きょう、2021年12月8日は、日米開戦から80年になる。日本の真珠湾奇襲攻撃から80年になる。
きょうの朝、朝日新聞を見て驚いた。1面に「監視塔 日系人というだけで」「真珠湾攻撃後 始まった強制収容」という見出しが躍っている。この記事は9面に続く。
開戦後、日本の真珠湾奇襲攻撃の後、日系アメリカ人に対する不信と偏見がアメリカで爆発した結果の強制収容であり、戦後、アメリカ政府は、この不当な行為に対して、アメリカ市民である日系アメリカ人に対して謝罪している。日米戦争の勃発で、日本人は日本に強制送還となったのであって、日本人を強制収容したのではなく、アメリカ人であることを選んだ日本からの移民を市民活動から隔離したのである。当時のドイツ政府がユダヤ人を絶滅するために、ポーランドに強制収容所を作ったのと まったく異なる。
80年前に日本が真珠湾奇襲攻撃を行った日に、この日系米人の強制収容を1面にもってくるのは、朝日新聞の裏の意図を何か勘ぐりたくなる。
朝日新聞は、数日前に、昭和天皇が日米開戦に積極的であると書いたことに批判があり、バランスを採ろうとして、戦争中のアメリカ政府の誤りを読者に知らせようとしたのか。あるいは、きょうの朝日新聞13面と31面に日米開戦の誤りをのべることへのバランスで、1面と9面とに日系アメリカ人の強制収容をとりあげたのか。
バランスをとるなら、日米開戦を正しいとする識者の論を載せるべきである。
13面の『(交論)「12月8日開戦」の意味』では、吉田裕が、日米開戦の目的を自衛戦争とするのも、アジア解放戦争とするのも、論理的に分裂して混乱していると言う。高嶋伸欣は陸軍が華僑を蔑視していてシンガポールで多くの住民を殺したと言う。
30面は『それでも日本人は「戦争」選んだ』(新潮文庫)の著者の加藤陽子や本のもとになった特別授業を受講した元高校生のコメントからなる。加藤のコメントは《民衆が、自国の苦難を他国の悪意の結果と捉え、「祖国の危機を救え」と訴えたとき、戦争を選ばない為政者はいなかったのです》としめくっている。
私は、日米開戦の80年目のきょう、朝日新聞は、ちゃんとした論戦を企画すべきだったと思う。そして、80年前に、知識人の果たした言動、ジャーナリストが果たした言動を反省し、現在の日本のなし崩しの軍事力増強、海外への自衛隊派遣の敷居が低くなっていると、米中の軍事的緊張を論じて欲しかった。