里地里山は人間の「農」の営みによって作られ維持されてきた空間。水田、畑、草地、畦、里山林、屋敷林、鎮守の森、竹林、集落、小川、ため池などで構成される複合的生態系です。
多くの動物は生活の中で複数の生態系を利用します。様々な生態系のモザイクである里地里山は生き物にとって暮らしやすい空間であり、日本の多様な生物相を支える重要な役割を果たしてきました。
しかし、生活や農業の“近代化”や、その後の農業の衰退によって、里地里山の姿は大きく変化しました。
さらに外来種の侵入なども重なり、現在では里地里山の多くの生き物たちが絶滅の危機に瀕しています。
平成19年11月に策定された『第三次生物多様性国家戦略』のなかでは、「里地里山・田園地域」の“望ましいイメージ”が、以下のように描かれています。長くなりますが、全文を転記します。
農地を中心とした地域では、自然界の循環機能を活かし、生物多様性の保全をより重視した生産手法で農業が行われ、田んぼをはじめとする農地にさまざまな生きものが生き生きと暮らしている。農業の生産基盤を整備する際には、ため池やあぜが豊かな生物多様性が保たれるように管理され、田んぼと河川との生態的なつながりが確保されるなど、昔から農の営みとともに維持されてきた動植物が身近に生息.生育している。そのまわりでは、子どもたちが虫取りや花摘みをして遊び、健全な農地の生態系を活かして農家の人たちと地域の学校の生徒たちが一緒に生きものの調査を行い、地域の中の豊かな人のつながりが生まれている。耕作が放棄されていた農地は、一部が湿地やビオトープとなるとともに、多様な生きものをはぐくむ有機農業をはじめとする環境保全型農業が広がることによって国内の農業が活性化しており、農地として維持されている。また、生物多様性の保全の取組を進めた全国の先進的な地域では、コウノトリやトキが餌をついばみ、大空を優雅に飛ぶなど人々の生活圏の中が生きものにあふれている。
二次林は、かつてのような利用形態により維持管理される範囲が限られている一方で、積極的に維持管理を図ることとされた地域では、明るく入りやすい森林として管理されることで子どもたちの冒険の場となり、在来種であるオオムラサキやカブトムシがごく普通に見られ、春の芽吹きと美しい紅葉が見られるなど季節の変化に富んだ風景をつくり出している。大きく広がっていた竹林は、一部は自然林や二次林として再生されるとともに、管理された竹林で家族がタケノコを掘る姿が見られる。また、里山の管理でうまれる木材はシイタケなどの山の恵みを生産するホダ木やペレットなどのバイオマス資源として地域内で利用されている。
人工林は、間伐の遅れも解消し、立地特性に応じて、広葉樹林化、長伐期化などにより、生物多様性の保全の機能が高まるとともに、地域のニーズに応えられるように管理されている。成熟した国内の人工林から生産される材は間伐材や端材も含め、周辺地域で有効利用が進んでいる。
このような形で維持管理が行われている二次林.人工林.農地などが一体となった里地里山では、多様な土地利用.資源利用を通じて、さまざまなタイプの生態系が混在する状態が復活している。かつて広く分布した二次草原は、草資源のバイオマス利用なども通じて、全国各地で維持管理が継続され、多くの野草が咲き、チョウ類が飛び交うなど希少となってしまっていた動植物種が増え、普通に見られるようになっている。それとともに、風景が美しく保たれ、それに惹かれて移り住んできた都市住民や外国からの観光客などが増え、エコツーリズムの浸透もあって生き生きとした地域づくりが実現している。また、そうした中で里地里山の価値が広く国民に認識され、公的又は民間の資金やボランティアにより維持管理の一部が支えられるようになっている。そして、自然資源の利活用を通じた豊かな生物多様性との共生の中で、地域ごとにつちかわれてきた生物多様性を利用する伝統的な知識、技術が子どもたちへと引き継がれ、地域の文化と結びついた固有の風土が尊重されている。
また、広葉樹林化などによる多様な森林づくりが進み、生息環境が改善されることに加えて、農地や人里との境界部分では、見通しの良い緩衝帯の設置、人里に放置された農作物や果樹など特に冬場に鳥獣の餌となるものの除去、地域全体での追い払いなどの防除対策のほか、適切な狩猟も通じた個体数調整などにより、クマ、シカ、イノシシ、サルなどの中・大型哺乳類は人里に出没しにくくなっている。
まさに夢のような光景。
近い将来、ここに書かれているような光景が、日本のあちらこちらで普通に見られるようになるといいですね。
生物多様性国家戦略 環境省生物多様性センター
多くの動物は生活の中で複数の生態系を利用します。様々な生態系のモザイクである里地里山は生き物にとって暮らしやすい空間であり、日本の多様な生物相を支える重要な役割を果たしてきました。
しかし、生活や農業の“近代化”や、その後の農業の衰退によって、里地里山の姿は大きく変化しました。
さらに外来種の侵入なども重なり、現在では里地里山の多くの生き物たちが絶滅の危機に瀕しています。
平成19年11月に策定された『第三次生物多様性国家戦略』のなかでは、「里地里山・田園地域」の“望ましいイメージ”が、以下のように描かれています。長くなりますが、全文を転記します。
