設備費補助に3億円計上
横浜市は2017年度の新規事業として、国の補助金を活用しながら障害者施設と高齢者施設に防犯設備費の助成を行う。昨年7月、津久井やまゆり園で発生した多数の死傷者を出した事件を受けたもので、これにより、入居者の安全確保を進めていきたい考えだ。
やまゆり園事件受け対応
津久井やまゆり園に元職員の男が侵入し、死者19人、負傷者27人を出したこの事件。事態を深刻に捉えた国は急きょ、昨秋の第2次補正予算で障害者・高齢者施設に、防犯設備費補助を行っている。
今回の市の新事業は、国が17年度予算でも同様の補助を進めることを受け、実施されるもの。市内の障害者施設に1億4759万円、高齢者施設に1億5480万円補助費として計上している。障害者施設は費用の半分を国、残りは市と事業者が持ち、特養などの高齢者施設は国が1施設90万円を上限に補助する。
対象は、障害者・高齢者施設共に防犯カメラや非常通報装置などハード面に限定。整備を希望する事業者が市に申請を行い、国が認めると、助成を受けられる。
市が行っていた設備費補助を希望する、障害者施設運営事業者の募集はこの3月に終了。一方、高齢者施設運営事業者には、昨年、補助申請に関するアンケートを実施。結果、市内に1029ある施設のうち、172施設から手があがっているという。
健康福祉局障害支援課の君和田健課長は「費用面で防犯設備導入を見送ってきた施設には朗報と思う。一方事業者は施設を閉鎖的にしたくない思いがある。そのバランスが課題」と話している。
「安心感与えたい」
今回の新事業を前に緊急的に、国の第2次補正予算を活用し、防犯設備の導入を行った障害者施設が市内に3つある。その内の1つが泉区の身体障害者支援施設「よこはまリバーサイド泉」。やまゆり園事件後、泉警察署と対応を協議するなかで、神奈川県防犯セキュリティ協会を紹介され、アドバイスを受けながら防犯カメラ15基などを設置した。中村良隆施設長は「安心感をもってもらうために、補助は役立った」とする。
新年度予算で申請を予定している、戸塚区の特別養護老人ホーム松みどりホームの小倉徹理事長も「防犯カメラの台数を増やし安全性をより高めたい」と語る。
今回の市の取り組みを神奈川県防犯セキュリティ協会の牛山鴻位事務局長は、「意義はある。今後も緊急時の対応の精度を高めていく必要がある」と話す。
2017年3月30日 タウンニュース