風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

神田川

2011-11-29 14:19:44 | 歳月
     「神田川」という唄が一世を風靡したことがある。
   
    ♪ 二人で行った横丁の風呂屋~
      ~~~
    ♪ 小さな石鹸カタカタ鳴って~
      ~~~
    ♪ 三畳一間の小さな下宿~

     土一升金一升と言うが、都会は土地も家賃も高い。

     三畳一間のアパートなどというのが珍しくなかった時代の唄である。
    トイレは共同、風呂は銭湯に行った。

     今でも、古い旅館や国民宿舎では、
    風呂トイレ別……というのがときどきある。
    風呂は、まあ、大浴場だからいいとして、
    トイレは寒い廊下の端まで歩く。

     この間、不動産の広告を見ていたら、
    風呂トイレ別というマンションがあり、あれっと思った。
    いまどきなあ、誰が入るのかなあと、首を傾げた。

     しばらく見ていて、ようやく分かった。

     狭いマンションやビジネスホテルでは、
    浴槽とトイレが一緒に並んでいることがある。
    あれは窮屈だしだいいち寛げない。

     広告にある「風呂トイレ別」は、
    狭いながらも
    トイレと風呂がそれぞれ独立した個室ですよ、
    別べつなんですよ、ということらしい。

     同じ「風呂トイレ別」でも、まるきり意味が違った。

     それがどうしたと言われれば、それまでだが、
    若いもんは知らんめえが……。
    昔を知るばあさんは、ちょっと吹聴してみたかったのである。


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