保護期間70年、非親告罪、法定損害賠償、ネット規制)

5.ISDS条項(投資家対国家の紛争処理)
→例えば、日本政府の子宮頸がんワクチン勧奨中止政策に対して、ワクチンメーカー(外国企業)が1千億円以上の損害賠償請求をする可能性

6.徹底した情報非公開

私は、以前からTPPには強く反対でしたが、
「(現在交渉が継続している)RCEPをまず締結して、その後、TPP参加国を含めて、FTAAP を構築していくべきだ」と、主張してきました。グローバリズム(強欲資本主義)ではない、公平・公正な国際経済のルールは必要です。

※RCEP
アールセップRegional Comprehensive Economic Partnership/東アジア地域包括的経済連携

※FTAAP
エフタープFree Trade Area of the Asia-Pacific/アジア太平洋自由貿易圏

最近では、RCEPについても、安倍政権が主導してTPPのルールを持ち込もうとする動きがあり、私のTPP反対理由の特に次の3項目、
1.グローバリズム=強欲資本主義の協定で、1%の利益となっても99%の不利益となる
5.ISDS条項(投資家対国家の紛争処理)
6.徹底した情報非公開
については、要注意だと思います。
2.日本農業の自給率・自給力の低下3.遺伝子組み換え食品・成長ホルモン畜産品等の流通拡大4.著作権の消費者不利益も、勿論あってはなりません。

RCEPは「ASEAN+6」と言われるASEAN10ケ国と日本・中国・韓国・インド・オーストラリア、ニュージーランド6ケ国の枠組みです。

※ASEAN10ケ国
インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス

当初は中国の提案で、ASEAN+3(日本・中国・韓国)の動きが先行したのですが、日本の提案で、印・豪・NZを加えたASEAN+6の動きが進み、2012年4月のASEAN首脳会議声明に基づき、2012年11月にRCEP交渉開始が宣言されたのです。「ASEAN+6」は、中国の「ASEAN+3」に対する、日本の構想だったのです。

RCEPが実現すれば、人口約34億人(TPPは約8億人)の広域経済圏となります。FTAAPは、APEC加盟の21の国・地域による貿易圏構想です。

※APEC(エイペック)Asia-Pacific Economic Cooperationアジア太平洋経済協力
参加の21国・地域:ミャンマー・ラオス・カンボジアを除くASEAN+日中韓豪NZ、アメリカ、ロシア、カナダ、チリ、メキシコ、ペルー、パプアニューギニア、台湾、香港

私は、RCEPは、各国の消費者・市民も含めて、winwinの関係を構築しなければならないと思います。特に食と健康の安全・安心と農業については、企業利益中心の貿易ルールではなく、一定の国境措置が必要で、それを国際標準にすべきだと思います。

安倍倍理は、TPPを中国に対抗する安全保障政策(中国包囲網)とも位置付けていますが、それは間違いだと思います。むしろASEAN+6やAPECの枠組みで、安全な輸送路の確保、国際法の遵守等のルールをつくり、中国がルール違反を犯せば経済制裁する仕組みをつくるべきです。そして、いずれはAPECを、アジア太平洋の地域的集団安全保障体制の構築に、つなげていくべきだと思います。

外務省ホームページより
RCEP

APEC

 

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TPP・ISDS条項と多国籍製薬メジャーワクチンについて

TPP協定が発効したら、協定第9章投資の第B節・投資家と国家との間の紛争解決
いわゆるISDS(Investor-State Dispute Settlement)条項によって、日本政府による子宮頸がんワクチンの勧奨中止政策に対して、投資家であるワクチン製造販売元の外国法人2社(GSKグラクソ・スミスクライン社とMSD社・米国メルク)が、それぞれ数百億円規模以上の損害賠償請求をする可能性があり、仲裁裁判となれば、WHOの勧奨再開を求める再三の声明もあるので、日本政府に不利な裁定となるのは、ほぼ確実ではないか、と思います。

実は、日本の予防接種法で法定接種となったワクチンで、TPPのISDS条項発動の可能性のある外資・多国籍製薬メジャーが製造販売するワクチンは、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)以外にも沢山あります。
2013年4月、HPVワクチンと同時に法定接種となったHib感染症ワクチン・アクトヒブは、
フランスが本拠地の多国籍製薬メジャーであるサノフィ社の製品であり、小児用肺炎球菌ワクチン・プレベナーは、世界最大の製薬会社であるファイザー社の製品です。

