都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
2018年5月に見たい展覧会〜琳派・夢二・長谷川利行〜
会期末を迎え、国立新美術館の「ビュールレ・コレクション」展が混んでいます。昼間の時間を中心に、約20分程度の待ち時間が発生していて、7日の最終日まで賑わいそうです。
4月に見た展覧会では、ガレの海の生き物に着目したポーラ美術館の「エミール・ガレ」、光琳と乾山の名品が集った根津美術館の「光琳と乾山」、そして江戸時代の知られざる絵師を網羅した千葉市美術館の「百花繚乱列島-江戸諸国絵師めぐり」などが印象に残りました。
それにまだ感想をまとめられていませんが、横浜美術館の「ヌード展」も、後半の現代美術への展開が充実していて、批評的でもあり、実に見応えのある展覧会でした。
それでは5月に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「モダンアート再訪 ダリ、ウォーホルから草間彌生まで 福岡市美術館コレクション展」 埼玉県立近代美術館(~5/20)
・「没後50年 藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」 目黒区美術館(~6/10)
・「人間・高山辰雄展ー森羅万象への道」 世田谷美術館(~6/17)
・「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして…」 町田市立国際版画美術館(~6/17)
・「大名茶人・松平不昧」 三井記念美術館(~6/17)
・「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」 横須賀美術館(~6/17)
・「ジョルジュ・ブラック展 絵画から立体への変容ーメタモルフォーシス」 パナソニック汐留ミュージアム(~6/24)
・「ターナー 風景の詩」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~7/1)
・「ガレも愛したー清朝皇帝のガラス」 サントリー美術館(~7/1)
・「夢二繚乱」 東京ステーションギャラリー(5/19~7/1)
・「風間サチコ展 ディスリンピア2680」 原爆の図丸木美術館(~7/8)
・「琳派ー俵屋宗達から田中一光へ」 山種美術館(5/12~7/8)
・「長谷川利行展 七色の東京」 府中市美術館(5/19〜7/8)
・「内藤正敏 異界出現」 東京都写真美術館(5/12~7/16)
・「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」 DIC川村記念美術館(~8/26)
・「名作展 ベストセレクション 龍子記念館の逸品」 大田区立龍子記念館(~8/26)
・「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」 森美術館(~9/17)
ギャラリー
・「小林耕平 あくび・指南」 山本現代(〜5/26)
・「鈴木ヒラク - 交通」 アートフロントギャラリー(〜5/27)
・「絵と、 vol.1 五月女哲平」 ギャラリーαM(~6/2)
・「山口藍展 今と古ゝに」 ミヅマアートギャラリー(5/9〜6/9)
・「ウィム・クロウエル グリッドに魅せられて」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(5/14~6/23)
・「平田晃久展 Discovering New」 TOTOギャラリー・間(5/24〜7/15)
5月は日本美術に注目です。まずは山種美術館にて「琳派ー俵屋宗達から田中一光へ」が開催されます。

「琳派ー俵屋宗達から田中一光へ」@山種美術館(5/12~7/8)
これは、宗達にはじまり、光琳、抱一のほか、鈴木其一、神坂雪佳など、山種美術館の所蔵する琳派コレクションを展示するもので、伝宗達の「槙楓図」が、修復後、初めて公開されます。
美術館の大切な使命の一つである作品の保存と修復。山種美術館でも、作品をより良い状態で公開・継承するため専門家に依頼し、毎年数点ずつ修復を行っています。次回の琳派展では修復を終えた俵屋宗達《槙楓図》や酒井鶯蒲《紅白蓮・白藤・夕もみぢ図》を公開予定! #仕事MW #ミュージアムウィーク pic.twitter.com/JSUPI4PSc9
— 山種美術館 (@yamatanemuseum) 2018年4月26日
また御舟や福田平八郎、加山又造から田中一光へと至る、現代への系譜を追うのも特徴で、琳派ファンにはたまらない内容となりそうです。
都内での大規模な夢二展は久々かもしれません。東京ステーションギャラリーにて「夢二繚乱」がはじまります。

「夢二繚乱」@東京ステーションギャラリー(5/19~7/1)
「夢二繚乱」は、「東京駅で逢いましょう」をキーワードに、4つの章から夢二の画業を辿るもので、青年期の試作をはじめ、自伝小説の「出帆」の挿絵原画など、初公開の作品も展示されます。
竹久夢二に焦点を当てた展覧会「夢二繚乱」が東京ステーションギャラリーで開催。500点以上の作品を展示https://t.co/zuqnRlKQQ1#竹久夢二 pic.twitter.com/pyOSBOGc52
— Fashionsnap.com (@fashionsnap) 2018年3月13日
出展は、龍星閣の創業者である澤田伊四郎氏が、千代田区に寄贈したコレクションで、全500点にも及ぶそうです。相当に見応えがあるのではないでしょうか。

「長谷川利行展 七色の東京」@府中市美術館(5/19〜7/8)
1891年に京都に生まれ、30歳を過ぎて上京した画家、長谷川利行は、都内各地を放浪しては、自由な筆触と明るい色彩にて都市風景を描きました。一時は画壇で評価されるものの、酒に溺れては、簡易宿泊所を転々とし、最後は路上で倒れ、亡くなりました。その長谷川の没後70年を期して行われるのが「長谷川利行展」で、近年、再発見された「カフェ・パウリスタ」や、約40年ぶりの公開となる「夏の遊園地」など、代表作140点が展示されます。
板橋区立美術館「東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村」の内覧会にお邪魔しました。約90点の作品から、東京と沖縄のアトリエ村に集った芸術家たちの文化交流を明らかにします。4月号巻頭特集の長谷川利行や、「アトリエ日記」連載中の野見山暁治先生の作品も展示されています。4/15まで。 pic.twitter.com/vN9QX1MtAS
— 美術の窓 (@bimado) 2018年2月23日
長谷川利行は、先だって板橋区立美術館で開催された「東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村」にも取り上げられていました。画家を再評価する1つの機会となるかもしれません。
それではどうぞ宜しくお願いします。
2018年4月に見たい展覧会
3月の展覧会では、府中市美術館の「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」、国立西洋美術館の「プラド美術館展」、サントリー美術館の「寛永の雅」が印象に残りました。そのうち「春の江戸絵画まつり」については、間もなく大規模な展示替えも行われるため、改めて出かけたいと思います。
年度の切り替わりです。この時期にはじまる展覧会は少なくありません。4月に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」 東京都写真美術館(~5/6)
・「桜 さくら SAKURA 2018ー美術館でお花見!」 山種美術館(~5/6)
・「東西美人画の名作『序の舞』への系譜」 東京藝術大学大学美術館(~5/6)
・「杉浦非水の花鳥画ー百花譜とスケッチ」 多摩美術大学美術館(4/4~5/6)
・「木島櫻谷 PartⅡ 四季連作屏風+近代花鳥図屏風尽し」 泉屋博古館分館(4/14~5/6)
・「いわさきちひろ生誕100年『Life展』 まなざしのゆくえ 大巻伸嗣」 ちひろ美術館・東京(~5/12)
・「光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識」 根津美術館(4/14~5/13)
・「百花繚乱列島ー江戸諸国絵師めぐり」 千葉市美術館(4/6~5/20)
・「モダンアート再訪 ダリ、ウォーホルから草間彌生まで 福岡市美術館コレクション展」 埼玉県立近代美術館(4/7~5/20)
・「名作誕生ーつながる日本美術」 東京国立博物館(4/13~5/27)
・「生誕150年 横山大観展」 東京国立近代美術館(4/13~5/27)
・「没後50年 藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」 目黒区美術館(4/14~6/10)
・「人間・高山辰雄展ー森羅万象への道」 世田谷美術館(4/14~6/17)
・「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして…」 町田市立国際版画美術館(4/21~6/17)
・「大名茶人・松平不昧」 三井記念美術館(4/21~6/17)
・「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」 横須賀美術館(4/28~6/17)
・「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」 横浜美術館(~6/24)
・「五木田智央 PEEKABOO」 東京オペラシティアートギャラリー(4/14~6/24)
・「ジョルジュ・ブラック展 絵画から立体への変容ーメタモルフォーシス」 パナソニック汐留ミュージアム(4/28~6/24)
・「生誕60周年記念 くまのパディントン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(4/28~6/25)
・「ターナー 風景の詩」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(4/24~7/1)
・「ガレも愛したー清朝皇帝のガラス」 サントリー美術館(4/25~7/1)
・「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画」 東京都美術館(4/14~7/8)
・「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」 DIC川村記念美術館(4/14~8/26)
・「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」 森美術館(4/25~9/17)
ギャラリー
・「ボスコ・ソディ展」 SCAI THE BATHHOUSE(~4/21)
・「BRIDGEー大野美代子の人と人、街と町を繋ぐデザイン」 ギャラリーA4(~4/25)
・「赤松音呂展 Chozumaki / Chijikinkutsu」 ミヅマアートギャラリー(4/4〜4/28)
・「TDC 2018」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(4/4~4/28)
・「巡りゆく日々 サラ ムーン写真展」 CHANEL NEXUS HALL(4/4~5/4)
・「第20回亀倉雄策賞受賞記念 中村至男展2018」 クリエイションギャラリーG8(4/6~5/16)
・「田中智 ミニチュアワールド」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(4/27〜5/27)
・「絵と、 vol.1 五月女哲平」 ギャラリーαM(4/7~6/2)
・「蓮沼執太:~ing」 資生堂ギャラリー(4/6~6/3)
・「ミルチャ・カントル展」 メゾンエルメス(4/25~7/22)
4月は日本美術に注目が集まるかもしれません。まずは春の上野です。東京国立博物館にて「名作誕生ーつながる日本美術」がはじまります。

「名作誕生ーつながる日本美術」@東京国立博物館(4/13~5/27)
「名作誕生」は、絵師やモチーフの繋がりに着目し、祈りや古典文学などの12のテーマから、日本美術史上の名品を紹介する展覧会で、国宝・重要文化財を含む、約130点の作品が一堂に展示されます。
【「出品目録」を公開!】本展出品全作品の名称・所蔵先・展示期間などを網羅した「出品目録」をサイト上に公開いたしました(PDF形式)。どの「名作」がいつ展示されるか、一目瞭然です。 https://t.co/NGoGTSo76D ※直接ご覧になりたい方は、こちらからどうぞ→ https://t.co/wRQUd0wnXD
— 名作誕生展(公式) (@meisaku2018) 2018年4月2日
既に「出品リスト」(PDF)も公開されました。会期は全部で6期あり、おおむね前半(1期〜3期。4/13〜5/6)と後半(4期〜6期。5/8〜5/27)で多くの作品が入れ替わります。昨年、84年ぶりに真筆として確認された雪舟の「倣夏珪山水図」は、後期に出展されます。
ごく一部を除き、前後期の2度出かけると、ほぼ全ての作品を見ることが可能です。日本中から名品が揃う話題の展覧会だけに、早々から混み合うかもしれません。
10年ぶりとなる大規模な回顧展です。日本画家、横山大観の展覧会が、東京国立近代美術館で開催されます。

「生誕150年 横山大観展」@東京国立近代美術館(4/13~5/27)
岡倉天心に学び、のちに日本美術院を設立して、日本画壇の重鎮としての地位を築いた大観は、今年、生誕150年と没後60年を迎えました。それを期しての一大回顧展で、オール大観とあるように、大観の作品ばかり、約90点が展観されます。また100年ぶりに発見された、「白衣観音」や「彗星」などの新出の作品も含まれます。
「生誕150年 横山大観展」が、4月から東京国立近代美術館で始まります(その後、京都国立近代美術館)。日本画の巨人である彼の生涯は、古田亮著『カラー版 横山大観』が描いています。近代化や日清・日露戦争、太平洋戦争といった時代のうねりが、彼の画業と軌を一にしていることも見えてきます。 pic.twitter.com/qGxIsKAQJ5
— 中公新書 (@chukoshinsho) 2018年3月31日
実のところ、10年前に国立新美術館で開催された回顧展も相当に充実していました。近年の調査や研究を踏まえ、新たな見地が伺えるかもしれません。
知られざる絵師との出会いが待っているのではないでしょうか。千葉市美術館にて「百花繚乱列島ー江戸諸国絵師めぐり」が開催されます。

「百花繚乱列島ー江戸諸国絵師めぐり」@千葉市美術館(4/6~5/20)
江戸時代の後期には、全国各地に、当地の出身や藩の御用をつとめた、いわば「ご当地絵師」と呼ばれる人々がいました。そうした絵師の活動を俯瞰するのが「百花繚乱列島」で、北海道から長崎までの絵師の作品、約190点が展示されます。
久しぶりのツイートとなってしまいました。4/6からの企画展「百花繚乱列島-江戸諸国絵師めぐり-」の設営がはじまりました!北は北海道、南は長崎までの絵師を紹介するため、展示室はかなりのボリューム、またも千葉の物量攻めとなりそうな気配に…。出品リストの公開は今しばらくお待ちください! pic.twitter.com/4aqXHsxIvj
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) 2018年4月2日
会期中に大幅な展示替えが行われるため、半券を提示すると、2度目の観覧料が半額になるそうです。なにせ江戸絵画では定評のある千葉市美術館のことだけあり、かなりマニアックな展覧会となるのではないでしょうか。展示替えを追いかけるつもりです。
巴水ファンにとっても見逃せない展覧会になりそうです。町田市立国際版画美術館にて「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして…」がはじまります。

