指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『ダイヤモンドは傷つかない』『二十歳の原点』

2024年02月18日 | 映画

私は、「藤田敏八、ベケット説」で、『ゴドーを待ちながら』のように、うろうろしているが、いきなり破局が来るのが藤田の映画だと思っている。

             

ここでは、予備校の教師山崎努が、妻朝丘雪路がいながら、帽子デザイナーの加賀まりこ、そして学生の田中美佐子との間をうろうろするもので、田中を「宝物」と言い、「50年たったら結婚しよう」とも言う。

実に自分勝手で、いい加減な男だが、最後まで同じで終わる。ただ、田中は、学生と一緒になろする。

「なにこれ」と言いたくなる。実は、これと田中裕子主演の映画『ザ・レイプ』が東映系で2本立てで公開されて、そこそこ当たったのだ。

ダブル田中映画だが、東陽一の『ザ・レイプ』の方が、作品としてははるかに上だった。

田中美佐子をダイヤモンドとは言えなかったし、山崎努に愛嬌が不足していると思う。

前に見た『二十歳の原点』は、もともとは森谷司郎監督で進行していたのが、忙しくて大森健次郎になったそうだ。

実際の女性高野悦子の手記を基にしている。

主人公で立命館大生の角ゆり子は、全共闘のリーダーの大門正明に憧れるが、アルバイト先のホテルの係長地井武男にも恋焦がれ、学生の富川と最初の性交をしてしまう。

最後は、地井とのベッドシーンもあり、結構豊かな胸も披露してくれる。

それを見たのか、後に日活ロマンポルノの『嗚呼女たち猥歌』に出て驚かされたが、その後は辞めてしまったようだ。

津田京子や地井のように死んだ方もいるが、この角ゆり子と富川は、この後見なくなってしまう。芸能界で長く生きていることも大変なようだ。

国立映画アーカイブ


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1 コメント

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角ゆり子、藤田敏八、田村正毅、若松孝二 (広い世界は)
2024-02-18 10:29:13
角ゆり子。「二十歳の原点」。映画は俳優がメインです。日活と東宝での藤田敏八はまるで違う人だ。「妹」は秋吉久美子と林隆三は近親相姦?この映画で印象に残るシーンは、海辺の砂浜で三輪車を投げ上げるスローモーションだ。萩原憲治のカメラが見事だ。梶の「修羅雪姫」は藤田には合わない。カメラは田村正毅で、三里塚ドキュメント(1966から1977)、「ニッポン国古屋敷村」「竜馬暗殺」「萌の朱雀」黒沢清作品「さらば愛しき大地」「2/デュオ」の名カメラマンだ。「八月の濡れた砂」「野良猫ロック」など良い作品はワンシーンが記憶に残る。藤田の「新宿アウトローぶっ飛ばせ」の原田芳雄は好きだな。「われに撃つ用意あり」の新宿三丁目(コマの前)での銃撃戦とダブります。若松孝二は日活ニューアクションに憧れていたと思います。
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