Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

見守る

2015-03-30 | 想い・雑感
終末期の患者さんに対し
積極的な治療をせずに
保存的治療のみで見守ると言うのは
患者家族も医療者も忍耐を必要とするもの

できることがあるのなら
なにかしたい してあげたい
と思うのが人情

進行癌のために
消化管閉塞(腸が詰まった)を起こしたNさんが
内科から外科に移ってこられた

通常なら消化液の逃げ道を作る処置(手術)を行うのだが
あまりにも栄養状態が悪く
体の抵抗力も落ちており
肺炎を繰り返し起こしている状況から
処置はそれ自体がかなり危険なものと思われ
その実施は既に限られた余命をかえって縮める可能性が高いと思われた

その旨をご家族に説明し
保存的治療のみを行うこととした

それでもやはり手術の可能性を考えてしまう私だが
いやいや返って苦しめるだけだと言い聞かせる

手術は行わないと決めてから5日ほどで
急に尿量が減りはじめ
あっという間に旅立たれた

やはり手術をしていれば
その短い期間に
苦しみを増やしただけという結果になっていたのだろう

末期には
積極的な治療は行わず
症状の緩和に努めるということが
大切な医療であると改めて思った