「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして…」@町田市立国際版画美術館(4/21~6/17)
本日から町田市立国際版画美術館の公式ツイッターの運用を開始します。#版美
— 町田市立国際版画美術館(町田市公式) (@machida_hanbi) 2018年3月6日
「浮世絵モダーン」は、新版画を当時の現代美術とも捉え、社会状況や芸術の動向を踏まえながら、何を表現しようとしたのかを明らかにする内容で、巴水、深水、吉田博のほか、橋口五葉に小早川清らの作品が、計300点ほど公開されます。2005年に同館で行われた「浮世絵モダーン」の第二弾の展覧会でもあるそうです。
ほかにも、Part1の動物画が話題を集めた木島櫻谷の「四季連作屏風+近代花鳥図屏風尽し」(泉屋博古館分館)、お庭のカキツバタともに楽しみたい「光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識」(根津美術館)、代表作を網羅し、過去最大級の回顧展ともなる「人間・高山辰雄展ー森羅万象への道」(世田谷美術館)、また没後200年を期して不昧の世界を紹介する「大名茶人・松平不昧」(三井記念美術館)、さらには神話や歴史上の英雄らを描いた浮世絵や近代日本画を取り上げる「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」(横須賀美術館)なども、興味深い展覧会ではないでしょうか。まさに日本美術展の目白押しと言えるかもしれません。
【次回の企画展】「人間・髙山辰雄展――森羅万象への道」は4月14日(土)から。どうぞお楽しみに! #髙山辰雄 #人間・髙山辰雄展 #世田谷美術館 https://t.co/Kf0BgDpGnS
— 世田谷美術館 (@setabi_official) 2018年4月3日
全てを今月中に見るのは難しいかもしれませんが、マイペースで追っていきたいと思います。
それではどうぞ宜しくお願いします。
2018年3月に見たい展覧会
2月に見た展覧会では、まず川越市立美術館の「生誕130年 小村雪岱展」が一番印象に残りました。得意のモノクロームの挿絵を表紙にしたカタログの出来も良く、今も時折見返しては、展覧会の記憶を反芻することも少なくありません。
短い会期でしたが、大林財団による都市をテーマとした「会田誠『GROUND NO PLAN』展」も、刺激の多い展覧会でした。また5月13日までの会期延長も決まった東京国立博物館の「アラビアの道」も、なかなか身近とは言い難いサウジアラビアの歴史を、貴重な文物で辿ることが出来ました。さらにまだ感想にまとめられていませんが、三菱一号館美術館の「ルドンー秘密の花園」も、内容、構成ともに充実していたと思います。単に「グラン・ブーケ」に連なる作品を集めただけでなく、そもそもルドンは何故に連作を描いたのかについて、細かく検証していました。
葛井寺の国宝、「千手観音菩薩坐像」の公開がはじまった、東京国立博物館の「仁和寺と御室派のみほとけ」展が混雑しています。平日、休日を問わず、昼間の時間を中心に30〜40分程度の入場待ちの列が発生しています。そのためか、金曜、土曜に加え、3月4日(日)、3月6日(火)、3月7日(水)の3日間も、21時までの夜間開館が決まりました。狙い目となりそうです。
泉屋博古館分館の「木島櫻谷展」も、スペースに制約こそあるものの、新出の作品もあり、期待通りの良い展覧会でした。近々、感想をまとめるつもりです。
それでは3月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「ヘレンド展ー皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」 パナソニック汐留ミュージアム(~3/21)
・「谷川俊太郎展」 東京オペラシティ アートギャラリー(~3/25)
・「FACE展2018 損保ジャパン日本興亜美術賞展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~3/30)
・「VOCA展2018 現代美術の展望ー新しい平面の作家たち」 上野の森美術館(3/15~3/30)
・「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」 練馬区立美術館(~4/15)
・「東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村」 板橋区立美術館(~4/15)
・「猪熊弦一郎展 猫たち」 Bunkamura ザ・ミュージアム(3/20~4/18)
・「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」 東京ステーションギャラリー(3/3~5/6)
・「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」 東京都写真美術館(3/6~5/6)
・「桜 さくら SAKURA 2018ー美術館でお花見!」 山種美術館(3/10〜5/6)
・「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」 府中市美術館(3/10~5/6)
・「東西美人画の名作『序の舞』への系譜」 東京藝術大学大学美術館(3/31~5/6)
・「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館(~5/7)
・「いわさきちひろ生誕100年『Life展』 まなざしのゆくえ 大巻伸嗣」 ちひろ美術館・東京(~5/12)
・「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」 国立西洋美術館(~5/27)
・「写真都市展ーウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち」 21_21 DESIGN SIGHT(~6/10)
・「人体ー神秘への挑戦」 国立科学博物館(3/13~6/17)
・「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」 横浜美術館(3/24~6/24)
ギャラリー
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.7 野村在」 ギャラリーαM(~3/24)
・「クサナギシンペイ どこへでもこの世の外なら」 タカ・イシイギャラリー東京(~3/17)
・「ポーラ ミュージアム アネックス展2018」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(~3/18)
・「若松光一郎展ー大地の歌」 加島美術(3/20〜4/8)
・「ボスコ・ソディ展」 SCAI THE BATHHOUSE(3/9〜4/21)
・「BRIDGEー大野美代子の人と人、街と町を繋ぐデザイン」 ギャラリーA4(3/9〜4/25)
・「ニッポン貝人列伝ー時代をつくった貝コレクション」 リクシルギャラリー(3/8~5/26)
まず今月に注目したいのは横浜美術館です。「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」がはじまります。

「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」@横浜美術館(3/24~6/24)
【作品紹介】ホームページの作品紹介はご覧になりましたか?8つの章と、主な作品を紹介しています。 #nude2018https://t.co/jBLPVAc8Km
— 「ヌード」展2018@横美 (@nude2018) 2018年1月28日
西洋美術におけるヌード表現の歴史を、主に近現代に焦点を当て、紐解こうとする展覧会で、ロンドンのテートギャラリーよりコレクションがやって来ます。出展はヴィクトリア朝の神話、歴史画より、現代の身体表現までの約130点で、ジャンルも絵画、彫刻、版画、写真と多様です。日本初公開のロダンの「接吻」など、貴重な作品も見られるのではないでしょうか。2016年のオーストラリアにはじまり、韓国、ニュージーランドを経る、国際巡回展でもあります。
山種美術館の人気企画が、2012年以来、実に6年ぶりに帰ってきました。

「桜 さくら SAKURA 2018ー美術館でお花見!」@山種美術館(3/10〜5/6)
【休館のお知らせ】山種美術館は2/26(月)~3/9(金)まで館内メンテナンスと展示替えのため休館とさせていただきます。次回は3/10(土)から桜さくらSAKURA2018―美術館でお花見!―です。お楽しみに!https://t.co/95fHkrIB15 pic.twitter.com/Q4t6oqQXUy
— 山種美術館 (@yamatanemuseum) 2018年2月26日
「桜・さくら・SAKURA」展は、お花見の時期に因み、桜を描いた日本画を紹介する展覧会で、山種コレクションより約60点の作品が出展されます。まさに日本画で楽しむお花見です。館内は桜一色に染まるかもしれません。
春の恒例の江戸絵画まつりです。府中市美術館で「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」が開催されます。

「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」@府中市美術館(3/10~5/6)
今年のテーマは「リアル」。しかしながら一見、相反するような「最大の奇抜」ともあります。展示では、何かと近代の先駆けとみなされることも多い「江戸のリアル」を、あえて疑いつつ、作品に向き合おうとうするそうです。どのような内容になるのでしょうか。
【イベント情報】 春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜 https://t.co/sSKAQ9yrxp pic.twitter.com/3NfIyhIbId
— JDN (@JDN_info) 2018年2月21日
同展は毎年、知られざるマニアックな絵師の作品が出展されたり、個人所蔵の珍しい作品が出ることも少なくありません。また4月初旬には、大規模な展示替えも予定されています。まずは早々に出かけたいと思います。
昨年に引き続き、学生のみなさんに嬉しいお知らせです。東京駅周辺の4美術館に無料で入館できる「学生無料ウィーク」がはじまりました。
【東京駅周辺美術館学生無料ウィーク】
期間:2018年3月3日(土)〜3月18日(日) *休館日は除きます。
対象:学生 *各館で学生割引の対象としている方。
参加館および期間中の展覧会:
・出光美術館「色絵 Japan CUTE!」
・三井記念美術館「三井家のおひなさま 特集展示三井家と能」
・三菱一号館美術館「ルドンー秘密の花園」
・東京ステーションギャラリー「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」
3/3(土)-18(日)東京駅周辺の4つの美術館で「学生無料ウィーク」開催。学生なら無料で何度でも入館OK。幻想的な内面世界に着目したルドン、江戸時代に花開いた色鮮やかなやきもの、隈研吾氏の建築などが楽しめます→https://t.co/rNG2iXqaJ1 pic.twitter.com/i9ofRSmzcN
— イベントチェッカー製作委員会 (@event_checker) 2018年2月21日
開催期間は3月3日(土)から3月18日(日)の2週間です。学生であれば、会期中、東京駅周辺の出光美術館、三井記念美術館、三菱一号館美術館、東京ステーションギャラリーの4美術館の展覧会を、何度でも無料で入場できます。
とてもお得なイベントです。学生の皆さん、これを機会に美術館へと足を運んでみては如何でしょうか。
それでは今月も宜しくお願いします。
2018年2月に見たい展覧会
1月に見た展覧会では、現代版画センターの活動を丹念に追った「版画の景色」(埼玉県立近代美術館)、チラシ表紙のアルチンボルドだけでなく、ルドルフ2世の好奇心を詳らかにするような「ルドルフ2世の驚異の世界」(Bunkamuraザ・ミュージアム)、さらにともに常設展示内の企画とは思えないほど充実していた「南方熊楠」(国立科学博物館)と「シュルレアリスムの美術と写真」(横浜美術館)が、特に印象に残りました。
まだ感想をまとめられていませんが、貴重な仏像の揃った「仁和寺と御室派のみほとけ」(東京国立博物館)も、壮観ではなかったでしょうか。また「小沢剛展」(千葉市美術館)も、思い切ったレイアウトで、美術家の創作なり世界観をうまく伝えていたのではないかと思います。
2月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「絵画の現在」 府中市美術館(~2/25)
・「金川晋吾 長い間」 横浜市民ギャラリーあざみ野(~2/25)
・「第10回恵比寿映像祭 インヴィジブル」 東京都写真美術館(2/9~2/25)
・「運慶ー鎌倉幕府と霊験伝説」 神奈川県立金沢文庫(~3/11)
・「生誕130年 小村雪岱『雪岱調』のできるまで」 川越市立美術館(~3/11)
・「ヘレンド展ー皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」 パナソニック汐留ミュージアム(~3/21)
・「谷川俊太郎展」 東京オペラシティ アートギャラリー(~3/25)
・「現代刀職展ー今に伝わる『いにしえの技』 刀剣博物館(~3/25)
・「歌川国貞展」 静嘉堂文庫美術館(~3/25)
・「FACE展2018 損保ジャパン日本興亜美術賞展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(2/24~3/30)
・「香合百花繚乱」 根津美術館(2/22~3/31)
・「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」 世田谷美術館(~4/1)
・「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」 東京都美術館(1/23~4/1)
・「三井家のおひなさま」 三井記念美術館(2/10~4/8)
・「寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽」 サントリー美術館(2/14~4/8)
・「第21回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」 川崎市岡本太郎美術館(2/16~4/15)
・「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」 練馬区立美術館(2/22~4/15)
・「東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村」 板橋区立美術館(2/24〜4/15)
・「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館(2/14~5/7)
・「ルドンー秘密の花園」 三菱一号館美術館(2/8~5/20)
・「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」 国立西洋美術館(2/24〜5/27)
・「写真都市展ーウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち」 21_21 DESIGN SIGHT(2/23〜6/10)
ギャラリー
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.7 野村在」 ギャラリーαM(2/17〜3/24)
・「グラフィズム断章:もうひとつのデザイン史」 クリエイションギャラリーG8(~2/22)
・「ヴァジコ・チャッキアーニ展」 SCAI THE BATHHOUSE(~2/24)
・「会田誠 GROUND NO PLAN」 青山クリスタルビル(2/10~2/24)
・「レアンドロ・エルリッヒ個展」 アートフロントギャラリー(~2/25)
・「アニマル・ワールド」 加島美術(2/3〜2/25)
・「マリメッコ・スプリットーマリメッコの暮らしぶり」 ギャラリーA4(~2/28)
・「グリーンランド 中谷芙二子+宇吉郎展」 メゾンエルメス(~3/4)
・「奈良美智 Drawings: 1988-2018 Last 30 Years」 カイカイキキギャラリー(2/9~3/8)
・「ヤン・フードン The Coloured Sky: New Women 2」 エスパス・ルイ・ヴィトン東京(~3/11)
・「束芋 | flow-wer arrangement」 ギャラリー小柳(2/10〜3/15)
・「平野甲賀と晶文社展」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(~3/17)
・「クサナギシンペイ どこへでもこの世の外なら」 タカ・イシイギャラリー東京(2/17〜3/17)
・「en[縁]:アート・オブ・ネクサス 第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展」 TOTOギャラリー・間(~3/18)
・「ポーラ ミュージアム アネックス展2018」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(2/23〜3/18)
この2月は、今年、何かと注目の西洋美術展のスタートラッシュと言っても良いかもしれません。まずは三菱一号館美術館にて、「ルドンー秘密の花園」展が開催されます。

「ルドンー秘密の花園」@三菱一号館美術館(2/8~5/20)
一号館のルドンとして思い起こすのは、コレクションとして人気の高い「グラン・ブーケ」です。ルドンが、ドムシー男爵の城館の食堂を飾るために描いた作品で、縦2メートル50センチにも及ぶ大画面に、青い花瓶に生けられた花束を、淡いパステルの色彩にて表現しました。
ただしルドンは、食堂の装飾画の制作に際し、「グラン・ブーケ」だけを描いたわけではありませんでした。彼は1年以上の歳月をかけ、16点の装飾画を制作し、城館へと運びました。いつしか壁画は城館に秘蔵され、一度、日本でも公開される機会があったものの、のちにフランス政府が取得し、オルセー美術館の所蔵品と化しました。そして「グラン・ブーケ」のみが、城館の食堂に取り残されました。取り外されたのは、2010年のことでした。
【ルドン−秘密の花園】2月8日から開幕するルドン展の作品リストが完成しました!当館サイトよりダウンロード頂けますので、出品作品が気になる方はどうぞご利用ください。―――――――◆作品リスト:https://t.co/YcVZWVlf36◆展覧会情報:https://t.co/0TS01Qw6Nv pic.twitter.com/P7T1sHIGSn
— 三菱一号館美術館 (@ichigokan_PR) 2018年1月26日
そのオルセー美術館所蔵の15点の装飾壁画が、全て一括して三菱一号館美術館へとやって来ます。さらに、花や植物をモチーフとした70点超の作品を交え、ルドンの画業を紹介していきます。なお植物に焦点を当てたルドン展は、史上初めてのことだそうです。さぞかし華やかな展覧会になるのではないでしょうか。
ドイツに生まれ、スイスに移住した実業家、エミール=ゲオルグ・ビュールレの絵画コレクションが、国立新美術館にて公開されます。

