日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)




 また~?なんて言わないで下さい。またなんです、農民暴動。
 今回の舞台は広東省掲陽市。不当な橋の通行料徴収をめぐって農民が騒ぎ、数万の野次馬も加勢して事態は拡大し云々……。つい四日前(十一月十日)の出来事です。

 本来、広東省といえば重慶暴動や漢源暴動の四川省と違って、沿海部に位置する豊かな地域。――の筈なんですが、調べてみるとこの掲陽市、叩けばいくらでもホコリの出る札付きでして、かねてより役人や警察の汚職が横行、民衆とのトラブルが頻発していたようです。
 そうして以前から積もり積もっていた市民の怒りが、とうとう今回の事件で爆発したような形です。

 本来なら漢源暴動のまとめを先にやるべきところですが、つい記事を翻訳してしまったのでこちらを先に紹介させて下さい。今回はもう読めば全てがわかるというような内容ですので、特に注釈をつけるところも行間を読むところもありません。

 ひとつだけ言うなら、金持ちとされる沿海諸省も、貧困地域を多く抱える内陸各省も、役人のやることはみんな同じで、苛められているのはどちらも農民、代々耕してきた田畑から無理矢理引き剥がされて、生活の糧を失って、追い詰められて……という印象です。


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広東省掲陽市で暴動、建物や消防車など全焼
2004/11/14/02:46(大紀元)
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 【大紀元十一月十四日電/趙子法記者】広東省掲陽市にかかる榕華大橋の料金所が十一月十日夜、付近の村民約一千人に焼き打ちされ全焼した。その後、現場を取り巻いていた野次馬二~三万人も騒ぎに加わり、料金所の建物を破壊、また自動車と駆け付けた消防車2台が全焼した。地元の人の話によると、この衝突で村民の子供二名が消防車にひかれて死亡し、老人一名が負傷、その他多くの村民が病院への入院を余儀無くされたという。一方、群衆を押しのけて現場に入ろうと消防車を運転した消防士が怒りに燃えた群衆からめった打ちにされた。地元民の話を総合すると、現時点までに少なくとも数十人が当局に逮捕されている。地元メディアの報道によれば「消防士七名が負傷」また「群衆に死者一名、入院を要した負傷者一名」、さらに五人が治安当局に拘留された。


■住民「野次馬は二~三万人」

 榕華大橋は掲陽市榕城区と仙橋鎮を結んでおり、地元民の話によると、村民は何年も前から料金所で通行料を徴収されるのが不満で、何度かこれにつき抗議を申し入れていた。通行料はオートバイ一台で二元、橋を渡って市街地に買い物に行き戻ってくるだけで四元を払わなければならないことになる。料金所の職員は受け取った通行料を傍らの大きな編みかごに投げ入れるだけで、領収書を出してはくれない。このため地元村民は、これまでに徴収した通行料の合計金額や、そのカネが誰の懐に入るのかということに疑問を持つようになっていた。
 地元民によると、規定に照らせばこの料金所は二〇〇四年十月末日を以て通行料の徴収を停止し、料金所も撤去されることになっていた。ところがその期限をすぎてもまだ通行料の徴収が行われ、十一月十日、これを不満に思ったある女性が料金所職員と口喧嘩になり、女性が職員に殴られるという事件が起きた。この出来事を知った仙橋鎮付近の村民一千人余りが料金所に押しかけ、運んできた大きな容器四個に入っていたガソリン計二千八百斤(訳者註:てことは千四百キロ?いやまさか)を料金所にぶちまけて火をつけ、料金所と関連の建物及び車一台を全焼また全壊させた。
 目撃者によると、その火勢たるや天に火柱が立つような激しい燃え方で、掲陽市内からも肉眼で火災を確認できたという。このときにはもう野次馬二~三万人が現場を取り巻いており、道路や橋のたもとまで人であふれているような状態。そこに消防車四台が駆け付けたものの、村民が行く手を遮って消火活動をさせまいとし、業を煮やした消防車が無理に群衆を押しのけて進もうとした際、子供二名がひき殺され、老人一名が負傷した。これに憤激した群衆は消防士を車から引きずり出すと袋叩きにし、また消防車二台も火をつけられて全焼し、破壊されたらしい。
 この騒ぎに、掲陽市は警察官多数と武装警察数百名を出動させた。だが群衆の一人によると、
「あいつら警察はこっちの人数が余りに多いんで手を出しかねていた。道路まで人であふれていたから奴らの車も入ってこれないし。警察車両に乗っていた武警も燃えているのをただ指をくわえて見ているしかなかった。全くいい気味だったよ!」
 と意気軒高。別の地元民の話では、
「あのときは延焼で橋自体も真っ黒に焼けただれていた。いまは赤く塗り替えられているけどね。料金所は撤去されたよ」
 とのこと。
 目下掲陽市政府は警官及び武警を動員した24時間態勢で、暴動が起きたときに即対処できるよう厳しい警戒を続けているという。また広東省内の武警も同市に駆け付けてきているらしい。