また、2014年10月から定期接種となった高齢者の肺炎球菌ワクチン・ニューモバックスはMSD社(米国メルク)、今年10月から定期接種となったB型肝炎ワクチン・ヘプタバックスもMSD社(米国メルク)です。

また、定期接種ではない任意接種ですが、ロタウイルスワクチン・ロタテックはMSD社(米国メルク)、同じくロタウイルスワクチン・ロタリックスはGSK社です。

2013年以降に、新たに法定接種となったワクチンを外資・多国籍製薬メジャーの製品がほぼ独占するのには理由があります。アメリカ政府からの強い要求があったからです。

アメリカ政府が日本政府に対して、日本国内での規制緩和を、2001年以来一貫して求め続けた「日米年次改革要望書」は、2009年、政権交代を実現した鳩山由紀夫内閣によって廃止されました。しかし、次の菅直人内閣によって、2011年2月に「日米経済調和対話」として復活したのです。

2011年2月の「日米経済調和対話」の米国側関心事項「ワクチン」の項目には、
【ワクチンに対するアクセス】
日本全国におけるワクチンの供給を促進する長期的解決策を見つけて、2010年に採用されたHIB、肺炎球菌、HPVワクチンについての措置を拡充する
【透明性】
推奨ワクチン特定のための明確な基準およびスケジュールを設け、新ワクチンの日本の患者への導入を迅速化する
【ワクチンに関する意見書】
二国間の協力および意見交換を通じ、国のワクチン計画の策定に対する日本政府の取り組みを促す、
と書いてあります。

2012年1月の「日米経済調和対話協議記録・概要」の「ワクチン」の項目には、
【ワクチンに対するアクセス】
日本国政府は予防接種制度の改正を進めているが、厚生労働省は、Hib、肺炎球菌、HPVワクチンを定期接種の対象に含めることについて十分考慮しつつ、2010年以降実施し、これら三つのワクチンへのアクセスを改善した緊急促進事業を踏まえ、対応していく
【ワクチンに関する意見交換】
2011年7月26日、日米両国政府は昨年に続き2年目となる日米ワクチン政策意見交換会を開催し、日米双方のワクチン政策の短期的・長期的目標への理解を深めるための対話を行った。議題には、米国予防接種諮問委員会(ACIP)や、日米両国でのワクチンの安全性に関する論点が含まれた。日米の当局者は、ワクチン政策に係るこのような意見交換を継続することへの関心を共有した、と書いてあります。
最近の多国籍製薬メジャーのワクチン導入について、米国政府の強い要求があったことは間違いありません。

※「日米ワクチン政策意見交換会」は、「PhRMA米国研究製薬工業協会」が大きく関わっています。2014年6月18日には東京で記者説明会を実施し、「日米ワクチン政策意見交換会」の一環として、ブルース・ゲリン氏(米国保健社会福祉省保健次官補 兼 国家ワクチンプログラムオフィス所長)と、メリンダ・ウォートン氏(米国公衆衛生局大佐 CDC国立予防接種・呼吸器疾患センター所長)が子宮頸がんワクチン推進を強く呼びかけています。

現在では、定期接種で30回超、任意接種も含めると約40回のワクチン接種に、保護者の皆さんも不安を持っていると思います。いまや、ワクチンは、「人間の安全保障」の問題です。多国籍製薬メジャーの利益追求活動に、日本の赤ちゃんの生命をあずけることはできません。日本国の責任で、ワクチンの安全性・有効性・必要性、費用対効果を全面的に再検証して、日本のワクチン政策を抜本的に見直すことが必要なのではないでしょうか。


TPP・ISDS条項と子宮頸がんワクチンについて


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TPP・ISDS条項と子宮頸がんワクチンについて

TPP協定第9章・投資の第B節・投資家と国との間の紛争解決。
これがISDS(Investor-State Dispute Settlement)条項です。

私は、TPP協定が発効したら、
日本政府による子宮頸がんワクチンの勧奨中止政策に対して、
投資家であるワクチン製造販売元の外国法人2社
(英国GSKグラクソ・スミスクライン社と米国メルク社)が、
それぞれ数百億円規模以上の損害賠償請求をする可能性が十分にあると思います。

