(「中」の続き)
さて、党上層部で「何かが起きた」ことを反映するかのように、中国国内メディアは呉儀事件の翌日である24日から対日強硬色を強めていきます。「何かが起きている」ではなく「何かが起きた」なのは、呉儀事件の初動で乱れたマスコミの足並みが、翌24日にはもう「日本には強腰」で揃っているからです。
中国の権力闘争は往々にして自分の掌握するメディアに敵方のメディアと代理戦争(論争)をさせることで進行し、片方の論調がもう一方に同調した時点で白旗を掲げたこととなり、政争に終止符が打たれたとされます。ですから24日に足並みが早くも揃っているというのは、一方がすでに白旗を掲げたものと理解できるのです。
具体例でいきます。24日は先月の反日騒動でも火に油を注ぐ役を務めた、つまり対外強硬派の陣地であった「新華網」の署名論評記事(2005/05/24/11:15)が「新浪網」や上海の『解放日報』電子版などで使い回されます。
●世論は小泉首相が改善への転機を迎えた中日関係に水を浴びせたとみている(新華網)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-05/24/content_2995027.htm
これに加え、外交部報道局長・孔泉が定例記者会見でみせた独演会のダイジェスト版数バージョンも登場。また日本発の情報として、公明党の冬柴幹事長や経団連の奥田会長が小泉首相に慎重な対応を求めた(靖国には行くなということ)といったニュースが流されます。さらに、
●日本がミサイル迎撃用に配備した新型レーダーについて(新華網)
http://news.xinhuanet.com/mil/2005-05/24/content_2993960.htm
●日本は国防の重点を北から南方へと転換、海上攻撃能力の強化図る(新華網)
http://news.xinhuanet.com/mil/2005-05/24/content_2994446.htm
●日本が新たな戦争形態への転換を模索、新理論「マヒ作戦」(新華網)
http://news.xinhuanet.com/mil/2005-05/24/content_2995063.htm
……など日本の軍事面に関するニュースもまとまって出てきました。これに対し、胡錦涛の御用新聞である『中国青年報』はどうしたかといえば、
●日本が対中海苔輸入制限を撤廃、今年の輸出量は最低でも8000万トンに(新華網)
http://news.xinhuanet.com/fortune/2005-05/24/content_2995347.htm
……という明るい話題(笑)を流して、それが一応「新華網」に転載されてもいます。現時点からみた限りでいえば、あるいはこれが胡錦涛の御用新聞である『中国青年報』の最後の抵抗だったのかも知れません。
――――
5月25日になると、今度は『人民日報』が日本を批判する署名論評を出し、「新華網」はじめ各メディアに転載されます。同紙は翌26日にも署名論評で日本を叩き、これも各メディアが転載。またこの前後から、発言当時にはさほど騒がれずにスルーされた観のあった16日の小泉首相発言(参拝の意向をにじませ、中韓の介入に不快感を示した)が蒸し返され、叩きに叩かれるようになります。ともあれ『人民日報』は党中央の機関紙ですから、ここが先頭に立って旗を振り始めた意味は大きいと思います。
しかし、それより注目すべきかも知れないのは、新華社が配信した『人民日報』社長の講話です。
●人民日報社の王晨社長「世論を正確に導く能力の強化を」(人民網)
http://politics.people.com.cn/GB/1026/3416758.html
この記事自体は、
「『人民日報』は今までも努力を重ね、頑張ってきた。党中央の機関紙としてこれからもしっかり仕事します」
という内容なのですが、その「頑張ってきた」具体例として「日本関連問題といった重大ニュースの特集制作に力を注ぎ」という一句が唐突に登場します。それまでは思想宣伝がどうのといった話ばかりだったのに、ここだけが固有名詞というか名指しです。『人民日報』トップの講話なのに新華社発で、それが「人民網」に掲載されました。下衆の勘繰りとして申し上げますと、『人民日報』はこの記事を以て白旗を掲げた、ということになるかも知れません。
『中国青年報』も25日に白旗を掲げた、と私はみています。この日から、「靖国神社に祭られているA級戦犯」というシリーズ記事が始まったのです。第一弾はやっぱり東条英機。
「行き過ぎた民族主義はよくない」(2003年末の楊振亜談話)
「こんな『愛国』には誰も喝采しない」(昨年夏のアジアカップで中国サポーターに苦言)
などの文章をかつて掲載し、先月の反日騒動でも一貫して火消しの立場を貫いてきた同紙が、靖国神社に祭られているA級戦犯を改めて断罪するといったかくも「濃い」連載記事をわざわざスタートさせるというのは、「参りました」ということでしょう。もちろん同紙の白旗は、そのボスである胡錦涛が掲げたに等しいものです。胡錦涛は反日運動をダシにした主導権争いに優勢勝ちを収めましたが、当時のような影響力・指導力はすでに維持されていないとみるべきでしょう。
――――
