才子の中にある寂しい世界に
僕の記憶を無理矢理詰め込みたい。
才子の中で延々と問われ続ける下らない問題を、
僕が真っ二つに答えを出したい。
僕は、才子に会いたい。
才子に触れたい。
才子の臭いを嗅ぎたい。
才子の汚れと僕の汚れを一つにして、
同じ穢れにしたい。
同じ罪を背負いたい。
一つの命のために、
二つの世界が終わっても、
それはそれでいいんじゃないのかな。
でもまぁ、今はそんなスケールのでかいことも、
抽象的なコトも、
何も考えなくていいから、
ただ僕は、才子に会いたかった。
なんで過去形なのかって?
読んだ時と、書いた時では、時差があるからだよ。
僕の記憶を無理矢理詰め込みたい。
才子の中で延々と問われ続ける下らない問題を、
僕が真っ二つに答えを出したい。
僕は、才子に会いたい。
才子に触れたい。
才子の臭いを嗅ぎたい。
才子の汚れと僕の汚れを一つにして、
同じ穢れにしたい。
同じ罪を背負いたい。
一つの命のために、
二つの世界が終わっても、
それはそれでいいんじゃないのかな。
でもまぁ、今はそんなスケールのでかいことも、
抽象的なコトも、
何も考えなくていいから、
ただ僕は、才子に会いたかった。
なんで過去形なのかって?
読んだ時と、書いた時では、時差があるからだよ。
初めは、別れる間際、激しい憎しみと敵意、そして同時に冷静にあなたを殴ろうという、不思議な頭の中の状態でした。それから、半日とかからず、またあなたへの感情は急激に変化しました。とても冷たく、それは凍りつくような感情に変わりました。そして、寝て起きたら、私の感情はすっかり変わっていました。あなたに対して、何も感じなくなりました。あなたへの感情がなくなりました。あなたへの関心がなくなりました。でも、あなたのことは、考える事はありました。でもそれは、以前とは全く違うものでした。最後に別れる時までは、私達の間にどんなに酷い出来事があったとしても、私の心の中には、常にあなたへの温かくて優しい気持ちが、小さなロウソクの火の様に灯って、消えませんでした。今は、もうその火は消えてしまいました。以前は、あなたに触れたい、それを必死に耐えていました。今は、あなたに触れたいとは、思いません。
私達は、うまく行かないよ。
あなたは、私を全く理解していない事にカウンセリングで気がついたよ。先生に、私が出産、育児が出来ますか?と聞きましたね。私は絶望しました。
常に、自分の為に、子供が欲しいから私が必要なんでしょう。子供を育てたいという目的の為に私を見ているでしょう。
でも、その前に、私にちゃんと愛情を注いで欲しかった。私をちゃんと愛してくれる人の為じゃなきゃ、私は子供は産まないよ。
いやいや指輪を買ってくれたことも、傷ついた。
なんで、そんなに物を欲しがるのか、分からない、と言いましたね。
ただの物では無かった、私には。
指輪は特別なものだった。
あなたとの将来を覚悟する為の指輪だった。
だから、薬指の指輪にしたんだよ。
あなたに、薬指に指輪をはめてくれるようにせがんだら、あなたはとても嫌そうに、やらされている、私がせがむから、やりたく無いけど、薬指に指輪をはめてくれましたね。
絶望感しかなかった。
あなたは、私を愛してないんだよ。
あなたが愛しているのは、あなた自身だけなんだよ。
僕はゴールを目指して走っている。
スタート地点からは既に離れた場所に居る。
才子はスタート地点からぐるぐると螺旋状に迷走しながら「ゴールは死ぬ時にしかわからない」と言う。才子はゴールを定めないし、ゴールを理解しない。多分、死ぬのが怖いからだろうなぁ、とは想像していますが、全方位に構えて自分を成長させる事を怖がっているようにも見えます。
未来の為に今を生きる事、目標を持って生きる事は僕が大事にしている視座です。
だからと言って才子を道具のように扱ったりはしていません。君が言うように、お金で買う事の出来ない貴重な価値が才子にある事は十分わかっています。ただ、才子はいつも心のことに関して、表層意識しか見えていません。僕の心の動きも表面的にしか捉えていないし、自分の心の中も、表面しか見る事が出来ていません。だから常に僕の深い部分にある考え方は才子には届かない。
才子のせいにしているわけでは無いですよ。
才子は相手の心の奥を覗き込む前に、相手を表面だけで断罪する癖があると言ってるんです。わかっていない事を、わかったつもりになってしまう。
僕は今も才子のことはわからないままです。
才子の事を知りたいと思っても、才子が自分自身について知る事を怖がっています。質問しても途中で考える事をやめてしまうのは、パンドラの箱を開くのが苦しいからでしょう。僕はその苦しい作業をひたすら孤独に何十年もしてきた。だから君の事が好きなんです。才子は自分を安心させる為に何度も何度も僕に結論めいた嘘をついてきました。
でも、安心して下さい。僕はその嘘には騙されませんよ。僕自身が、過去に自分自身を欺いてきた弱さを知っているからです。
