風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

印刷業

2011-03-07 21:34:17 | 歳月
 仲間と出している冊子のことで印刷屋さんへ行った。
すでに馴染みの、担当者と雑談になった。

 風子ばあさんが
「私、若いときに印刷会社にいたこともあるんですよ、写植印刷の初期のころでした」
と言った。
「ほう、いつ頃ですか?」
「そうね、五十年ほど前になるかしら」
「じゃあ、僕はまだ生まれてなかったなあ」
 と笑われた。

 印刷の歴史への蘊蓄など、彼には無用のようであった。

 むろん、謄写版印刷などの話をしても、ばかにされるだけだと思い、女子社員の運んでくれたコーヒーを、上品に頂いて失礼してきた。

 謄写版印刷は、蠟紙に、鉄筆で、ガリガリと文字を刻んでいくからガリ版とも言った。
 これはこれで、達人がいて、謄写版印刷会社などと言う企業も存在した時代があったのである。

 

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