「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」@国立新美術館(2/14~5/7)
実業家として身を立てたビュールレは、1937年、一家とともに移り住んだチューリッヒの邸宅を飾るために、美術品の蒐集をはじめました。中でも良く知られるのは、ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」や、セザンヌの「赤いチョッキの少年」で、印象派、ないしポスト印象派の充実したコレクションとして評価を得ました。
来年2月14日に国立新美術館で開幕する『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』。生涯を通じて絵画収集に情熱を注いだスイスの大実業家ビュールレ。そのコレクションの質の高さは世界中のファンを魅了しています。本展では日本初公開作品を含む約60点を展示。絵画史上、最強の美少女も来日! pic.twitter.com/LFpoEDwIL8
— ミュージアムカフェ【公式】 (@museumcafe) 2017年10月25日
2008年、セザンヌの「赤いチョッキの少年」を含む4点の絵画が、盗難の被害にあってしまいました。その影響もあるのか、現在は一般の公開が規制され、2020年にはチューリッヒ美術館へコレクションが移設されることが決まりました。つまりプライベートとしてのビュールレのコレクションが、日本で公開される最後の機会と言えるかもしれません。なお日本でビュールレのコレクション展が行われるのは、おおよそ27年ぶりのことでもあるそうです。
春の上野の行列の展覧会になるかもしれません。国立西洋美術館で「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」がはじまります。

「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」@国立西洋美術館(2/24〜5/27)
国内でプラド美術館のコレクションを見る機会は必ずしも少なくなく、過去、「プラド美術館展ースペイン宮廷 美への情熱」(三菱一号館美術館、2015年)、「プラド美術館所蔵 ゴヤー光と影展」(国立西洋美術館、2011年)、さらには「プラド美術館展ースペインの誇り 巨匠たちの殿堂」(東京都美術館、2006年)などが開催されてきました。とりわけ、あえて「小さなサイズの作品に焦点を当てた」(美術館サイトより)、三菱一号館美術館のプラド展などはまだ記憶に新しいかもしれません。
夕暮れの余も素敵であろう? #国立西洋美術館 #プラド美術館展 pic.twitter.com/br4yCo81GN
— カルロスくん@プラド美術館展【公式】 (@prado_2018) 2018年1月30日
実に5回目のプラド展です。今回はベラスケス7点を中核に、主にスペイン、イタリア、フランドル絵画を展観します。ベラスケスの作品がまとめて7点出展されるのは、過去最多でもあるそうです。その意味では貴重な展覧会となりそうです。

また同じく上野では1月末より、東京都美術館で「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」もはじまりました。
「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」@東京都美術館(1/23~4/1)
私はまだ見られていませんが、公式Twitterアカウントなどによれば、現時点ではさほど混雑していないそうです。なお会期当初、2月18日までは、一部の作品の撮影も可能です。ひょっとすると中盤以降は混み合うかもしれません。なるべく早く行きたいと思います。
\ #ブリューゲル展 開催中/繊細な描写の小なサイズの作品も多数展示してます。単眼鏡お持ちでしたら、是非ご持参を。2階展示室は2/18まで撮影可能です。オフィシャルサポーターの渡辺裕太さんも📷✨ナビゲーターを #石田彰 さんが担当する音声ガイドもお薦め‼️ 待ち時間情報@bru_konzatsu pic.twitter.com/p9ZLq9K1b3
— ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜 (@brueghel2018) 2018年1月26日
ルドン、ビュールレ、プラド、ブリューゲルと、この4展を追うのだけでも大変かもしれませんが、2月も無理のないスペースで、色々な展覧会を見て回りたいと思います。
それではどうぞ宜しくお願いします。
2018年1月に見たい展覧会
「博物館に初もうで」@東京国立博物館。干支の戌に因む作品から、新春特別公開など。応挙の犬が可愛すぎますね…大盛況。鳥獣戯画断簡の前などは列も出来ておりました。カレンダー付きワークシートは15時前の段階で本日分配布終了。(3000枚とか)明日も混み合いそうですね。 pic.twitter.com/g0ecEQ6ShG
— はろるど (@harold_1234) 2018年1月2日
年の切り替えで、展示替えを行った美術館や博物館が少なくありません。よって今月から多くの展覧会がスタートします。1月に見たい展示をリストアップしてみました。
展覧会
・「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」 国立西洋美術館(~1/28)
・「生誕100年 ユージン・スミス写真展」 東京都写真美術館(~1/28)
・「毛利悠子 グレイ スカイズ」 藤沢市アートスペース(~1/28)
・「無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol.14」 東京都写真美術館(~1/28)
・「北澤美術館所蔵 ルネ・ラリックの香水瓶」 渋谷区立松濤美術館(~/1/28)
・「国宝 雪松図と花鳥ー美術館でバードウォッチング」 三井記念美術館(~2/4)
・「鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます」 東京ステーションギャラリー(~2/12)
・「墨と金 狩野派の絵画」 根津美術館(1/10~2/12)
・「クインテットIV 五つ星の作家たち」 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(1/13~2/18)
・「いのちの交歓ー残酷なロマンティスム」 國學院大學博物館(~2/25)
・「生誕150年記念 横山大観ー東京画壇の精鋭」 山種美術館(1/3~2/25)
・「小沢剛 不完全ーパラレルな美術史」 千葉市美術館(1/6~2/25)
・「絵画の現在」 府中市美術館(1/13~2/25)
・「石内都 肌理と写真」 横浜美術館(~3/4)
・「南方熊楠ー100年早かった智の人」 国立科学博物館(~3/4)
・「20th DOMANI・明日展」 国立新美術館(1/13~3/4)
・「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」 Bunkamuraザ・ミュージアム(1/6~3/11)
・「運慶ー鎌倉幕府と霊験伝説」 神奈川県立金沢文庫(1/13~3/11)
・「生誕130年 小村雪岱『雪岱調』のできるまで」 川越市立美術館(1/20~3/11)
・「ヘレンド展ー皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」 パナソニック汐留ミュージアム(1/13~3/21)
・「色絵 Japan CUTE」 出光美術館(1/12~3/25)
・「谷川俊太郎展」 東京オペラシティ アートギャラリー(1/13~3/25)
・「版画の景色 現代版画センターの軌跡」 埼玉県立近代美術館(1/16~3/25)
・「現代刀職展ー今に伝わる『いにしえの技』 刀剣博物館(1/19~3/25)
・「歌川国貞展」 静嘉堂文庫美術館(1/20~3/25)
・「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」 世田谷美術館(1/13~4/1)
・「現代美術に魅せられて 原俊夫による原美術館コレクション展」 原美術館(1/6~6/3)
ギャラリー
・「ルー・ヤン展 電磁脳神教」 スパイラルガーデン(1/5~22)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.6 柄澤健介」 ギャラリーαM(~2/3)
・「藤本由紀夫 STARS」 シュウゴアーツ(~2/3)
・「五木田智央 HOTEL PARAISO」 タカ・イシイギャラリー 東京(1/12~2/10)
・「フランク ホーヴァット写真展」 シャネル・ネクサス・ホール(1/17~2/18)
・「グレース・タン Materials & Methods」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(1/19~2/18)
・「ローレンス・ウィナー展」 TARONASU(1/13~2/10)
・「グラフィズム断章:もうひとつのデザイン史」 クリエイションギャラリーG8(1/23~2/22)
・「ヴァジコ・チャッキアーニ展」 SCAI THE BATHHOUSE(1/26~2/24)
・「レアンドロ・エルリッヒ個展」 アートフロントギャラリー(1/19~2/25)
・「マリメッコ・スプリットーマリメッコの暮らしぶり」 ギャラリーA4(~2/28)
・「グリーンランド 中谷芙二子+宇吉郎展」 メゾンエルメス(~3/4)
・「ヤン・フードン The Coloured Sky: New Women 2」 エスパス・ルイ・ヴィトン東京(~3/11)
・「Moving Plants 渡邊 耕一展」 資生堂ギャラリー(1/13~3/25)
関東では久々の大規模な個展です。現代アーティストの小沢剛の個展が、千葉市美術館にて開催されます。

「小沢剛 不完全ーパラレルな美術史」@千葉市美術館(1/6~2/25)
1965年に東京に生まれ、「鋭い分析的視点」(公式サイトより)を持ち得た作品を制作する小沢剛。近年ではヨコハマトリエンナーレに参加したほか、豊田市美術館や広島市現代美術館でも個展を開いてきました。
「小沢剛 不完全ーパラレルな美術史」展示設営5日目はどんどんと作品が出てきています。展示室内の建物2つ、《油絵茶屋》と《醤油画資料館》です。展示室の中でまた展示室に入るという入れ子構造、ちょっと遊園地みたいでワクワクしますね!#不完全 #小沢剛 https://t.co/i8LBS035ss pic.twitter.com/KBjRiy2Hf4
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) 2017年12月26日
今回は日本美術史からテーマを得た作品を中心に展示が行われるそうです。いつもながらに、驚きや発見のある展覧会となるのではないでしょうか。新作のインスタレーションにも期待したいと思います。
Bunkamuraザ・ミュージアムにて「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」がはじまります。

「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」@Bunkamuraザ・ミュージアム(1/6~3/11)
気になる音声ガイドナレーターは、俳優の安田 顕さん!絵画から工芸品、動物や植物までルドルフ2世が集めた幅広い品々にまつわるエピソード、当時のトリビアを織り交ぜてご案内します。HPでは安田さんのインタビューを公開中!https://t.co/Df1Lqd5YT9 #ミュージアム #ルドルフ
— Bunkamura公式ツイッター (@Bunkamura_info) 2017年12月30日
チラシ表紙のアルチンボルドの作品が目を引きますが、何も絵画の展覧会というわけではありません。アルチンボルド寵愛した神聖ローマ帝国のルドルフ2世こそが主人公で、彼の収集した絵画、工芸などが一堂に展示されます。ルドルフ2世の残した、時に珍奇なコレクションを通し、皇帝の好奇心を伺い知ることが出来るのではないでしょうか。ひょっとすると後半は混み合うかもしれません。
関東では、2010年に埼玉県立近代美術館で開催された「小村雪岱とその時代展」以来のことかもしれません。川越市立美術館で「生誕130年 小村雪岱『雪岱調』のできるまで」がはじまります。

「生誕130年 小村雪岱『雪岱調』のできるまで」@川越市立美術館(1/20~3/11)
#川越市立美術館 です。当館は明日から休館です(この間に常設展、タッチアートコーナーを展示替えします)。新年は1月5日(金)から開館。20日(土)からは「生誕130年 小村雪岱」展!来年も変わらぬご愛顧よろしくお願いします♪https://t.co/VO2K65dM62 pic.twitter.com/3sgpPhr3GI
— 川越市 (@KawagoeshiInfo) 2017年12月24日
装丁や、舞台装置、挿絵などでも活躍した雪岱ですが、この展覧会では、特に挿絵の仕事に着目して、作家の魅力を紹介していきます。また雪岱は川越で生まれた、いわばご当地の作家でもあります。
代々木にあった刀剣博物館が、両国へ移転リニューアルオープンします。「現代刀職展ー今に伝わる『いにしえの技』」が開催されます。

「現代刀職展ー今に伝わる『いにしえの技』」@刀剣博物館(1/19~3/25)
場所は両国の国技館の北側、旧安田庭園内です。旧両国公会堂の佇まいを継承した建物で、展示室のほか、ミュージアムショップ、講堂やカフェも新設されます。オープニングを飾るのは、「現代刀職展ー今に伝わる『いにしえの技』」展で、現代の刀匠と、刀剣を研磨、ないし外装を制作する刀職者の業績を紹介するそうです。早々に出かけたいと思います。
それでは今月も宜しくお願いします。
2017年 私が観た展覧会 ベスト10
2017年 私が観た展覧会 ベスト10
1.「海北友松展」 京都国立博物館

桃山絵師シリーズのラストを飾るのに相応しい内容ではなかったでしょうか。軽妙洒脱な水墨画から、光り輝く金碧の屏風の魅力は甲乙つけ難く、ともすると知名度が高いとは言えなかった絵師の存在を、世に知らしめた記念碑的な展覧会であったかもしれません。また上から下へと進む知新館の展示室を、効果的に用いていたのも印象に残りました。特にラストの闇に潜む「雲龍図」から月明かりに満ちた「月下渓流図屏風」へのドラマチックな展開は、未だ忘れがたいものがあります。余韻も深く残りました。
2.「長沢芦雪展」 愛知県美術館

待望の芦雪展をようやく見ることが出来ました。中でもハイライトは無量寺の障壁画の空間再現展示で、有名な「虎図」と「龍図」が向き合い、さらに裏面の「薔薇に鶏・猫図」や「唐子遊図襖」が一室に揃う光景は、さすがに壮観としか言いようがありませんでした。また師の応挙の参照も重要で、芦雪がいかに学んでは、オリジナルな表現へと展開させたのかについても、興味深いものがあったのではないでしょうか。ともかく2000年の千葉市美術館、2011年のMIHO MUSEUMの回顧展を見逃した私にとっては、あまりにも嬉しい展覧会となりました。
3.「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」 千葉市美術館

私の最も好きな浮世絵師である鈴木春信の待望の回顧展でした。しかもほぼ全てが状態の良いボストン美術館のコレクションで、中には、思わず水彩で色をつけたのではないかと見間違うような作品さえありました。また単に優品を並べただけでなく、春信前史や錦絵の草創プロセス、絵暦と錦絵の比較、いわゆる見立絵、さらには春信後についても触れていて、春信画を通して、錦絵誕生時代の浮世絵の歴史を多面的に追うことも出来ました。無い物ねだりで大変に恐縮ですが、春画があればパーフェクトでした。
4.「アルチンボルド展」 国立西洋美術館

これまでにも国内で度々、だまし絵や奇想の画家として紹介されてきたアルチンボルド。もちろん、作品自体に魅力があるのは言うまでもありません。しかしこの展覧会ではさらに踏み込んで、何故にアルチンボルドが当時、「奇天烈」とまで評された作品を残したのかについて、美術史の文脈のみならず、当時の社会や科学の状況までを参照し、かなり丹念に検証していました。構成がとても秀逸でした。まさかこれほど読ませる展覧会だとは思いませんでした。
5.「ミュシャ展」 国立新美術館

ともかく「スラヴ叙事詩」の全点展示が圧巻の一言でした。17年の歳月をかけているゆえか、作品にややばらつきがあったものの、一大スペクタクルとも言うべき巨大歴史絵巻が並ぶ姿は実に見事で、最初に展示室に入った際、あまりにもの迫力に息をのんだことを覚えています。結果的にミュシャ展は大変な注目を集め、最終入場者数は65万名超と、今年最も多くの人を集めた展覧会となりました。
6.「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」 奈良国立博物館

仏像そのもの美しさに見惚れ、思わずすがりたくなるような気持ちにさせられた展覧会でした。快慶作の仏像の9割を網羅しながら、資料を交えて、仏師の業績をほぼ余すことなく伝えていたのではないかと思います。ともかく惹かれるのは、平明でかつ優美な阿弥陀如来立像で、特にラストの3躯の阿弥陀如来立像が取り囲んだ展示は忘れることが出来ません。まさに祈りの空間が現出していました。
7.「運慶」 東京国立博物館