子宮頸がんワクチン接種の公費補助予算は、年間300億円で、
3年以上ストップした状態が続いています。
子宮頸がんワクチンとして承認されたのは、
GSK社のサーバリックスと、メルク社のガーダシルの2種類しかなく、
輸入ワクチンの独占市場となっています。

子宮頸がんワクチンは、小学校6年生から高校1年生までの
主として中学1年生の少女全員(約60万人)が法定接種(義務的接種)の対象で、
6ケ月間で3回接種の費用が、
一人当たり約5万円と価格が高いので巨大市場となっているのです。

一方、WHO世界保健機関は、
「弱いエビデンスに基づく政策決定は、
安全かつ有効なワクチンを使用しないことにつながり、
実害をもたらしうる」と、三度にわたり日本政府を批判しています。

日本政府は、
「我が国が、HPVワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛等が
当該ワクチン接種後に特異的に見られたことを受け、
これらの症状の発生頻度等がより明らかになり、
国民に適切な情報提供ができるまでの間、
当該ワクチンの定期接種の積極的な勧奨を中止することは、
同章(註:TPP協定第9章)に規定されている義務に違反するものではない」
(閣議決定答弁書)という見解ですが、
TPP協定第9章第B節のISDS条項により、
ワクチン2社が損害賠償請求することは可能、ということは認めています。

紛争になった場合、TPP協定第9章第B節第9・18条で、
申立人と被申立人(日本政府)は協議及び交渉をしなければなりません。
仲裁手続きとなる場合は、原則として、
世界銀行が設立した投資紛争解決国際センター(ICSID)で仲裁が行われます。
所在地は、米国のワシントンDCです。
仲裁人は3名で、両当事者が1名ずつ任命し、
仲裁裁判所での長となる第3の仲裁人は、
原則として、両当事者の合意又は2名の仲裁人の合意で任命されます。

仲裁裁判となれば、WHOの再三の声明もあるので、
日本政府に不利な裁定となるのは、ほぼ確実ではないでしょうか。
巨大製薬資本と深く結びついたWHO、CDC米国疾病管理予防センター、
FDA米国食品医薬品局などのワクチンビジネスシンジケートのスクラムは、
鉄壁なのです。

そのような展開が予想されるので、
日本政府は、協議・交渉の段階か、あるいはそれ以前の段階で妥協して、
ワクチンの勧奨を再開するのではないか、と思います。

ワクチンの効果が期待されるとされるHPV16型・18型に感染しても、
99.99%以上の人は、ウイルス・病変ともに自然に消失して、
子宮頸がんにはなりません。
また、定期的な併用検診(細胞診+DNA検査)で、
感染・前がん病変は、ほぼ100%発見され、
子宮頸がんになる前の段階で適切な治療がほどこされるので完治します。
定期的な併用検診で、子宮頸がんは予防できるのです。

既に日本の少女たち約340万人が接種を受け、
数千人以上の少女たちに重篤な副反応被害が起こり、
今なお多くの少女たちが深刻な症状に苦しんでいます。
全く必要ない子宮頸がんワクチンは、
承認取消しか、義務ではない任意接種とし、
あわせて、TPP協定は断固阻止するしかないと思います。

外務省HP「国家と投資家の間の紛争解決(ISDS)手続の概要(H28.10)


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「世界に打って出る」なら、5億人市場のTPPより、33億人市場の「ASEAN+6」だ

政府は、「ASEAN+6EPA構想(東アジア包括的経済連携Comprehensive Economic Partnership in East Asia:CEPEA)」を次のように位置付けている。

 

(CEPEAとは)

・貿易投資自由化と経済協力を車の両輪とし、ASEANを扇の中心として進める東アジア地域の経済統合。

日本が主導して進めるイニシアティブであり、中国、インド、インドネシア等の新興国を巻き込んだ広域経済統合を推進し、経済政治両面で日本の影響力を維持・強化。

FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)のビルディングブロックとして、TPPと有機的に連関しながら推進すべきもの

 

(意義)

・日本企業を中心とする東アジア生産ネットワークという実態面での市場統合を政府として制度面から支援。

対象範囲の市場としての巨大さ・潜在性(インドまでカバーする経済統合)。

・GDPへの寄与度(対象範囲が広い。現状の「ハブ・スポーク」を「面」にすることで統合が一層深化。)