しかし対外強硬派、といっても主要な顔ぶれなど、その実態は謎に包まれています。ところがこれについては以前のコメント欄で「aquarellisute」さんが指摘して下さった通り、『産経新聞』(2005/05/27)が日本の公安当局などからの情報として報道しています。具体名は出ていないながらも、一派の顔ぶれや政治姿勢、また胡錦涛に対し圧力をかけ、一時はあわやクーデターという状況でもあったことなどが報じられています。
この記事の内容は反日騒動に関するエントリーで当ブログが紹介した香港紙『明報』の消息筋情報と符合するもので、また「1読者」さんがやはり以前のコメント欄で明かして下さった消息筋情報とも平仄がピタリと合っています。「1読者」さんはこの報道を受けて追加情報も提供して下さいました。
実はこれで私も氷解したことがあるのです。人民解放軍の機関紙『解放軍報』に出た2本の署名論評、
●軍隊の組織慣性を重視せよ
http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2005-05/26/content_214082.htm
●法を以て軍を治めることは軍事闘争勝利の重要なる保障だ
http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2005-05/26/content_214043.htm
……読んでみると軍内部に独自の動きが出ていることを示唆し、それを諌めるような内容に思えて、今回の急転直下ともいうべき展開と何か関連があるのではないか、しかしどんな関わり方なのだろう、と考えあぐねていたところでした。それが今回の報道などによって回答めいたものが出た観があります。
もちろん産経報道自体、公式に確認されたものではありませんから、『解放軍報』の署名論評2本についても私の下衆の勘繰りにすぎない、ということになるかも知れません。ただ軍機関紙に出た異様な印象を与える記事について、なお情報の限られている現時点において、ひとつの解釈が成立したとはいえるように思うのです。
ともあれ、ここまでの一連の流れを観じるに、事態は「呉儀事件」から別な、全く異質なものへと焦点が移りつつあることがわかるかと思います。
――――
現在のところ、中国側の対日姿勢が一転硬化し、党上層部が何やらキナ臭くなっている気配はあるものの、胡錦涛が失脚するとか、軍部によるクーデター政権が誕生したという事態までには立ち至っていません。ただ昨日(27日)開かれた「中央民族工作会議」、午前中に胡錦涛の演説(重要講話)があったと報じられたものの、ほどなく明らかになって然るべきその演説内容が夜になってようやく公開されるなど、何か判然としないリズムで中国指導部がフラついている観があります。
もうひとつ挙げるなら、昨日の『香港文匯報』(2005/05/27)がこれまた唐突に、「五中全会」(党中央第16期第5次全体会議)が今秋に開かれる見通しだとして、それに関する特集記事を組んだのも奇異な印象を受けます(※1)。これは党中央、つまり党中央委員会の全体会議で、党上層部の人事任免も行われます。前回は昨年9月の「四中全会」、ここで江沢民が党中央軍事委員会主席(軍権を握るポスト)から引退し、胡錦涛政権が名実共にスタートしたことを御記憶の方も多いかと思います。
なぜ5月末のこの時点で秋の「五中全会」の特集?という異様さに、失脚とかクーデターとかいう言葉を直接結び付けてみたい衝動にかられます(笑)。まあ飛躍し過ぎなのでそれは控えることにしますけど、『香港文匯報』のこの飛躍っぷりはどう説明すればいいのか。ヲチするこちらも中共同様、一難去ってまた一難なのです。
――――
最後に、これは以前にも書きましたがくどいのを承知で改めて。
「靖国問題さえ解決すれば日中関係はみなうまくいく」ということを中共は言っていますが、こういう形に問題を集約させてしまった時点で中共は大失策を犯していることになります。そこまで言われたら小泉首相は参拝しない訳にはいかないじゃないですか(笑)。参拝したら中共は責任問題などをめぐり党内でひと荒れせずにはいられないでしょう。それで胡錦涛が血祭りにあげられる予定調和シナリオがもう書き上がっている(笑)のかどうかはわかりませんが、
「靖国問題さえ解決すれば日中関係はみなうまくいく」
……という中共の言い分、まあ強盗やヤクザの理屈と言いますか、いかにも軍人の頭から出てきそうな物言いですが、これを鵜呑みにしている日本人は少ないと信じたいです(ジャスコや層化は別ですねw)。ここで譲ってはいけません。靖国問題で譲れば次は歴史教科書、その次に尖閣諸島、東シナ海ガス田問題、沖ノ鳥島、そして台湾問題……と、ネタはいくらでもあるのです。交渉相手が軍人風味の連中に変わったのなら尚更です。まず靖国問題について内政干渉はやめろとはねつけ、日中関係の原点に戻るべきです(※2)。
「靖国問題さえ解決すれば日中関係はみなうまくいく」というのが大ウソであることを、大半の日本人がわかっていると私は信じたいのですが、それでも中共音痴は結構いますので、念を入れずにはおれません。それで周囲の日本人に「ここで譲っちゃダメなんだ」と私は説きまくっています。悲しいかな小市民にはこのくらいのことしかできませんが、皆さんも是非この点を徹底して頂ければと思います。