これほど充実した快慶、運慶展が、同じ年に開催されることなどもうしばらくないかもしれません。中でも興福寺の北円堂内を仮説を元に再現した展示は、並々ならぬ迫力があり、特に「四天王立像」などは、今にも動き出さんとばかりの躍動感に満ち溢れていました。暗室の中での強めの照明、露出展示など、まさに東京国立博物館ならでは仕掛けも臨場感がありました。彫刻としての仏像の面白さを体感出来ました。
8.「遠藤利克展ー聖性の考古学」 埼玉県立近代美術館

遠藤利克は、私が現代美術に興味を覚えた頃から好きになっていた作家で、今回、ようやく美術館での個展に接することが出来ました。例の焼成した木材による作品群は、さも美術館の空間を支配するように並べられ、まるで古代の遺跡へ迷い込んだかのような雰囲気さえありました。特に12本の円柱の並ぶ暗室に至っては、何やら神秘的であり、畏怖の念さえ覚えるほどでした。それにしても今年の埼玉県立近代美術館は、「カッサンドル・ポスター展」や「川原慶賀の植物図譜」、それに「ディエゴ・リベラの時代」などの好企画が目白押しでした。これからも足繁く通うことになりそうです。
9.「全館写真展示 コレクション展」 横浜美術館

美術展の魅力は何も企画展だけではありません。このところ、東京国立近代美術館など、テーマを設定してコレクションを紹介する美術館も増えていますが、うち白眉であったのが、横浜美術館の「全館写真展示 コレクション展」でした。文字通り、定評のある写真コレクションを全館スケールで公開する企画で、日本の昭和と、第1次から第2次大戦の間の西欧の動向を、400点超という凄まじいスケールの写真で追っていました。企画展の篠山紀信展の数倍も時間をかけて見入ったことを覚えています。
10.「藤島武二展」 練馬区立美術館

かつて東京国立近代美術館の常設展で「港の朝陽」を見て以来、常に惹かれ、一度、回顧展に接したいと思っていた画家の1人でした。初期から晩年の作品を時間で追うだけでなく、知られざる墨画やグラフィック・デザインの仕事など、藤島の業績を様々な角度から紹介していました。諸々の制約からか、重要文化財の「黒扇」と「天平の面影」の出展がなかったのだけは残念でしたが、それでも多くの代表作を網羅し、見応えのある回顧展に仕上がっていました。
次点.「川端龍子ー超ド級の日本画」 山種美術館
「超ド級」が多くを物語っていたかもしれません。横幅7メートル超の「香炉峰」をはじめ、「火生」や「鳴門」など、いわゆる会場芸術を宣言した龍子のエネルギッシュな創作活動を感じ取ることが出来ました。実はこれまであまり龍子を意識的に追ってきませんでしたが、この回顧展をきっかけに興味が湧き、大田区立龍子記念館へ出かけ、旧宅のある龍子公園を見学して来ました。ちょっとしたマイブームとなりました。
またベスト10以外で特に印象に残った展覧会は以下の通りです。(順不同)
「装飾は流転する」 東京都庭園美術館
「熊谷守一 生きるよろこび」 東京国立近代美術館
「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」 東京都美術館
「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」 森美術館
「オットー・ネーベル展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
「ディエゴ・リベラの時代」 埼玉県立近代美術館
「シャガール 三次元の世界」 東京ステーションギャラリー
「没後70年 北野恒富展」 千葉市美術館
「戸谷成雄―現れる彫刻」 武蔵野美術大学美術館
「怖い絵展」 上野の森美術館
「単色のリズム 韓国の抽象」 東京オペラシティアートギャラリー
「天下を治めた絵師 狩野元信」 サントリー美術館
「安藤忠雄展ー挑戦」 国立新美術館
「東郷青児展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
「素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生」 東京藝術大学大学美術館
「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」 東京国立近代美術館
「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」 国立新美術館・森美術館
「引込線 2017」 旧所沢市立第2学校給食センター
「ヨコハマトリエンナーレ2017」 横浜美術館・横浜赤レンガ倉庫1号館・横浜市開港記念会館地下
「奈良美智 for better or worse Works」 豊田市美術館
「テオ・ヤンセン展」 三重県立美術館
「藝『大』コレクション パンドラの箱が開いた」 東京藝術大学大学美術館
「レオナルド×ミケランジェロ展」 三菱一号館美術館
「書だ!石川九楊展」 上野の森美術館
「不染鉄展」 東京ステーションギャラリー
「開館記念展 未来への狼火」 太田市美術館・図書館
「神の宝の玉手箱」 サントリー美術館
「リアル(写実)のゆくえ」 足利市立美術館
「ヴォルスー路上から宇宙へ」 DIC川村記念美術館
「クエイ兄弟ーファントム・ミュージアム」 渋谷区立松濤美術館
「歿後60年 椿貞雄展」 千葉市美術館
「ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館」 東京都写真美術館
「19世紀パリ時間旅行」 練馬区立美術館
「茶の湯」 東京国立博物館
「川原慶賀の植物図譜」 埼玉県立近代美術館
「いちはらアート×ミックス2017」 千葉県市原市南部地域
「カールステン・ニコライ:パララックス」 市原湖畔美術館
「ブリューゲル バベルの塔展」 東京都美術館
「木×仏像 日本の木彫仏1000年」 大阪市立美術館
「草間彌生 わが永遠の魂」 国立新美術館
「茶碗の中の宇宙」 東京国立近代美術館
「孤高の神絵師 渡辺省亭」 加島美術
「長崎版画と異国の面影」 板橋区立美術館
「カッサンドル・ポスター展」 埼玉県立近代美術館
「オルセーのナビ派展」 三菱一号館美術館
「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」 森美術館
「エリザベス・ペイトン:Still life 静/生」 原美術館
「新井卓 Bright was the Morningーある明るい朝に」 横浜市民ギャラリーあざみ野
「並河靖之七宝展」 東京都庭園美術館
「endless 山田正亮の絵画」 東京国立近代美術館
「戦後ドイツの映画ポスター」 東京国立近代美術館フィルムセンター
「BARRACKOUT バラックアウト」 旧松田邸
「ガラス絵 幻惑の200年史」 府中市美術館
「驚異の超絶技巧!ー明治工芸から現代アートへ」 三井記念美術館
「ジャコメッティ展」 国立新美術館
「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」 東京ステーションギャラリー
「写真家ソール・ライター展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
「雪村ー奇想の誕生」 東京藝術大学大学美術館
「大英自然史博物館展」 国立科学博物館
「シャセリオー展」 国立西洋美術館
「特別名品展+杉本博司『海景ーATAMI』」 MOA美術館
なかなか絞りきれず、多くの展覧会をあげてしまいましたが、全般的に日本美術に関心が向いた年だったような気がします。
「雪村ー奇想の誕生」(東京藝術大学大学美術館)が充実していました。15年ぶりの回顧展で、修行時代から晩年への制作を丹念に追っていただけでなく、光琳の引用など、思わぬ観点も興味深いものがありました。また幕末生まれの日本画家、渡辺省亭の再発見の1年だったのでないでしょうか。「孤高の神絵師 渡辺省亭」(加島美術)が一部のファンの注目を集めた上、山種美術館や松岡美術館でも作品が展示されました。
茶の湯の当たり年でもありました。まさしく集大成とも言うべき「茶の湯」(東京国立博物館)はもちろん、私の好きな楽焼に着目した「茶碗の中の宇宙」(東京国立近代美術館)は強く印象に残りました。ほかにも「茶の湯のうつわー和漢の世界」(出光美術館)、「茶の湯の名品ー破格の美・即翁の眼」(畠山記念館)などが開催されました。
サントリー美術館の日本美術展が充実していました。コレクターやパトロンらの視点から絵巻を紹介した「絵巻マニア列伝」にはじまり、手箱の文様の意味や貴族社会の生活、そして模造や修復のプロセスについて踏み込んだ「神の宝の玉手箱」、さらには元信がいかに狩野派の繁栄の礎を築いたのかについて検証した「天下を治めた絵師 狩野元信」など、単に優品を集めるだけでなく、構成や考証が綿密に練られていたのにも感心させられました。
今年も知られざる画家に新たな発見がありました。その最たるのが「不染鉄展」(東京ステーションギャラリー)で、極めて細密な描写と曼荼羅を思わせる構図、さらに一転しての叙情的でかつ幻想的な展開など、終始、見知らぬ作品の連続で驚きました。また見知らぬといえば、「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」も同様で、絵画世界の中へ自らの王国を築き上げた、ヴェルフリの旺盛な創造力に圧倒されるばかりでした。
西洋美術では「シャセリオー展」(国立西洋美術館)、「ジャコメッティ展」(国立新美術館)、「オルセーのナビ派展」(三菱一号館美術館)、「ブリューゲル バベルの塔展」(東京都美術館)、「ヴォルスー路上から宇宙へ」(DIC川村記念美術館)、「シャガール 三次元の世界」(東京ステーションギャラリー)、「オットー・ネーベル展」(Bunkamura ザ・ミュージアム)などが印象に残りました。中でもロマン主義の画家、シャセリオーによる甘美な肖像画には大いに魅せられました。また画家のみならず、詩人、著述家、アナウンサー、俳優としても活動したオットー・ネーベルの日本初の回顧展も意義深いものがありました。ちょうどシャガールやカンディンスキー関連の展覧会が行われていたこともあり、各々の交流や影響関係について知ることも出来ました。
今年は関東以外の美術館へも僅かながら足を運ぶことが出来ました。そのうち幾つかは上のベスト10に入れましたが、ほかにも谷口建築の魅力に心底惹かれた豊田市美術館、また日頃、お世話になっている友人、知人と1泊2日で行程を組み、タレルの光の館に泊まった越後妻有へのツアーも良い思い出となりました。また近場ではありますが、リニューアルで、現在、望みうる最良と思うほどに美しい展示環境を築いたMOA美術館の「特別名品展+杉本博司『海景ーATAMI』」、また平田晃久による螺旋状の建物はもとより、図書館にちなんだテキストや地誌を踏まえ、引き出しの多い展示でもあった太田市美術館・図書館の「開館記念展 未来への狼火」も見応えがありました。
現代美術では、独特の光沢感のある色彩に魅せられた「エリザベス・ペイトン:Still life 静/生」(原美術館)、韓国の主に戦後の抽象表現を辿り、繊細な素材も目を引いた「単色のリズム 韓国の抽象」(東京オペラシティアートギャラリー)、移動式の美術館を考案し、写真表現の新たな可能性を伺わせた「ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館」(東京都写真美術館)、実際に「ストランドビースト」が動く姿を見学出来た「テオ・ヤンセン展」(三重県立美術館)などをあげたいと思います。また今年、現代美術展で最多の入場者を記録した「草間彌生 わが永遠の魂」(国立新美術館)も、まさしく集大成的な内容で楽しめました。
皆さんは今年一年、どのような美術との出会いがありましたでしょうか。心に残った展示などについてコメントかリンクをいただければ嬉しいです。
このエントリをもって年内の更新を終わります。今年も「はろるど」とおつき合い下さりどうもありがとうございました。それではどうか良いお年をお迎え下さい。
*過去の展覧会ベスト10
2016年、2015年、2014年、2013年、2012年、2011年、2010年、2009年、2008年、2007年、2006年、2005年、2004年(その2。2003年も含む。)
2017年12月に見たい展覧会
48日間の入場者数は約62万4500人。京博が開催した特別展で入場者数が過去最高だった。/京都・国宝展:多彩な話題集めて閉幕 過去最多の入場者数 - 毎日新聞 https://t.co/ZK8cmbVjeH#国宝100 #国宝 #国宝展
— 国宝応援団 (@kokuhou_project) 2017年11月27日
一方で、森アーツセンターギャラリーで始まった「THE ドラえもん展」は、土日を中心に行列が発生し、東京都美術館の「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」も、多少混みだしています。また会期終盤を迎えた「怖い絵展」は、さらに混雑に拍車がかかり、平日土日問わず、長蛇の列が出来ています。
私が11月に見た展覧会で印象に残ったのは、Bunkamuraザ・ミュージアムの「オットー・ネーベル展」と、千葉市美術館の「北野恒富展」、また武蔵野美術大学美術館の「戸谷成雄展」、また埼玉県立近代美術館の「ディエゴ・リベラの時代展」でした。
特にバウハウス出身でもあるオットー・ネーベルは、図版や写真では分からない質感が大変に個性的で、交流のあったクレーやカンディンスキーの参照などもあり、非常に興味深く見ることが出来ました。
今、Bunkamuraザ・ミュージアムで「ネーベル展」、ステーションギャラリーで「シャガール」、汐留ミュージアムで「カンディンスキーとルオー」の展覧会が行われています。シャガール展は間もなく会期末を迎えますが、あわせて見るとより面白いかもしれません。
それでは12月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「デンマーク・デザイン」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~12/27)
・「パリ♥グラフィックーロートレックとアートになった版画・ポスター展」 三菱一号館美術館(~2018/1/8)
・「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」 東京都美術館(~2018/1/8)
・「小松宏誠展 Air tracks」 調布市文化会館(11/23~2018/1/14)
・「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」 国立西洋美術館(~2018/1/28)
・「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」 サントリー美術館(~2018/1/28)
・「生誕100年 ユージン・スミス写真展」 東京都写真美術館(~2018/1/28)
・「毛利悠子 グレイ スカイズ」 藤沢市アートスペース(12/2~2018/1/28)
・「無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol.14」 東京都写真美術館(12/2~2018/1/28)
・「北澤美術館所蔵 ルネ・ラリックの香水瓶」 渋谷区立松濤美術館(12/12~2018/1/28)
・「国宝 雪松図と花鳥ー美術館でバードウォッチング」 三井記念美術館(12/9~2018/2/4)
・「鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます」 東京ステーションギャラリー(12/16~2018/2/12)
・「DOMANI・明日展PLUS×日比谷図書文化館」 日比谷図書文化館(12/14~2018/2/18)
・「装飾は流転する」 東京都庭園美術館(~2018/2/25)
・「いのちの交歓ー残酷なロマンティスム」 國學院大學博物館(12/16~2018/2/25)
・「石内都 肌理と写真」 横浜美術館(12/9~2018/3/4)
・「南方熊楠ー100年早かった智の人」 国立科学博物館(12/19~2018/3/4)
・「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」 東京国立近代美術館(12/1~2018/3/21)
ギャラリー
・「ムン&チョン フリーダム・ヴィレッジ」 SCAI THE BATHHOUSE(~12/16)
・「政田武史展」 The Mass(~12/17)
・「つつの靴下」 クリエイションギャラリーG8(~12/23)
・「オルビス30周年記念 ケの美展」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(~12/24)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.6 柄澤健介」 ギャラリーαM(12/16~2018/2/3)
・「THE EUGENE Studio 1/2 Century later.」 資生堂ギャラリー(11/21~12/24)
・「織物以前 タパとフェルト」 リクシルギャラリー(12/7~2018/2/24)
・「マリメッコ・スプリットーマリメッコの暮らしぶり」 ギャラリーA4(12/15~2018/2/28)
・「グリーンランド 中谷芙二子+宇吉郎展」 メゾンエルメス(12/22~2018/3/4)
・「ヤン・フードン The Coloured Sky: New Women 2」 エスパス・ルイ・ヴィトン東京(~2018/3/11)
まずは横浜美術館です。実質デビュー40年を迎える写真家、石内都の個展が、横浜美術館で開催されます。