・日本の経済外交ツールとしてのオリジナリティ(ASEAN中心性の尊重、自由化・円滑化と経済協力(含インフラ整備)との併用、ERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)の存在等)

 

(産業界からの期待)

ASEAN+6の推進

(中略)わが国としては、将来におけるASEAN+6とTPPの円滑な統合を促し、FTAAPの実現に貢献すべきである。(中略)遅くともASEAN自由貿易地域(AFTA)の域内輸入関税が撤廃される2015年までにASEAN+6を完成すべきである。*(社)経団連「わが国の通商戦略に関する提言」(11年4月)より抜粋

 

以上、経済産業省・対外経済政策総合サイト CEPEA(東アジア包括的経済連携)(ASEAN+6EPA)構想概要より引用

 

政府は、日本が「世界に打って出る」ためにTPP参加が必要だと主張するが、まさに「世界に打って出る」ならASEAN+6EPA構想の方がより戦略的であり、日本にとっての国益だ。政府構想も指摘する通り、何よりもTPPとASEAN+6とでは抱える人口が桁違いだ。TPP(シンガポール・ブルネイ・チリ・NZ・米・豪・ベトナム・ペルー・マレーシア)の合計は5億人。対するASEAN+6(インドネシア・シンガポール・タイ・フィリピン・マレーシア・ブルネイ・ベトナム・ミャンマー・ラオス・カンボジア+日中韓印豪NZ)の合計は33億人。

 

TPPにあってASEAN+6にない国は、米・チリ・ペルー。ASEAN+6にあってTPPにない国は、インドネシア・タイ・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジアそして日本・中国・韓国・インド。インド・中国を含むASEAN+6の巨大市場は、日本に無限の可能性を与えるものだ。一方、米国が、日本をTPPに巻き込み、日本を通してASEAN+6の巨大市場を取り込みたいと考えるのは想像に難くない。

 

しかし日本はTPPを決して甘く見てはならない。前原誠司氏はTPP慎重派を事実に基づかない議論をする「TPPおばけ」と揶揄したが、事実に基づかない妄想を抱いているのはどっちの方か。米GMOメジャー「モンサント」が米政府と一体となってアルゼンチン、メキシコ、パラグアイ、インド、イラクの食糧主権・農業主権を奪った「事実」に基づけば、日本がTPPに参加する行為は、まさにカモがネギをしょって罠に落ちる姿そのものである。

 

外国市場での障壁撤廃のために「強い保護」と「最大限の市場アクセス」を求めた「TPPのための米国企業連合」にモンサントは名を連ねる(主役)。「TPPのための米国企業連合(米国1%の支配層)」は、2011.2.3、ジーン・スパーリング国家経済会議委員長宛ての文書で、自分たちに絶対優位にTPP交渉を推し進めるよう強く要請している。TPPでの日米winwinなどあり得ないことは、既にはっきりしているのだ。

 

奇しくも経産省・対外経済政策総合サイトで掲げるように、日本が目指すべきは、ASEAN+6(33億人市場)の経済連携を強化して、将来TPP(5億人市場)と統合し、更に、ロシア・カナダ・メキシコ等も含むFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を実現させることだ。今夏8/13、ASEAN+6の経産閣僚は、日本と中国の共同提案「東アジア自由貿易地域(EAFTA)及び東アジア包括的経済連携(CEPEA)構築を加速化させるためのイニシアティブ」を歓迎し協議を開始した。日本政府がとるべき「世界に打って出る」戦略は、中国・インドも推進するASEAN+6であって、米国支配層による日本支配となるTPPではない。

 

TPPに慎重な民主党191名の国会議員は、ただ署名をするだけでなく、米エージェントの前原誠司氏らTPP推進派を、「ASEAN+6」戦略で論破すべきだ。

 

 

(参考)

 

経産省HP「ASEAN+6EPA構想概要」(リンク切れ)

 

経産省HP「対外経済政策総合サイト」(リンク切れ)

 

外務省HP 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

 

経済産業省HP 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

 

TPPのための米国企業連合(はたともこブログ)

 

TPP米国支配の真実(はたともこブログ)

 

 

 

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TPPのための米国企業連合

外国市場での障壁撤廃のため、TPP交渉を通して米国企業に対する強い保護と最大限の市場アクセスを求めるよう米国政府に文書で要求したTPPのための米国企業連合」一覧(原文はこちら)。