――――
【※1】http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505270001&cat=002CH
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505270002&cat=002CH
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505270003&cat=002CH
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505270004&cat=002CH
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505270005&cat=002CH
【※2】日中間で取り交わされた3つの政治的文書。戦争に関する賠償権を中国が放棄したこと、戦争問題に一切のケリがついたこと、また相互内政不干渉や、日本が厳密には台湾を中国の一部と正式に承認してはいないことが明文化されています。
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これからどうなるか全く読めない状況になりましたね。
まあ、対日強硬路線は決まりなんでしょうけど。
おもしろい! ……って言うと不謹慎ですか。^^;
ともかくお疲れ様でした。
ここ数日、溜め込んだパワーがこもってて、すごく
楽しませて頂きました。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050528STXKG028128052005.html
米国内の一民間団体とはいえ対日批判を揶揄する声明を出すのは
裏で何かの力が働いているのでは?とつい下衆の勘繰りを
因みにロイターでも同様の記事が世界中に配信されているようです。
Tiananmen families accuse China of double standards
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/SHA263499.htm
軍部の人事が急がれますね。
軍部が抵抗した場合どうなるんでしょうか?
本当に歴史は動いているのだと感じました。
中国はいま、まさに動いているのですね、石原都知事が中国は6つに分裂するって言っていましたが、何だか現実的になりそうな感じがします。
この記事を政治家に読んで欲しいですね。
少壮軍人が胡錦濤主席に最後通牒 呉儀召還の隠された真実?[05/28]
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/05/html/d11115.html
なにかあったのではと考えていた所です。
それにしてもあなたの深い洞察力に関心しています。
今年はおもしろい年になりましたね。
毎度~お騒がせしております。という感じの昨今の中国ですが、ご覧になったかもしれませんが例のきな臭いお話しの元が、某巨大掲示板にリンクが出ておりましたので添付しておきます。
ttp://www.qian-ming.net/gb/viewarticle_gb.aspx?vID=818
中国国外からの発信なので「?」ですが、中央の軍人さんと思われる面々(階級付)が表題下にある点。国内批判と日本批判の二つがある点が面白いかなと思いました。
日本批判の論点は戦後賠償に的が絞られているようです。これを言い出すと以前からあちこちで言われているように中共国家の成立を法的に議論する必要が出ること、台湾のことも考えなくてはならないこと、またこのロジックを持ち出すと場合によっては列強時代の植民地問題も議論しなくてはなりません。
その結果中共に取り全くといってよいほど論理的な展開が不可能な事態になってしまいます。この点がもし党内で靖国を皮切りに話しとして出てくるならば、これは必然的に日本との対話は不可能となってしまいます。例え日本側で誰かが騙されても、ここまでいったら流石にまともと思う方はいないのではと考えます(今でも中国の態度は正気の沙汰ではありませんが)。
知人さんとも話したのですが、きな臭い話しが新聞に取り上げられたことに対し、中国政府は事実無根と一刀両断で否定しましたが、鼻で笑って受け流すという芸当が出てこなかったことから(お上手ですね~とか面白いお話しですね~とか記事の確度を下げるあるいは潰すようなリアクション)、図らずも中共のリアクションが新たな憶測を呼ぶことになりそうな気配です。
ただこのような動きが強くなり軍部が主導権をとるようになると、核のこともあり好ましい流れではないというのが知人さんの考えです。
流れ的には若干の粛清はありそうな気配ですが、ただこれが発生した場合、五輪・万博は最悪あきらめる覚悟が必要となるかもしれません。またコキントウの権力の分散があればこれも負のシグナルとならざるを得ないと思うのです。何をしても駄目駄目という感じです。
2008年の北京五輪は、1940年の東京五輪の二の舞かなあ、という連想も生まれてしまいますね。
次は中国版2・26事件でも起こるのでしょうか?