■当局発表は「ごく小さな騒ぎ」

 事件後、現場には多くの記者が集まって写真をとるなど取材活動を行ったが、当局は十日、村民千名と取り巻き二~三万人が参加したこの暴動を、
「故意に煽った者がいたことで群衆の一部が騒ぎ、……それを数百名の野次馬が取り巻いていた」
 と、本来の状況よりかなり小規模な騒ぎとして発表。地元メディアを通じてこの公式発表が報じられたが、記者たちが写した事件直後の写真は一切掲載されなかった。
 地元の御用新聞である『掲陽日報』はこう報じている。
「事件当夜(十一月十日)九時ごろ、榕城区榕華大橋の料金所において、料金所職員と橋を渡ろうとする群衆が通行料の徴収をめぐってトラブルとなり、この機に乗じた何人かの不法分子が故意に煽ることで騒ぎに発展、料金所と関連の建物が全焼し、貴重品等が持ち去られた。事情のわからぬまま駆け付けた市民は、現場を取り巻く形でこうした不法行為を眺めていた」
「知らせを受けた消防隊が現場に急行したが、消防車二台が消火活動に入ろうとしたとき、不法分子が状況を飲み込んでいない取り巻きの市民を煽動、これによって消防車は破壊され、消防士は殴らるなどして七名が負傷した。この混乱のなか、消防車一台がゆっくりと車をバックさせたときに市民二人を巻き込んでしまい、うち一名については救命活動もむなしく死亡が確認され、残る一名は負傷により入院措置がとられた」
「騒動は夜十一時四十分になってようやく終息した」
 一方、『汕頭市報』の特約記者による報道は内容がやや異なるが、騒ぎを小規模としている点は同じだ。
「事件当夜、現場に駆け付けた記者は天を衝くような炎を上げて燃えさかる榕華大橋の料金所を見た。鉄製の欄干やコンクリート造りの建物は跡形もなく破壊され、警察車両がサイレンを鳴らして駆け付けてくる。サイレンの音は午前一時すぎまで止むことがなく、自然と集まった数百人の市民が現場を取り巻いていた」


■はびこる警官・役人の横暴 市民の怒りついに爆発か

 掲陽市民によれば、同市は以前から警官の横暴がまかり通り、治安は極めて悪く、毎日のように強盗事件が発生していたという。一方では市政府、鎮政府、村政府のそれぞれで結託した役人たちによる汚職が横行し、多くの農民が土地収用の名の下に農地を奪われ、これまでにも暴動や政府庁舎に群衆が押し掛けるなどの事件が頻発していたらしい。
 掲陽市桂●村(音訳。●は金へんに者)では、土地を失った村民たちの代表が陳情に出かけるたび殴打された。今年二月三日には、役人が警備員に一人当り二百元を支給し、「鳥インフルエンザ撲滅」の名目で同村に押し入らせて陳情活動の代表者だった林培光氏らやその家族を拘束。また七月六日、村民十数人が陳情に赴くと、省民政庁の入口で待ち伏せていた村政府及び鎮政府の役人たちに拘束され、激しい暴行を加えられたが、これによって六十六歳の老人がその場で死亡するという事件になった。これを聞いた二千~三千名に上る地元民が村を総出で役場へ押しかけ、その場にいた役人数名を捕えたうえ、政府との交渉を行い、役人と交換する形で拘束されていた陳情代表者たちを取り戻した。
 この事態に掲陽市は防暴警察(機動隊)四千名余りを出動させ、警察車両約百台で村の出入り口を全て封鎖。隊列を組んでゆっくりと間合いを詰めてくる防暴警察に対し、村民は女子供をかばう形で老人が前面に立ち対峙する形となった。目撃者によれば、「あのときは、警察が一歩前に出ると、村民が一歩退くという感じだった」というが、この日は村民十数名が逮捕された。
 同村に住む林氏は、
「いまは世の中真っ暗で、何もいいことなんてありゃしないよ。市政府と村・鎮の役人が結託して土地の強制収用を進めて、九百五十ムーあった良田のうち、六百ムーまでが少しばかりの補償金と引き換えに持っていかれちまった。奴らは今でもそういう事をやっているよ。役人同士で悪事をうまいことかばい合って、こっちが実情を訴えに行くと逮捕されちまう」
 今年九月に中央政府の高官である羅幹・党中央政治局常務委員が掲陽市を視察で訪れた際は、異様な光景が出現した。羅氏の乗る車を掲陽市民が取り囲んで四十分も足留めさせ、道路の両側には跪いて口々に苦境を訴える民衆が居並び、中にはプラカードを掲げて「インターナショナル」を歌う者もいたという。
 十月中旬、地元役人が土地売却などの汚職で数百万元を横領したことにより、掲陽市の川向こうである梅●村(音訳、●は不明)の村民と土地を購入した開発業者約百名が衝突。開発業者は多数の農民に傷を負わせて現場から素早く逃走し、農民側には入院者が八名出た。これに憤激した村民約一万人が開発業者のトラクターなどに放火、破壊するなどの騒ぎとなった。地元の派出所は村民と開発業者の衝突を事件として扱うことを拒んだため、興奮した一部の村民が派出所に押しかける一幕もあった。ある地元住民の話では、もし開発業者がああも素早く逃げていなかったら、村民は橋を封鎖して村からの逃げ道を塞ぎ、村民に怪我をさせた者を残らず捕まえて殺人沙汰に発展していただろう、ということだった。
 また十月下旬には、老山の前線(雲南省)で中越戦争を戦った退役軍人六~七百名が、整然と隊列を組んで市政府へ陳情に訪れたが、その数日後、代表者は逮捕され、現在に至るまで拘留されたままとなっている。(完)

 記事原文
 http://www.epochtimes.com/gb/4/11/14/n717170.htm


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 以上です。お目汚し失礼しました。
 なお当局発表については下記を御参照下さい(中国語ですけど)。

 ●『掲陽日報』
 http://www.southcn.com/news/dishi/jieyang/shehui/200411120391.htm
 ●『汕頭日報』
 http://www.stcd.com.cn/dsb/20041112/gb/dsb%5E1930%5E6%5EDs120005.htm


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