妻が精神病院に入院した。
息子は児童相談所に奪われている。
僕は仕事だけをしている。
未来がうまく見つからない
現実感だけがある
寝ている時はそれが現実か夢かわからず観ているくせに
起きている時には夢がない
僕はここで何をしているのだろう
僕は死ななかった罰を受けているのか?
思っていたほど辛くは無い。
昔は大人になることが
強制的に大人になる事が、
つらくてつらくてしょうがなくて
必死で時の流れに逆らおうとしていた。
今は何というていたらくだ。
時の音が僕を刻んでも、殆ど痛みを感じていない。
想像以上に大人として生きる事に
楽さを感じている。
青年期にあれほど悩んでいた心の痛みを、
僕はもううまく感じることが出来ないほどに、鈍くなり過ぎている。
僕の感性はもうあまりにも鈍化している。
なのに辛くもなんともない。
違う、鈍化したから辛く無いんだ。
未完成であることの生命の儚い美しさを僕は失い続けている。
息子が育てば育つ程、
僕は生きる事の悩みから解放されていく。
多分、息子に押しつけているんだと思う。
生きることの悩みそのものを。
バカだから気づかなかった。
僕は息子を世界から失うことが怖い。