中共という巨大なバーチャル国家に世界が振り回させていますが、日本は、中共に深入りせず、是々非々で対応することこそ歴史が教えるところであると考えます。
戦後だめになる一方と思いきや、意識的か無意識か、日本はちゃんと歴史の教訓を理解しているようで棄てたものではない、と思う昨今です。(書店に反日コーナーができて、リアル中共を喧伝する書物が山積されている状況なんて計算違いのひとつなのでしょう。)
この期間に中国内部で何かあったとの説はとても興味深いです。
以前にも似たような経緯でようちゃんさんのコメントを削除したことがあったと記憶しております。
次回、似たようなことがあれば当方の判断により即削除させて頂く可能性があることを予め申し上げておきます。
今後の日本マスゴミ(特にTV)の「広報活動」に要注目ですねw
靖国に関してはマスゴミの献身的な働きによって、日本の世論は割れちゃってますから、
ご主人様への忠誠心を示すために、より一層
靖国叩きに精を出しそうですね…
とにかく、(左&中共の)ウイルス感染した経済人の多いこと多いこと。。。
別の意味でT社のクルマは買うなとシナ人の友人に逆日貨排斥をしている始末です。
>というのが大ウソであることを、大半の日本人がわか
>っていると私は信じたいのですが、
残念ながら、今朝の報道番組のアンケート調査
では、靖国参拝は当面(・・?)行くべきでない、
という回答が昨年より20%も増えているという結果
が出ていました(TBSでしたが・・)。
「当面」という誘導質問の問題もあるかもしれませんが
どうも日本人の中国オンチの表れでもあるかと・・・
"ようちゃん"はあちこちでコピペ爆撃を繰り返しているみたいです。なぜか"保守系"ブログばかり。おばちゃん帰国直後にレッサーパンダが立ったニュースがなぜか連日報道されたり、ダライラマ訪日にあわせて中国で何か起こるように、長文コピペを投稿することで読む気を無くさせ他のコメントもスルーしてしまいない一種の目くらましなのかなと。最近疑い深くなってきました
「私はこう思うの。詳しくは以下を参照」でいいと思うんですが。エログは関係ないと思います。純粋な業者さんだと。
>>(´・ω・`)さん、
>>Unknown(2005-05-28 21:57:05)さん、
コメント有難うございます。ちょっと時間的余裕がないので一括レスにして失礼致します。
今回のケースはかなり異例です。もしチナヲチの教本みたいなものがあれば、そこの模範教材になりそうなケースです。もちろんそれは私の分析や洞察がどうこうではなくて、中国側の動きが、です。
私は単に中国国内メディアの報道を並べてみたにすぎません。それだけで何事かがみえてくる、というのは、いまの党上層部を取り巻く政治環境が尋常でないからだと思います。ヲチ(分析)という作業が入り込む余地がない、とはいいませんが、記事漁りの手間だけはかけて、あとは一週間近くネタを寝かせて集めた記事を並べてみたらこうなった、というだけのことなんです。
胡錦涛は失脚した訳でもなく、影響力を全く喪失してお人形になった、という訳でもないでしょうから、「五中全会」に向けて巻き返しに出る可能性は十分あります。ただ中国国内の報道をみる限り対日路線は対外強硬派がイニシアチブを獲得したようなので、強硬路線は暫く揺らぐことはないでしょう。
それゆえに日本として念頭に置かなければいかないのは、中国側は事実上交渉に出てくる顔ぶれが一変し、原則論一辺倒で譲ったり妥協したりする可能性がほとんどなくなった、ということです。ですから日本側も安易に妥協したり譲歩することは禁物です。
