……ね?だから前に言ったじゃないですか。当ブログは勿体なくも台湾の李登輝・前総統と赤い糸で結ばれているんです(笑)。こちらが「ここで李登輝氏が……」と書くと、必ずといっていいほど氏は何らかの形でニュースとなって、当ブログの期待に応えてくれるのです。
今回もまた然り。前回の文末で、
「あとは『李登輝氏5月10日来日』というカードをいつ切ることになるか、ということです」
と書いたら早速のリアクション、ニュースが飛び出してきました。もっとも今回は日本発でも台湾発でもなく、中国国内メディアによるものですけど。
●日本メディア「李登輝が5月10日ごろ訪日、講演なども行う意向」(新華網 2006/03/06/10:42)
http://news.xinhuanet.com/herald/2006-03/06/content_4263729.htm
元ネタは新華社系国際時事週刊誌『国際先駆導報』です。その記事を「新華網」(国営通信社の電子版)が掲載し、さらに『人民日報』電子版の「人民網」や大手ポータル「新浪網」(SINA)などが転載しています。
ただ『国際先駆導報』は毎週金曜発売ですから、紙媒体(3月3日発売号)で報じられてから数日間のタイムラグがあることになります。これはたぶん紙媒体の売れ行きに影響しないための情報公開規制でしょう。日本でもそうですが、週刊誌や隔週誌、また月刊誌の電子版などでは珍しくないことです。
あるいはニュースの内容、その重要性からして、3月10日付発売号の記事を先行発表したものでしょうか?このあたり現物が手元にない私にはちょっとわかりません。
何はともあれ、李登輝氏の訪日計画が中国国内でも公に報じられたことになります。
どうやら封印が解かれた模様です。
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李登輝氏が2004年末に続く再訪日、というニュースは日本メディアによって何度かスクープされ、それを台湾・香港メディアが後追いする形で報道されてきました。
●[1]李・前台湾総統が来春訪日の意向「奥の細道訪ねたい」(読売新聞 2005/11/02)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051102i501.htm
●[2]李登輝氏「奥の細道」散策、5月10日来日で調整へ(読売新聞 2006/01/11)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060111i301.htm
●[3]李登輝氏の入国、問題ない=麻生外相-中国の反発必至(時事通信 2006/01/19)
http://www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=060119202008X653&genre=pol
●[4]台湾・李登輝氏の5月訪日を容認…政府方針(読売新聞 2006/02/23)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060223i401.htm
『国際先駆導報』の記事からみて、今回参考にされた、というか引き写されたのは主に[4]の記事で、これに他の日本紙や台湾・香港メディアの後追い報道を加味した内容となっています。
「石原慎太郎・東京都知事と会見するかも知れない」
「靖国神社参拝の可能性もある」
といった記者による予測、この期待感は私と全く一致しております(笑)。
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「封印が解けた」というのは、『読売新聞』の記事が2月23日付であることからわかるかと思います。この記事についても台湾・香港メディアがすかさず後追い報道したのですが、中国国内メディアは一切沈黙。そして一週間以上に及ぶその沈黙を破ったのが『国際先駆導報』という訳です。
その沈黙を私はわざわざ「封印」と呼んでみました。というのは当ブログでも以前紹介しましたが、前回の「李登輝氏再訪日予定」記事、つまり[2]に関しては、中国国内メディアが間髪を入れずに即報道しているからです。
●「続・電波発言。」(2006/01/12)
ところが[4]について、中共当局はそれをさせずに報道規制を敷いた。なぜかといえば、[2]から[4]に至る1カ月余りの間に、中共政権と台湾・日本の関係が大きく変化していたからでしょう。
まず台湾についていえば、前回ふれたように旧正月の元旦にあたる1月29日、[2]から2週間以上経った後ですが、台湾の陳水扁・総統が「最終的には統一を目指す」という台湾政府のすでに形骸化した建前、「国家統一委員会」と同委が採択した「国家統一綱領」の廃止構想をぶち上げています。
それを現実のものとしたのが2月27日、つまり[4]の4日後です。この間、台湾の後見人たる米国から非公式ルートで通告があったのかどうかは不明ですが、対台湾政策において硬軟交えたカードを持っていた中共政権は、この日を境に「独立は断固許さず」という厳しい姿勢が基調となります。その中でも特に軍主流派(『解放軍報』)が突出した強硬的態度で猛反発していたのは前回紹介した通りです。
