功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『雷霆行動』

2010-09-25 23:07:16 | 女ドラゴン映画
雷霆行動
英題:Ultimate Revenge
製作:1995年

●本作は『中間人』に続き、キム・マリー・ペンが再び楊麗青(シンシア・カーン)と闘った作品である。
キム嬢は他の白人系女ドラゴンと比べ、ルックスも技量も引けを取らぬ実力者であったが、惜しくもブレイクを果たすことはできなかった。やはりシンシア・ラスロックなどのように、ギラリと光るような迫力が無かったことが致命的だったのだろうか?(『中間人』などで見せた"一見大人しそうで実は強い"という芸風はユニークだったけど…)

 物語は典型的な犯罪アクションで、フィリピンを舞台にした麻薬組織と地元警察の闘い&香港を舞台にした黒社会の抗争が同時進行で描かれている。ところでこの作品、女ドラゴンのカテゴリに指定しているが主役は楊麗青ではない。実際の主役はフィリピン人俳優のロニー・リケッツと劉少君の2人で、楊麗青はチラチラとしか登場しないゲスト・キャラクターなのである。
楊麗青の出番は非常に少なく、中盤で劉少君と面会するシーン、闘いで負傷した劉少君の見舞いに現れるシーン、そしてクライマックスのラストバトルと、たった3回しか登場しないのだ。さすがに最後のキム嬢とのバトルは魅せてくれるが、これで主役というのはいささか無理があるぞ(苦笑

 そんな楊麗青不在の間を受け持つロニー&劉少君だが、実質的な主役というにはあまりにも地味~なコンビである。ロニーはフィリピンのアクションスターで、かのダン・イノサントも嗜んだという武術"アーニス"の使い手。今回は短気な刑事に扮しているが、彼の見せるアクションは銃撃戦オンリーなので、アーニスを駆使して闘うような場面は無い。これはちょっと勿体ないなぁ…。
一方、もうひとりの主役である劉少君はロニー以上に地味なキャラなので、香港の抗争では恐ろしいほどに目立っていない(笑)。むしろ注目すべきは、彼の協力者として出演している技巧派のコリアンファイター・崔正一の方だ。
崔正一は90年代の動作片を駆け抜けた名悪役で、『レッド・リベンジ』等にも参加。本作では珍しく善玉として登場し、討ち入りの際には敵の腹心・麥偉章(武術指導家)と凄まじい蹴り合戦を展開している。けど、おかげで劉少君の影がますます薄くなっているような気が…劉少君的にコレでいいのか?(爆

 ニコイチ映画のような構成・ドラマが面白くない・低予算バレバレな作り・功夫アクション少なめ・アーニスやらせてもらえない・そして楊麗青が主役じゃない…色々と不満のある内容となっているが、崔正一の暴れっぷりと楊麗青VSキム嬢のリターンマッチでギリギリ楽しめる作品か。とりあえず、女闘美ファンか楊麗青のファンでもない限り、無理して見るような代物ではありませんので御注意を。