横浜には、山下公園と山下ふ頭、そして新山下に貯木場がある。
こう書くと、山下ふ頭の後に、新山下貯木場ができたのでは、と思われるかもしれない。
だが、実は、新山下の貯木場は戦前に作られていて、山下ふ頭は、戦後の建設なのだ。
それを示す映画がある。
1933年の清水宏監督の『港の日本娘』で、主人公の港の不良江川宇礼雄が、山手の丘で女学生の井上雪子と及川道子に会う。
なんと彼は、オートバイで現れるのであり、まるで日活最後の映画『八月の濡れた砂』みたいだなあと思ったものだ。
このとき、丘の下では、埋立工事が行われているのが見えるが、これは貯木場なのだ。
当時、関東大震災による被害で、住宅需要があり、横浜では新山下に貯木場を作ったのだ。
東京の木場も、このときに拡張したはずだと思う。
この貯木場が出てくるのは、篠田昌浩の『涙を獅子のたて髪に』で、主人公の加賀まり子の父親の永田靖が、藤木孝に殺されて水面に浮かんでいるのが、貯木場なのである。
ここは、岡本造船所とレストランもあり、絵になる情景なので、テレビや映画によく出てくるのだ。