薄っぺらく、付加価値が無くなり
安くなりすぎた古本を手に取る。
太宰治の人間失格だ。
今日古本屋へ行き、105円で買ってきたものだ。
ちゃっかり税金が5円取られている。
この5円が何の理由による5円なのかも理解できないまま、
僕は見えない圧力に負けて105円払って逃げるように店を出る。
そういえば、思い出した。
僕は100円の意味すらも理解できてないのに
何故5円を気にするのだろうか。
これは既に騙されているのだ。
1円でも払った時点で同じ事なんだ。
数ページめくるだけで
うっすらとした嫌気がさしこんでくる。
この本の作者は俺だ
いや、俺ではないけど俺に似すぎている。
折り返しの写真を見ただけで解る。
あまりにも生きた人間の顔をしていない。
きっと世の中の全てがわからなくて死んだように生きてきた人だ。
生きる事に耐えられなくて自殺した人だ。
俺は今までに太宰治の本など一冊も読んだ事がない。
本名が津島修治というのも今日知った。
なのに聞いた事があるような気がする。
目をそらして来たはずなのに
今日という日が来てやはり読む事になった。
この本は僕の為に書かれた本であり
この本を読めば僕が唯一の僕ではなく
しょせん只の人だということが書いてあるのだ。
この本に書かれている事は読む前から解っている
この本には「お前の悩みなど、この程度だ」
と書いてあるのだ。
僕はそれを確かめねばならない。
死んだ人の本など読んでもしょうがないが
生きている友と出会い
死んだ創作の中に眠る生きた心について話し合う為
僕はこれを読まねばならない。
ご丁寧に「これは強制ではないよ。」という偽の選択権まで与えられて
僕はこの本を手にしている。
そうじゃないんだ。
僕に断る選択肢など、はじめから用意されてはいないのだ。
思いの津波というものは
例え今だけ防いでも、いつかは隙間から流れてくる水と同じなんだ。
そんな諦め色の現実に染められて
僕は怯えながら本を読む。
僕の予感の整合性を、確かめるために。
安くなりすぎた古本を手に取る。
太宰治の人間失格だ。
今日古本屋へ行き、105円で買ってきたものだ。
ちゃっかり税金が5円取られている。
この5円が何の理由による5円なのかも理解できないまま、
僕は見えない圧力に負けて105円払って逃げるように店を出る。
そういえば、思い出した。
僕は100円の意味すらも理解できてないのに
何故5円を気にするのだろうか。
これは既に騙されているのだ。
1円でも払った時点で同じ事なんだ。
数ページめくるだけで
うっすらとした嫌気がさしこんでくる。
この本の作者は俺だ
いや、俺ではないけど俺に似すぎている。
折り返しの写真を見ただけで解る。
あまりにも生きた人間の顔をしていない。
きっと世の中の全てがわからなくて死んだように生きてきた人だ。
生きる事に耐えられなくて自殺した人だ。
俺は今までに太宰治の本など一冊も読んだ事がない。
本名が津島修治というのも今日知った。
なのに聞いた事があるような気がする。
目をそらして来たはずなのに
今日という日が来てやはり読む事になった。
この本は僕の為に書かれた本であり
この本を読めば僕が唯一の僕ではなく
しょせん只の人だということが書いてあるのだ。
この本に書かれている事は読む前から解っている
この本には「お前の悩みなど、この程度だ」
と書いてあるのだ。
僕はそれを確かめねばならない。
死んだ人の本など読んでもしょうがないが
生きている友と出会い
死んだ創作の中に眠る生きた心について話し合う為
僕はこれを読まねばならない。
ご丁寧に「これは強制ではないよ。」という偽の選択権まで与えられて
僕はこの本を手にしている。
そうじゃないんだ。
僕に断る選択肢など、はじめから用意されてはいないのだ。
思いの津波というものは
例え今だけ防いでも、いつかは隙間から流れてくる水と同じなんだ。
そんな諦め色の現実に染められて
僕は怯えながら本を読む。
僕の予感の整合性を、確かめるために。