県内の機能訓練等サービスのあり方や県立リハビリテーションセンターの役割等について検討を行うため,機能訓練等サービスのあり方検討委員会(委員長:山口巖(医療法人住吉クリニック理事長兼院長))を設置し検討を行ってきたところ,報告書がまとまり,2月16日(火)に委員長から知事に対し提出されましたので,お知らせします。
概 要
1 現状と課題
○ 機能訓練等サービスの現状と課題
・ 本件における機能訓練サービスとは,障害福祉サービスの機能訓練(=リハビリテーション)を指し,急性期リハ,回復期リハ等の医療におけるリハビリテーションとは異なるものである。
・ 就労系の各サービスや生活介護サービス等が順調に利用されているのに対して,社会復帰を支援する上で重要な機能訓練サービスの利用が進んでいない
・ 本県内における機能訓練サービス事業所については,PTやOT等を配置せずに看護師や生活支援員だけで対応している事業所が多く,利用が進んでいない要因となっている。
○ 県立リハビリテーションセンターの現状と課題
・ ピーク時には150名を超えた利用者数は現在30~40名程度となっている。
・ 利用者数が低迷している原因としては,施設の老朽化のほか,現状のセンター方式によるサービスの提供が,障害福祉サービスは一極集中型ではなく身近な地域で提供するという現在の潮流に合わなくなっていることがある。
○ 高次脳機能障害者支援の現状と課題
・ 本県における高次脳機能障害者の支援拠点は県立リハビリテーションセンターとなっているが,関東地域の1都6県のうち,支援拠点を医療機関以外の施設に設置しているのは本県と東京都のみであり,このうち東京都は,医療圏ごとに指定された拠点病院(東京都リハビリテーション病院等)が連携して医療的な支援を行っている。
・ 高次脳機能障害者の支援には医師等との連携が不可欠であり,本県の支援体制では十分な対応が取りにくい。
2 検討経過
第1回 H26.12.26 障害福祉サービス事業所等の現状と課題について
第2回 H27. 2. 4 民間施設の機能訓練等サービスの向上について,高次脳機能障害者の支援について
第3回 H27. 8.12 利用者からの聴き取り結果等について
第4回 H27.10. 8 機能訓練等サービスのあり方の基本的方向(骨子案)について
第5回 H27.12.15 その他の検討事項について
第6回 H28. 1.28 機能訓練等サービスのあり方検討委員会報告書(案)について
3 報告書の内容
○ 機能訓練等サービスについて
機能訓練等サービスについては,県が,PT・OT等の派遣を支援するような仕組みづくりに取り組み,県内各地域の機能訓練サービス事業所において充実したリハビリテーションが提供されるように取り組む必要がある。
また,その仕組みが機能するよう財政的な支援なども行っていく。
これにより,身近な地域でサービスが利用できるほか,以下のようなメリットがある。
・ 訪問によるリハビリテーションの提供が可能となる。
・ 生活実態に合わせた訓練の実施が可能となる。
・ 最新の訓練機器等の導入が可能となる。
・ 地域の医療機関との連携が可能となり,障害者に対して切れ目のないフォローを行うことが可能となる。
○ 県立リハビリテーションセンターについて
県内各地域の機能訓練サービスの充実に取り組むことを前提として,県立リハビリテーションセンターについては,県全域の機能訓練サービスを担う役割を終えたものとして,廃止も視野に入れるべきである。
○ 高次脳機能障害者支援について
高次脳機能障害者の支援拠点については,県立リハビリテーションセンターに代えて県立医療大学付属病院や民間の医療機関等を新たに支援拠点とすることで,機能を充実すべきである。