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TPP米国支配の真実

【政府も知らないTPPの詳細】

経済産業省は9/29発表の「平成24年度経済産業政策の課題と対応3.大市場国との経済連携の強化」の中で、「TPP交渉参加の早期判断に向けて、情報収集、地方を含めた国民への正確な情報提供、ルール面を含めた我が国産業にとっての意義などについて検討を行う」と記している。しかし現在までのところ、国民への詳細な情報提供は一切行われていない。未だ政府はTPPに関する詳細な情報を承知していないからだ。野田総理はTPP交渉参加議論について11/12.13のAPEC首脳会談までの決着を目指すと述べたが、このままではTPPの中身とは全く無関係に、米国の圧力にただ屈する形で、TPPへの参加を決めることになる。独立した民主主義国家として、あり得ない選択だ。

 

これまでの限られた情報から、TPPは全24分野と言われている。

1.主席交渉官協議2.市場アクセス(工業)3.市場アクセス(繊維・衣料品)4.市場アクセス(農業)5.原産地規制6.貿易円滑化7.SPS(衛生植物検疫措置)8.TBT(貿易の技術的障害)9.貿易救済措置10.政府調達11.知的財産権12.競争政策13.サービス(クロスボーダー)14.サービス(電気通信)15.サービス(一時入国)16.サービス(金融)17.サービス(e-commerce)18.投資19.環境20.労働21.制度的事項22.紛争解決23.協力24.横断的事項特別部会

 

なかでも特に農業、金融、また弁護士免許や医師免許の自由化、国民皆保険制度崩壊などが懸案事項として取り沙汰されている。前原誠司外務大臣(当時)は「農業は日本のGDPのわずか1.5%」と述べ、農業がTPP参加への足かせとなることに警戒感を示した。しかし食と健康の安全・安心に関わる農業、また医療分野にこそ、日本民族の存亡に関わる重大な問題が潜んでいる。

 

【遺伝子組換作物の罠】

TPPにより多国籍アグリ企業のGMO(遺伝子組換作物)が日本を席巻することになれば、安心安全で世界最高品質を目指す日本の農作物は間違いなく壊滅する。既にモンサントのGMOが侵略した世界各国の現実を見ればその事実は歴然としている。モンサントGMOは生産効率が高いとの触れ込みで導入されるが、同時にモンサントGMO以外の全ての作物を枯らす除草剤「ラウンドアップ」の併用を農家は事実上強いられる。その結果、地域の在来種は全滅することとなる。モンサントは収穫した種子の再利用に対し特許使用料(技術ライセンス料)を農家に課す。こうして農家はモンサントに支配され、特に小規模農家は破滅の危機にさらされることとなる。アルゼンチン、インド、パラグアイ、イラク、またメキシコなどの事例は、決して日本だけがその例外ではないことを強く推認させる。

 

モンサントはアルゼンチンの大地主と組み、無力な零細農家から土地を奪っていった。農民はGMO大豆の特許使用料(技術ライセンス料)を支払わなければならず、小規模農家は生き残れず、土地は大規模なGMO大豆畑に占領されていった。モンサントはこのような手口でインドやパラグアイでも小規模農家を破滅させた。

 

メキシコもまたモンサントの餌食となった国である。メキシコはGMOの栽培を禁止していたが、モンサントはNAFTA(北米自由貿易協定)によりGMOトウモロコシをメキシコに大量輸出、米政府の補助でGMOトウモロコシをメキシコで安価に販売した。その結果メキシコの農家の経営は破壊された。また在来種がGMOと予期せぬ交配をし(モンサントの意図)、在来種は汚染されていった。メキシコは、NAFTAによって多国籍アグリ企業に支配され、食糧主権を脅かされつつあるのだ。

 