「石内都 肌理と写真」@横浜美術館(12/9~2018/3/4)
石内の個展に接する機会は、何も少ないわけではなく、2009年には目黒区美術館で「ひろしま/ヨコスカ」、2014年にはLIXILギャラリーで「幼き衣へ」、また昨年には資生堂ギャラリーで「Frida is」などが行われました。
タイトルの「肌理」とは、物や皮膚の表面の細かいあやを意味します。確かに石内の写真からは、繊細なテクスチャーが感じられるのではないでしょうか。横浜美術館という巨大な箱で、どのように映えるのかにも期待したいところです。
花や虫、それに猫などの可愛らしい作品でも知られる画家、熊谷守一の展覧会が、東京国立近代美術館ではじまります。

「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」@東京国立近代美術館(12/1~2018/3/21)
明治13年に生まれた熊谷守一は、二科展などに参加し、作品を発表。晩年は、身近な生き物を単純化して描く様式を確立し、97歳で亡くなるまで絵筆を取り続けました。
守一といえば、今から10年前の2008年、埼玉県立近代美術館でも回顧展が行われました。多くの作品を網羅した決定版的とも言える内容でした。今回は「最新の研究成果も踏まえて」(公式サイトより)いるそうです。新たな知見も得られるのではないでしょうか。
来年の大規模な展覧会の情報が出揃って来ました。
【先週の人気記事】2018年秋から2019年初夏にかけて、東京、大阪の2つの美術館にフェルメールの作品8点が一堂に会する『フェルメール展』が開催されます。https://t.co/f9u7uFsdGe
— Casa BRUTUS (@CasaBRUTUS) 2017年11月27日
中でも国内史上最多の8点のフェルメール作品が揃う「フェルメール展」(上野の森美術館)は、大規模美術展としては珍しい日時指定入場制を採用が決まり、twitter上でも話題を集めました。
【名作誕生展】本日より、観覧券2枚がセットになったお得な「早割2枚セット券」(一般2600円)を発売。展覧会公式サイト、主要プレイガイドで1月31日(水)までの期間限定販売となります。#名作誕生 https://t.co/kbt3a1aS2U
— トーハク広報室 (@TNM_PR) 2017年12月1日
また同じく過去最大スケールの「没後50年 藤田嗣治展」(東京都美術館ほか)や、「國華」創刊130周年を記念して行われる「名作誕生ーつながる日本美術」や、縄文の美をテーマとする「縄文ー1万年の美の鼓動」(ともに東京国立博物館)などの概要も発表されました。

「芸術新潮」最新号(2017年12月号)の「これだけは見ておきたい2018年美術展ベスト25」に、一定数の大型展の情報が出ているほか、今月上旬に発売予定の「日経おとなのOFF」(2018年1月号)の「2018年美術展」でも、来年の展覧会の情報が網羅されます。

特におとなのOFFは、例年、かなり多くの展覧会情報が掲載されます。来年の情報を先取りするのに重宝しそうです。
何かと忙しない時期ではありますが、今月もどうぞ宜しくお願いします。
2017年11月に見たい展覧会
特に話題沸騰の「怖い絵」は、会場のキャパシティの問題もあり、11月3日(金・祝)には、3時間半にも及ぶ行列が起きました。凄まじい混雑が続いています。
先月に見た展覧会の中では、愛知県美術館の「長沢芦雪展」が圧倒的に印象に残りました。まだ感想を書けていませんが、師の応挙の作品を参照しつつ、小品から代表作までを網羅した、実に見応えのある内容でした。「虎図」でも知られる、無量寺の襖絵の再現展示も見事でした。
千葉市美術館の「鈴木春信展」も充実していました。既に千葉での展示は終了しましたが、11月から名古屋ボストン美術館、来年春には、あべのハルカス美術館へと巡回します。そちらでも是非、おすすめしたいところです。
11月に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「戸谷成雄ー現れる彫刻」 武蔵野美術大学美術館(〜11/11)
・「妹島和世 SANAA × 北斎」 すみだ北斎美術館(~11/12)
・「フランス人間国宝展」 東京国立博物館(~11/26)
・「長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」 東京都写真美術館(~11/26)
・「三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館」 渋谷区立松濤美術館(~11/26)
・「皇室の彩 百年前の文化プロジェクト」 東京藝術大学大学美術館(~11/26)
・「フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画」 DIC川村記念美術館(~12/3)
・「シャガール 三次元の世界」 東京ステーションギャラリー(~12/3)
・「没後50年特別展 龍子の生きざまを見よ!」 大田区立龍子記念館(11/3〜12/3)
・「典雅と奇想ー明末清初の中国名画展」 泉屋博古館分館(11/3~12/10)
・「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」 パナソニック汐留ミュージアム(~12/20)
・「知られざるスイスの画家 オットー・ネーベル展」 Bunkamuraザ・ミュージアム(~12/17)
・「没後70年 北野恒富展」 千葉市美術館(11/3~12/17)
・「田原桂一『光合成』with 田中泯」 原美術館(~12/24)
・「没後60年記念 川合玉堂ー四季・人々・自然」 山種美術館(~12/24)
・「デンマーク・デザイン」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(11/23~12/27)
・「パリ♥グラフィックーロートレックとアートになった版画・ポスター展」 三菱一号館美術館(~2018/1/8)
・「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」 東京都美術館(~2018/1/8)
・「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」 森アーツセンターギャラリー(11/1~2018/1/8)
・「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」 国立西洋美術館(~2018/1/28)
・「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」 サントリー美術館(11/22~2018/1/28)
・「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」 森美術館(11/18~2018/4/1)
ギャラリー
・「第4回CAF賞作品展」 代官山ヒルサイドフォーラム(〜11/5)
・「江川純太 Overdose」 eitoeiko(〜11/19)
・「GRAPH展」 クリエイションギャラリーG8(~11/22)
・「超絶記録!西山夘三のすまい採集帖」 リクシルギャラリー(~11/25)
・「Takeshi MURATA展 Living Room」 山本現代(〜11/25)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.5 石原友明」 ギャラリーαM(〜12/2)
・「ムン&チョン フリーダム・ヴィレッジ」 SCAI THE BATHHOUSE (11/11〜12/16)
・「政田武史展」 The Mass(11/18〜12/17)
・「THE EUGENE Studio 1/2 Century later.」 資生堂ギャラリー(11/21~12/24)
・「マリメッコ・スピリッツ」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(11/15~2018/1/13)
・「ヤン・フードン The Coloured Sky: New Women 2」 エスパス・ルイ・ヴィトン東京(〜2018/3/11)
まずは日本画です。日本画家、川端龍子の特別展が、大田区立龍子記念館で開催されます。

「没後50年特別展 龍子の生きざまを見よ!」@大田区立龍子記念館(11/3〜12/3)
今年、没後50年を迎えた川端龍子の回顧展は、この夏にも行われ、山種美術館では「川端龍子ー超ド級の日本画」が開かれました。まさに「超ド級」の名に相応しく、横7メートルの「香炉峰」や、同じく大画面の「鳴門」など、迫力のある作品も少なくなく、常に新たな絵画表現へを切り開こうとする、龍子の旺盛な創造力に圧倒されたものでした。
今回は龍子ゆかりの記念館での特別展です。同館のみならず、生誕の地の和歌山のほか、他館のコレクションを交えての回顧展となります。また同時代の画家の作品や、龍子が自宅の持仏像に納めていた仏像も公開されるそうです。
川端龍子の旧宅とアトリエを保存した龍子公園、基本的に10、11、14時からのガイドに参加しないと観覧出来ませんが、たまたまやって来られた文士村の会のツアーに混ぜてもらって見学してきました。記念館とあわせて見た方が良いです。例の爆弾散華の池も。随所に龍子のこだわりが見える。 pic.twitter.com/AF1FDDoGD6
— はろるど (@harold_1234) 2017年7月23日
龍子記念館といえば、隣に旧アトリエを保存した龍子公園もあります。合わせて観覧するのが良いかもしれません。
チラシ表紙のコピー、「画壇の悪魔派」に興味を引かれました。千葉市美術館で「没後70年 北野恒富展」が始まります。

「没後70年 北野恒富展」@千葉市美術館(11/3~12/17)
明治13年に金沢で生まれた北野恒富は、10代にして上阪し、挿絵画家として名を馳せたのち、美人画の日本画家として活動しました。大正期には、東京の鏑木清方、京都の上村松園らと並び称されていたそうです。
「没後70年 北野恒富展」展示作業はじまりました!…が、とにかく作品の大きさに驚きです。等身大より大きいものもあり、若干見上げる感じでご覧いただくことに…。「会場芸術」的な大画面の迫力はさることながら、大きいので細部が見やすいというメリットも。恒富独特の画法を間近でご覧ください。 pic.twitter.com/akIvWjQ0lK
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) 2017年10月30日
没後70年を記念しての大回顧展です。出展数は171件と膨大ですが、前後期で入れ替えもあります。(前期:11月3日~11月26日 後期:11月28日~12月17日)まずは早めに出かけるつもりです。
最後は現代美術です。アルゼンチン生まれのアーティスト、レアンドロ・エルリッヒの個展が、森美術館で行われます。

「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」@森美術館(11/18~2018/4/1)

エルリッヒの作品としてよく知られるのは、金沢21世紀美術館にある「スイミング・プール」です。同館の開館10周年の際には、「レアンドロ・エルリッヒーありきたりの?」(2014年)展が開催され、「スイミング・プール」はカタログの表紙も飾りました。

レアンドロ・エルリッヒ「Window and Ladder - Leaning into History」 *窓学展にて
また最近では、スパイラルガーデンの「窓学」展において、宙に浮いたような窓型のインスタレーションを出展し、一部で話題も集めました。
✔11/18(土)開幕!レアンドロ・エルリッヒの、世界でも最大規模の個展を開催します。新作を含む40点を超える作品を展示し、その8割は日本初公開。どうぞお楽しみに!https://t.co/JgFyE1Epxy#レアンドロ展 #レアンドロエルリッヒ #森美術館 pic.twitter.com/CRUlrqNcvg
— 森美術館 Mori Art Museum (@mori_art_museum) 2017年10月27日
世界でも過去最大規模の個展だそうです。しかも出展中の8割が日本初公開です。時にトリッキーな仕掛けも少なくないエルリッヒの作品のことです。きっと驚きと発見の多い展覧会になるのではないでしょうか。
それでは今月も宜しくお願いします。
2017年10月に見たい展覧会
大型の展覧会では、東京国立博物館で、運慶展が始まりました。事前の期待も大きかったのか、早くも土日の午前中の一部時間帯に、入場のための待ち時間が発生しました。何せ知名度抜群の運慶です。会期中盤以降、後半にかけては、長蛇の列となるかもしれません。
10月に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「上村松園ー美人画の精華」 山種美術館(~10/22)
・「素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生」 東京藝術大学大学美術館(~10/26)
・「安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘」 21_21 DESIGN SIGHT(10/7~10/28)
・「馬の美術150選ー山口晃『厩圖2016』完成披露」 馬の博物館(~10/29)
・「あざみ野コンテンポラリー vol.8 渡辺豪 ディスロケーション」 横浜市民ギャラリーあざみ野(10/7〜10/29)
・「マックス・クリンガー版画展」 神奈川県立近代美術館葉山館(~11/5)
・「天下を治めた絵師 狩野元信」 サントリー美術館(~11/5)
・「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~11/12)
・「丸木スマ展ーおばあちゃん画家の夢」 丸木美術館(~11/18)
・「長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー」 愛知県美術館(10/6~11/19)
・「フランス人間国宝展」 東京国立博物館(~11/26)
・「長谷川等伯障壁画展 南禅寺天授庵と細川幽斎」 永青文庫(~11/26)
・「長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」 東京都写真美術館(~11/26)
・「特別展覧会 国宝」 京都国立博物館(10/3~11/26)
・「三沢厚彦 アニマルハウス 謎の館」 渋谷区立松濤美術館(10/7~11/26)
・「フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画」 DIC川村記念美術館(~12/3)
・「シャガール 三次元の世界」 東京ステーションギャラリー(~12/3)
・「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」 パナソニック汐留ミュージアム(10/17~12/20)
・「知られざるスイスの画家 オットー・ネーベル展」 Bunkamuraザ・ミュージアム(10/7~12/17)
・「怖い絵展」 上野の森美術館(10/7~12/17)
・「安藤忠雄展ー挑戦」 国立新美術館(~12/18)
・「田原桂一『光合成』with 田中泯」 原美術館(~12/24)
・「単色のリズム 韓国の抽象」 東京オペラシティアートギャラリー(10/14~12/24)
・「パリ♥グラフィックーロートレックとアートになった版画・ポスター展」 三菱一号館美術館(10/18~2018/1/8)
・「野生展:飼いならされない感覚と思考」 21_21 DESIGN SIGHT(10/20~2018/2/4)
ギャラリー
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.4 小松浩子」 ギャラリーαM(~10/14)
・「高田唯展 遊泳グラフィック」 クリエイションギャラリーG8(~10/19)
・「青山悟展 News From Nowhere」 ミヅマアートギャラリー(~10/21)
・「中西夏之展」 SCAI THE BATHHOUSE(~10/28)
・「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」 スパイラルガーデン(10/13〜10/31)
・「アレッサンドロ・ラホ Jessica」 TARONASU(10/13〜11/4)
・「アルベルト・ヨナタン TERRENE」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(10/7〜11/5)
・「組版造形 白井敬尚」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(~11/7)
・「人・建築・都市を記憶するーレンズ付きフィルムによる写真展 100人の日本橋」 ギャラリーA4(10/13~11/9)
・「椛田ちひろー見知らぬ惑星」 アートフロントギャラリー(10/6〜11/12)
・「榎倉康二 Figure」 タカ・イシイギャラリー 東京(10/20〜11/18)
・「超絶記録!西山夘三のすまい採集帖」 リクシルギャラリー(~11/25)
兵庫県立美術館で話題を集めた「怖い絵」展が、いよいよ上野の森美術館へとやって来ます。

