猫じじいのブログ

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核分裂連鎖反応を続ける福島第1原発の880トンのデブリ

2022-06-07 22:56:12 | 原発を考える

きょうの朝日新聞の22面(科学・環境)に、福島第1原発1号機の原子炉の「台座のまわりで見つかった堆積物からは多くの中性子が観測された」という記事があった。

中性子は核分裂反応が起きていないと発生しない。核分裂でできた放射性物質(分裂した核の破片)はガンマ―線(高エネルギー電磁波)、ベータ線(電子)、アルファ線(ヘリウムイオン)しかださない。

東電の廃炉推進カンパニーの小野明代表は「中性子のレベルを考えると、近くに解け落ちたデブリが存在すると考える」と説明しているから、いまなお核燃料の熔け落ちたデブリが中性子を発生していることは、原子炉に関係している人には常識のようである。

私は原子力の専門家ではないが、物理学で博士をとったものとしては、福島第1原発の後始末は本当の問題を国民に告げず、その場しのぎという感じをぬぐえない。

1年前に、福島第1原発の汚染水を福島沖に捨てると決めて、もう捨てるためのトンネルを掘っている。あとは、風評対策だとして、世論工作にお金を使っている。

しかし、デブリがいまだに核分裂連鎖反応を起こして中性子を発生している。そして、放射性物質も新たに生産している。中性子を吸収するためには、デブリをホウ素を含む水につけておくしかない。すると、汚染水は今後も発生しつづける。すると、汚染水の海洋放出は今後もずっとつづくことになる。今後、何十年とつづくのではないか。もしかしたら100年を超えるかもしれない。東電の試算は現在のタンクの汚染水を処理することだけしか考慮されていない。

建設計画では、排水路のトンネルを掘って、沖に薄めた汚染水を放出するという。私は、どれくらいの深さから放出する計画なのかを疑っている。川の水が海に自然に流れこむのと違い、海底から水を放出すると、放出口には深さに比例した水圧がかかる。すると、相当強力なポンプを使って押し出さないと排水できない。東電は、建設費を安くするために、沖に捨てるというが、海の表層に捨てようとしているのではないか。

汚染水は自然に薄まることがない。拡散のスピードはとてもゆっくりしたものである。きっと、海流にのって汚染水はどこかに運ばれていくだろう。

東電と政府がやっている後始末にもう一つ謎がある。東芝の汚染水処理システムALPSの問題である。

放射性物質を人工的に非放射性物質に転換できない。自然崩壊を待つしかない。汚染水処理システムとは放射性物質と非放射性物質とをより分けることである。より分けられた放射性物質はどこに保管してあるのだろう。それを今後どう処理するつもりだろうか。しかも、放射性物質と非放射性物質のより分けに、化学的手法が使えない。非化学的手法は高価で、軍事的目的以外で使われたと私は聞いたことがない。すると、取り除いたと称する放射性物質のなかに非放射性物質が結構含まれ、量的にかさばっているはずである。

デブリが、緩やかだが、いまだに核分裂連鎖反応を続けていると、色々な問題を発生する。汚染水の処理は、東芝のALPSに頼るのではなく、地中処理という根本的手段をとるしかないのでは、と私は思う。



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