Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

枯れる

2011-10-07 | 想い・雑感
日々入れ替わりながら
水分は私たちの体の約6割を占める

生きている間
血管の中 組織の間 細胞の中
に程よく振り分けられている

しかし死がいよいよ近づけば
水の配分の恒常性を維持できなくなり
細胞内や血管内の水分が組織間や体腔に漏れ出る
それが胸水 腹水 顔や手足それに組織のむくみとなる

末期における過量の輸液はそれらを助長するから
最後は輸液を控えめにしなければならない
過ぎればかえって本人を苦しめることとなる

最後の数週間
一切の点滴を拒否したKさん
僅かな水分を口にするのと疼痛コントロールのために入る200ml程度の水分が
摂取するすべて

痩せていたからだから水分が減少し
さらに小さくなった
しかし癌性腹膜炎やがん性胸膜炎があるにも関わらず
腹水も胸水もそれほどたまらず
肺の浮腫からくる呼吸困難もさほど出ず
枯れるように亡くなられた
穏やかな最期だった

一旦高カロリー輸液などを開始すると
それを削っていくのは
家族にとっても抵抗感があるものだが
死への道程を遅らせたい あるいは逆行させたいという思いは
かえって本人を苦しめる結果になることがあるのを
改めて感じさせられた

末期においては
治療と思っていることが
いらぬ世話になりがちなことを
医療者自身が自覚し
家族にもそれを伝えていく必要がある

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
少し安心した (志村建世)
2011-10-08 23:25:34
漠然と感じていたことが、医療の現場でも見られるようで、少し安心しました。人の最後も枯れるのが最善であろうと思います。問題は、末期に「いらぬ世話」を抑制できる医師が増えてくれるかどうかですね。
返信する
Unknown (hana)
2011-10-13 10:04:06
何をもっていらぬ世話とするかは
人により異なる可能性が高いと思われますから
患者自身が語ることが必要だと思います

もちろん医師が聴く耳を持つことと
末期の状態をなるべく正しく見つめることも
必要だと思います
返信する

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