「台湾独立派の策謀」を非難する、という意味では、陳水扁のアクション(建前放棄)に加えて李登輝氏訪日計画を公にした方が台湾問題に対する危機感を強調するのに効果がある、という判断が働いたのかも知れません。いずれにせよ「封印を解く=沈黙(報道規制)を破る」というのは党上層部のゴーサインがなければできないことです。
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対日関係についてはより明白です。[2]が報じられた当時は「電波」ともいえる従来の運動律を大きく逸脱した迷言や怪行動(『産経新聞』批判論文)を外交部がとる一方で、軍事費増強・中国軍事的脅威論などについて軍部が開き直ったりしていた時期です。
要するに反日度が高かった。軍主流派による外交への口出しが増える一方、胡錦涛ら指導部も対日政策の重点をポスト小泉に移そうと思案し始めたころでしょう。そこへ恰好の燃料として火に油を注ぐ形で投下されたものが[2]でした。
ではなぜ[4]には規制がかかったかといえば、これは『読売新聞』が[4]を報じた2月23日前後の中国国内メディアの対日報道をみれば一目瞭然です。自民党の中川政調会長、二階経済産業相が相次いで訪中し、中国側も日本の親中派もとい媚中派政治家などを続々と招いて友好ムードの醸成、正確には「小泉・麻生抜きならほらこの通り日中友好」というイメージを作り出すことに躍起となっていました。
つまり[2]の当時と比べると反日度はかなり下がっており、4月に胡錦涛訪米を控えた中共側も対日関係緩和に努力しているというポーズを米国に見せる必要がある時期でした。そこで「李登輝氏5月訪日予定」というニュースを流してしまうと変な水が入らぬとも限らない。だから封印した、という訳ですが、指導力が磐石でない胡錦涛政権ですから、封印を徹底させるに際しては念の入った政治的努力が払われたことでしょう。
その封印をここで解いた、というのは陳水扁によるアクションも関係しているでしょうが、そのときに大騒ぎした(いまも大騒ぎしている)軍主流派の意向も働いているかと思います。
連中からみると、米国は陳水扁の措置を承認したばかりか中共を仮想敵とした軍事演習を日本とやっている。やはり日米合同による島嶼奪回作戦演習などは尖閣諸島を想定したものにみえるし、台湾有事に対する介入姿勢を明確にしている。何よりも中国の軍拡に神経質で、日米ともに中国軍事的脅威論を捨てていない。……ということになるでしょう。堪忍袋の緒が切れた、ということなら今後『解放軍報』あたりに反李登輝報道が出てくるかも知れません。
また陳水扁によるアクションについて、米国は後見人としてその実現を承認し、一方の日本は日本で、前回紹介したような中共からみれば不敵きわまりない政府発表を行っており、台湾を中共の内政問題とせず、今回陳水扁がとった措置を非難せずに受け入れている。さらにいえば、中共は友好ムード盛り上げに努めてみたけれどその成果がはかばかしくない、ということもあるでしょう。
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それやこれやで「封印」を解くよう上層部からゴーサインが出されたのでしょうが、問題は、その「上層部」がそもそも一枚岩ではないということです。
『国際先駆導報』の親会社である新華社は昨春の「反日」を掲げた政争でもアンチ胡錦涛諸派連合側についた前科がありますし、先の「江八点」(江沢民による対台湾8項目提案)11周年についても「地味に扱う」としていた胡錦涛・総書記側の思惑を裏切って『人民日報』ともども各地で行われた記念活動を大々的に取り上げています。
●突然ですがここで江沢民です。・上(2006/01/27)
●突然ですがここで江沢民です。・下(2006/01/27)
報道規制解除というゴーサインは果たして指導部の総意なのかどうか。いま開かれている全人代(全国人民代表大会=立法機関)においてちょうど今日(3月7日)、李肇星・外相が記者会見を行って対日関係・対台関係についてコメントを出していますが、ここでは李登輝氏訪日予定については一切言及していません。
という訳で、報道解禁となった「李登輝氏5月訪日」に対する中共政権の姿勢については、
「総意なのかどうか」
「総意だとすればどの程度の反発になるか」
「具体的にどういう手段で反発を示してくるか」
……などについて、まだ不透明な部分が少なくありません。今後しばらくは新華社、『人民日報』、『中国青年報』、『解放軍報』など各メディアの動向や、胡錦涛ら首脳部のコメント、また外交部報道官による定例記者会見などでその出方を察していくしかないようです。
全人代が終わった後の3月下旬から4月にかけて、今年もひと荒れするのでしょうか。ワクテカです。私などは3月も4月もなくて年中無休、毎日期待しているのですけど(笑)。
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それはともかく,李外相がまた吠えたらしいけど,中国内でいくら強がっても,もはや国内では大して気にされない様子.少しは面と向かって言ってみたらと思うほど...ちょっと同情してしまったりもします.
