猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

あさお慶一郎の「日米安保が不十分、敵基地攻撃能力もつ」が意味不明

2022-06-12 23:26:44 | 戦争を考える

けさの新聞の折り込みに、神奈川県の選挙区から参議院に立候補する自民党あさお慶一郎のチラシが入っていた。それによると、彼は安全保障のエキスパートらしい。つぎのようにある。

<ロシア軍のウクライナ侵略が起き、日本の安全保障はより現実的なものが必要とされています。日米安保条約は大きな抑止力ですが、さらに我が国の抑止力高めるためにも「敵基地攻撃能力」をもつことが必要と、私は10年以上前から提唱しています。北朝鮮への外貨送金を止める法律を立案した私だからこそ国益を守る議論ができ、実現する力があります。>

ロシア軍のウクライナ侵略が起きると、どうして、日本の安全保障が「日米安保条約」だけでは不十分で「敵基地攻撃能力」が必要なのか、の説明がない。そして、突然、「北朝鮮」の国名がでてくる。安全保障のエキスパートにしては論理性がまったくない。キーワードの羅列である。

チラシの裏には、岸田文雄との緊急特別対談がのっていた。あさおは、鳩山政権のときに民主党を離れたことを自慢する。

<あの当時の鳩山首相は沖縄の基地問題で「最低でも県外」と公言して、アメリカとの信頼関係に亀裂を生みました。もし私が防衛大臣になっていたら、真っ先に辞表を出すことになっていたでしょう。一国平和主義の理想論で日本の安全は守れません。そして、日本が国際社会の安定化に貢献することもできないでしょう。>

ここでもキーワードの羅列である。

たとえば、「最低でも県外」の言葉に、何が「県外」なのかを明らかにしていない。これは、学校や住宅の密集地にある沖縄のアメリカ海兵隊普天間飛行場を移転することを言う。日本からアメリカ海兵隊の飛行場を減らすか、「県外」に移転して沖縄の負担を軽くしましょう、という話しである。鳩山政権が「最低でも県外」と言って何が悪いのか私にはわからない。

「アメリカとの信頼関係に亀裂を生んだ」ことしか、「最低でも県外」と言ったことを非難する根拠がない。しかし、本当にアメリカとの信頼関係に亀裂を生んだのだろうか。じっさいには鳩山政権は沖縄以外の自治体に基地移転の折衝をしたが、実を結ばなかった。沖縄に基地の負担が集中しているのに、負担を軽くしてやろうという自治体があらわれなかったのである。

アメリカ軍の基地施設は迷惑施設なのである。戦争がはじまれば、真っ先にミサイルが撃ち込まれ、まわりの住宅街も商店街も病院や学校も廃墟になる。80年前の日米戦争では、沖縄を日本防衛の捨て石にした。その再現を日本人は望んでいいのだろうか。

「一国平和主義の理想論」という言葉も、相手を貶めるための言葉で、当時の民主党が「一国平和主義の理想」を別に唱えていたわけではない。戦争を避けるためには外交をしなければいけないのは、あたりまえである。しかし、安全保障のエクスパートは「外交」については何も述べていない。

「敵国攻撃能力」と「日本が国際社会の安定化に貢献」とはどんな関係にあるのだろう。

もっとも、私が知りたいのは、バイデン政権がウクライナを武力で守らなかったことを、自民党がどう評価しているかである。バイデンは、ロシア軍のウクライナ侵攻の前に、すべてのアメリカ人を引き上げさせたのである。私は、ウクライナがロシア軍の前に降伏するとバイデン政権が想定していたのではと、いまなお疑っている。

アメリカ国民は昔から基本的に戦争で自らの血を流すのに反対である。アメリカの外で戦争をして欲しいのだ。したがって、アメリカ政府は、弱い国としか、直接戦争しない。これが、今回、明らかになった。

中国が台湾に侵攻をしても、アメリカが直接介入しない可能性がある。中国軍が地上軍で台湾を制圧しないよう、武器を提供するが、アメリカが海兵隊を送らない可能性がある。元自衛隊幹部の中には、アメリカ政府は、韓国政府や日本政府に地上部隊を送らせ、アメリカ人の血を流さない作戦をとると想定している。

「日米安保条約」は、アメリカに日本領土内に軍事基地を作っても良いですよ、と言っているだけである。「抑止力」とは何を言っているのだろうか。アメリカは中国を一番の敵国としている。北朝鮮は今のところ脅威ではない。中国とアメリカとは、直接の戦争をしたくない。言葉の応酬だけで済まそうとしている。彼らにとっての「抑止力」とは、自国にミサイルが撃ち込まれたら、相手国に撃ち返すという暗黙の了解が「抑止力」である。

したがって、中国は韓国や日本のアメリカ軍基地にミサイルを撃ち込むことはありえない。戦争というものは戦線を安易に拡大しないものである。

日本が中国の攻撃を受ける可能性は、台湾に中国の侵攻があったとき、アメリカの代理で地上軍を送ったときだと思われる。

あさおは日本の「抑止力」として何を想定しているのだろうか。アメリカ軍が中国軍の基地を攻撃するまえに、日本は本当に中国軍の基地を攻撃しようとするのだろうか。そんなことなんて財政的に無理である。あさおの「敵国基地攻撃能力」がわからない。