才子の結論は今のところ常に途中経過の報告でしかありません。人生について何かを決めるのは確かに勇気のいる事です。でも、僕に約束した事よりも、まずは才子自身が心の奥で決めた事をきちんと守り抜いて欲しいと思っています。その事が「私には自分が無い。」というトリックを破る事に繋がります。
ハッキリ言いますね。
才子の言う「私には自分が無い」は才子が自分を欺く為についている嘘です。周りの人からは才子の個性が見えています。
自分が無いからと言って自分の責任から逃れることは出来ないのです。誰もが時間の流れの中で、強制的に成長(老化)していきます。だから僕は才子には自分自身の事について、もっと気づいて欲しいと思っています。
才子には雁字搦めに縛られて動けなくなった人の、心の糸をゆっくりほどこうとする優しさがあります。それを僕一人の為ではなく、才子自身のためにも使って欲しいと思うんです。難しいのであれば半分でもいいですよ。
全力で自分の事だけやれと言ってるわけではないんです。苦しい時にはもちろん手伝います。厳しさと優しさは両義性を持った表裏一体のものですが、少し厳しくし過ぎたんだと反省しています。
追い詰めてしまってゴメン。
ただ僕はもう一度才子の事をぎゅっと抱きしめたいな、と思っているだけです。
思い上がりだと言われてもいいです。
ただ僕がそうしたいだけなんですから。
また、ロウソクに火が灯るかもしれないし、灯らないかも知れない。
私にも分からない。
でも、何回、この繰り返しが続くのか、、、
それは、危惧しています。
私は今日仕事しています。
18時に終わります。
明日は休みです。
電話するよ。
親戚の天彦くんの事も、才子は悪気は無いんだと弁解していたけど、僕には悪口に聴こえてしまっていた。僕も同じ様に神経質な性格なので、僕に対しても才子は内心ドン引きしてるのかと思ってしまった。
才子に「軽蔑する」と言われた時に、
ついカッとなって僕が才子に怒りをぶつけてしまった。矛盾した人間を許せないと言われて、指摘された自分を反省するのではなく、才子の矛盾した性格を指摘してしまった。
「核心をついた話になるけどいい?」
と、才子は聞いた。
僕は大事な話だと思った。
話をどんどん進めた。才子の矛盾した気持ちの迷いに対して、時計の針をすすめたのは僕だ。才子の中にある大きなジレンマ。
僕の中にある、小さな疑念。
アスペルガーだったら
才子は僕と離婚すると言った。まるで僕の事を助ける気が無いのかと思ってしまった。
今迄は、才子はきっと僕の心を救ってくれる存在なんだと信じていた。ただ単に、自分の事で手一杯だから、僕の事をいつも後回しにしてるだけだと思っていた。
これまで、才子は僕の心を救う為に尽くしてくれていた。アトピーの肌に薬を塗るのもそうだし、子供を産んでくれたのもそう。
僕は自分の遺伝子を醜く汚い、劣化した遺伝子だと思っていた。容姿に対するコンプレックスもあった。そこから救い出してくれたのは才子だった。今まで信じてきたのに、最近になって急に僕は「才子はそもそも僕を救う気が無いんじゃないか?」という疑念を強くしてしまっていた。
「鋭志の悩みは重過ぎる」
と言われたのもショックだった。
葬式の時のお礼について、僕なりに考えて愛情表現として工夫したつもりだが、かなり誤解されて伝わってしまった。
依存したメッセージだと指摘された。
僕は本来1人で生きていける孤独な存在だ。
だけど、才子と一緒に歩いて行くほうが道は明るい。
魂を削って才子の為に尽くしてきた時間を、
「離婚する」の一言で片付けられるのは
正直厳しい。
まだ僕は才子の事を何も救えていないし、
才子に新しい道を示すことも出来ていない。
今、離婚しても、才子はきっとまた絶望感に打ちひしがれて、自分を責めたり、人生を後悔したりするんだろう。
僕にはまだ、泣いている才子しか見えていない。笑っている才子や、幸せそうな才子を見ていない。僕の人生をかけた仕事は、まだ何も完成していないんだ。
才子の魂に触れようとすることは
才子にとっては大人に汚されるのと同じだ。
「私の心を傷つけないで!」
という切実な叫びは、
魂を凍らせてきた時間の方が
歩みで溶かしてきた時間よりも長い女の子の叫びだ。
そうやって、才子はいつも立ち止まって考えるんだね。時間を止めて、ジッと息を殺す様に、周りの幽霊が過ぎ去るのを待つんだね。
「大丈夫、
僕は本当は大人なんかじゃ無いんだよ。」
ずっと前から僕は1人だった。
1人になるのが辛いんじゃないよ。
君を一人きりにして
置き去りにするのが辛いんだ。
わからないかな?
わからないよね。
でも、わかって欲しいと思ってるのは僕だから、僕がもっと頑張るよ。
才子の氷に、僕が水をかけるよ。
遠くで大人のベルが鳴っても、
僕がずっと、才子の氷の棺に水をかけるよ。
死ぬ為に生きてるんじゃない。
生きる為に生きているんだ。
きっと未来をつくるから。
僕がきっと、未来をつくるから。