日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)




 9月の四中全会で江沢民が政治の第一線から引き下がり、名実共にした胡錦涛政権が成立した訳ですが、この新政権になってから政策が大きく変わったもののひとつに、反日度のレベルダウンがあります(反日をやめたとか、親日に転じたという訳ではありません。念のため)。
 具体的には、ネットにおける反日言論やマスコミの無用な反日報道を抑制するというもので、そういう内部通達が関係各部門に回ったのだと思いますが、内部文書だけに私たちが目にすることは不可能です。

 ただ、『読売新聞』(2004/10/03)が先月に、また最近では『毎日新聞』(2004/11/09)が報じたように、メディア監督部門の責任者がそれを示唆あるいは明言しています。

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 これを機に、いわゆる反日サイトや天下国家を語る板(反日基調)において、反日言論が激減しました。

「根拠のない反日言論、罵倒だけの反日は即削除」

 とするよう各掲示板にお達しがあったようで、それだけで反日スレが激減するというのは、これまで反日信者である糞青が、いかにマトモな反日スレを立ててこなかったことの証左といえるでしょう。

 で、前にも書いたように(※1)、自称愛国者の癖に中国社会の病弊には見て見ぬふりをし(本当に見えていないのかも知れませんが)、反日叩きを専らとしていた糞青に、小さな変化が生まれつつあります。元々ちゃんとした「反日」さえ立論できなかった連中が、反日のお預けを喰らって、ようやく自分の社会に目を向け始めたということです。
 ええ、もちろんごくわずかな変化でしかありませんが、統治者にとっては面倒なことでしょう。ですから最近、ネット統制がより強化されている訳です。まずは基点潰しということで、ネットカフェ取り締まりに力が入れられています。強制閉鎖された反日サイトもあります。

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 以上はネット世論の話ですが、マスコミにも無用な反日報道はやめろとのお達しが届いている訳です(※2)。

 中国のマスコミの内情には詳しくありませんが、常識的に考えて、第一線に飛び出して記事を書く記者というのは、20代半ばぐらいから30歳ぐらいが主力でしょう。25歳なら15年前は10歳。30歳でも15歳です。――あ、天安門事件(六四)のときの年齢のことです。

 要するに、システムとして反日教育なり反日キャンペーンなりが実施された時期に育った「江沢民チルドレン」(私は「亡国の世代」と呼んでいますが)がマスコミの最前線にいる訳です。

 ウズウズしていると思うんですよ。反日記事が書きたくて。それが止められているし、新聞・雑誌などの紙媒体はネットと違って紙面に掲載されるまでにいくつもの関所をくぐらないといけませんから、書いたとしてもどこかで没にされてしまう。

 フラストレーション、たまっていると思うんです。

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 例えば最近、日本人観光客(57)が中国で事件を起こしました。あっまた「団塊の世代」かよ――なんて言ってはいけません(笑)。さてこの男性、中国国内の報道によると、酒に酔ってホテルに戻った後、今度は窓から屋根へと登り始め、ついにてっぺんまで行くとそこで何やら喚き出したそうです。うるさくもあり、危険でもあります。みんなで口々に降りるよう言うのですが、そこは酔っ払いだけに言うことなんか聞きやしません。
 そこである中国人が屋根に上がって彼を連れ戻そうとしたのですが、例の男性、今度はその中国人に蹴りを2発。これが見事に決まって、中国人がアイヤーと言ったかどうかは知りませんが、転落、重傷、病院で死亡です。

 その初審が最近ありまして、被告の日本人は「故意傷害」罪で懲役12年の実刑判決です。
 http://news.sohu.com/20041112/n222959070.shtml

 日本なら過失致傷ではないかと思いますし、12年は重すぎるようでもあります。被告人は控訴するようですが、上に書いた事件経過が事実であれば、こういうのは死刑でも構いませんね。

