風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

丸元淑生 「羽ばたき」

2014-11-18 14:27:18 | 読書

 

  丸元淑生といえば、著名な料理研究家として記憶されている方が多いだろう。

    2008年に74歳で亡くなっている。

 

    「丸元淑生のシステム料理学」など著書も多数あり、

      たびたびテレビ出演もしている。

 

    しかし、彼の小説を読んだ人はそう多くはないだろう。

  1978年「秋月へ」と1980年「羽ばたき」で、二度芥川賞候補になっている。

  「羽ばたき」のときは、最終候補として村上春樹の名もあるが、

 結果は該当作なしの佳作として「羽ばたき」が文芸春秋に掲載された。

 選評を見ると、受賞に一番近かったのがこの作品であることを窺わせ、

 もし、このとき受賞していたら、彼のその後の人生も違うものになっていたかもしれない。

 

     昨日、その昭和55年の文芸春秋を押し入れに見つけた。

  彼が作家として残した数少ない作品を惜しんで、古雑誌を大事にしまっていたのだろう。

 

    二人の息子のいる家庭がありながら、別の女性にも娘を産ませ、

    行ったり来たりの果てまでを書いている。

     

  相撲取りになった息子のことはさわやかだが、情人のことは余計という選評が多かったが、

   私はこの男のおかしさも哀しみもよく描けていると読んだ。

   最近の芥川賞作品なんかより、ずっと面白く、引き込まれたのは

     私が古い人間だからかもしれない。

   どうも、このごろの小説には切実さがないような気がしてならない。

 

      耄碌ばあさんは、読むハシから忘れるので、

           備考録のつもりで

     「ばあばの読書録」というブログをべつに設けていたのだが、

       ものぐさばあさんは、それも続かなかった。

          


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