移動式ベッドに横たわったまま目の動きでパソコンを操作。動かせるのは親指の先だけ--。「寝たきり社長」と称し、インターネットなどで売り上げや知名度を上げてきた名刺製作会社「仙拓」(愛知県東海市)の佐藤仙務社長(26)。「障害者が働きやすい社会へ、情報格差をなくすことも自分の仕事」と、ビジネス以外にも活動範囲を広げる。
乳幼児期から小児期に10万人に1~2人が発症するとされ、徐々に筋力が低下する脊髄(せきずい)性筋萎縮症という難病を患い、常にヘルパーが付き添う。
起業は19歳だった2011年4月。愛知県の特別支援学校を卒業後、就職活動もしたが働きたい会社が見つからず、同じ病気を持つ幼なじみの松元拓也さん(28)と2人で同社を設立した。
指先だけで操作できるよう改良したマウスを駆使してメールなどで手当たり次第に営業メッセージを送信するうち、地元メディアに取り上げられ、寝たきり社長として注目されるように。材質やデザインにこだわった名刺は年間約1000件を受注、会社は重度障害者3人を含む5人の社員を雇うほどに成長した。
17年からパソコンの視線入力システムを使い始めると「作業スピードが10倍になった」と効果を実感。椙山女学園大(名古屋市)の障害者支援サークルの学生らと特別支援学校や病院に出向き、障害のある子どもたちに視線入力などの情報通信技術(ICT)の有用性を伝える活動を始めた。
「障害があると仕事以前にいろいろなことを諦めてしまう。体の不自由を補える手段があることを子どもたちに知ってほしい」と佐藤さん。寝たきり社長の挑戦は続く。(共同)
移動式ベッドに横たわり、パソコンを操作する「仙拓」の佐藤仙務社長
毎日新聞 2018年1月9日
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