風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

座席

2011-05-31 20:49:07 | 旅行

急に休日が出来たので、近場の温泉行きのバスに乗った。
 
   先に乗りこんでいたパワー満点の女性グループを避けて、
まだ空いている席を探した。

  きょろきょろしていると、
「あなた、お一人?」と声がかかった。
「私も一人なの、どうぞ、どうぞ、ここへいらっしゃいませ、よかったわあ」
 
   愛想、良すぎるなあ。
  ほかに余席がないなら、喜んでご一緒させてもらうが、
ハナからあまりご親切なのも、どうかなあ。

  にこやかに、失礼のないように気をつけて、ご遠慮した。

   後方の座席に一人で座っていたら、発車間際に、
 「失礼します」と若い男の声がした。

    シメシメ。

    彼は、座るとすぐにイヤホンをはめ、アイマスクをして、
 とうとう下りるまで顔を見せなかった。

   隣に、大男が来たのだから、窮屈には違いなかったが、
 風子ばあさんは、まんざらでもなく、ウフフなのだった。