功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『酔馬拳・クレージーホース』

2014-01-09 23:28:40 | カンフー映画:傑作
「酔馬拳・クレージーホース」
原題:癲馬靈猴
英題:Crazy Horse, Intelligent Monkey/Crazy Horse and Intelligent Monkey
製作:1982年(80年説あり)

▼新年明けましておめでとうございます!今日から功夫電影専科も再開いたしますので、2014年もどうぞよろしくお願いします。さて、今年の干支は午ということなので、新年最初の更新は”馬の拳法”が登場する本作をセレクトしてみましょう。
この作品は日本でTV放映されたコメディ功夫片で、長江電影の看板監督としても知られる魯俊谷が手掛けた作品です。出演者は地味ながら実力派が揃っており、例によって魯俊谷作品の常連である劉鶴年も顔を見せていました(苦笑

■お調子者の詐欺師・韓國材(ハン・クォツァイ)は、賭場でトラブっていた際に功夫青年の戚冠軍(チー・クワンチュン)と知り合う。彼は母親を捜し歩いており、興味を示した韓國材も同行することに。
道中、チンピラ(うち1人が『酔拳』の蒋金)とケンカになったり、謎の女・文雪兒と出会ったりする戚冠軍&韓國材。やがて2人はチンピラの葉天行と敵対するのだが、彼の父親こそが戚冠軍の叔父・朱鐵和であった。
 暖かい歓待を受ける凸凹コンビだが、なんだか様子がおかしい…。どうやら朱鐵和によると、戚冠軍の母親は3人組の悪党によって殺されたというのだ。すぐさま戚冠軍は仇討ちに向かったものの、たちまち劣勢に陥ってしまう。
その窮地を救ったのは、謎の老人・關海山(クワン・ホイサン)だった。彼の元には文雪兒もおり、母親殺しの真犯人は朱鐵和だと明かされる。朱鐵和の正体は悪党の親分で、戚冠軍の本当の叔父=文雪兒の父をも手に掛けていたのだ。
 全てを知った戚冠軍&韓國材は仇討ちを目指して修行に打ち込んでいく。一方、朱鐵和は邪魔になった3人組を抹殺し、修行途中で挑んできた戚冠軍たちを圧倒する強さを見せ付けた。
敵の強大さを痛感した2人は、それぞれ異なる拳法に活路を見出した。戚冠軍は酔っ払った馬の動きから酔馬拳を編み出し、韓國材は關海山の指導により猴拳を習得。改めて朱鐵和に挑戦状を送った2人は、文雪兒とともに最後の戦いへ挑む!

▲明らかに低予算の作品だし、コメディ功夫片にしてはギャグ度が低め(お笑い担当の俳優が韓國材しかいない)。ストーリーもやや単調ではありますが、質の高いアクションに目を見張る逸品です。
なにしろ、武術指導が独立プロで辣腕を振るった錢月笙・徐忠信・李超の3名ですから、作中の殺陣はリズミカルかつ力強いものとなっています。パワフルな動作を見せる戚冠軍、身の軽さを存分に発揮する韓國材、2人に負けじと奮闘する文雪兒など、役者陣の頑張りも並大抵ではありません。
 中盤の戚冠軍たちと3人組の対決も見事ですが、やはり面白いのがラストの戚冠軍&韓國材VS朱鐵和。スピーディな技の応酬が見もので、編み出した拳法が敵に通じない状況の中、酒を飲んでパワーの底上げを講じるという展開もユニークでした。
…それにしても、アクションと笑いの両方で奮闘している韓國材を見ていると、つくづくジャッキーとコメディ功夫片で共演できなかった事が悔やまれます。彼ほどの演技力と技量の持ち主なら、ジャッキーと絡んでも遜色はなかったはず。本格共演作が『燃えよジャッキー拳』だけというのは実に残念です。
 『酔拳』の亜流としても充実した出来を誇る本作。TV放映された作品には知らない物も多いので、今後もチェックしたいと思います。
ちなみに本作の劉鶴年は朱鐵和の配下(あまり強くない)に扮していますが、やはり”アレ”がないと物足りません。彼の代名詞ともいえる”アレ”については…次回をお楽しみに(笑