「怖い絵展」@上野の森美術館(10/7~12/17)
ドイツ文学者の中野京子氏の著作、「怖い絵」シリーズが、初めて展覧会の形として実現しました。近代ヨーロッパの絵画、版画より、悪魔、地獄、怪物、また神話や聖書、さらに幻視などをモチーフとした作品が、約80点ほど展示されます。ロンドンのナショアンル・ギャラリーの、「レディ・ジェーン・グレイの処刑」(ポール・ドラローシュ作)も初来日しました。
「怖い絵」展が10月7日から上野の森美術館で開幕!前売券は10月6日までの販売です。兵庫展はお陰様で多くのお客様にご来場いただき、当日券購入まで1時間お待たせする日もありました。可能でしたら前売券をご購入の上、会期早めの平日来場がおすすめです。後半になるほどに混雑が予想されます…
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年10月1日
人気のシリーズだけあるのか、兵庫会場では計27万名もの入場者を記録しました。何せ手狭な上野の森のスペースのことです。早々からかなり混雑するかもしれません。
続いて日本美術です。江戸の奇想の絵師、長沢芦雪の回顧展が、愛知県美術館で行われます。

「長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー」@愛知県美術館(10/6~11/19)
芦雪の大規模な回顧展といえば、2011年、滋賀のMIHO MUSEUMにおいて、「長沢芦雪 奇は新なり」と題した展覧会が開催されました。
本日、中日新聞朝刊に長沢芦雪展の見開き特集が掲載されました!一部だけ、ちらっと紹介。企画協力の明治学院大学・山下裕二教授に原稿を寄せてもらっております♪ 担当者ながら、早く展覧会を見たい!と思ってしまいました(笑) #芦雪 pic.twitter.com/carlsjgJYs
— 長沢芦雪展公式 (@rosetsu2017) 2017年9月15日
今回の最大の見どころは、有名な「虎図襖」を含む、無量寺方丈の空間再現展示です。さらに同間を挟む2部屋の襖絵も再現展示し、芦雪の代表作を空間全体で味わえるように工夫されます。また4点の初公開作品も加わるそうです。
実は私も芦雪は大好きな絵師の一人ですが、MIHOの展覧会を行きそびれてしまいました。今度こそは見逃さないようにしたいと思います。
この秋の最大の目玉かもしれません。国宝誕生120周年を記念し、京都国立博物館で「特別展覧会 国宝」が開催されます。

「特別展覧会 国宝」@京都国立博物館(10/3~11/26)
明日からいよいよ、開館120周年記念 特別展覧会「国宝」がはじまるよ!ボクもとっても楽しみだリン♪#トラりん #京都国立博物館 #国宝 pic.twitter.com/nGtiVNVSCr
— 京都国立博物館 トラりん (@TORARINOFFICIAL) 2017年10月2日
現在、国宝の美術工芸品の855件のうち、4分の1の200件が集結し、計4回の会期に分けて公開される展覧会です。また雪舟の国宝指定品6点の同時展示や、光琳の「燕子花図屏風」の100年ぶりの里帰りなどの話題にも事欠きません。会期直前には、通常、非公開の、京都・龍光院の「曜変天目」の出展も発表されました。
どの会期に出掛けるのか悩ましいところですが、公式サイトの「日程別作品検索」が思いの外に良く出来ています。色々と参考になりそうです。
また上のリストにはあげませんでしたが、今月は、あべのハルカス美術館で、「大英博物館 国際共同プロジェクト 北斎」展もはじまります。

「大英博物館 国際共同プロジェクト 北斎ー富士を超えて」@あべのハルカス美術館(10/6〜11/19)
さらに月末には、奈良国立博物館で、恒例の「正倉院展」もスタートします。この秋は、名古屋、そして関西の日本美術展に大いに注目が集まりそうです。
それでは今月も宜しくお願いします。
2017年9月に見たい展覧会
先月で印象的だったのは、一にも二にも谷口建築が素晴らしかった豊田市美術館でした。もちろん開催中の「奈良美智展」も充実していました。さらに旧給食センターという独特の空間を巧みに利用した「引込線」や、5年ぶりに行われたサントリー美術館の「おもしろびじゅつワンダーランド」の取り組みにも感心させられました。一方で、神奈川県立近代美術館葉山館の「萬鉄五郎展」に行く機会を逸してしまったのは心残りでした。(萬鉄五郎展は9月3日まで開催。)
9月は多くの展覧会が始動します。今月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「柳宗悦と『手仕事の日本』を旅する」 日本橋高島屋(~9/11)
・「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971ー2017ー」 東京都写真美術館(~9/24)
・「畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華」 渋谷区立松濤美術館(~9/24)
・「引込線2017」 旧所沢市立第2学校給食センター(~9/24)
・「月岡芳年 月百姿」 太田記念美術館(9/1~9/24)
・「館蔵品展 江戸の花鳥画」 板橋区立美術館(9/2~10/9)
・「駒井哲郎展」 埼玉県立近代美術館(9/12~10/9)
・「池田学The Penー凝縮の宇宙」 日本橋高島屋(9/27~10/9)
・「浅井忠の京都遺産ー京都工芸繊維大学美術工芸コレクション」 泉屋博古館分館(9/9~10/13)
・「国宝 鶴岡八幡宮古神宝」 鎌倉国宝館(9/1~10/15)
・「上村松園ー美人画の精華」 山種美術館(8/29~10/22)
・「ほとけを支えるー蓮華・霊獣・天部・邪鬼」 根津美術館(9/14~10/22)
・「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」 千葉市美術館(9/6~10/23)
・「馬の美術150選ー山口晃『厩圖2016』完成披露」 馬の博物館(9/9~10/29)
・「黄金町バザール2017」 黄金町エリアマネジメントセンター(~11/5)
・「マックス・クリンガー版画展」 神奈川県立近代美術館葉山館(9/16~11/5)
・「天下を治めた絵師 狩野元信」 サントリー美術館(9/16~11/5)
・「江戸の琳派芸術」 出光美術館(9/16~11/5)
・「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(9/16~11/12)
・「丸木スマ展ーおばあちゃん画家の夢」 丸木美術館(9/9~11/18)
・「フランス人間国宝展」 東京国立博物館(9/12~11/26)
・「運慶展」 東京国立博物館(9/26〜11/26)
・「フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画」 DIC川村記念美術館(9/9~12/3)
・「驚異の超絶技巧!ー明治工芸から現代アートへ」 三井記念美術館(9/16~12/3)
・「シャガール 三次元の世界」 東京ステーションギャラリー(9/16~12/3)
・「安藤忠雄展ー挑戦」 国立新美術館(9/27~12/18)
・「田原桂一『光合成』with 田中泯」 原美術館(9/9~12/24)
ギャラリー
・「川俣正ー工事中 再開」 アートフロントギャラリー(~9/24)
・「田中武展 NAN-PUK」 日本橋高島屋美術画廊X(9/6~9/25)
・「春木麻衣子「vision | noisiv」 TARONASU(~9/30)
・「板東優 ポートレイトから始まる線の果て」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(~10/1)
・「レイモン・ドゥパルドン写真展」 シャネル・ネクサス・ホール(~10/1)
・「千年の甍ー古代瓦を葺く」 ギャラリーA4(~10/6)
・「野口里佳 海底」 タカ・イシイギャラリー東京(9/9~10/7)
・「窓学展ー窓から見える世界」 スパイラルガーデン(9/28~10/9)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.4 小松浩子」 ギャラリーαM(9/9~10/14)
・「高田唯展 遊泳グラフィック」 クリエイションギャラリーG8(9/19~10/19)
・「青山悟展 News From Nowhere」 ミヅマアートギャラリー(9/20~10/21)
・「かみ展 コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」 資生堂ギャラリー(~10/22)
・「中西夏之展」 SCAI THE BATHHOUSE(9/15~10/28)
・「組版造形 白井敬尚」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(~11/7)
・「超絶記録!西山夘三のすまい採集帖」 リクシルギャラリー(9/7~11/25)
いずれも注目したいのは日本美術です。まずは千葉市美術館にて「鈴木春信展」がはじまります。

「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」@千葉市美術館(9/6~10/23)
江戸時代中期、錦絵誕生の頃に人気を博した浮世絵師、鈴木春信。作品を見る機会こそ少なくありませんが、網羅的な展覧会は多く開かれていません。
9月6日から開催の「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」、ボストン美術館のクーリエのかた立会いのもと展示作業が始まりました! pic.twitter.com/I9giemlvpi
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) 2017年9月1日
千葉市美術館でも約15年ぶりとなる春信展です。世界第1級とも称されるボストン美術館のコレクションが約150点ほど出展されます。早々に出かけるつもりです。
この秋、東京で最も人気を集める展覧会になるかもしれません。東京国立博物館で「運慶展」が開催されます。

「運慶展」@東京国立博物館(9/26~11/26)
現存する運慶作31体のうち、22体も揃う一大展覧会です。史上最大とうたうのもあながち誇張ではありません。公式Twitter(@unkei2017)などのWEB上のプロモーション活動も積極的ですが、公式サイト内の「運慶学園」のコンテンツが思いの外に充実していました。そちらで予め運慶について学んでおくのも良いかもしれません。
【#運慶展】出品国宝「無著菩薩立像」「世親菩薩立像」運慶作 奈良・興福寺蔵奈良市の中心に境内を構える興福寺。北円堂の内陣、ご本尊(本展不出品)の両脇に安置される高さ2mの無著菩薩立像と世親菩薩立像は、運慶の集大成ともいえる名作です。会場で心ゆくまで向き合ってみてください。 pic.twitter.com/Dwt9MNCR6U
— 龍燈鬼@運慶展【公式】 (@unkei2017) 2017年8月31日
春には同じく慶派の仏師、快慶の回顧展もありました。私も見てきました。春の快慶、秋の運慶とあわせて楽しみたいところです。
本格的に元信を取り上げる初めての展覧会だそうです。サントリー美術館にて「天下を治めた絵師 狩野元信」がはじまります。

「天下を治めた絵師 狩野元信」@サントリー美術館(9/16~11/5)
狩野派の始祖、正信の子に生まれた元信は、狩野派を工房組織としても整備し、日本最大の画派へと至る礎を築き上げました。
\ご応募受付中✨/山下裕二氏を講師にお迎えした記念講演会「狩野派四百年の礎を築く 二代目・元信の仕事」、締切は9/5まで!https://t.co/n724EaJGBK pic.twitter.com/90gm7HjmSz
— サントリー美術館 (@sun_SMA) 2017年8月29日
今回は元信作だけでなく、先人の作品や中国絵画を参照し、幅広い観点から業績を振り返ります。確かに単独での元信展は記憶にありません。日本美術ファン注目の展覧会になりそうです。
それでは今月もどうぞ宜しくお願いします。
2017年8月に見たい展覧会
夏休みに入り、行楽地と同様、美術館や博物館も人出が増しているようです。中でも筆頭は国立科学博物館の「深海展」です。平日こそ待ち時間はないものの、場内はかなり混雑し、待機列の発生する土日には整理券も導入されました。実質、約60分から90分の待ち時間となっています。
ほかにも何かと露出の多い東京都美術館の「ボストン美術館展」、また前回も人気を集めたサントリー美術館の「おもしろびじゅつワンダーランド」も、会期が進むにつれて混雑する可能性があります。それに全国巡回を経て、ようやく東京へやって来た、損保ジャパン日本興亜美術館の「吉田博展」も、多くの来場者を集めています。
7月は東京ステーションギャラリーの「不染鉄展」、練馬区立美術館の「藤島武二展」の両回顧展の充実ぶりが印象に残りました。また埼玉県立近代美術館の「遠藤利克展」も空間を支配するような量感のある作品群に圧倒されました。いずれもこの夏におすすめしたい展覧会です。
今月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「第23回 秘蔵の名品 アートコレクション展 佳人礼讃ーうるわしの姿を描く」 ホテルオークラ東京(~8/24)
・「静かに狂う眼差しー現代美術覚書」 DIC川村記念美術館(~8/27)
・「月岡芳年 妖怪百物語」 太田記念美術館(~8/27)
・「CCMAコレクション いま/むかし うらがわ」 千葉市美術館(8/5~8/27)
・「おもしろびじゅつワンダーランド2017」 サントリー美術館(8/1~8/31)
・「没後90年 萬鐵五郎展」 神奈川県立近代美術館葉山(~9/3)
・「荒木経惟 写狂老人A」 東京オペラシティアートギャラリー(~9/3)
・「ヨーロッパの木の玩具ードイツ・スイス、北欧を中心に」 目黒区美術館(~9/3)
・「地獄絵ワンダーランド」 三井記念美術館(~9/3)
・「やきもの勉強会 食を彩った大皿と小皿」 根津美術館(~9/3)
・「祈りのかたちー仏教美術入門」 出光美術館(~9/3)
・「奈良美智 for better or worse」 豊田市美術館(〜9/24)
・「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971ー2017ー」 東京都写真美術館(~9/24)
・「畠中光享コレクション インドに咲く染と織の華」 渋谷区立松濤美術館(8/8~9/24)
・「引込線2017」 旧所沢市立第2学校給食センター(8/26~9/24)
・「そこまでやるか 壮大なプロジェクト展」 21_21 DESIGN SIGHT(~10/1)
・「ボストン美術館の至宝展」 東京都美術館(~10/9)
・「杉戸洋 とんぼとのりしろ」 東京都美術館(~10/9)
・「モノの力・ヒトの力ー縄文から現代まで 人と工芸の間にやどるチカラ」 國學院大學博物館(~10/9)
・「届かない場所 高松明日香展」 三鷹市美術ギャラリー(8/11~10/22)
・「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」 国立新美術館・森美術館(~10/23)
・「ヨコハマトリエンナーレ2017」 横浜美術館/横浜赤レンガ倉庫1号館/横浜市開港記念会館地下ほか(8/4~11/5)
・「黄金町バザール2017」 黄金町エリアマネジメントセンター(8/4~11/5)
ギャラリー
・「ユメイエ展:日本の若手建築家」 TARO NASU(~8/12)
・「第11回 shiseido art egg 菅亮平展」 資生堂ギャラリー(~8/20)
・「杉戸洋ーfrontispiece and end leaf チリと見返し」 小山登美夫ギャラリー(8/5~9/2)
・「Point-Rhythm Worldーモネの小宇宙」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(~9/3)
・「Apeloiggg Tokyo フィリップ・アペロワ展」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(8/7~9/16)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.3 水木塁」 ギャラリーαM(~8/26)
・「東恩納裕一 blankーprints and drawings」 日本橋高島屋美術画廊X(8/16~9/4)
・「池田学展 誕生」 ミヅマアートギャラリー(~9/9)
・「ジャストライト」 アキバタマビ(~9/10)
・「東京東ーシタマチ Discovery」 クリエイションギャラリーG8(8/22~9/14)
まずは横浜です。6回目となるヨコハマトリエンナーレが8月4日からいよいよスタートします。