「我が国は世界に冠たる自由主義国である。親日家である李登輝先生には所望する会合にも出席でき、そこでの忌憚無い発言を期待する」と。
日本の国際的評価は上がるだろうし、台湾にもエールを送ることができ、かつ米国のスタンスを試すことができる。
これからの日本は対米追随だけでは保たない。日米安保を生命線とする以上、ことあるごとに米国の動向をチェックしなければならない。
、
「上有政策、下有対策」
をやってる………ということかなー………?
まるで構造耐久試験でもやってるみたいで。
上から圧したり下から突き上げたり横から突いたり。
なんでまだ崩れないか不思議です。
あ、まだ目に見えてない力が別方向からかかってて、一見釣り合ってるように振る舞ってるだけとか?
よく分かりませんが、先を楽しみにしています。
まあそれでも言論暴力団以外の忠犬メディアは報じないだろうから、大丈夫ですよ、中共様w
これだけでいいんじゃ。
大爆笑ー! 正に正論!
その時だけは駅で朝日珍聞を買いたいと思います。
ょうなあ。どちらかが、なくなるまで、というよ
うな考え方は、日本人は持ちたがってないように
みえるけど。相手さんはどうなんだろう。
ところで、以前、麻生外相は、李登輝さんは民間
人だということで、
そんなにえらくない人と思っている。
だから、日本に来ても、いいんじゃないの。
的な、一見失礼ともいえる発言をしていましたが
これは、裏を返せば、相手に
李登輝は、偉いんだよ。
だから、訪日反対だ。
と言わせる言い方であり、少なくとも、相手が
反対したときに、
あなた方も李登輝は偉いと思って居るんですね。
と聞き返すことができ、口げんか中に、相手をむか
つかせる結構賢い言い方だなあと、感心したもので
した。
あまり実質的な実入りのない政治行動での運動は避けているのかも、同じ時期に回答してきたガス田開発の中国対案の方がより刺激的に感じます。
(要は日本の守りの堅い問題=靖国/台湾/歴史認識より、御しやすい経済問題=ガス田/経済協力その他を主戦線に路線変更したかも)
1月19日付けのこの欄のコメントはあたりでした。
このニュースは、中国政府と密接な絆を持つ「世界抗日戦争史実維護連合会」の賛歌にある「第二次大戦アジア史保存連盟(ALPHA)」という名の、在米反日団体が故意に流したデマ情報と判明したようです。
日本と中国は、本当に仲良しになれると思いますか。なれないとしたら、また戦争ですか。
ここまで分別なく暴れ始めたのは御家人様がおっしゃるように胡ちゃんの尻に火がついて軍部のマリオネット状態になりつつあるからでしょうか。
ここで李登輝先生の訪日実現という1,000オクタンの極上燃料が散布された暁の連中の反射振りがどうなるのか本当に楽しみです。
李登輝さんの訪日が再び予定され、靖国参拝もありうるという状況に非常にワクワクしております。まさか一私人の参拝に騒ぎ立てたら中国としても恥さらしでしょうし、かといって日本にも圧力を掛けられない。自分でまいた種とは言え、哀れと言うか何というか。
ところで、A級戦犯とナチスを絡めた李肇星の批判ですが、時事通信以外では報道されていないようですね。何か日本側に規制でもかかっているのでしょうか。中国の愚かさを知らせるのはもってこいだと思うのですが。
あと、中国ニュースに載っていた自衛隊新戦車開発の記事ですが、例の巨大
掲示板で確認したところ実際予定されているものだそうです。ただ、予算で戦車が削減されているので開始が遅れているらしいです。
ttp://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/9578/ftank.html
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/TK-X
