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ゴエモンのつぶやき

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難病患者「法の谷間」で就労進まず 障害者と異なり法定雇用対象外

2012年05月24日 02時10分58秒 | 障害者の自立
 長期にわたり生活に支障を来す原因不明の難病。治療法が進歩し、患者側の勤労ニーズは高まっているものの、法律で企業などへの雇用が義務付けられている障害者と異なり、就労支援はほとんど進んでいない。難病に対する理解も得られず「法の谷間」で苦悩する患者たちの姿が浮かび上がる。(小島茂生)

 ■全く変わらない

 福井県勝山市の男性(51)は38歳のとき、多様な神経症状が出る多発性硬化症を発病し、勤めていた会社を自ら退職した。握力低下などの症状が現れ、会社の配慮で営業職から内勤に異動して間もなくのことだ。

 辞めた理由を「自分ではまだ一線でやれるという思いと現実との間で、精神的にも不安定になっていたのだろう」と振り返る。現在は1年契約の事務職に就き「営業は無理でも、辞めていなければ今でも前の会社でやっていけたと思う」と話す。

 福井市内の女性は、血便や下痢の症状が出る潰瘍(かいよう)性大腸炎の中学生の息子を持つ。「病気を知った人からは必ず『大変ね』と言われるが、普段は運動も食事もほかの子と全く変わらない」という。

 3年ほど症状は落ち着いているが年に1、2度、体調を崩し学校を休むことがある。「福利厚生面がしっかりした職業に就いてもらいたいけれど、難病と分かっていて採用してくれる会社がどのくらいあるのか」と将来への不安を口にする。

 ■採用尻込み

 国が指定している難病130疾患のうち、医療費の公費助成が受けられるのは56の特定疾患。県によると、この56疾患の県内患者数は、2012年3月末時点で4830人に上る。

 このうち入院や施設に入所している患者はわずか1割。3割程度は就労しているが、4人に1人は、通院時間の確保など、職場の一定の配慮があれば十分働けるにもかかわらず、就労に至っていないのが現状という。

 腸疾患が専門の県済生会病院の宗本義則外科部長は「難病といってもいろいろな種類があり一概には言えないが、重症で就労は不可能という間違ったイメージが今も広く残っている」と残念がる。治療法の進歩によって、働ける人が増え、多くの難病者が健常者と同じように生活していると説明する。

 一方で福井市内の製造業の人事担当者は「厳しい経済状況で採用数自体を減らしている。難病と分かっていて採用するのは難しい」と言う。「分かった上で採用したのなら、その人に合わせた環境整備は少なからず必要。難病と聞いただけで尻込みしてしまう」と本音を漏らす。

 ■大きなハンディ

 障害者雇用促進法は、企業に1・8%の障害者雇用率を課している。しかし、難病患者は疾患によって就労上問題があったとしても疾患自体は障害ではない。このため障害者手帳を持っているのは県内の特定疾患患者全体の4分の1にすぎない。

 ハローワーク福井の専門援助部門の新清(しんせい)誠さんは「手帳がないことが就職の大きなハンディになっている。企業が消極的になるだけでなく、患者自身もマイナス要因としてとらえてしまう」と指摘する。病気を隠して就職した後に症状が悪化し、復職が十分可能であっても、入院などを機に退職に追い込まれるケースがあるという。

 県内の難病患者の医療費受給者は年250人ペースで増えている。宗本医師は「今後さらに大きな社会問題として顕在化していくことが予想される。国の支援拡大とともに、本人の意欲や職業能力を正当に評価し、社会全体が理解を深める必要がある」と訴えた。

中国新聞 - (2012年5月23日午後7時42分)


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