◇聴覚障害者の祭典に初出場
「差別なくすため頑張る」 スロバキアで来月開かれる聴覚障害者の国際的な祭典、冬季デフリンピック(ハイタトラス2011デフリンピック)に日光市の手塚久野さん(33)がアルペンスノーボードで初出場する。勤務先のグラクソ・スミスクライン(本社・東京都渋谷区)も全面的にバックアップ。「優勝したい気持ちはあるが、落ち着いてやりたい」と抱負を語った。【浅見茂晴】
手塚さんは4歳でスキーを始め、24歳でスノーボードと出合った。友人に誘われたことがきっかけだったが、「嫌な気持ちを忘れさせてくれるくらいスピードが出るのが面白い」と、のめり込み、「みんなと平等になりたい、強くなりたい」と思った。フリースタイルから4年後にはアルペンに転向し、デフリンピックへの夢も芽生えたという。
普段は、陸上トレーニングやジムで汗を流す他、トリノ五輪日本代表チームコーチの小嶋久幸さんに師事していることやゲレンデで衝突を避けるため主に、スキーヤーやスノーボーダーが比較的少ない北海道で練習している。また、海外にも出かけ、昨年8月もニュージーランドで技に磨きを掛けた。
昨年イタリアで開かれたヨーロッパデフカップ国際選手権では、大回転で銅メダルを獲得。全国ろうあ者冬季体育大会では回転で金、大回転で銀メダルだった。国際スキー連盟(FIS)の大会に健常者と一緒に出場したり、国内大会にも積極的に参加したことが評価され、代表の座を獲得。今回、2人同時にスタートするパラレル大回転に出場する。
手塚さんは同社今市工場(日光市土沢)で資材や原料などの在庫管理を担当。会社の支援に「うれしいと同時に、サポートを受けて頑張る気持ちがわいて、責任を感じる」と表情を引き締める。会社も昨年から有給休暇とは別に特別休暇を導入し、練習や活動をバックアップ。社員の一体感醸成のため、会社と社員で合わせて200万円を目標に寄付を募っている。
オリンピックやパラリンピックに比べて、デフリンピックの知名度は低い。「差別をなくすためにも、テレビ放映をしてほしい」と訴える。他の障害者に対して「つらい気持ちを乗り越えられるようになってほしい」とエールを送り、「差別をなくすためにも頑張ります」と決意を披露した。長野や群馬で最終調整した後、スロバキアに向けて出発、20日の本番に備える。母親と妹家族が応援に駆け付けるという。
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■ことば
◇第17回冬季デフリンピック 2月18日~26日、スロバキアのヴィソケ・タトラ市で開かれ、25カ国・地域の707人がアルペンスキーとクロスカントリー、スノーボード、カーリング、アイスホッケーの5競技に出場する。日本選手団は52人。
毎日新聞 2011年1月18日 地方版
「差別なくすため頑張る」 スロバキアで来月開かれる聴覚障害者の国際的な祭典、冬季デフリンピック(ハイタトラス2011デフリンピック)に日光市の手塚久野さん(33)がアルペンスノーボードで初出場する。勤務先のグラクソ・スミスクライン(本社・東京都渋谷区)も全面的にバックアップ。「優勝したい気持ちはあるが、落ち着いてやりたい」と抱負を語った。【浅見茂晴】
手塚さんは4歳でスキーを始め、24歳でスノーボードと出合った。友人に誘われたことがきっかけだったが、「嫌な気持ちを忘れさせてくれるくらいスピードが出るのが面白い」と、のめり込み、「みんなと平等になりたい、強くなりたい」と思った。フリースタイルから4年後にはアルペンに転向し、デフリンピックへの夢も芽生えたという。
普段は、陸上トレーニングやジムで汗を流す他、トリノ五輪日本代表チームコーチの小嶋久幸さんに師事していることやゲレンデで衝突を避けるため主に、スキーヤーやスノーボーダーが比較的少ない北海道で練習している。また、海外にも出かけ、昨年8月もニュージーランドで技に磨きを掛けた。
昨年イタリアで開かれたヨーロッパデフカップ国際選手権では、大回転で銅メダルを獲得。全国ろうあ者冬季体育大会では回転で金、大回転で銀メダルだった。国際スキー連盟(FIS)の大会に健常者と一緒に出場したり、国内大会にも積極的に参加したことが評価され、代表の座を獲得。今回、2人同時にスタートするパラレル大回転に出場する。
手塚さんは同社今市工場(日光市土沢)で資材や原料などの在庫管理を担当。会社の支援に「うれしいと同時に、サポートを受けて頑張る気持ちがわいて、責任を感じる」と表情を引き締める。会社も昨年から有給休暇とは別に特別休暇を導入し、練習や活動をバックアップ。社員の一体感醸成のため、会社と社員で合わせて200万円を目標に寄付を募っている。
オリンピックやパラリンピックに比べて、デフリンピックの知名度は低い。「差別をなくすためにも、テレビ放映をしてほしい」と訴える。他の障害者に対して「つらい気持ちを乗り越えられるようになってほしい」とエールを送り、「差別をなくすためにも頑張ります」と決意を披露した。長野や群馬で最終調整した後、スロバキアに向けて出発、20日の本番に備える。母親と妹家族が応援に駆け付けるという。
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■ことば
◇第17回冬季デフリンピック 2月18日~26日、スロバキアのヴィソケ・タトラ市で開かれ、25カ国・地域の707人がアルペンスキーとクロスカントリー、スノーボード、カーリング、アイスホッケーの5競技に出場する。日本選手団は52人。
毎日新聞 2011年1月18日 地方版
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