一方イラクの事例も日本への大きな警鐘となるものだ。米軍に占領されたイラクは、モンサントら多国籍アグリ企業によって食糧市場を支配された。CPA(連合国暫定当局)命令37号はイラクの法人税率を一律15%に引き下げ、CPA命令39号は外資がイラクの資産(天然資源を除く)を100%保有可能にした。投資家は利益の全額をイラクから持ち出すことが出来た。CPA命令81号は植物品種の特許所有者(モンサントら多国籍GMO種子企業)に対し、向こう20年間イラクの農業でその種子の絶対的な利用権を与えた。命令81号が発せられるや否や、米国国際開発庁は農務省を通じて何千トンという米国産の「高品質、認証済み小麦種子」をイラク農民に配った。当然それはGMOであり、イラクの農民は特許を保有する種子会社と契約させられ技術ライセンス料を支払わなければならなくなった。こうして食糧生産を特許GMOへと強制的に移行させられたイラクの農民は、サダム・フセインの次にモンサントら多国籍GMO種子企業の支配下におかれることとなったのだ。

 

TPPによって日本の食糧がモンサントら多国籍アグリ企業のGMOにとって代わらない保証はどこにもない。当然モンサントは日本に対してもアルゼンチン、メキシコ、イラク等で行ったのと同様の手口で攻めてくる。小規模農家から農地をまきあげ、ラウンドアップの使用で在来種は全滅する。世界最高品質を目指す日本の農作物が、モンサントら多国籍GMO種子企業に支配されるなど決してあってはならないことだが、TPPはその可能性を大きくする。

 

しかも、GMOの人体への悪影響の懸念は払拭されていない。英国ロウェット研究所アーパド・パズタイ博士が、GMOポテトを投与し続けたラットの内臓に著しい変化が認められたことを明らかにした。また牛の成長を加速させるためにモンサントが開発したGMO成長ホルモンrBGHはIGF-1(インスリン様成長因子1)ホルモンの生成を刺激するが、イリノイ大学サミュエル・エプスタイン博士はIGF-1がガンの発生と関連していることを示す科学的証拠が積み上がっていると警告した。継続的に摂取した場合、アレルギーも含めGMOが日本人の健康を侵害し生命を脅かす可能性は、現実に十分に懸念される重大な未解決の問題なのだ。

 

【医薬品輸入規制緩和により日本は人体実験パラダイスとなる】

TPPはまた、製薬メジャー(メルク、グラクソ、ロッシュ、ノバルティス、アストラゼネカ、ファイザーなど)の新薬やワクチンが、今以上に安全性の確認のないまま日本人に大量投与される危険性もはらむ。安全性と効果が未確認の医薬品が日本人に投与されたらどうなるか。「新薬ギャップ」どころか、「治療」や「予防」とは全く逆に、日本人は製薬メジャーのモルモット(商売の道具)となり健康と生命を侵害されることとなる。

 

肺がん治療薬「イレッサ」訴訟が記憶に新しい。メーカーのアストラゼネカは、治験等で致死的間質性肺炎の情報が蓄積され死亡例があったにもかかわらず「副作用が少ない」とイレッサを誇大宣伝、厚労省は腫瘍縮小効果のみで延命効果未解明のまま超スピード承認した。結果、市販半年で180人、2年半で557人が死亡した。欧米なら製薬会社は莫大な賠償金を支払わなければならないところだが、日本では大阪地裁も東京地裁も製薬会社の責任のごく一部しか認めなかった。医薬品の賠償額が極端に低い日本は、製薬メジャーにとって「ボロ儲け」天国なのだ。

 

子宮頸がん予防のHPVワクチンもまたしかりである。グラクソ「サーバリックス」は、2007年10月にオーストラリアで承認されて以降、効果未確認のまま2009年10月日本でも承認された。その後、グラクソは大々的な誇大キャンペーンを展開。今では「内科でも接種できる」とまで宣伝。一部開業医の利益の源となっている。グラクソは子宮頸がん経験者の国会議員と連携するなどして、中高生への集団接種の公費助成を勝ち取った。2011年7月にはグラクソ「サーバリックス」から遅れること2年、メルク「ガーダシル」も日本で承認、公費助成の対象となった。

 

これらのワクチンの添付文書には「予防効果の持続期間は確立していない」と明記されている。効果未確認・研究途上のこれらのワクチンは、世界各国で複数の死亡例を含む重大な副反応が報告されている。製薬メジャーは、日本の少女をモルモットにした上に、日本政府から利益までも保証させているのである。TPPで更に医薬品輸入規制緩和がなされれば、日本は製薬メジャーにとって人体実験・ボロ儲けパラダイスとなることは明白だ。

 