農地を中心とした地域では、自然界の循環機能を活かし、生物多様性の保全をより重視した生産手法で農業が行われ、田んぼをはじめとする農地にさまざまな生きものが生き生きと暮らしている。農業の生産基盤を整備する際には、ため池やあぜが豊かな生物多様性が保たれるように管理され、田んぼと河川との生態的なつながりが確保されるなど、昔から農の営みとともに維持されてきた動植物が身近に生息.生育している。そのまわりでは、子どもたちが虫取りや花摘みをして遊び、健全な農地の生態系を活かして農家の人たちと地域の学校の生徒たちが一緒に生きものの調査を行い、地域の中の豊かな人のつながりが生まれている。耕作が放棄されていた農地は、一部が湿地やビオトープとなるとともに、多様な生きものをはぐくむ有機農業をはじめとする環境保全型農業が広がることによって国内の農業が活性化しており、農地として維持されている。また、生物多様性の保全の取組を進めた全国の先進的な地域では、コウノトリやトキが餌をついばみ、大空を優雅に飛ぶなど人々の生活圏の中が生きものにあふれている。
二次林は、かつてのような利用形態により維持管理される範囲が限られている一方で、積極的に維持管理を図ることとされた地域では、明るく入りやすい森林として管理されることで子どもたちの冒険の場となり、在来種であるオオムラサキやカブトムシがごく普通に見られ、春の芽吹きと美しい紅葉が見られるなど季節の変化に富んだ風景をつくり出している。大きく広がっていた竹林は、一部は自然林や二次林として再生されるとともに、管理された竹林で家族がタケノコを掘る姿が見られる。また、里山の管理でうまれる木材はシイタケなどの山の恵みを生産するホダ木やペレットなどのバイオマス資源として地域内で利用されている。
人工林は、間伐の遅れも解消し、立地特性に応じて、広葉樹林化、長伐期化などにより、生物多様性の保全の機能が高まるとともに、地域のニーズに応えられるように管理されている。成熟した国内の人工林から生産される材は間伐材や端材も含め、周辺地域で有効利用が進んでいる。
このような形で維持管理が行われている二次林.人工林.農地などが一体となった里地里山では、多様な土地利用.資源利用を通じて、さまざまなタイプの生態系が混在する状態が復活している。かつて広く分布した二次草原は、草資源のバイオマス利用なども通じて、全国各地で維持管理が継続され、多くの野草が咲き、チョウ類が飛び交うなど希少となってしまっていた動植物種が増え、普通に見られるようになっている。それとともに、風景が美しく保たれ、それに惹かれて移り住んできた都市住民や外国からの観光客などが増え、エコツーリズムの浸透もあって生き生きとした地域づくりが実現している。また、そうした中で里地里山の価値が広く国民に認識され、公的又は民間の資金やボランティアにより維持管理の一部が支えられるようになっている。そして、自然資源の利活用を通じた豊かな生物多様性との共生の中で、地域ごとにつちかわれてきた生物多様性を利用する伝統的な知識、技術が子どもたちへと引き継がれ、地域の文化と結びついた固有の風土が尊重されている。
また、広葉樹林化などによる多様な森林づくりが進み、生息環境が改善されることに加えて、農地や人里との境界部分では、見通しの良い緩衝帯の設置、人里に放置された農作物や果樹など特に冬場に鳥獣の餌となるものの除去、地域全体での追い払いなどの防除対策のほか、適切な狩猟も通じた個体数調整などにより、クマ、シカ、イノシシ、サルなどの中・大型哺乳類は人里に出没しにくくなっている。
まさに夢のような光景。
近い将来、ここに書かれているような光景が、日本のあちらこちらで普通に見られるようになるといいですね。
生物多様性国家戦略 環境省生物多様性センター
きたんですね。
今も自然がいっぱいの環境で、いいなって思っていましたが、それでも、色々な危機があることをこちらのサイトで知ったことが多くあります。
自分はどうしていったら良いのか、出来る事から何かしたいと考えさせられます。
今、実家付近には今まで出没してなかった、野生の動物が多数人里まで出てくるようになって来ました。
自然保護=人手を加えない。
は、実は勘違いで、人も自然の中で生きていることを忘れてしまったのが、今の現状ではな、場所が里山だと思うのですが・・・
何か出来そうで、出来ない自分に、今少し苛立ちを覚えています。
長くなってしまいましたが、最後にお願いです。
良かったら、私のブログにこにタンさんのブログをブックマークさせて戴いてもよろしいでしょうか?
その時を一緒に生きているものたちが支えあって生きていけるよう残すのも私達大人の責任でもありますね。
勉強になりました。
林に中で生き物のかすかな気配を感じ取る・・・
そんな経験を子供たちにはして欲しいですね。
里地里山を守るには、農業、林業の振興が必要です。
私たち消費者が、国産の農産物を選ぶことも里地里山の保全に役立つことだと思います。
価値が一段低いと考えれていたこともありましたね。
人と多くの生き物がつながっていた空間が里地里山なんですよね。
ブックマークの件、もちろんOKです。
こちらからも張っておきます(^^)
この理想像をいかにして実現するのか?
具体的な行動計画には色々と困難なことが多いとは思いますが
私たちの世代で大きく前進させたいですね(^^)