 で、この事件と事件後の裁判、どう報道されたかというと、特に目立つ扱いも受けず、他の中国人の犯罪案件と並んでごく普通に報じられました。淡々とした感じです。その気があれば日本における酔漢の犯罪、中国に来る日本人観光客のマナーの悪かった事例、そして集団売春と特集のひとつくらい組めそうですが、そうならなかったのはお達しがあったからでしょう。

 若手記者、フラストレーションがたまっていると思うんです。で、ここからは私の神経過敏かも知れませんが、次のような記事が出てきます(あ、ようやく前フリが終わりましたね)。

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 ●北京一狂本田連撞5人 司机棄車逃逸尚未帰案
 http://news.sohu.com/20041102/n222795763.shtml

 11月1日の朝、北京でわずか6kmの間に5人を轢いた上逃走するという悪質なひき逃げ事件が発生し、犯人は車(ホンダ製)を捨てて逐電。指名手配されましたが、その後どうなったかは知りません。で、その事件に中国新聞網(華僑向けの通信社・中国新聞社のニュースサイト)がつけたタイトルが、上記のものです。
 犯人は車を乗り捨てて逃走しているので、ホンダかどうかなんて全く関係ないと思うのです。字数が制限されるタイトルなのだから、もっといい書き方がある筈です。――と思っていたら、地元紙『北京晨報』は下記のような見出しです。

 ●北京一狂司机6公里連撞5人 車主搶鑰匙被推開
 http://news.sohu.com/20041102/n222812723.shtml

 これが普通の報道というものでしょう。わざわざホンダを見出しに持ってくるところに、記者の鬱屈した感情をみてとるのは……やっぱり私の考え過ぎかも知れませんね。
 まだあります。

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 ●北京一肇事司机抜槍恐嚇受害人 為日産気槍
 http://news.sohu.com/20041102/n222793752.shtml

 これも交通事故ですね。車で人をひいた犯人が、被害者に銃を抜いてみせて脅した、というもので、その銃が「日本製空気銃」だった、というものです。「日産」(日本製)をタイトルに加えた意図が奈辺にあるのか、知りたいものです。ちなみにこれは『北京娯楽信報』。

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 最後に、謎めいた文章を。タイトルは適当に訳したので雑です。

●雅趣があり礼節もある日本人の酒 「乾杯」のかけ声は飲み干す意味に非ず
http://news.sohu.com/20041119/n223075701.shtml

 これは『人民日報』の文章が一昨日、捜狐に転載されたのを拾ったものです。研修で東京に行った作者が日本人と酒のかかわり合いを紹介するという一件紀行文風で、日本や日本人をくさすところもないのですが、最後までその調子でいったかと思うと、ラスト1行で唐突に、

「日本人は酒を愛するが、政治の場であれビジネスの場であれ、日本人が間抜けなことをやらかしたことはない」

 と言い捨てて終わるのです。どうもこの一行が書きたくて延々と日本の酒文化礼讃を書いたようでもあります。
 これには当の中国人も判断がつきかねているらしく、記事付属の掲示板では「日本文化の礼讃者だ」という者もあれば、結語を捉えて「その通りだ。日本人には決して油断してはならない」という者もいました。

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 深読みしすぎかも知れませんが、私自身はこれらの事例、フラストレーションのたまった反日記者が鬱憤を散じているものだと思うのです。如何でしょうか?
 重要なことを付言しますと、一昨日あたりから、無用な反日報道ではないのですが、反日に偏してバランスを欠いた記事がマスコミに出始めています。気になる兆候です。


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 【※1】「『日本叩き』に当局が圧力、メディアに加え反日サイトにも(上)」(2004/10/16)
     「漂う糞青に変化?盗んだバイクで走り出せ!」(2004/10/17)
     「副作用」(2004/10/24)
 【※2】「『日本叩き』に当局が圧力、メディアに加え反日サイトにも(下)」(2004/10/16)
     「踏ん張る胡錦涛、『反日』抑制は続行中?」(2004/10/22)
     「抵抗勢力」(2004/10/23)



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