功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『極道おとこ塾』

2009-03-14 22:28:49 | 日本映画とVシネマ
「極道おとこ塾」
製作:1995年

▼主演は『極道ステーキ』の清水宏次朗!助演には松田優!…ということでレンタルしてみた作品なんですが、これはちょっと期待外れ。内容的には『極道ステーキ』のようなバリバリの格闘アクションではなく、どちらかというとありふれたヤクザVシネの1つみたいな趣の作品でした。いちおう格闘シーンもあるにはありますが、数が少ない上に精鋭さに欠けていたような気がします(アクション指導は『ウルトラマンレオ』の二家本辰巳)。

■清水は黄桜組に属するやくざ者。そして仁義を重んじる好人物なのだが、現在黄桜組は横暴な若頭が組長の不在(入院中)をいいことにやりたい放題という状況だった。贔屓にしていた映画館が取り潰され、別の組と合併しようとするなど、そのやり方は清水にとって外道以外の何物でもなかった。
そこで組長に直談判した清水は、舎弟と共に枝分かれ(所属する組から独立し、以後は系列となり独立して活動すること)を決意する。清水は自分のような意思を持つ男たちを集め、真の極道を目指す「おとこ塾」設立を目指した(ちなみに本作は某ジャンプ漫画とは何ら関係ありません・爆)。
ところが仲間集めをしていた矢先、組長が突然病院で自殺したとの一報が転がり込んできた。もちろんこれはあの若頭の仕業だ。怒りに燃える清水は若頭を討ち、しばし塀の向こうへ行く事になった(ただし若頭は一命を取り留めた)。それから一年後、復帰した清水は仲間たちを引き連れ、黄桜組との対決へ乗り出すのだが、当然これが一筋縄でいくはずが無く…。

▲原作がある以上は仕方が無のですが、劇中で繰り広げられる物語はどれも既視感漂うものばかり。特に清水の舎弟が「今度おいらに子供が生まれるんスよ!名前は兄貴のを頂戴しました!」と語り、思いっきり嫌な予感がする展開になったときは思わず苦笑してしまいました(もちろんこの後はみなさんの予想通りの話で進みます)。
それに、あれだけ個性的な仲間を揃えておきながら、結果的に活躍したのはギャンブラーの眼鏡・格闘担当の松田優だけだったのも"持て余している"感じがして、あまり面白くありません。ラストは清水が敵地に乗り込んで憎き若頭を倒しますが、その結末に何の新鮮味も感じられなかったのは惜しいと思いました(やっている事は中盤と同じだし…)。
 良くも悪くも"よくある作品"としか言えない本作ですが、そんな中で清水と松田はそれなりに格闘アクションで奮闘しています。襲撃された清水の元に松田が駆けつけるシーンはかなり盛り上がるし、最後の殴りこみで清水と松田の最強コンビが肩を並べて突入していく様も実に痛快です(ここでポン刀を抜く清水と、オープンフィンガー・グローブを装着する松田がとても格好良く撮れています)。
しかし若頭を含めて黄桜組にはザコしかおらず、ラストで組は清水たちによって瞬く間に壊滅してしまいます。せめて清水たちに対抗できるような好敵手がいれば、このような拍子抜けな展開にならなかったはず。キャスト面ではゲスト出演の梅宮辰夫がなかなかいい味を出していましたが、こんなことになるのなら梅宮がラスボスでも良かったのでは?