芥川賞作家の小説を、2作続けて読んだ。
近年の芥川賞作品は、素人の読者を寄せ付けない難しい小説が多いが、
私が読んだこの女流作家は、身近なテーマをテンポ良く仕上げていて読みやすい。
好きな作家のひとりに数えていた。
ところが、最近書かれたこの2作は、評判のわりに、どちらも、たいしたことはなかった。
素人のばあさんが、生意気なことを言っても失礼にあたるので、著者、著書名は省く。
概して、作家は初期の作品が面白いが、この作家も、はじめはこんなつまらんものは書かなかったよね、と思う。
思うに、売れるまでの作家は、呻吟しつつ魂をよじるようにして作品を書く。
売れるあてもないのだから、時間もテーマも制約を受けない。
書きたい衝動は読む方の心にふれる。
売れるようになると、忙しい。
呻吟している暇もない。
出版社からは、先生、まだでしょうか、お早くお願いします……
(などと言われるかどうかわからないが)
いずれにしても、著名作家だから、何を書いてもそこそこ売れる。
そのせいかどうか、売れっ子作家になると、
どうも、書き飛ばしているような気がして仕方がない。
本を手にした時の、こちらの期待が大きすぎるせいかもしれない。