机の上

我、机の上に散らかった日々雑多な趣味(イラスト・劇画・CG・模型・HP・生活)の更新記録です。

映画の味方

2014-01-22 14:12:00 | 映画の味方
帰らざる日々

1978年(昭和53年)の作品である。

この頃を振り返ると、いろいろとあったなぁと、立ち止まってしまう。

仕事も忙しかったし、恋愛もした。将来もまだ、右に行こうか左に行こうか迷っていた。

まさに「帰らざる日々」である。

おそらくは当時、アリスのヒット曲「帰らざる日々」にあやっかた歌謡映画だと思い、敬遠してリアルタイムに観ることがなかったのだろう。

だがどうして、今観ると素晴らしい脚本であった。気になって調べてみると某映画脚本賞の受賞作であり、題名も別物であった。

アリスの曲と題名を借りたのは商業主義の為か、仕方のない事であるが内容は合っているので許すところである。

曲はアリスの方が先であるが、どうして今観るとアリスがこの映画の為に曲を書き下ろしたように思える。

古い映画を観る楽しみのひとつに当時の時代背景がある。この映画も自身の青春時代の古いアルバムを見るようで懐かしかった。

出演の主人公の母親でバーのママ役の朝丘雪路さんが綺麗でした。

そのバーの壁に飾られていたのは朝丘さんの御父上の伊東深水氏の絵ではないでしょうか。

一秒あるかないかの、そのカットを何回も見て溜息をつきました。

額絵にしては大きいな。いや屏風絵かな。美術さんが写真に撮って引き伸ばした物を表具したのかな。いやそれならコストがかかるだろう。今なら大型プリンターもあり安価にできるだろうが。

やはり本物を飾ったんだろう。

ここはひとつ、朝丘さんのきもいりで「父の絵をバックに飾りたいわ」などと進行して。

いや待てよ、カット割されているから違う場所での別撮りか。バーのシーンとのつながりはないからな。持ち出し厳禁か。そうか監督の粋な演出か。

最初シーンの壁に飾られた絵はどなたの絵かな。伊東深水氏の物なのかな。画風が違う気もするし。

などと妄想しながら、何度も何度もその絵を見ました。

本当に素晴らしい芸妓さんの絵でした。

なんだか、この映画の本当の価値から、はずれてしまったようです。




スタッフ

監督 藤田敏八
脚本 藤田敏八 、 中岡京平
原作 中岡京平
音楽 アリス

キャスト

黒岩隆三 江藤潤
野崎辰雄 永島敏行
野崎加代 朝丘雪路
西螢子 根岸季衣
竹村真紀子 浅野真弓
平井由美 竹田かほり
戸川佐吉 中村敦夫
野崎文雄 草薙幸二郎
平井ふさ 吉行和子
田岡 丹波義隆

製作年 1978年


真漫画家残酷物語

2014-01-21 08:50:00 | 楽描き
森安なおや

田河水泡の弟子であり、伝説のトキワ荘の住人の一人でもある。

(筆者は以前に周りの若者から田河水泡氏に例えられた事があったが、恐れ多い事であり無視をした事がある。 若者はおそらく筆者が高齢で漫画をやっているから、「のらくろ」のような漫画を描いているのかという嘲笑的な意味合いで質問をしてきたのであろうと察して、黙して語らなかった。今の若者は田河水泡の作品の美しさを理解できないのであろうか。)

田河水泡は漫画史においては勿論、美術史においても崇高な方である。

森安なおやを知る手がかりとして、有名なところでは「わが青春のトキワ荘」と題されたテレビのドキュメンタリー番組がある。

トキワ荘出身の売れっ子漫画家連の片側に、今は卯立の上がらない森安なおやが、対照的に演出されていた。

そう演出されていた。

(筆者は当時1980年代初頭にリアルタイムでこの番組を見て、世の中で売れてゆく者と
そうでない者を執拗に差別する演出に事実はどうあれ、辟易して見ていた)



目蓋が重くなってきた。病室の白い天井は映画館の銀幕をおもわせる。田舎の二流館の上映フィルムのように切れながら途切れながら思い出が断片的に映し出されてきた。

俺は漫画が好きではないのかもしれない。いや嫌いだ。

巨匠と謳われる昨今の作家達の作品、あれは全部がパロディだ。

どこにオリジナリティがあるのだ。たしかに勉強をしているのは認めるが、昨日はSF、今日は西部劇、明日は時代劇か。節操がないな。

それにあの乱暴なペンさばきはなんだ。いかに忙しいかは知らないが、早描きを自慢してどうする。

確かに俺は遅筆だ。ちまちま楽しんで描いている。それゆえに締め切りにも遅れて、編集者にも嫌われる。

彼等の作品は麻雀に例えると、決して高い手ではない。早上がりの安い手だ。あっちこっちから他人の手牌を食って臆面もなく晒して銭を稼いでいる。
 
嫉妬かな。彼等を見習うべきだったのかな。俺はすぐ日銭を、目の前の物欲に消費してしまう。もっと飢えと戦って真摯に漫画に立ち向かえば良かったのかな。

こんな調子だから、女房子供にも逃げられるんだな。

いいや、誰よりも真摯に漫画に立ち向かった。たしかに彼等のように上から目線で俯瞰で物事を描く事は苦手だ。未来を見通す力もなかった。

テレビのドキュメンタリー番組の中で俺は自分の惨めさを晒した。おかげで田河水泡先生から絶縁破門された。

売れる者と、そうでない者。光と影。番組を造るうえで絶好の主題だったのだろう。番組ディレクターのいやらしい質問が今も耳に残る。そりゃぁ彼等より力はないさ。

番組出演で貰った謝礼は布切れ一枚。酒代にもなりゃしない。

あげくに、二十年かけて描き上げた作品を没にされた。

作品は少年誌に掲載される予定だった。アシスタントもつく手はずだった。だが番組側は裏で手を回し、俺の二十年の結晶を没にするよう進言していた。番組を面白くするために。

俺の漫画は昭和三十年代で終わってしまった。

寡作ではあるけど、俺の下からの、ローアングルが主体の旅愁的な画面と丁寧な描線は悪くはないと思うのだがなぁ。

そりゃあ牧歌的などと謳われ、派手ではなく事件など起きはしないが、それのどこが悪いんだい。

俺の描く女の子は充分、可愛いとおもうんだがなぁ。

時代が流れ、分かる人は判ってくれるおもうんだがなぁ。

頭の後の映写機がカラカラと音を立てている。天井のスクリーンは焼けて切れたフィルムがぱたついている。

目蓋が重くなってきた。すっかり暗くなってしまった。

六十四才かぁ。まだまだやれるんだがなぁ。

さようなら、みんな。

(森安なおやの作品は、近年復刻され、その真価が見直されている)


            1・13・・22:38~

栄養剤

2014-01-11 00:12:00 | 日々是茶飲み話
ビタミンU

効能書き

効果絶大

副作用多し

一時的に回復するも

反動多し

注意書きをよく読み服用下さい

それでも友人には感謝、今日は(あっ、昨日か)どうもありがとうね。

一昨々日、ペン入れ終了するもフォトショップに持って行けず、足踏み。

最悪。

胃をひっぱり出して洗濯したい。

六十五才まで持ちそうもない。

いつ

どこで

だれが

なにを

どうして



何時、何処でで止まっている。

主役がまだ登場していない。

このまま朽ちるのか。

無念だ。