ハリソンさん、たとえ可愛い甥っ子が憧れちゃっている18世紀中頃のカッコイイ紳士なのだとしても、
ウォルポール氏には心を開いていないので、
どうしてもこのような建前っぽい答え方をしまうのでした。
ハリソンさんの心の深ーい所では、「トリストラム・シャンディ」に対して、
口で言っている事とは全然別の事を感じていましたが、1765年の10月16日(水)現在の段階でも、
それをはっきり言語化する事ができないでいるのです。
それはハリソンの性別や、生きている時代の雰囲気との関係から身の危険を感じて、
自分の心にブレーキをかけていて、浮かび上がって来ないというのが原因なのですが―。
この物語上でのウォルポール氏は、ハリソンさんとジョージとの
間のようなタイプの親密そうに見える感覚を、
自らの人間関係の中で経験した事が今の所ないという設定になっています。
(まあ、モデルになった実在の人物も、そう変わらない状況だったのかもしれません。)
…親密感を体験させてくれる、若い世代の男の子でも現われてくれれば、
これからさらに明らかになって行く、この人の「お人悪度」もおさまるんでしょうが―。
ともかくも、ハリソンさんとウォルポール氏、
今の所は、お互い自分にない物を相手に見つけて、心の内に小さな怒りの泡が立ち始めています。
やがてそれが積み重なって行って、終いには「猟奇的事件」を引き起こしてしまうのでした―。
でも、「クールな人」と「優しい人」の組み合わせって、
女の子同士とか、男女の組み合わせの場合はよく見かけるし、上手く行っているように見えるんだけど。
こいつら年くって、すっかり我が固まったオッさん達で、
下手に「学歴」とか「肩書き」とか「知性」とか「教養」とかがあるばっかりに、
「素直じゃないヤツ」と「ひねくれ者」との
意地の張り合いつーか、「悪い男対決」になってるんじゃないんですか?
ママン。
そういえば、二人とも同じ大学で勉強していたらしいわよ。
カレッジは違ったらしいけど。
金があれば、入るのはそんなに難しくはなかったんじゃないのか?
作者の若い頃に、そういう噂の私立大学があったってぜ。
裏口入学じゃなくて、試験が超甘い代わりに入学金+授業料が超高いって、
だからいい家のヤツしか入れない ― ってあくまでも噂だってけどね。
ハリソンだって、今は二流文士に落ちぶれちゃっているけど、元は裕福で「すごい人」を先祖に持つ家の出だっていうし。
それはそうと、何やら「同性愛」の臭いもしておらんか?
作者は「カノ紳version」で、猥褻(わいせつ)描写はしないと断言していたはずじゃが、大丈夫なのかの~。
ハリソンとジョージとのやり取りに似た場面と、どこかで出会った記憶はありますか?
今日の続きは明日。