軍人には軍人特有の思考法があると思います。それゆえシビリアン・コントロールという制度もあるのでしょうが、今回積極的に動いたとされる一部の軍人だけでなく、対日強硬路線は軍部の多くに支持されるものでしょう。仮にクーデターめいた動きがあってそれを処分などで押さえ込んだとしても、軍部に共有されている根強い不満や危機感が解消される訳ではないので、根本的な問題解決には至らないと思います。
「五中全会」が秋開催の予定なら、夏いっぱいが権力の綱引きに使われることでしょう。私は靖国神社参拝問題は日本の国内問題だと考える者ですが、その参拝時期によっては中共内部の権力闘争が激化することもあると思います。
Unknownさん御指摘の通り、今年は全く面白い年になりました。ただ4月の反日騒動に対する「定性」つまり政治的に善か悪かという判断を党中央は留保したままなので、権力闘争の手段として改めてデモなどが使われる可能性もあり、中国と付き合いのある企業や個人にとっては高見の見物とは言えなくなる可能性もあります。ともあれ、お楽しみはこれからです。
御指摘の動きは「六四」の季節ということもありますが、胡錦涛の統制力が例えば半年前に比べてガタ落ちしていることを見越した動きでもあるかと思います。唐突に訪れた政情不安とマッチしてしまったのは偶然だと思いますが……。
いずれにせよ、トップの影響力がガタ落ちした分、指導部は揺れざるを得ません。今年は1989年の天安門事件から16周年、節目になる記念日ではありませんが、そういう政治状況を狙った動きというのは民主化運動系だけでなく、他からも仕掛けられるかも知れませんね。
「靖国」は日本の国内問題なのでこれについて中国がどうこう言うのは筋違い、というより正しく両国関係を損なう行為に他なりません。日中間で取り交わされた3つの政治文書を読み返されることをお勧めします。
そうなんです。「本当に歴史が動いている」というのは私が眺めていても実感するところです。5月だけを捉えても大きな変化があった訳ですが、年初以来の動き、というか中国の揺れっぷりも想像を上回るものでした。
去年の5月といえば、東シナ海ガス田問題がようやく日本側でも取り上げられるようになったか、というころでしょう。この1年の中共自身の動揺、それに日中関係の変化の大きさというのは、何だか夢でも見ているような感じです。
前にも書いたことがありますが、日本政府は「中共の余命X年」という想定をベースにした対応策を準備しておくべきだと思います。それを政府内の限られた範囲内でこっそりやる一方で、国民に対しては直接的・間接的に心の準備を促す必要もあるでしょう。現実の事態としてその兆候が出始めており、その中国に多数の日本企業が進出し、万単位の邦人が生活しているからです。
TBSの統計ですからねえ。どこまで信用して良いやら。BNNのWebアンケートやってますが、80%近くが賛成のようです。(これも極端。とりあえず継続に入れておきましたが)
http://www.bnn-s.com/gong/multiq.cgi?mode=enquete&number=256
それよりこっちのほうが気になります。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/30pol001.htm
靖国神社の方ではA級戦犯(だけの)分祀は㍉。と以前回答していたと記憶していますが。分祀ねぇ。やるとしたらどうやるんだろ?