「ヨコハマトリエンナーレ2017」@横浜美術館/横浜赤レンガ倉庫1号館/横浜市開港記念会館地下ほか(8/4~11/5)
【開幕まであと6日】「宇治野新作制作風景」その11/宇治野さんをさがせ!Part. 7#ヨコトリ #yokotori #ヨコハマトリエンナーレ2017 #宇治野宗輝 #UJINO pic.twitter.com/mB3V3ouOGf
— 横浜トリエンナーレ (@yokotori_) 2017年7月29日
「島と星座とガラパゴス」と題し、「接続」と「孤立」をテーマにした様々な展示が行われるようです。また今年もBankART Studio NYKや黄金町バザールと連動しています。全て回ると一日がかりです。時間に余裕を持って出かけたいところです。
夏の恒例のオークラのチャリティー企画、「秘蔵の名品 アートコレクション展」が今年もはじまりました。

「第23回 秘蔵の名品 アートコレクション展 佳人礼讃ーうるわしの姿を描く」@ホテルオークラ東京(~8/24)
今回の着目点は人物です。洋画と日本画を問わず、主に女性を主題とした肖像画、ないし風俗画が展示されます。アートコレクション展は、それこそ「秘蔵」とあるように、普段、なかなかお目にかかれない作品が出ることも少なくありません。まだ見ぬ作品を目当てに行きたいと思います。
佐賀県立美術館では最多入場者数を記録し、金沢21世紀美術館の展覧会でも注目を集めた池田学の個展が、市ヶ谷のミヅマアートギャラリーで開催されています。

「池田学展 誕生」@ミヅマアートギャラリー(~9/9)
ギャラリーのスペースのゆえにメインの作品は1点、「誕生」です。とはいえ、3.11に着想を得て、のちに構想2年、制作に3年超をかけたという力作です。
池田学展「誕生」は、先日無事にオープニングを迎えました。本展は、9月9日まで開催いたします。開廊時間:11:00 - 19:00休廊日:日、月、祝日会場:ミヅマアートギャラリーhttps://t.co/7I78wuUPHH写真:オープニングレセプションの様子 pic.twitter.com/Fpl9Yo5K69
— Mizuma Art Gallery (@MizumaGallery) 2017年7月29日
さらに今秋、9月末には、佐賀、金沢の展覧会が日本橋高島屋へと巡回してきます。そちらの前に見ておくのも良いのではないでしょうか。
美術家・奈良美智さんの大規模な個展が愛知・豊田市美術館で開かれています。30年の足跡を作家の言葉とともに振り返ります。https://t.co/bL4HlI6axt pic.twitter.com/L7uBniDucC
— 朝日新聞デジタル編集部 (@asahicom) 2017年7月25日
「奈良美智 for better or worse」@豊田市美術館(〜9/24)
なかなか全国の展覧会を見て回れませんが、今月は日帰りで豊田市美術館の奈良美智展へ行ってくるつもりです。実は美術館自体へも一度も出かけたことがありません。展覧会はもちろん、谷口吉生設計による建物にも期待したいと思います。
それではどうぞよろしくお願いします。
2017年7月に見たい展覧会
先月からはジャコメッティ展やアルチンボルド展もスタートしました。ほかでは建物との雰囲気と独特な作風の接点も面白い松濤のクエイ兄弟、画業を丹念に掘り起こした千葉の椿貞雄、多面的な切り口で手箱の魅力を伝えたサントリーの玉手箱展などが印象に残りました。
7月は新しい展覧会が数多く始まります。今月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。
展覧会
・「浮世絵師北斎展」 パルコミュージアム(~7/17)
・「石川九楊展」 上野の森美術館(7/5~7/30)
・「世界報道写真展2017」 東京都写真美術館(~8/6)
・「アート・スコープ2015ー2017 漂泊する想像力」 原美術館(~8/27)
・「幻の画家 不染鉄展」 東京ステーションギャラリー(7/1~8/27)
・「タイ~仏の国の輝き」 東京国立博物館(7/4~8/27)
・「静かに狂う眼差しー現代美術覚書」 DIC川村記念美術館(7/8~8/27)
・「吉田博展 山と水の風景」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(7/8~8/27)
・「遠藤利克展ー聖性の考古学」 埼玉県立近代美術館(7/15~8/31)
・「没後90年 萬鐵五郎展」 神奈川県立近代美術館葉山(7/1~9/3)
・「荒木経惟 写狂老人A」 東京オペラシティアートギャラリー(7/8~9/3)
・「ヨーロッパの木の玩具ードイツ・スイス、北欧を中心に」 目黒区美術館(7/8~9/3)
・「ギガ恐竜展2017」 幕張メッセ(7/15~9/3)
・「地獄絵ワンダーランド」 三井記念美術館(7/15~9/3)
・「藝『大』コレクション パンドラの箱が開いた!」 東京藝術大学大学美術館(7/11~9/10)
・「藤島武二展」 練馬区立美術館(7/23〜9/18)
・「レオナルド×ミケランジェロ展」 三菱一号館美術館(6/17~9/24)
・「さかざきちはるのおしごと展」 芳澤ガーデンギャラリー(7/1~9/24)
・「ベルギー奇想の系譜」 Bunkamuraザ・ミュージアム(7/15~9/24)
・「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971ー2017ー」 東京都写真美術館(7/25~9/24)
・「そこまでやるか 壮大なプロジェクト展」 21_21 DESIGN SIGHT(~10/1)
・「深澤直人がデザインする生活の周囲展」 パナソニック汐留ミュージアム(7/8~10/1)
・「深海2017」 国立科学博物館(7/11~10/1)
・「ボストン美術館の至宝展」 東京都美術館(7/20~10/9)
・「杉戸洋 とんぼとのりしろ」 東京都美術館(7/25~10/9)
・「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」 国立新美術館・森美術館(7/5~10/23)
・「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」 東京国立近代美術館(7/19~10/29)
ギャラリー
・「第11回 shiseido art egg 沖潤子展」 資生堂ギャラリー(~7/23)
・「2017 ADC展」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー/クリエイションギャラリーG8(7/3~7/25)
・「登山博文 部屋|光」 タカ・イシイギャラリー 東京(7/1~7/29)
・「アピチャッポン・ウィーラセタクン Memoria」 SCAI THE BATHHOUSE(7/7~8/4)
・「ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』」 ギャラリーエークワッド(~8/9)
・「元田久治ーTowers」 アートフロントギャラリー(7/14~8/13)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.3 水木塁」 ギャラリーαM(7/15~8/26)
・「池田学展 誕生」 ミヅマアートギャラリー(7/26~9/9)
・「エマニュエル・ソーニエ展」 メゾンエルメス(7/14~10/31)
まず今月の展覧会で気になるのは上野の森美術館です。書家の石川九楊の個展がはじまります。

「石川九楊展」@上野の森美術館(7/5~7/30)
私が石川九楊の作品を初めて見たのは今から10年以上も前、日本橋三越のギャラリーで行われた個展でした。時に音楽的とすら呼べる書はあまりにも自由でかつ奔放。その凄まじいエネルギーを前に衝撃を受けたことを覚えています。
それ以来、何故かあまり作品に接する機会がありませんでした。久方ぶりの個展です。期待したいと思います。
一度、美術館での単独の展示を見たいと思っていた作家の一人でした。埼玉県立近代美術館で遠藤利克の個展が開催されます。

「遠藤利克展ー聖性の考古学」@埼玉県立近代美術館(7/15~8/31)
焼成した木や水、あるいは土やゴムなどを用いて彫刻をつくる遠藤利克。身近なところでは東京国立近代美術館の常設展示のほか、所沢ビエンナーレなどにも出展し、圧倒的な量感のある作品を見せてきました。
大きさに圧倒される。『遠藤利克展—聖性の考古学』は2017年7月15日 - 2017年8月31日 埼玉県立近代美術館にて開催。https://t.co/7XXlOI8jwf pic.twitter.com/swidWZZQoj
— Time Out Tokyo JP (@TimeOutTokyoJP) 2017年6月20日
2010年以降の近作、および新作も加わるそうです。関東では26年ぶりの大規模な個展となります。
東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館にて「吉田博展 山と水の風景」が開催されます。

「吉田博展 山と水の風景」@東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(7/8~8/27)
同展は昨年春の千葉市美術館を皮切りに、郡山、久留米、上田の各市立美術館を巡回してきました。この損保ジャパン会場が最後の巡回先でもあります。
吉田博展が新宿で開催 - 世界を渡り歩いた「絵の鬼」の風光明媚な風景画、ダイアナ妃の肖像も - https://t.co/xIlJEwjf30 pic.twitter.com/wB940SOX8B
— Fashion Press (@fashionpressnet) 2017年7月2日
私も千葉で一度、見ましたが、単に木版だけでなく、瑞々しい水彩、そして山を捉えた油絵のほか、激しい戦争画など、驚くほどに多彩でかつ、制作に旺盛な画家だということがよく分かりました。千葉市美を見逃した方にはまたとないチャンスです。私も再度見に行きたいと思います。
秋に向けての大型展の中では注目されるのではないでしょうか。ボストン美術館の至宝展が東京都美術館ではじまります。

「ボストン美術館の至宝展」@東京都美術館(7/20~10/9)
出展は約80件。古代エジプト、中国、日本の各美術、フランス、アメリカ絵画のほか、現代美術までを網羅します。ともすると総花的になるやもしれませんが、英一蝶の「涅槃図」の170年ぶりの里帰りや、ゴッホのルーラン夫妻の肖像の同時展示など、いくつかの大きな見どころもあります。また美術館のコレクションの形成に関わった収集家の活動にも着目するそうです。
ボストン美術館の至宝展公式Twitterスタート!世界でもトップクラスの規模を誇るアメリカのボストン美術館の作品80点が2017年7月、東京都美術館に来日。作品やグッズ情報、ボストンの美しい街並みまで沢山のコンテンツをお送りします。https://t.co/CGBJmg0mar
— ボストン美術館の至宝展 (@BOSTON_TEN) 2017年2月20日
「国芳・国貞展」(文化村)や「ダブルインパクト」(芸大)、また「ミレー展」(一号館)や「ジャポニスム展」(世田谷)などでもボストンの作品が多数展示されましたが、館のコレクションに着目した大きな展示は「日本美術の至宝」(東博)にまで遡るかもしれません。
ムンクの「叫び」の来日が決まりました。
「ムンクの「叫び」、上野で会える 来年秋に回顧展」:朝日新聞デジタル
来日するのは「叫び」で最も知られるオスロ国立美術館の所蔵作品ではなく、ムンク美術館の油彩、テンペラの作品です。ムンクは「叫び」を似た構図で複数枚制作しました。また展覧会は油彩、版画、素描など100点を展示。おそらくムンクの体系的な回顧展になることが予想されます。
それでは今月もよろしくお願いします。
2017年6月に見たい展覧会
展覧会
・「京都のみやびとモダン」 群馬県立館林美術館(~6/25)
・「エリック・カール展」 世田谷美術館(~7/2)
・「はじめての古美術鑑賞ー紙の装飾」 根津美術館(~7/2)
・「開館記念展 未来への狼火」 太田市美術館(~7/17)
・「ダヤニータ・シンーインドの大きな家の美術館」 東京都写真美術館(~7/17)
・「神の宝の玉手箱」 サントリー美術館(~7/17)
・「水墨の風ー長谷川等伯と雪舟」 出光美術館(6/10~7/17)
・「クエイ兄弟ーファントム・ミュージアム」 渋谷区立松濤美術館(6/6~7/23)
・「歿後60年 椿貞雄 師・劉生、そして家族とともに」 千葉市美術館(6/7~7/30)
・「リアル(写実)のゆくえー高橋由一・岸田劉生、そして現代につなぐもの」 足利市立美術館(6/17~7/30)
・「名刀礼賛 もののふ達の美学」 泉屋博古館分館(~8/4)
・「世界報道写真展2017」 東京都写真美術館(6/10~8/6)
・「川端龍子ー超ド級の日本画」 山種美術館(6/24〜8/20)
・「アート・スコープ2015ー2017 漂泊する想像力」 原美術館(~8/27)
・「ジャコメッティ展」 国立新美術館(6/14~9/4)
・「レオナルド×ミケランジェロ展」 三菱一号館美術館(6/17~9/24)
・「アルチンボルド展」 国立西洋美術館(6/20~9/24)
・「そこまでやるか 壮大なプロジェクト展」 21_21 DESIGN SIGHT(6/23~10/1)
ギャラリー
・「菅木志雄ー分けられた指空性」 小山登美夫ギャラリー(~6/10)
・「ロマン・チェシレヴィチ 鏡像への狂気」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(~6/24)
・「大庭大介個展」 SCAI THE BATHHOUSE(~6/24)
・「ルイジ・ギッリ Works from the 1970s」 タカ・イシイギャラリー 東京(~6/24)
・「第11回 shiseido art egg 吉田志穂展」 資生堂ギャラリー(6/2~6/25)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.2 澤田育久」 ギャラリーαM(~7/1)
・「ShugoArts Show」 シュウゴアーツ(6/3~7/8)
・「田原桂一 Les Sens」 POLA MUSEUM ANNEX(6/9~7/9)
・「マーリア・ヴィルッカラ個展」 アートフロントギャラリー(6/9~7/9)
・「東京墓情 荒木経惟×ギメ東洋美術館」 シャネル・ネクサス・ホール(6/22~7/23)
・「武田五一の建築標本」 LIXILギャラリー(6/8~8/26)
さて今月も上野や六本木などで大型の展覧会が控えていますが、まず期待しているのが国立西洋美術館です。ハプスブルグの宮廷画家として活動したアルチンボルドの回顧展が開催されます。

「アルチンボルド展」@国立西洋美術館(6/20~9/24)
私がアルチンボルドを初めて知ったのは文化村のだまし絵展でした。植物や魚などを組み合わせた寓意的な肖像画は見るも鮮烈。強い印象を与えられたものでした。
今回はアルチンボルドだけで10点。中でも連作「四季」の4点が日本で初めて公開されます。さらに素描のほか、先行したレオナルド派、ないしハプスブルク家が蒐集した美術工芸品などを交え、計100点の作品でアルチンボルド芸術を俯瞰する内容となります。
約12年ぶりの本格的な回顧展です。今年で没後50年を迎えた日本画家、川端龍子展が山種美術館ではじまります。

