体調が下降気味でお疲れさんの方に処方するのが補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。消化機能を改善しながら元気をつけてくれます。飲んでいるうちに体調がよくなり、風邪をひかなくなったといわれる方もおられます。基本的には、虚弱傾向で、体力が衰え、倦怠感や食欲不振を訴えるような方に使いますが、いつも元気だけど最近疲れるなどというときにも使います。私なら、疲労回復にはドリンク剤よりこれを選びますね。
保険適応:消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症。
感冒は風邪の症状が強いときではなく、ひいた後の不調が長引いたりするときに使います。痔は脱出しやすかったり、力なく脱肛するときなどに使います。多汗は、体が熱くて汗をかくというより、皮膚の力が落ちていて、汗が漏れ出てくるというイメージでしょうか。それを何とかする目的で黄耆が含まれているようです。
《処方語呂合わせ》人参(にんじん)黄耆(おうぎ)蒼朮(そうじゅつ)当帰(とうき)柴胡(さいこ)甘草(かんぞう)大棗(たいそう)陳皮(ちんぴ)升麻(しょうま)生姜(しょうきょう)
◎仁義術 当に最高 甘い棗とミカンは小魔境
補中益気湯は大切な処方で、医王湯(薬の王様)とも言われます。良い王様でしょうから、仁(人参)義(黄耆)にあつく様々な分野で術(蒼朮)も優れており、当(当帰)に最高(柴胡)です。でも甘(甘草)いものには目がなく、棗(大棗)やミカン(陳皮※)を食べだすと止まらず、小魔(升麻)境(生姜)に迷い込んでしまいます。
※なお陳皮は温州ミカンの皮を乾燥させたものです。