「県の総括と謝罪求める」 神戸 /兵庫
旧優生保護法に関連し、県が先駆けて展開した「不幸な子どもの生まれない運動」(1966~74年)や背景にある優生思想を考える集会が30日、神戸市中央区橘通3の市障害者福祉センターで開かれた。障害者や研究者らでつくる市民団体が主催し、135人が参加。「今も続く『障害者は不幸だ』との価値観を問い続けなければいけない」との声が相次いだ。
運動は障害児を「不幸な子ども」とし、その「出生予防」のための施策を推進。精神障害者らへの強制不妊手術や、羊水検査の県費負担を実施した。
集会では、大阪教育大非常勤講師の松永真純さん(43)が運動の概要を説明した。施策立案に主導的な役割を果たした医師が記した「国家社会の負担を減らし、個人の責任あらざる不幸を除くために、異常児の生まれない施策もやるべき」という文章を紹介。施策を進めた対策室は障害者の抗議を受けて廃止されたが「障害者が(不幸とされることに)『違う』という声を上げたことが重要だった」と指摘した。
また「優生手術に対する謝罪を求める会」の利光恵子さん(64)は「優生保護法がなくなって20年以上。ようやく被害者の人権回復が始まろうとしている。行政と福祉、医療、教育が一体となって強制不妊手術が進められた仕組みの全容を明らかにする必要がある」と強調した。
運動をめぐっては、県立こども病院(神戸市)が2016年に発行した記念誌で「ユニークな県民運動」と記載。昨年秋、県は病院のホームページから記述を削除したが、市民団体の「運動の歴史的経緯を明らかにすべき」との要求には応じていない。
集会の最後では、県に対し運動を検証したのか明らかにすることや、主催団体などと話し合いの場を要求するアピール文を採択した。「神経筋疾患ネットワーク」の石地かおるさん(50)は「出生前診断が広がる今、暴力的な思想を根付かせた県の罪は大きい。総括と公の謝罪を求めたい」と話した。
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