現実的な解答に見えてるんですかね。
そもそも、史上初の公式だとか何とか、
いらんパフォで寝た子を起こしやがったのは、
中曽根なわけで。全然自己批判しないどころか、
分祀に反対してる遺族は東條だけとか、公の場で、私人叩きする神経はなんなのか。
大体、A級って中国人民には関係ない人ばっかで、どうみたって、BC級の方が中国人民に与えた
被害は大きいのに、どういう論理で
A級だけで済むという結論に至るんですかね。
B級 - 中位に悪い人 - 部長とか省書記とか解放軍幹部とか
C級 - あんま悪くない人 - 平とか人民解放軍兵士とか紅衛兵とか
位に誤解してるかも。
あ、今思いついたけど毎日朝日って自社の発行誌の定期購読者に対してアンケート取ってたりして(それなら納得いく結果だ)。
A級を分祀すれば、首相が公式参拝しても
苦情が出なくなるなんて、まずあり得ない。
結局、分祀論はその場しのぎの発想でしかなく、
これをやったら、言いがかりカードを共産党にくれてやることになります。
まぁ、今後一切首相が参拝しないんなら、
カードとして使えませんがね。
首相から大臣、幹部、一般議員まで
広がることもありえます。
参拝する大臣・参拝する議員がいる政党とは
会談しない、なんてのもアリ。実際、首相との
会談を拒否してる今の状況は同じようなものです。
「大紀元」日本語版、なぜかデッドリンクになってしまっていますね。次のエントリーでも紹介しましたが、下記URLはその元ネタだと思います(中国語)。
ttp://www.secretchina.com/news/gb/articles/5/5/25/115047.html
少壮とはいえ将官ですから40~50代と思いますが、この文章、多分自分で筆を執ったものではなく、趣旨を伝えて秘書に書かせたものだと思います。その秘書が多分私と同世代(笑)、つまり「六四世代」(六四事件当時の大学生)ではないかと想像します。民主化の必要性の説き方、このままでは世界に取り残されるという危機感、当時の「大字報」(壁新聞)を読み返してみたような懐かしさです。
これが最後にいきなり対日賠償などへ飛躍するところがものすごいパワープレーです。
>その結果中共に取り全くといってよいほど
>論理的な展開が不可能な事態になってしまいます。
同感です。最初は民主化とか政治改革とかを前段で言いすぎたので最後に強引にバランスをとったのかと思いましたが、トップページに飛ぶと「軍部の政治制度民主化改革要求を応援する署名、緊急募集」というタイトルになっていますから無駄ですね。賠償云々は表面上のお題目で、実は胡錦涛失脚(党中央軍事委主席辞任要求)が本命、なのかも知れません。
とりあえず秋開催とされる「五中全会」までが権力闘争ですね。胡錦涛も巻き返してくるでしょうし、熱い夏になりそうです。ただ上でも書きましたが、その過程で「反日デモ」などがまた復活して日本人・日本企業がとばっちりを喰う恐れもあるかと思います。
こういうことにエネルギーを使う分、社会状況(物価上昇+失業+貧富の差+党幹部の汚職)に対して打つべき手は遅れざるを得ません。まさに「死路一条」(破滅へ一直線)。それにしても最近は展開が速いのでついていくのが大変です(笑)。
>他国よりも国内の対抗勢力を意識した外交、軍勢力の台頭やクーデターの怖れ、国民の政府への不信、
>ナショナリズムの高揚、となると、どうしても1930年代の日本を連想してしまいます。
いやホント、ベタすぎる状況です。御指摘の点には「国民の誤った現実認識による増長」も加えていいと思います。最後は八國聯軍状態でしょうか。爆発してバラけて、国連の管理下に置かれたりして。北京五輪……私自身はすでにないものと決めてかかっています。
何だか下手に手を出さず、機をみて軽い燃料投下を繰り返しているうちに勝手に自滅してくれそうな気がします。あ、もちろん中国の話です。
中国・中国人が日本人の日常生活に浸透してくるほど対中嫌悪感が高くなる。多少なりとも中共を知る人なら当然の帰結だというでしょうが、まあ中国人犯罪を蔓延させた中曽根氏の「留学生10万人構想」が実物教育になった感じです。
一方で若い世代がごく自然な愛国心を持つようになっていることも大きいと思います。かねて力説しているところですが、これはサッカー日本代表の功績に帰すべきものです。君が代に始まって試合中は日の丸が振られ、「ニッポン」コールが連呼される。勝ってくれと思わず祈ってしまう。――過去十余年に及ぶそういう「愛国主義教育」(笑)が戦後もっともマトモな若い世代を作り上げる原動力になったと思います。