また、新型インフルエンザについても検証する必要がある。特に2009年の「パンデミック」騒動は一体何だったのか。日本はグラクソとノバルティスから大量のワクチンを購入、結果その大半が未使用のまま期限切れとなった。一般的に健常人であれば2,3日寝ていれば治るのに、「特効薬」と称されたタミフルは大量投与され、投与直後の死亡例や10代以上の未成年者の異常行動例が相次いだ。タミフルは米国ギリアド社が開発し、スイスのロッシュが製造販売していた。ラムズフェルド元米国防長官がギリアド社会長であったこと、同氏が同社の株を大量に保有していたことはあまりにも有名な話だが、タミフルの売上の8割を日本が占めたという異常事実も忘れてはならない。

 

【TPPは日本落日一直線】

TPPは米国、特に米国支配階級の為の協定であることは、例えばNAFTAでメキシコの農業がモンサントなど多国籍アグリ企業によって支配され、メキシコの食糧を米国がコントロールするに至った事実からも明らかだ。TPPもNAFTA同様に相互利益を生む「協定」などという生易しいものではない。徹頭徹尾日本に対するペナルティが用意され、条項は米国から日本への事実上の「命令」であり、結果的に米国は戦争をせずして日本を無血開城させ、日本を完全コントロール下に置くということになるのだ。TPPのシナリオは、あまりにも分かりやすい。ヘンリー・キッシンジャー米国務長官(当時)の「石油を掌握(コントロール)すれば諸国の政治経済を操縦(コントロール)できる。食糧を掌握(コントロール)すれば人口を調節(コントロール)できる」の言葉が事態の本質を的確にあらわしている。まさに食糧を戦略兵器として扱うのである。

 

バイオハザードの怪物・多国籍アグリ企業「モンサント」や製薬メジャー「メルク」はロックフェラーの傘下にある。ロックフェラーがGMOをターゲットとする国に導入させ、結果的にその国を支配しようとしていることは、アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、パラグアイ、インド、イラク、その他モンサントらが進出している途上国の現実を見れば明らかだ。ワクチンも同様の武器となっている。オバマが日本にTPP参加を強力に要求する真の理由がここにある。TPPは米国支配体制構築を一気呵成に加速させるものであり、日本は一気に階段を転げ落ちることとなる。現在の経団連会長はモンサントと戦略的協力関係を締結している住友化学会長、経済同友会代表幹事はメルクやグラクソ(ロスチャイルド傘下)と深い関係にある武田薬品社長だ。世界の支配者による日本侵略は着実に進んでいる。

 

【日本はTPPに参加すべきではない】

日本を守るために日本政府は、オバマの圧力に屈することなくTPP参加を断固拒否しなければならない。海江田経済産業大臣(当時)が推進したASEAN+6(日中韓印豪NZ)は、2011.8.14、「東アジア広域自由貿易圏」実現に向けて協議を開始することで合意した。まさにこの方向で連携していくことが日本にとっての利益であり、この上に日米・日EUのFTA・EPAを構築し、将来的にはTPPも取り込んだAPEC・WTOによる自由貿易体制へと発展させていくべきなのだ。

 

大手メディアは「TPP参加」一辺倒の報道ぶりで、日経・読売などは「アジアの成長」を取込む為にTPP参加をと、見当違いも甚だしいデタラメ記事を書いている。「アジアの成長」を取込むならASEAN+6の連携強化だ。日本の新聞なら、TPPは米国益そのもので、TPPは米国の日本支配の道具であると日本国民に向けて主張しなければおかしいが、まるで逆だ。米国はこの無知無能な日本メディアをフルに活用して、この秋のTPP決着を目論むが、民主党はなんとしてもこれを阻止しなければならない。民主党は野田政権の売国的TPP参加を断固拒否し、日本の国益の為に「ASEAN+6」を推進していくべきなのだ。

 

 

(参考資料)

・マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配 アグリスーティカル(食糧・医療編) ウィリアム・イングドール著(2007年7月) 為清勝彦訳(2010年1月) 徳間書店 →こちら

 

・NHK・BS1「アグリビジネスの巨人モンサントの世界戦略 前篇・後編(仏2008)」

 

TPPのための米国企業連合一覧(はたともこブログ)

 

イレッサ訴訟和解勧告拒否で、外資にとって日本は人体実験パラダイスとなる(はたともこブログ)

 

子宮頸がん予防ワクチンへの疑問:重大な副作用(はたともこブログ)

 

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