私は、「藤田敏八、ベケット説」で、『ゴドーを待ちながら』のように、うろうろしているが、いきなり破局が来るのが藤田の映画だと思っている。
ここでは、予備校の教師山崎努が、妻朝丘雪路がいながら、帽子デザイナーの加賀まりこ、そして学生の田中美佐子との間をうろうろするもので、田中を「宝物」と言い、「50年たったら結婚しよう」とも言う。
実に自分勝手で、いい加減な男だが、最後まで同じで終わる。ただ、田中は、学生と一緒になろする。
「なにこれ」と言いたくなる。実は、これと田中裕子主演の映画『ザ・レイプ』が東映系で2本立てで公開されて、そこそこ当たったのだ。
ダブル田中映画だが、東陽一の『ザ・レイプ』の方が、作品としてははるかに上だった。
田中美佐子をダイヤモンドとは言えなかったし、山崎努に愛嬌が不足していると思う。
前に見た『二十歳の原点』は、もともとは森谷司郎監督で進行していたのが、忙しくて大森健次郎になったそうだ。
実際の女性高野悦子の手記を基にしている。
主人公で立命館大生の角ゆり子は、全共闘のリーダーの大門正明に憧れるが、アルバイト先のホテルの係長地井武男にも恋焦がれ、学生の富川と最初の性交をしてしまう。
最後は、地井とのベッドシーンもあり、結構豊かな胸も披露してくれる。
それを見たのか、後に日活ロマンポルノの『嗚呼女たち猥歌』に出て驚かされたが、その後は辞めてしまったようだ。
津田京子や地井のように死んだ方もいるが、この角ゆり子と富川は、この後見なくなってしまう。芸能界で長く生きていることも大変なようだ。
国立映画アーカイブ