「川端龍子ー超ド級の日本画」@山種美術館(6/24〜8/20)
展覧会「川端龍子 ―超ド級の日本画―」山種美術館で、横幅7.2m超の大作含む代表作約60点を展示 - https://t.co/UIR2VvOqXi pic.twitter.com/zmAltkQloH
— Fashion Press (@fashionpressnet) 2017年5月20日
出展は全60点です。初期作から「鳴門」などの代表作を網羅して画業を辿ります。中でも注目は「香炉峰」です。全長7メートルの大画面に中国上空を飛ぶ戦闘機を何故か透明に描いています。自身の搭乗経験を基にした、いわゆる戦争記録画の一種ですが、ともかく奇抜です。これぞ「超ド級」ということでしょうか。
力強い「自画像」に心奪われました。近代の洋画家、椿貞雄の展覧会が千葉市美術館で開催されます。

「歿後60年 椿貞雄 師・劉生、そして家族とともに」@千葉市美術館(6/7~7/30)
6/7から開催する「歿後60年 椿貞雄展」の展示作業が始まりました。作品も出始めています!(´-`).。oO(おや、あれは劉生?千葉市美で油絵が展示されるのは久々ですねぇ) pic.twitter.com/CUILpG90ER
— 千葉市美術館 (@ccma_jp) 2017年6月1日
山形の米沢に生まれた椿は、上京後、岸田劉生に師事し、白樺派の影響も受けながら、画家として活動しました。また30歳の時に船橋市の小学校の教員となり、以降、遊学や疎開を除いて、船橋の地に住み続けました。いわば千葉ゆかりの画家でもあります。
今年4月、群馬県太田市に太田市美術館がオープンしました。

「開館記念展 未来への狼火」@太田市美術館(~7/17)
現在は開館を記念した「未来への狼火」が開催中です。また太田市の近隣では、足利市立美術館の「リアルのゆくえ」や、群馬県館林美術館で「京都のみやびとモダン」も行われています。開館からは少し経ってしまいましたが、タイミングを見計らって回ってくる予定です。
「京都のみやびとモダン」@群馬県立館林美術館(~6/25)
「リアル(写実)のゆくえー高橋由一・岸田劉生、そして現代につなぐもの」@足利市立美術館(6/17~7/30)
現在当館では開館記念展にあわせ展示室以外の館内各所にも作品を展示しています。昨日展示したばかりの、淺井裕介さんの作品もそのひとつ。ワークショップで使ったマスキングテープを再構成した作品。このほか、映像作家の林勇気さん、美術家の片山真理さんの作品も。ぜひ館内を散策してみてください。 pic.twitter.com/y4gLmlTDe8
— 太田市美術館・図書館 (@obt_pr) 2017年5月20日
【レポート】群馬の新名所「太田市美術館・図書館」がオープン:T-SITE
それでは今月もよろしくお願いします。
2017年5月に見たい展覧会
展覧会
・「いちはらアート×ミックス2017」 千葉県市原市南部地域(〜5/14)
・「ロシア科学アカデミー図書館所蔵 川原慶賀の植物図譜」 埼玉県立近代美術館(~5/21)
・「絵本はここからはじまった ウォルター・クレインの本の仕事」 千葉市美術館(~5/28)
・「詩情の森ー語りかたられる空間」 KAAT神奈川芸術劇場(~5/28)
・「茶の湯」 東京国立博物館(~6/4)
・「茶の湯のうつわー和漢の世界」 出光美術館(~6/4)
・「19世紀パリ時間旅行ー失われた街を求めて」 練馬区立美術館(~6/4)
・「YCC Temporary 大巻伸嗣」 YCCヨコハマ創造都市センター(~6/4)
・「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」 森アーツセンターギャラリー(~6/18)
・「没後150年 坂本龍馬」 江戸東京博物館(~6/18)
・「アドルフ・ヴェルフリ展」 東京ステーションギャラリー(~6/18)
・「ファッションとアート 麗しき東西交流」 横浜美術館(~6/25)
・「ランス美術館展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~6/25)
・「ニューヨークが生んだ伝説 ソール・ライター展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(~6/25)
・「エリック・カール展」 世田谷美術館(〜7/2)
・「ヴォルスー路上から宇宙へ」 DIC川村記念美術館(~7/2)
・「はじめての古美術鑑賞ー紙の装飾」 根津美術館(5/25~7/2)
・「ダヤニータ・シンーインドの大きな家の美術館」 東京都写真美術館(5/20~7/17)
・「神の宝の玉手箱」 サントリー美術館(5/31~7/17)
・「アート・スコープ2015ー2017 漂泊する想像力」 原美術館(5/27~8/27)
ギャラリー
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.1 高木こずえ」 ギャラリーαM(~5/13)
・「ジョージェ・オズボルト展」 TARO NASU(~5/13)
・「津村耕佑展 RECOMBINATION」 スパイラルガーデン(5/10〜21)
・「光る知覚ーTouching the Light」 アキバタマビ21(~6/4)
・「Alan Chan HELLO GINZA!」 POLA MUSEUM ANNEX(〜6/4)
・「田中望ー場所と徴候」 アートフロントギャラリー(5/12〜6/4)
・「菅木志雄ー分けられた指空性」 小山登美夫ギャラリー(〜6/10)
・「ロマン・チェシレヴィチ 鏡像への狂気」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(5/15~6/24)
・「大庭大介個展」 SCAI THE BATHHOUSE(5/19〜6/24)
・「アブラハム・クルズヴィエイガス展」 メゾンエルメス(~7/2)
GWに入りましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年は1日と2日をお休みにしての9連休という方もおられるかもしれません。各美術館でもGW中に様々なイベントを行っています。
本日より5/6(土)まで、庭園にクッキングカーが登場しています。芝生の広場にレジャーシートを敷いて、のんびりピクニックするのもおすすめです。DIC総合研究所のツツジは土・日・祝日限定で5/7(日)までの一般公開です。 pic.twitter.com/jkmCjKNpqN
— DIC川村記念美術館 (@kawamura_dic) 2017年4月29日
DIC川村記念美術館はGW中に庭園で弁当やピザを販売。さらに恒例のツツジ山が一般に開放されます。ピクニック気分で楽しめそうです。
【GW期間中の臨時直行バスについて】本日4月30日と、5月3日(水・祝)から7日(日)まで、東急田園都市線・用賀駅~美術館間で臨時直行バスを運行いたします。時刻や乗り場について、くわしくはこちらをご確認ください⇒https://t.co/NupKAQbNWo
— 【公式】エリック・カール展 (@Ericcarle201718) 2017年4月30日
世田谷美術館で開催中のエリック・カール展では、GW中に限り、用賀駅と美術館の間で臨時直通バスが運行されます。
「haletto」、「じゃらんニュース」でいちはらアート×ミックス2017を紹介していただきました!ぜひご覧ください♪「haletto」現代アートと菜の花咲く里山のぬくもりに魅了される「いちはらアート×ミックス2017」... https://t.co/GKrnfu39Xy
— いちはらアート×ミックス (@IchiharaArtMix) 2017年4月29日
私のGWは今年も近場をこまめに回るつもりです。なおGW最終日の7日は、会期末の近づいた「いちはら×アートミックス2017」に出かける予定です。
ゴールデンウィークはアートに浸ってみては?オススメの展覧会を紹介https://t.co/tlzQyIsBgA#ゴールデンウィーク #GW #アート
— Fashionsnap.com (@fashionsnap) 2017年4月30日
fashionsnapがGW中のおすすめ展覧会をいくつかピックアップしています。そちらも参考になりそうです。
それでは5月も宜しくお願いします。
2017年4月に見たい展覧会
展覧会
・「歌川国芳 21世紀の絵画力」 府中市美術館(~5/7)
・「藤森照信展ー自然を生かした建築と路上観察」 水戸芸術館(~5/14)
・「絵巻マニア列伝」 サントリー美術館(~5/14)
・「燕子花図と夏秋渓流図」 根津美術館(4/12~5/14)
・「ロシア科学アカデミー図書館所蔵 川原慶賀の植物図譜」 埼玉県立近代美術館(4/8~5/21)
・「特別展覧会 海北友松」 京都国立博物館(4/11~5/21)
・「絵本はここからはじまった ウォルター・クレインの本の仕事」 千葉市美術館(4/5~5/28)
・「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」 奈良国立博物館(4/8~6/4)
・「茶の湯」 東京国立博物館(4/11~6/4)
・「茶の湯のうつわー和漢の世界」 出光美術館(4/15~6/4)
・「19世紀パリ時間旅行ー失われた街を求めて」 練馬区立美術館(4/16~6/4)
・「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」 三井記念美術館(4/15~6/11)
・「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」 森アーツセンターギャラリー(~6/18)
・「花*Flower*華 琳派から現代へ」 山種美術館(4/22~6/18)
・「没後150年 坂本龍馬」 江戸東京博物館(4/29~6/18)
・「アドルフ・ヴェルフリ展」 東京ステーションギャラリー(4/29〜6/18)
・「日本、家の列島ーフランス人建築家が驚くニッポンの住宅デザイン」 パナソニック汐留ミュージアム(4/8~6/25)
・「ファッションとアート 麗しき東西交流」 横浜美術館(4/15~6/25)
・「ランス美術館展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(4/22~6/25)
・「ニューヨークが生んだ伝説 ソール・ライター展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(4/29~6/25)
・「ヴォルスー路上から宇宙へ」 DIC川村記念美術館(4/1~7/2)
・「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」 東京都美術館(4/18~7/2)
ギャラリー
・「五木田智央 Holy Cow」 タカ・イシイギャラリー 東京(~4/15)
・「田村友一郎 G」 ユカ・ツルノ・ギャラリー(~4/22)
・「パウロ・モンテイロ展」 小山登美夫ギャラリー(~4/22)
・「ポーラ ミュージアム アネックス展2017ー繊細と躍動」 POLA MUSEUM ANNEX(〜4/23)
・「金子富之展 荒ぶる神々」 ミヅマアートギャラリー(4/5〜4/28)
・「TDC 2017」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(4/5〜4/28)
・「浅見貴子ー彼方/此方」 アートフロントギャラリー(4/7〜4/30)
・「ライゾマティクス創立10周年 Rhizomatiks 10」 スパイラルガーデン(4/19〜30)
・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.1 高木こずえ」 ギャラリーαM(4/8~5/13)
・「ジョージェ・オズボルト展」 TARO NASU(4/8〜5/13)
・「渡邉良重展 絵をつくること」 クリエイションギャラリーG8(4/4〜5/20)
・「リー・キット展 Not untitled」 シュウゴアーツ(4/15〜5/20)
・「南極建築 1957-2016」 LIXILギャラリー(〜5/27)
・「椿会展2017」 資生堂ギャラリー(4/4〜5/28)
・「アブラハム・クルズヴィエイガス展」 メゾンエルメス(4/21〜7/2)
・「坂茂:プロジェクツ・イン・プログレス」 TOTOギャラリー・間(4/19~7/16)
今月はまず京都、奈良に注目です。桃山時代の絵師、海北友松の回顧展が京都国立博物館ではじまります。

「特別展覧会 海北友松」@京都国立博物館(4/11~5/21)
出展は70点。チラシ表紙の「雲龍図」などの代表作のほか、絵画からの里帰りや新発見作も出品されます。(展示替えあり。)これまでにも東京国立博物館の「栄西と建仁寺」や「妙心寺」展などで、海北友松の作品が出ましたが、今回ほどのスケールでの展覧会はありませんでした。
【特別展覧会のおしらせ】4月11日(火)より、開館120周年記念 特別展覧会「海北友松」を開催します。桃山最後の巨匠・海北友松に焦点を当て、代表作はもとより、初期作や新発見の作品を含む約70件を紹介します。https://t.co/yaOariFoTE
— 京都国立博物館 (@kyohaku_gallery) 2017年4月1日
永徳、等伯、山楽・山雪など、京都国立博物館で行われてきた桃山絵師シリーズの完結編です。京都の単独開催です。もちろん東京への巡回はありません。
慶派発祥の地での展覧会です。奈良国立博物館で「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」が開催されます。

「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」@奈良国立博物館(4/8~6/4)
初期作から晩年まで88件の作品で快慶の業績を辿ります。既に主な出陳品もWEBで公開中です。海外の所蔵品も含まれます。
【快慶展】2017.3.21 快慶仏講座のすべての動画を公開しました。「台座について」「安阿弥様」「光背について」、 読売テレビ 快慶展公式サイトにてご覧いただけます。→https://t.co/HIk6rckcxR #快慶 #仏像 #奈良国立博物館
— 奈良国立博物館 (@narahaku_PR) 2017年3月22日
秋には東京国立博物館で「運慶展」が行われます。あわせて見ておきたいところではないでしょうか。
一方での東京です。上野で大型の展覧会が控えています。東京都美術館で「ブリューゲル『バベルの塔』展」がはじまります。

「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」@東京都美術館(4/18~7/2)
ブリューゲルの「バベルの塔」が来日するのは約24年ぶりのことです。さらに現存する油彩が25点しかないボスも2点公開。16世紀のネーデルラントの芸術を俯瞰します。
【ここがすごいぞ!ヒエロニムス・ボス⑦】いかがでしたか?ボスの油彩画2点は《バベルの塔》と同じくらい必見です。ボスは昨年、没後500年を迎え、ヨーロッパで大規模な回顧展が開催されました。500年前の当時はもちろん、現代でも熱い支持を集めるボスの油彩画、ぜひ会場でご覧ください! pic.twitter.com/yAOEIjiaoN
— タラ夫@「バベルの塔」展公式 (@2017babel) 2017年3月7日
ボス、ブリューゲルともに日本での展示機会は多くありません。さらに「バベル」の知名度は抜群です。ひょっとすると早々から混み合うかもしれません。
最後にギャラリーの展覧会で一つ、期待したいのが、TOTOギャラリ・間です。坂茂の個展が開催されます。

「坂茂:プロジェクツ・イン・プログレス」@TOTOギャラリー・間(4/19~7/16)
坂茂は災害支援にも積極的に取り組む建築家です。一昨年には、世田谷文化生活情報センターで「紙の建築と災害支援」と題した展覧会が行われました。また2013年には水戸芸術館で初めての大規模な個展も開催されました。私もともに見に行きました。
今回は最新のプロジェクトを模型や映像を通して紹介するそうです。同ギャラリーとしては18年ぶりの展示です。注目を集めるのではないでしょうか。
それでは今月もよろしくお願いします。
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