『生活保障』(宮本太郎著、岩波新書)を読みました。
4章まで読み進めるのがなかなか難儀でしたが、最後の5章でわかった気がしました。
わたしの理解を173㌻の図を参考に言うとこうです。
人のライフステージは、教育、労働市場、家族、退職、失業の5つあります。失業は、「途中で離職し、いったん労働市場の外に出る」といった広い意味です。
労働市場を中心に、教育、家族、失業、退職の各ステージが囲み、4本の双方向型の橋を架けます。
橋を架けるのは政府・自治体に限らず、公益志向の強い民間事業体を含みます。
教育と労働をつなぐ橋は生涯教育や社会人入学を重視した高等教育など、家族と労働をつなぐ橋は保育や介護など、失業と労働をつなぐ橋は職業訓練や職業紹介など、退職と労働をつなぐ橋は高齢者就労支援やさまざまなサポート、といった具合です。
これまでの日本では、教育→労働市場→退職と淡々と進む一方通行のライフスタイルで、生活保障は、官僚制が業界と会社を守り、会社が男性稼ぎ主の雇用を維持し、男性稼ぎ主が妻と子どもを養うしくみで、このしくみがときに人々に重くのしかかり、自由とライフチャンスを制約してきた、と著者は評価。
かなりの意識改革を含めた社会構造改革をともなうビジョンだと思います。
このビジョンを志向することと、「将来的に消費税増税が選択肢の一つとなることは避けられない」との見解がどうつながるのかは、財源論を展開されているわけではないのでわかりません。
今晩は冬季一時金などをめぐる団体交渉がありました。