
ハリソンさんとマルセルがパリからローマを目指して出発した2日後、
ウォルポール氏は、パリで人気の英流ウォッチャー、デュポン先生と対談します。
実はデュポン先生、英国の情報を主にウォルポール氏から仕入れていました。
ウォルポール氏は、芸術の事やら、世間話やら、著名人のゴシップやらの手紙を、
一生の内になんと7000余りも知人友人へと宛てて書き送ったような人で、
「お手紙王子」と呼ばれていたくらいなのでした。
自分にはない物を、見下しているハリソンさんが持っている事を不快に感じたウォルポール氏は、
「トリストラム・シャンディ」に興味を持っているデュポン先生へと、
「ハリソン殿がシャンディ氏なのではないか?」
― と、自分が持った疑惑をぶっちゃけ、
デュポン先生がハリソンさんに対して不信感を抱く方向へと、
わざわざ持って行こうとするのでした。
* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *