机の上

我、机の上に散らかった日々雑多な趣味(イラスト・劇画・CG・模型・HP・生活)の更新記録です。

鷲羽一刀流の事

2010-06-13 11:46:00 | 楽描き
人の記憶というものは当てにならないものである。

鷲羽というネーミングを思い付いた時はヤッターという気持ちになった。
しかし、何十年もの昔に五味康祐著「秘剣鷹の羽」を読んでいるのである。
忘れてはいても、脳の片隅に鷹の羽という言葉が残っていて鷲羽という言葉を導き出したのだろうか。

しかし鷹の羽という言葉を覚えていれば採用しなかったかもしれない。

でも、音は悪いが字面はかっこいい。

脇の下から冷や汗が出るを事が、もうひとつ。

最近、谷口ジロー氏の本を再読しようと本棚を整理した。

先の本も、その時に発見して懐かしく読み返した次第。

谷口ジロー氏はいろいろなジャンルを書かれるが時代劇は長い作家生活の中で、一作だけである。(いつもながら記憶で書いているので間違っていたら御容赦願いたい。)
「柳生秘帖 月の抄」が、それである。

ちゃんと何度も読んで読了しているつもりだが、忘れている。

1999年初版発行とあるから、10年前だが内容を忘れる年月ではない。

再読して驚いた、拙作に登場する蛇頭剣とほぼ酷似する剣技が描かれていた。

元はといえば蛇頭剣は佐々木小次郎の燕返しがヒントになっている。

小次郎の燕返しはこうだ。

双方が対峙する。
相手が踏み込んでくる。小次郎が大上段で物干し竿を上から下へ切り付ける。
相手はそこに隙を見つけて更に踏み込む。

実は小次郎の初太刀はフェイントで相手をおびき寄せる為のもので返す刀で下段から切り上げるのが真の目的なのだ。

それも、飛び交う燕より早く。
まさに飛ぶ鳥落とす早業なのである。

小次郎の燕返しは他流派にも似た技が存在する。
小次郎の燕返しが縦に変化するのに対して横に変化させる虎尾返しがある。

猫の尻尾が右に左に変化する様からそう名付けられたか、なるほど言い得て妙である。

近年では、空手家のアンディ・フグ氏が得意とした「かかと落とし」が似ている様な気がする。

フグ氏が上段前蹴りをくりだす。
相手はよけて反撃に出ようとするが、フグ氏の蹴上げられた足は踵から急降下、相手の鎖骨にめり込む。

最初に蹴上られた前蹴りは小次郎の初太刀と同じフェイントなのである。
谷口ジロー氏の描かれた、逆流れの剣は小次郎の燕返しに似ているが違う点がひとつある。

燕返しは刃側から返すのに対して逆流れは降ろされた初太刀そのままに振り上げられ峰先が相手の顎を切り裂くのである。
しかも使われている剣は峰先が諸刃なのである。
この部分が蛇頭剣と違うところ。

違うところがもうひとつ、構えから技がくりだす点である。
構えの段階で虚をつくり相手に隙を与えて瞬時にくりだす。

小次郎の燕返しより一手間はぶかれ、より早い技と、合点がいくもやはり記憶の奥にあった氏の作品の影響が無意識に働いて蛇頭剣を導き出したのだろうか。

もうひとつ紹介する。

影の流れ 疾風剣。

白土三平氏の名作、忍者武芸帳影丸伝に登場する剣技である。

先の虎尾返しと同じ横に変化する剣技だが同時に二人を倒す必殺技だ。

受けと攻撃が一太刀でなすまさに一刀流の極意なのである。

谷口ジロー氏の作品については、またこの次。

(書き始めて、一月ほどたっている。
写真はよさこいにて。)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