しかし、中国の日本関連の記事は何でも軍国主義の復活に関連させるあたり、一種の様式美ですね。
仲良くしなければいけないという脅迫観念は捨てるべきでしょう(笑。
欧州なんて、心底嫌いあっているが、とりあえず戦争だけはしないという国際関係ばっかです。
個人的には、来日されたら、御会いしてみたいなと心底思います(駄目だろうな、やっぱし)。
どうしても日本に李登輝訪日を止めて欲しければ、中共政権は他の何かの面で譲歩する必要が有る。それが国と国の間のゲームというもんです。
で、奴らの問題点は、何一つ譲歩できない立場に自らを追い込んだ事。そう、レイズばっかりしています。
博打で負ける奴に共通するのは、自分の立ち位置が自分で見極められない事。こういう輩は、どんな博打でも負けるのは必定です。所謂カモですね。
降りるべき勝負は降りる、突っ張るべきは突っ張る、いずれの場合も自分と相手の相対的な立ち位置を見定めて冷静にやらなきゃ、勝てる勝負も勝てません。
中共政権の言う「原理原則には忠実に、重要な問題では決して譲歩しない」というのも、全部を重要な問題にしてしまっては自らが打てる手を狭めるばかりです。
靖国、尖閣諸島、台湾独立、エネルギー資源確保等のこれら全部を合せた外交上(いや奴らは内政と言い張るかな)の課題よりも、「重要な問題」群が国内に山積みじゃん。そっちはどー考えて対処するつもりよ君たちは、と冷静に忠告しても逆切れするだろうな。
ここん所も、カモの心理状態に極めて近いです。
支那が発狂しそうに憤懣を募らせるのを、まったりとお茶をすすりながら眺める事にしますかね、皆さん。
それで、現代の貢物は、ガス田の共同開発やら、技術提供やら・・・そうしたら、「開発させてやるぞ!あるがたく思え」ってことでは・・・・。やっぱり、違うかな?
で、その時事通信記事の締めが「こうした発言に日本国内の反中感情が高まるのは必至で、日中関係が一層悪化する恐れが強い」。通常なら、「日本政府はますます苦しい対場に追い込まれそうだ」とか、「日本政府の靖国参拝への国際的非難が浮き彫りになった」
とかのはず。これって結構歴史的な記事かも。
本当に仲良しは無理、戦争も嫌なので、なるべく距離を置くのが一番かと。隣国との関係は緊密でない方が問題が起きないと思いますよ。
>A級戦犯とナチスを絡めた李肇星の批判ですが、時事通信以外では報道されていないようですね。
そうなんだ。TVでは発言の要旨&激昂した猿みたいな李肇星の顔を何度も見せられたので、普通に報道したんだと思ってました。
安倍ちゃんが李肇星発言に不快感を表明したり、王毅駐日大使に抗議したのは、朝日も報道してるんですけどね…。
朝日はスルーするつもりだったのに、日本側の反発が強くて無視できなくなったのかな。
激高しているように見えながらも、李がマイクと花飾りの間にチラ、チラっと目をやっている様子を私は見逃しませんでしたよ。私は、「あー、対日部分、原稿用意してきてやがる。質問関係ねーな。」と感じました。
つまり、「日本記者から質問があったら、この部分だけはちゃんと言うこと。」は、はじめから決まっていたということでしょう。つまり、李じゃなくて、中国政府があれを言ったことになるってことでしょう。
しかし、何のためでしょう。全人代真っ最中の今、中国国内で、日本に対してあえて強気に出て何かをごまかす必要が、またもや生じてきているということでしょうか。
しかし、ストレスのたまる隣国関係じゃわい。あの国が、我々に変わる別の敵を見つけ出し、矛先をそっちに向けるのを待つしかないような気もしますなあ。
結局李の様子はニュースで流れていたのですね。「報道されていない」は訂正します。しかし、あの李と言うのは人相が非常に悪いですね。顔で人を判断してはいけないと言いますが。
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