

この本を買ったのはいつだったか、夏の前だったような気がする。新聞の書評を読んで買う気になりすぐに注文して手元にはあった。
『読んだ後 世界変わる小説を』という書評の見出しと「人間の尊厳を問いかける硬派なミステリー」という紹介。作者:葉真中 顕の「書くなら思いっきり突き刺さるような重いテーマにしよう」という初めての小説は介護問題をテーマであった。
母が選んだり、弟から回ってくるミステリーの本とはチョット違う。検事が出てくるし、事件があるし・・・似ている? いや、全く違う。序章2011年11月から遡って、事件は起こる。終章2011年12月で終わる。
2004年の中越地震も2011年の東日本大震災も、原発問題も少子高齢化も・・・
現代社会の抱える現実のゆがみや乗り越える苦難、社会構造に疑問を提示していく。きっとだれもが感じている人が生きていく時に感じる棘のような罪悪感や不条理に向かう無力感に共感していく。
本当は何度も何度も読みこまないといけない本が手元にある。「ロスト・ケア」を読みだしたのは1週間くらい前。少しずつ少しずつ読んだのは2日間くらい。読まないといけない本を優先させなければと数日置いたけれど、昨日と今日で一気に読み終えた。
《最後の介護》
「本を読む前と後で少し世界が変わるような小説を目指していきたい」と次回作も現代社会に向き合ったテーマを考えているそうだ。
何となく手をつけ始めている問題のヒントが少し見えた。
こうして読みながら応援したジャイアンツは負けた・・・。