貿易摩擦、これも中華意識の影響か病的な自尊心&コンプレックスの反映なのか、対米でも対欧州でもとりあえずは強硬な姿勢を中国は示していると思います。少なくとも国民にはそうみせています。もし欧州への対応が以前は柔らかだったのであれば、それは対中武器禁輸解除問題との絡みでしょうか。
対外強硬派といっても紡織品摩擦のような台湾確保と絡まない問題でも強腰を貫くのかどうか、また対外貿易部門までその影響力が浸透しているのかは疑問です。個人的には、今回の事態がEUとの貿易摩擦問題にも影響しているとは考えにくいです。最近の報道でいえば、紡織品に関する中国国内の論調は「譲歩やむなし。これを機に業界のグレードアップを」という方向になりつつあるように思います。
>日本の世論は割れちゃってますから
大半が反対というならともかく、割れているなら断行すべきですね。マスコミの腰は砕けちゃっていますから、あとは小市民がネットで働く番だと思います。
世論調査なんて屁のようなものです。実は秘策があります。ワールドカップ最終予選、次の試合の前にジーコ以下サッカー日本代表が出陣報告に靖国参拝をすれば一発だと思います。前にも書いたことがありますが、そこで頭のよさそうな宮本選手に、
「勝利祈願ではありません。こうやってサッカーを楽しめる平和な国にしてくれた先人への感謝です」
とか言わせればOK。ボンバー中澤や鈴木師匠、それに大黒選手だとちょっと説得力なさそうなので(笑)、ここは宮本選手にビシッと決めてもらいましょう(小野選手でもいいかも)。川淵キャプテン、そういう訳でお膳立てよろしく頼みます(笑)。
>別の意味でT社のクルマは買うなとシナ人の友人に逆日貨排斥をしている始末です。
逆日貨排斥、いいですねえ。「経団連を束ねる奥×は軍国主義の信奉者だった!靖国参拝反対はより大きな陰謀への隠れ蓑。歴史教科書の真の黒幕も奴だ」みたいなデマを反日掲示板にバラまきましょう(笑)。あとは「東突独立運動への資金提供発覚!」とか分離独立ネタで一本釣りしていきますか。
まあ東シナ海ガス田問題の日中協議が物別れになるでしょうから、それで靖国についてもまた数字が変わると思いますよ。
>>傍観さん
>>Unknown(2005-05-30 13:46:55)さん
>>Unknown(2005-05-30 14:38:22)さん
一括レスにて失礼致します。
ABCのどれが中国的に問題かは関係ないでしょう。いずれも罪を得て刑を受け入れた時点で、罪名に対する責任は果たしているのですから。あとは当然ながら日本流の慰霊の仕方を貫けばいいだけです。中国の反応に構う方がおかしいのです。大体あんな基地外国家ですから、
「新事実!靖国神社にはB級戦犯も祭られていた!」
とか言い出しそうな気がしますけど(笑)。ええ、もちろんその次はC級戦犯です。
>そもそも、史上初の公式だとか何とか、いらんパフォで寝た子を起こしやがったのは、中曽根なわけで。
同感です。あとは御注進メディアが中共の軍師を務めているというのも何とかしてほしいですね。
それにしても、どうせ暴言とか騒がれるなら、「A級戦犯というのはつまり、中国人民を塗炭の苦しみに陥れた毛沢東や誤った歴史認識の浸透に力を入れた江沢民みたいなもので……」というところまで弾けてほしかったです(笑)。
>>Unknown(2005-05-30 14:36:57)さん
>参拝してはいけない人間が、首相から大臣、幹部、一般議員まで広がることもありえます。
いや、これはあり得るとかではなく胡錦涛が先の自公幹事長との会談で実際にそう言っているのです。
「日本の政界は靖国神社への参拝を停止しなければならない」
と、胡錦涛が靖国に言及したことを報じた中国語媒体は、中国国内・海外を問わず、全てこのコメントを引用しています。「政界」ですからもちろん一般議員まで例外なく含まれます。なぜこれを日本のマスコミが問題にしないのか不思議です。
>そうなんです。「本当に歴史が動いている」とい
>うのは私が眺めていても実感するところです。5
>月だけを捉えても大きな変化があった訳ですが、
>年初以来の動き、というか中国の揺れっぷりも想
>像を上回るものでした。
結局、2+2が原因でしょう。支那に触れ伏す蛮国がいきなり自己主張し始めたので、怒っているんでしょうが、戦略性が無さ過ぎですね。日本といい勝負かも知れません(笑。
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