猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

紛争を長引かせる非正規軍を抑えるのにアメリカ軍のウクライナ駐留が不可避

2022-08-24 23:08:19 | ロシアのウクライナ軍事侵攻

2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻して、きょうで半年になる。しかし、2014年のロシアによるウクライナ併合のころから、ウクライナ東部のドンバス地方では内戦の状態であった。ウクライナ系とロシア系の非正規軍(いわゆる民兵や義勇兵)が戦っていたのである。それを含めると8年に渡る長い戦闘が続いていたのである。

朝日新聞は8月21日から『1920s↔2020s 百年前から』の連載を始めているが、その初回に難しい問題、非正規の「軍」による戦争の問題を提起している。記者は、「近代国家は軍事力を国家が独占することが原則だった」が、パラミリタリー(非正規軍事組織)が戦争に介入すると、紛争が長引き、戦闘員以外の人たちも巻き込まれて死んでいくのだ、と、イギリス領北アイルランドの紛争を例として、主張している。

東ヨーロッパ、ウクライナ、バルカン半島では、この200年間、宗教や言語や風習の違いをもとに、独立の武装闘争が幾度となく起きて、そして鎮圧されている。中東とならぶ世界の火薬庫である。火薬庫というのは、武装闘争の経験のある人たちが散在して、いつでも、非正規軍事組織が生まれる土壌があるのだ。

政府の正規軍と非正規軍では、用いる兵器に大きな差がある。まともに戦えば、非正規軍は正規軍に勝つことはできない。それで非正規軍は普通の市民に紛れ込んで闘うことになる。テロリストになるしかない。そして、普通の市民が巻き込まれて死ぬこととなる。

正義という言葉が通用しないのが戦争である。

プーチンは、8年に渡るドンバス内戦にかたをつけるために、正規軍をウクライナに送った。ロシア軍はプーチンによって制御されている。

8月21日、ロシアの愛国主義思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘、ダリヤが車に仕掛けられた爆弾で殺された。BBC放送でその第一報を聞いたとき、プーチンの娘が殺されたのか、と思って、とても心配した。もし、プーチンの娘が殺されたなら、停戦がさらに遠のき、ウクライナかロシアが消滅するまで、戦争が続くことになるからだ。

第2次世界大戦は、ドイツと日本が灰と塵になるまで続けられた。ドイツと日本が復興できたのは、たまたま、アメリカとロシアが「冷戦」という戦争を始めたからである。近代戦争は、徹底的に相手を叩きのめし、二度と立ちあがれなくするまで戦うのである。近代の戦争は残虐野蛮そのものである。

ダリヤの爆殺に関して、ウクライナ政府は関知していないという。そうすると、ウクライナ政府が統制できない非正規軍の犯行なのか、あるいは、ロシア政府の秘密組織の犯行(戦意高揚の陰謀)となる。

最近クリミア半島のロシアの軍事基地がドローンなどの無人機で攻撃されている。これもウクライナ政府が関与を否定している。すると、ウクライナ政府が統制できない非正規軍による攻撃の可能性がある。

マウリポリの製鉄所の地下に潜んでいたアゾフ連隊はウクライナ政府の正規軍ではなく、内務省に編入された非正規軍(私兵)である。正規軍の指令系統で動くのではない。自分たちの意思で動くのである。それで、ウクライナ大統領のゼレンスキーがアゾフ連隊にインタネットで投降を呼びかけるしかなかった。

政府の指令で動かない非正規軍が存在することは、停戦を実現するのに障害となる。また、指揮命令系統の混乱で、効率的で戦略的な戦闘もおこなえない。

しかし、上からの指揮命令で動かないことは、ある意味で、民主的である。「軍事力を国家が独占すること」が正しいとも言えないのだ。私には判断がむずかしい。

ゼレンスキーは、はじめのうちは、侵攻が始まった地点に双方引きさがるのが停戦の条件であったが、現在、すべての領土を取り戻すと言っている。統制不能な非正規軍を抱え込んでるのでそう言っているのか、あるいは、すべての領土を取り戻すことができると本当に思っているのか。なにか、戦争を終える戦略がないように見えて私は不安になる。

アメリカ政府はウクライナの紛争地に駐留軍を送り、力で名誉ある停戦に持ち込むしかないように私は思う。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