嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

演幕のからくり人形の側で。

2010年11月08日 09時39分44秒 | 考え事
僕の作った庭の中で人形が飛んだり跳ねたり。
一つは僕と同じ色をした人形で、
僕が作ったかどうかは定かじゃないが
僕と同じ動力で動いて、僕と同じ水を飲む。
同じ部品で出来上がっているように見えるのに
姿も形も違う人形が
たくさんの風景の中に溶け込む。

見えない時が流れて見えない時間が経つ
どうしようもない堅さの中で
やわらかくそびえ立つお城のように
ガラスのような、もろくて固い影達が
失われた時を取り戻すように、演劇を奏でる。

二つの人形は、いつも対称的な位置に立つことで
二つの違う世界を表すけれど、
それは投影によって浮かび上がる光源が一つであるならば、
一つの同じ太陽に照らされる影であるならば、
けっきょくは、同じ痛みと、同じ強さの振動と
僕たちを取り巻く、巨大なねじまきの仕掛けによって
動いてゆく寂しいからくり人形。

お茶を運んで、お客を喜ばす仕掛けも、
同じ糸で動く演幕のかなしいあやつり人形も
決して外に出ることはなく、
ただ、外に憧れることで、私たちの中に棲んでいる。

もし、箱庭の中で乾いた砂が音を立てて風に流されていくのが
音楽の正体であるなら、
きっと音楽が終わるときには、
その小さな箱庭を壊すのは、僕の役目なんだ。

すべての人形の目が光って
僕を黙って見つめるとき
僕は、人形の美しさを。