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ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

守ろう子どもたち:定時制高校統廃合/4止 障害者の学びの場にも /埼玉

2008年10月25日 01時55分39秒 | 障害者の自立
◇支援なく、現場に戸惑い
 松山定時制1年の篠田結花さん(15)と母三千代さん(40)は、車に結花さんの車椅子を積み、毎日午後5時ごろに吉見町の自宅を出て学校に向かう。教室につくと、クラスメートが駆け寄り、車椅子の背にぶら下げられたリュックサックから教科書や筆記用具を取り出し、机に並べてくれる。

 結花さんは先天性の脳性まひ。歩くことができず、知的障害もある。右手は自分で動かせず、左手もコップ程度の重さの物しか持てない。休み時間、車椅子を押して結花さんと一緒に教室を移動する同級生の岡野沙織さん(16)は「車椅子を押すのも机に筆記用具を並べるのも日常生活の一部。結花は冗談も言うし、面白い子ですよ」と笑う。

 「養護学校で手厚く保護されながら成長するよりも、たとえ差別されても、普通の子供と同じように世間の風を受けながら育てたい」。三千代さんと夫の会社員、栄一さん(40)の思いから、保育園からずっと普通学級に通ってきた。中学卒業時も担任には養護学校進学を薦められたが、「近くて学校の雰囲気もいい」と松山定時制を選んだ。体育を見学する以外は他の生徒と同じように授業を受けている。

 結花さんは「勉強するのが楽しい。パソコンが得意だから将来は事務の仕事がしたい」とはにかむ。「定時制の生徒は家庭環境が複雑だったり不登校を経験していたりして、人の痛みがわかる子ばかり。通わせてよかった」と栄一さんと三千代さんは話す。

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 現場の教師たちは「定時制は定員割れで入学しやすいため、さまざまな障害を持つ生徒が比較的多く入学する」と口をそろえる。

 しかし、障害がある生徒を担当する県教委の県特別支援教育課と高校教育指導課は「小中学校や養護学校の支援が中心で、高校にまで手が回っていない」と話し、生徒への対応は現場次第になっている。

 重度の知的障害を持つ男子生徒が在籍する県西部の定時制の教頭は、「養護学校のような支援体制がなく、何をどう教えていいのかわからない」と戸惑いを隠さない。

 この生徒はあいさつ程度しか話せず、簡単な計算もできない。授業中は教科書を眺めていることが多く、総合学習の時間中は算数の幼児向けドリルや平仮名の書き取り練習をする。教頭は「例えば540円の品物を買うにはお札が1枚必要だという程度でもいい。少しでも生活に役立つことを学ばせたい気持ちはあるのだが……」と話す。教頭は「現場の教師の負担を重くできない」と、授業中は校長や保護者と交代で生徒に付き添う。

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 定時制の生徒、教員で作る「定通教育をよくする会」は29日、統廃合計画の見直しや教科書と給食費への補助継続を求め、県教委と話し合いの場を持つ。しかし県教委は23日、13年度までに31校ある定時制を23校程度に削減すると発表した。

 岩川直樹・埼玉大教授(教育学)は「不登校や障害などで社会や学校から阻害されても、定時制を経て再び社会に巣立っていく生徒は多い。格差や貧困が深刻化する中で、定時制の存在意義は小さくない」と指摘する。【弘田恭子】=おわり

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